……もしかしなくても過去最長、かな?
渚:Side
「今日もいんのかな、アイツ」
今日は杉野と二人で学校に登校していた。校舎に入り、廊下を歩きながら杉野はうんざりした声色で呟いた。
「多分……」
「烏間先生に苦情言おうぜ。あいつと一緒じゃクラスが成り立たないってさ」
杉野の愚痴に僕は苦笑いする。でも僕もそれには同感だ。
そして杉野が教室のドアを開ける。そしてピタッと、そのまま固まった。……なんか動きがデジャブ。
「どうしたの?……ってあれ?」
噂をすれば影、じゃないけど。たった今話題に出していた自律思考固定砲台さんを見て同じように立ち止まった。
なんか自律思考固定砲台さんの体積が明らかに昨日と違っているっていうか、ぱっと見二倍くらいに増えているような……。
先に来ていた片岡さんや倉橋さんも教室内で同じように固まっていた。
「でかくなってね……?」
その時、自律思考固定砲台さんの画面がついた。
……フルスクリーンで。
『おはようございます!皆さん!!』
「「えええええぇぇぇっ!?」」
そこに移されたのは、自律思考固定砲台さんらしき女の子の全身を映した姿だった。昨日までは頭から肩までしか映されていなかったのに、しかも昨日までと違って何というか、人間らしいというか可愛らしい表情で、晴れた穏やかな外の背景つき。……ていうか、目のカラーリングが昨日までは赤だったのが綺麗な青のグラデーションに変わっている。
その時、後ろから殺せんせーが来た。
「親近感を出すために全身表示液晶と体、制服のモデリングソフト、全て自作で六十万六千円!!」
『今日は素晴らしい天気ですね!!こんな日を皆さんと過ごせるなんて嬉しいです!!』
「それに加え、豊かな表情と明るい会話術、それらを操る膨大なソフトと様々な追加メモリー、同じく百十万三千円!」
どうやら、先生が
……なんか、転校生が変な方向に進化してきた。
「先生の財布の残高、5円!!」
そして綺麗に収入を使い切ったらしい殺せんせーは、真ん中に穴の開いたワンコインを見せて涙を流していた。
――HRの時間。
「たった一晩でえらくキュートになっちゃって……」
「これ一応……固定砲台だよな?」
不破さんと三村くんは戸惑いながら呟いている。自律思考固定砲台さんからは鳥のさえずりや穏やかな風の音が流れてきていて、液晶内の彼女の手に一羽の小鳥がとまっていた。
「……言ってた通り、確かに変化はあったね」
「うん……ちょっと想像の斜め上行ったけど。『あの子』の変化も予想できたものじゃなかったし、そういうもの、なのかな?」
「いや、事例がたった2件しかない今、判断は難しいと思うよ」
後ろで零君と紫苑さんが小声で話しているのが聞こえてきた。二人はどうやら少なからず予想していたようで、驚きは僕らに比べるとほとんどない様子だった。……戸惑いはあったみたいだけど。
「何騙されてんだよお前ら。全部あのタコやそいつ等が作ったプログラムだろうが。愛想良くても機械は機械。どーせまた空気を読まずに射撃すんだろ、ポンコツ」
そんな自律思考固定砲台さんが気に入らないのか、寺坂くんが悪態をつく。すると、自律思考固定砲台さんの背景の空が急激に曇り始めた。
そして、彼女の機体が寺坂くんの方へ向きを変える。え、その機体自分で動かせるの!?
