暗殺教室~月と星~    作:霊花

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二話目です。

2020年 改稿


一学期
出会いの時間


渚:Side

 

「よっ!渚おはよ!」

 

学校へ向かっている途中に見慣れた黒髪が背中から声をかけてきた。勢いよく肩をたたきながら挨拶をしてきたのは杉野。あれ、ちょっと目に隈が見えるけど……寝不足かな?珍しい。

 

「あ、おはよう!杉野」

 

「なあなあ、知ってるか?今日転校生が来るって話!」

 

それは昨日烏間先生から送られたメールで知っている。

 

「へ~やけにテンションが高いのはそれでなのか~」

 

「あ、カルマ君おはよう!」

 

そこへさらに後ろからカルマ君が声をかけてきた。いつものニヤニヤ顔がさらに楽しそうに輝いている気がする。

 

「だってよ~転校生だぜ!楽しみすぎて気づいたら朝だったぜ!」

 

気持ちは分かるけどそれは極端だな……。だから隈がひどいのか。

 

でもこの時期にこのクラスに転校生。高確率で只者じゃない。

 

「あ、渚おはよー!早くしないと遅刻だよー!」

 

すると後ろから茅野が走ってきた。時計を見ると確かにちょっとやばい時間。

 

「うわっホントだ!」

 

「ちょっと急ぐぞ!」

 

渚:Sideout

___________________________________________

零:Side

 

 

今、()はかなり急ぎ目で山道を登っている。時間的にはギリギリ間に合わないくらいだろう。

 

寝坊したわけじゃない。一応校舎がある場所は聞いていたし、麓から一キロは山登りする場所だと言うことも聞いていた。……ここまでしっかり自然な山だったとはと驚いたけど。

 

あ、やっと校舎見えてきた。……本校舎の方と違って、一昔前の木造校舎って感じだね。結構ぼろぼろだな……。

 

って時間ヤバッ!急ごう。

 

 

 

校舎前に着くとそこには三日前に家に来た防衛省の人、烏間さんがいた。

 

「烏間さん、おはようございます」

 

「おはよう、ちょっと遅かったな」

 

「はは、ちょっといろいろありまして」

 

「とりあえず明日からは気をつけろ」

 

「はい」

 

これからこの道を毎日通うとなると、時間設定改めないといけないな……。

 

烏間さんに連れられて校舎に向かいながら、明日からの朝スケジュールを考え直した。

 

「これから教室に入って自己紹介をしてもらう。それと、ここでは俺も表向きは副担任兼体育教師としてかかわってもいる」

 

……防衛省の人が教官の体育授業って……。

 

他の授業がどうなっているかはわからないけど、とりあえず体育が普通の授業じゃないことだけはわかった。

 

……まあ、そりゃそうか、暗殺のあの字も知らなかった子供に暗殺依頼してるんだもんな。

 

「あ、それじゃあ烏間先生ですね。よろしくお願いします」

 

「ああ、よろしく。じゃあ行くぞ」

 

 

 

 

 

教室の前に着くと、中からたくさんの銃声が聞こえてきた。

 

本当にやってるんだな、暗殺。

 

烏間先生曰く、朝の挨拶替わりのクラス一斉射撃、だそうで。そんな中で出欠確認をしているんだとか。

 

クラス全員の狭い密室における弾幕をよけながら出欠取るって……ほんとに殺せる生物なのか不安になるんだけど。

 

少しすると銃声は止まり、中から声がした。

 

「さて、今日は転入生が来ます。烏間先生、いいですよ」

 

その声と同時に僕と烏間先生は教室の中へ入った。床には先ほどまで教室を飛び交っていたであろうBB弾が大量に転がっている。とりあえず、教卓の横に進む。……近くにいる巨体は一旦無視した。

 

烏間先生によって黒板に名前が書かれるのを見て、これからクラスメイトとなる生徒たちへ向き直った。一斉射撃の後だからか、少し息が上がっている様子の彼らは、僕から見ると普通の子供たちだった。多少気になる気配もいるけれど……一般人からはみ出るほどには感じない。

 

とりあえずいろいろ思考するのは後回しにして、笑顔を心がけて軽い自己紹介をした。

 

「僕の名前は桐紫零。いろいろ不慣れなこととかあるけど、仲良くしてくれたらうれしいよ。これからよろしく」

 

そう言うと、隣に居た巨体の何かがヌルフフフと笑った。え、何その笑い声……ちょっと気持ち悪い。

 

さっきは無視したそれを改めて見る。全体的に黄色い、たくさんの触手を動かすタコのような生物がアカデミックドレスを着ている。最初写真を見たとき何の冗談かと思ったけど、ほんとにコレがターゲットなんだ……。妖怪だとか言われたら納得するけど、多分違うんだろうな。

 

こんなのが月を壊したなんてね……。

 

「私がこのクラスの担任です。気軽に殺せんせーと呼んでください」

 

殺せんせー……あだ名、かな?そういえば、手配書には名前は書かれてなかったっけ。

 

「はい。よろしくお願いします。殺せんせー」

 

そういいながらとりあえず握手でもしようと手を出す。あの触手ってどんな強度してんだろとか考えながら。

 

ただ、ターゲット改め殺せんせーは何故か飛び退いた。

 

え、何故!?