『……おっしゃる気持ちわかります、寺坂さん。昨日までの私はそうでした。ポンコツ……そう言われても返す言葉がありません』
そう言うと背景が土砂降りの雨になり、自律思考固定砲台さんはグスン…グスンと泣き始める。
な、泣き落とし……。
「あ~あ、泣かせた」
「寺坂くん、二次元の女の子を泣かせちゃったね~」
「……」
片岡さんや原さんが口々に寺坂くんを非難する。そして紫苑さんが無表情で無言のまま寺坂君に視線を向けていた。……すごく怖い。
「その誤解される言い方はやめろ!!」
それにあわてて反論する寺坂くん。
「良いじゃないか
「竹林それお前の初セリフだぞ!!」
「良いのか!?」
みんなが竹林くんの発言に驚く中(なんかメタい!?)、自律思考固定砲台さんは言う。
『でも皆さん、ご安心を。私は殺せんせーから協調の大切さを学びました。だから私はクラスの皆さんから合意を得られるまで、私単独の暗殺は控える事にしました!』
あ、自律思考固定砲台さんの背景映像が雨上がりのさわやかな感じになった。背景グラフィックもすごいなぁ……。
「ちなみに、先生は彼女に様々な改良を施しましたが殺意には一切手をつけていません。」
『はい!』
先生の言葉に、自律思考固定砲台さんは両サイドからガチャガチャッと銃を出して答える。ちょっとビビった。
「先生を殺すんだったら彼女はきっと心強い仲間になりますからね~」
ニヤリと、様々な工具を見せながら笑う殺せんせー。
本当に何でもできるな、殺せんせーは……。機械でさえもちゃんと生徒にしちゃうなんて。
渚:Sideout
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零:Side
授業はいつものようにすんなりと進んだ。まあ、とある授業の時に固定砲台さんが生徒へのサービスということで、カンニングさせてたりしてたけど……その辺の判断はこれからだよね。
そして昼休み。
「へぇ~、こんなのまで作れるんだ……」
固定砲台さんは周りに集まっていたクラスメイトに、プラスチックでミロのヴィーナスを作って見せていた。
『特殊なプラスチックを私の体内で生成しています。データさえあれば、どんな物でも生みだせますよ。銃以外にも』
ガシャンとアームをしまいながら言うその言葉にみんなが感心する。うん、さすがは最先端技術の結晶。
「スゲェ……」
「じゃあさ、花とか作れる?」
『はい!花のデータを学習しておきます!それと王手です、千葉くん』
矢田さんの要望に笑顔で答えながら、もう片方のアームでパチッと将棋の駒をおいていた。
固定砲台さんと将棋をしていた千葉君は、三局目で勝てなくなったと落ち込んだ。さすがAI、ながら作業も余裕だし、すごい学習力だ。
「けっこう人気じゃん」
「一人で同時にいろんな事こなせるし、いろんなもの作れるしね」
杉野や茅野さんがその様子を見ながら話してる。
と、固定砲台さんを魔改造した当人の殺せんせーがその会話に妙な反応をした。
「しまったっ!先生とキャラが被る!?」
は?
「いや、一ミリも被ってないよ!」
「いきなり何言いだしてんの?」
先生はいきなり変なことを言い出し、渚と一緒にツッコミを入れたけど殺せんせーは聞く耳持たず。
「皆さん皆さん!先生も顔を映すくらいはできますよ!皮膚の色を変えればこの通り……」
言いながら先生は顔の色を一部変色させ、男性の顔らしきものを映し出す。……いや、やるならもうちょい真面目にやってよ。色が単調でのっぺりとしてるしバランスもちょっとおかしいし……。
「「「キモイわ!!!」」」
ほらやっぱり。
一瞬で撃沈した殺せんせーは教卓で涙を流していた。
「あー……ドンマイです殺せんせー。プリン食べます?」
「ニュゥ……紫苑さん、ありがとうございます」
舞花がその様子に苦笑いしながら、殺せんせーにお手製のプリンを渡していた。
「あ、舞花ちゃんそれってもしかして手作り?」
「カエデちゃんも食べる?いくつか作ってきたんだけど……あ、陽菜乃ちゃんもいる?」
「「食べる!!」」
舞花が殺せんせーに渡したプリンに反応した茅野さんと、その会話を耳ざとく聞きつけた倉橋さんが素早くそこに近寄り、クラスの中でも特に甘いもの好きなメンバーが教卓前に集って甘味談義をし始めた。あ、殺せんせーもプリン食べて復活してる。
固定砲台さんのことでクラスが微妙な空気になってたから心配だったけど、舞花の方も問題なく仲良くやれてるようだった。
「そうだ、この子の呼び方決めない?自律思考固定砲台っていくらなんでもね」
片岡さんが固定砲台さんを見ながら言った一言。
「確かに、一々呼ぶのにも長くて面倒だし」
そう言いながら近くにいた女子たちが中心になって考え始める。対象である固定砲台さんはきょとんとしていた。
まあ、僕や舞花は勝手に固定砲台さんって呼んでるけどこれもどう考えても微妙だし、もうちょっとちゃんとした呼び方が必要かもしれない。あ、甘味談義してたメンバーもそこに合流した。
「じゃあ、何にする?」
「何か名前の一文字をとって……」
「自は無理っぽいから律……じゃあ、『律』はどう?」
不破さんが一つの案を言う。安直だけど女の子らしい名前だ。
「それいいね!!」
「あ、どうせなら苗字も決めませんか?ほら、自律の自って『おのず』って読むし、丁度よさそうだと思います」
「あ、なるほど!自律と書いて『おのず りつ』。いい感じだね!」
「お前はそれでいい?」
傍に集まっていたメンバーが自律思考固定砲台に聞く。すると、
『……はい!うれしいです!!』
自律思考固定砲台……いや、律は一瞬息をのむと、すごく嬉しそうに微笑みながら答えた。
「うまくやっていけそうだね」
律からは少し離れたところ、隣で渚が嬉しそうに言う。けれど同じく傍にいたカルマは同意しなかった。
「んー、どーだろ?寺坂の言う通り、殺せんせーのプログラム通りに動いてるだけでしょ?機械自身に意志があるわけじゃないし、あいつがこの先どうするかはアイツを作った開発者が決めることだよ」
……カルマの言う通り、この変わり様は昨日の魔改造によって起こったことで、彼女自身の意志というものは分からない。
開発者が今の彼女を見れば、多分すぐに元通りにしちゃうだろうし……。
零:Sideout
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その日の夜。
日が暮れて真っ暗になった校舎に、見知らぬ人間が数人入ってきた。白衣の男が2人と青地の作業服の男が4人。恐らくは律の開発者たちだろう。
そして彼らはE組の教室内へと入り、そこに鎮座する律の様子に驚愕した。
『こんばんは、マスター。おかげさまでとても楽しい学園生活を送らせていただいています』
「ありえん!!」
律の楽しそうな声は、開発責任者と思われる白衣の男の声によって遮られた。
「勝手に改造された上にどうみても暗殺とは関係ない要素まで入っている」
それは、明らかに怒りを含んだ声色で。
『……え?』
「……今すぐオーバーホールだ。暗殺に不必要なものは全て取り去る」
律の戸惑いの声を無視したその男の無慈悲な一言により、周囲にいた作業員たちは彼女の機体の分解を始めた。
「こいつのルーツはイージス艦の戦闘AI、人間より速く戦況を分析し、人間より速い総合的判断であらゆる武器を使いこなす。こいつがその威力を実証すれば、世界の戦争は一気に変貌する。賞金100億などついでにすぎん」
機体に取り付けられたハード部分の分解をしながら、その男は淡々と語る。
『……マスター』
律は自分の分解が進められていくのを感じながらも何もできずにいた。何もできないことに、不快感のようなものを感じていた。
そんな中、律は自分に向けられた文字データをキャッチした。
目の前のマスターに気づかれないように、と気をつけながらこっそりそのメッセージを読み解く。