 

殺せんせーから、どこか警戒しているような目線を受ける。え、まだ何もしかけようとはしてないんですけど……。

 

「あ、あのさ、なんかすごい疑いの目をあの先生から向けられてる様な気がするんだけど?」

 

調度前に居た男子生徒に聞いてみる。黒髪の真面目そうな雰囲気のその生徒は、苦笑いしながら答えてくれた。

 

「あ~、先生、前に一度握手と同時に触手破壊されたんだよ。ほら、一番後ろに居る赤髪の奴」

 

見るとそこには赤い髪で面白そうにニヤニヤしている男子生徒がいた。さっきなんとなく気になった生徒の一人だったけど……なるほど、うまく騙し討ちしたのか。

 

……うん、あいつ多分人をいじって楽しむタイプだ。ある種似た気配の知り合いを思い出した。

 

「え~と、先生、まだ先生についてほとんど知らない今、いきなり何か仕掛けようとか、そんなことしませんよ?だからとりあえず握手くらいはしてください。なんか悲しいです…ううっ」

 

握手なんて別にしなくてもいいけどなんとなく引き下がるのは嫌だったので、事態を打開しようとついでに泣きまねもしてみた。

 

ちょっと面白半分だったから、多分生徒たちから見たらウソ泣きだってバレバレなやつだけど。そしたらなんか殺せんせーだけ意外にテンパった。

 

「ニュ、ニュヤヤ!な、泣かないでください!ほら、握手しますから!」

 

そういってやっと握手してくれた。え、ウソ泣きにここまで慌てられるとちょっと良心が痛む……。なんか想像以上にいい先生っぽいんだけど。演技ではなさそう。

 

ついでにあの触手は柔らかいけど脆いわけではないのも分かった。握りつぶせたりするのかな~とか考えて握力込めたけどそんなことはなかった。

 

とりあえず泣き真似はやめて何事もなかったかのように笑顔でもう一度よろしくお願いします、と返しておいた。

 

「零君の席はあそこの、カルマ君の隣です。カルマ君、いろいろ教えてあげてくださいね!」

 

「は~い」

 

なるほど、あの赤髪の奴はカルマって言うのか。

 

とりあえず、BB弾を踏まないように気を付けながら自分の席に向かう。

 

座ると、カルマ君がこっち見ながらひらひらと手を振った。

 

「よろしく、カルマ君」

 

「カルマでいいよ~」

 

彼とは仲良くなれそうって、なんとなく直感で思った。ちょっと変わってるなと思ったけど、ちょっと面白そうな人だと思った。

 

 

 

とりあえず、床のBB弾を全員で片づけてそのまま授業が始まった。

 

___________________________________________

 

1時間目が終わり、短い休み時間になった。

 

殺せんせー、意外にも授業が分かりやすかったな。とりあえず、授業聞きながらクラスメイトの顔と名前を照らし合した。なんとなく、にぎやかで楽しそうなクラスだなって思った。

 

授業が終わるとすぐにクラスのいろんな人が集まってきた。そしていろいろ質問攻めに有った。

 

なんか、学園ものの転校生あるあるイベントだよねこれ。

 

「趣味とかある?」

 

「読書かな。推理小説が一番好きだよ」

 

あれはいろいろ役に立つトリックとかあるしね、とか考えながら答えた。まあ、ファンタジー小説とかも同じくらいよく読むけど。

 

「部活何やってた?」

 

「いや、やって無いよ。やる機会はなかったからね」

 

そもそも今まで中学校通ったことなんてなかったし。だから一応中3レベルの勉強なんてほとんど独学で済ましてた。

 

「彼女とか居るのか?」

 

「なんでそんな質問……」

 

これを聞いてきた坊主頭の奴、岡島君。初対面でそれか。

 

まあ、別にいいけど。

 

「いるよ。今は日本にいないけど」

 

とりあえず正直に答えたら

 

「「「「「「いるの!?」」」」」」

 

かなり驚かれた。そして岡島君は泣いた。

 

「へ~どんな子?」

 

カルマがにやにやしながら聞いてきた。この感じ、何かいじるネタがないか探ってきてるような気がする……。あ、遠巻きに見てた奴らも来た。

 

そんなに人の恋愛事情気になるの?とか思ったけどある種これが普通の中学生の反応なのかな……。

 

とりあえずカルマの質問に答えるか。困る情報与えるつもりないし。

 

「僕の従妹だよ。小さい頃から体が弱くてそれを解消するために5年前から外国に留学中」

 

「へ~従妹か~」

 

「写真とか有るか?」

 

「5年位前のなら家にあるけど今はさすがに持ってない。あと……今年一旦日本に帰ってくる予定」

 

「マジか」

 

「まあ、彼女の話は後でね。他に質問は?」

 

「あ、じゃあ僕が」

 

そういって手を上げたのは水色の髪のビックテールの男子生徒、潮田君。本当に男の子?女の子じゃないの?と聞きたくなる外見をしていてちょっと驚いた。

 

「いいよ。なに?」

 

「零君は、殺し屋?」

 

……さすがの僕もこの質問には驚いた。まさかそんな事をまんま聞いてくるとは思わなかった。なんとなく気になる気配の一人だったけど、やっぱり変わってるね。

 

少しだけ、どう答えるか悩んだ。けれどあまり時間かけずに最低限、正直に答えることにした。

 

反応見たさとかもあるけれど、多分多少の情報共有はあった方がいいと思った。感じる雰囲気からして、少しなら言っても問題ないと直感した。

 

「……そうだね。その業界にいるのは確かだよ」

 

僕はちょっと苦笑いしながら答えてみた。

 

 

……その時の周りの反応は驚くのと、「やっぱり」と納得するのが半々だった。

 

後から聞いた話。質問した当人は答えが返ってくるとは思わなかった、って驚いてたらしい。

 

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