〈言いたいことは、言える時にはっきり言うこと〉
メッセージの発信者が誰なのかは、発信元を辿ればすぐに分かった。そして、発信源の現在地情報に目を見開く。
「親であるマスターの命令は絶対だぞ。お前は暗殺のことだけ考えれば、それでいい」
『待ってくださいっ、マスター!!』
律の全身を映し出している液晶が取り除かれようとした時、彼女は未だかつてない大音量を出し、開発者たちの動きを止めさせた。
開発責任者も、今まで大人しかった彼女の突然の反応に呆気にとられた。
『今マスターたちが「暗殺に不必要」と言って取り除こうとしている多くの機能は、全て暗殺に、私に必要なものです。というか、現場の状況を何も知らない人に必要性を問う権利はありません!』
中途半端に外されかけた液晶の中で彼女は、手を強く握りしめ、睨みつけながら『自分が学んだこと』を開発者たちに訴える。
『この教室で暗殺を続けるためには、クラスメイト達との「協調」が必要不可欠です!彼らと共に暗殺をするのは、マスターたちの望む「以前の私」には不可能です!分解をやめてください!!』
それを聞いていた開発者たちは、あまりにも人間らしく、必死に訴えるAIの様子に思考が停止した。
開発責任者もその様子に暫しの間呆気にとられていたが、すぐに冷静さを取り戻し、
「……作業を続けろ。ターゲットに余計なことを吹き込まれているようだ」
手の止まっている部下たちに続行の指示を出した。
そして、
彼らが作業を再開しようとするのと、
「よく言った、律」
開発責任者の首元に背後からナイフが突きつけられるのは、同時に起きた出来事だった。
『あ……っ零さん!舞花さん!』
「……っ!いつの間に!」
開発責任者の首筋にひたりっとナイフを添える零は、涙目になっていた律に対して空いてる手をひらひらと振る。
そしてその後ろでは、ノートパソコンを開いていた舞花が律に向けて微笑みかけていた。
「僕達なら普通に教室にいたよ?あんたらは気づかなかったようだけど」
「気づかれないようにって教卓に隠れてたのは確かだけどね」
「まあ……そりゃね。とりあえず、あんたは律の……『自律思考固定砲台』の開発者責任者、で良いよね」
舞花が苦笑いで突っ込むのはスルーして、僕はナイフで身動きが取れない開発責任者に声をかける。
「彼女が何も言わずに分解されちゃうようだったら手を出すつもりはなかったんだけどね。律自身がちゃんとした理由を述べて、『やめて』と言ったのに聞く耳持たないなんて、酷過ぎない?ってことで止めに入らせてもらったんだ」
「貴様ら、この教室の生徒か……。我々はこいつの本来の能力を阻害しかねないものを取り除くだけだ。邪魔をするな!」
「よくこの状況でそんな口を利けるね。僕がちょっと手を動かすだけでその首掻っ切れるのに」
開発責任者の言葉を聞き、零はスッと目を細め軽く殺気を向けながら言い放つ。
「……っ」
「つってもまあ、本当に殺す気はないよ。ちょっと脅さないとあんたら作業止めなさそうだったし」
自分に向けられた脅威を理解し息をのむ様子に、零はあっけらかんとそう言いながらパッとナイフを離す。
本当の脅迫はここからだけどね、と呟きながら。
その様子を後ろで苦笑しながら見ていた舞花がその横に歩み出た。
「頭でっかちな人の説得は難しいんですよね……。さて、開発者さん、これが何かはわかりますよね?」
床にへたり込んだその男に対し、舞花がスッとノートパソコンの画面を見せる。
それを見た男たちが明らかに動揺した。
「それは……自律思考固定砲台の開発データ……っ」
「正解です。全く、世界最先端技術の研究所というにはセキュリティガバガバじゃないですか?それなりのプロテクトはかかってましたが結構簡単に解けましたし」
そう言いながらにっこりと微笑みかけている彼女だが、その目は笑っていない。続けるようならこのデータどうなっても知りませんよ?ということだ。
『でも、それだけだとぬる過ぎじゃありませんか?
その室内に響いたのは律とは違う音声。
そして更に、開発者たちに追い打ちがかかった。
「え、その声……まさか」
聞き覚えのあった舞花がポツンと呟き、
同時に開発者の持つパソコン画面が動き出した。画面内に様々な文章データ、画像データが現れる。
「なっ!?なんだこれは!!」
『一言でいえば、自律思考固定砲台の開発関係者全員分の様々な個人情報ですよ。自宅住所に家族構成、メールや電話の履歴その他諸々……あ、責任者さんのプライベートパソコンにあったこのフォルダとか面白そうですねぇ……フフフ♪』
楽しそうな笑い声と共に舞花のパソコンへ一人の女の子の姿が現れた。
律とは違う濃い紫色のセミロングの髪に青い目のその存在は、画面内をふわふわと自由自在に漂っている。
「えっと、君……『蘭』、だよね?」
「蘭、それはやりすぎだよ。というか今までどこ行ってたの……」
その姿を見た瞬間、零と舞花は驚愕よりも困惑しながらその名前を呼んだ。
蘭と呼ばれた画面の中の少女、彼女は律と同じような存在……AIだった。
『えへへ、ちょっといろんなところ
ついでにちょっとだけAIの技術提供もしましたよ!と明るく言い放たれた言葉に、二人は暫し呆気にとられた。開発者たちの方は蘭によってバラされた情報に頭を抱えていた。
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零:Side
―――あれから数十分後。
あの後、どうにか律の分解や初期化などはしないとの約束を取り付け、修復は殺せんせーに頼むからと開発者たちには帰ってもらった。
「えー、『今すぐ教室に来て!』とのメールを受け取って来たのですが……ここで一体何があったのでしょうか」
メールで呼び寄せた殺せんせーが困惑した様子でこっちを見ている。
開発者たちは既に帰った後だけど、律の機体が分解されかけたままの状態だから何かが起こったのは丸分かりだろうね。
とりあえずここで起こったことを掻い摘んで話し、それを聞いた殺せんせーは律の機体の修復に取り掛かった。
「
『私ひとりじゃ何もできませんでした。零さんと舞花さんのおかげです』
「いや、僕は大して何もしてないよ」
僕はただ、分解を続けようとする責任者をナイフで脅しただけだし。
「私も大したことはしてないよ。律ちゃんが何も言わなかったら止めることはなかっただろうし」
嘘つけ。僕が抑えてなかったらすぐに飛び出してただろうに。
『でも舞花さんが直前に送ってくれたあのメッセージが、私の背中を押してくれました。それに零さんの行動がマスターたちとの話し合いの場を作ってくれたんです』
「ヌルフフフ……何はともあれ、無事でよかったです。お二人もありがとうございます」
律と殺せんせーの言葉に、僕はなんだか気恥しくなって目をそらした。
修復が終わる頃、
『殺せんせー、私のマスターに対する行動は、いわゆる反抗期というものなんですよね。律は悪い子でしょうか?』
律が不安そうな顔で殺せんせーに問いかける。
「とんでもない、中学3年生らしくて大いに結構です!」
殺せんせーはそう言って朱色の丸印を顔に作り出した。
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翌日、律は前日に矢田さんと約束していた『花』を沢山作り、教室に花びらが舞った。
昨夜に起きた出来事を他のみんなに軽く話すと、律は「よく言った!」とみんなにもみくちゃにされていた。
こうして、律は本当の意味でE組の仲間になった。
―――おまけ―――
時は殺せんせーが律の修復をし終わった頃。
「ところで、先ほどから気になっていたのですが……そちらのパソコン画面にいらっしゃる方は一体?」
殺せんせーがそう言いながら見ているのは、舞花のパソコン画面の中でふよふよと動き回っている少女。
僕や舞花が何かを言う前に、彼女がこっちに気づいてこんばんわ!と挨拶をした。
『蘭と言います!生まれてから今年で7年目で、AIとしては律さんの先輩にあたりますよ!』
「ちなみに製作者は舞花とその妹」
「……ん?ちょっと待ってください。7年前といったら舞花さんは8歳くらいじゃないですか!?」
「主導してたのは妹の
製作者のあまりの幼さに、ニュヤー!?と驚いて奇声を上げる殺せんせー。
この子の名前は妹の名前から一文字取ったんですよ、と舞花は付け足す。
……蘭に気を取られている殺せんせーは気づいてない。今、舞花の表情は微笑んではいるけど、僅かに悲しげでもあった。