基本的にはありませんがSide指定が無い時は第三者視点です。
2020年 改稿
「もう5月か~早いね1ヶ月」
「うん、そうだね」
5月1日と黒板に書きながら話すのは潮田渚と茅野カエデ。
殺せんせーが地球を爆破するといった3月までの残り時間は11ヶ月。
暗殺終了と卒業の時はじわじわと近づいてきている。
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零:Side
……何があった。
「イリーナ・イェラビッチと申します!皆さんよろしくね!!」
僕がこのクラスに転入してきて早一週間。今日もいつものように迎えた朝のHRの時間。殺せんせーが入ってきたと思ったら何故か一緒に金髪外人女性が入ってきた。
その後に続いて入ってきた烏間先生によると新任の外国語科の教師、だそうで。
「すげー美人だ」
「おっぱいやベーな」
「で、なんでベタベタなの?」
クラスのほぼ全員が戸惑っている。
と言うか岡島。お前はさっそく胸か、そこに気が行くのか。鼻血でてるぞ。そして中村さん。その意見には同意するよ。
何せその人は殺せんせーにべたべたにくっついているのだから。
「なんかすごい先生来たね。しかも殺せんせーにすごく好意あるっぽいし」
「……うん」
あ、渚と茅野がこそこそっとそんな会話をしているのが聞こえた。席は遠いけど、耳はいい方だから十分聞こえる。
「でも、これは暗殺のヒントになるかも。いつも独特の顔色を見せている殺せんせーがこんな時はどんな顔か」
その渚の一言になるほど、と思った。
タコ型怪物の殺せんせーが人間の女の人にベタベタくっつかれて、どう感じているのか、そしてどう反応するのか。
さて結果は
(((普通にデレデレじゃねーか!)))
殺せんせーの弱点⑤・おっぱい
渚が書き記している殺せんせー弱点メモに新たな項目が追加されることとなった。
ちなみに僕がいない間に見つけた弱点は、
①カッコつけるとぼろが出る
②テンパるのが意外と早い
③器が小さい
④パンチがヤワい
ということらしい。
思っていたより普通の反応だった。人間もありなんだね。
「ああ、見れば見るほど素敵ですわぁ。その正露丸みたいなつぶらな瞳、曖昧な関節、私、思わず虜になってしまいそう……」
「いやあ、お恥ずかしい」
いや、そこがツボな人なんていないから。……いない、よね?
それに、僕にはあの女に心当たりがある。みんなも「この時期にこのクラスに来る先生」というのは高確率で只者ではない、それくらい気づいてるだろうし。
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時間は経ち、昼休み。
「ヘイ、パス!」
「ヘイ、暗殺!」
今はみんなで殺せんせーを交えて暗殺しながらサッカーをしている。僕はちょっと休憩タイムで離れてその様子を見ていた。
「殺せんせー!」
すると、そこへさっきの女がやってきた。
「烏間先生に聞きましたわ。足がすっごくお速いんですってね!」
「いやぁ、それほどでも」
ああ、殺せんせーの顔がまたデレデレになってる。体全体がピンクになってる……。
「実は私、一度本場ベトナムのコーヒーを飲んでみたくて、私が英語を教えている間に買って来てくださらない?」
「お安い御用です。ベトナムにいい店を知っています」
ドピュンッと先生は一瞬で飛んでいった。っていいのか先生……完全にパシリでしょそれ。
そのタイミングでチャイムが鳴った。
「……で、えっと、イリーナ先生?授業始まりますし、教室に戻ります?」
その場にいた全員が何とも言えない空気になる。磯貝がその新任教師の女に声をかけた。
「授業?ああ、各自適当に自習でもしてなさい」
あ、化けの皮がはがれた。殺せんせーがいないからか、想定してたより早く本性見せやがった。
「それと、気安くファーストネームで呼ばないでくれる?あのタコの前以外で教師を演じるつもりはないし。『イェラビッチお姉様』と呼びなさい」
うわ……しかも暗殺以外やる気0だこれ。言い方もちょっとムカつく。
「んで、どうすんの『ビッチねえさん』」
「略すな!」
カルマの一言に、僕は思わず噴き出した。ヤバイ、ぴったり過ぎて笑える。
「あんた、殺し屋なんでしょ?このクラス全員でかかっても殺せないモンスター、あんた一人で殺れんの?」
ちょっとあおるような口調でカルマがそう問いかける。さすがカルマ。分かってる。
だけど彼女、ビッチねえさんは自信満々のようで。
「ガキが。大人には大人のやり方ってもんがあるのよ」
そういいながらビッチねえさんは渚の元へ歩いていく……ってまさか。
「潮田渚ってあんたよね」
「?は、はい」
渚が答えたとたん、ビッチねえさんはいきなり渚にディープキスをかました。
「んなっ!?」
茅野がすごい驚いてる。カルマは面白そーに見てるけど、中学生に初対面でやるもんじゃないよな。
「後で職員室にきなさい。あんたの集めたあのタコの情報、聞きたいわ」
くたくたと崩れ落ちた渚を放しながら言う。
「その他も!有力な情報持ってる子が居たら話にきなさい!女子には男だって貸してあげるわ!後……」
ゲッこっち向いた。咄嗟に気配を消そうとする。
けどさすがに間に合わなかったか。
「そこで他人の振りしてるやつ!あんた『新月』でしょ!」
やっぱり、ばれた。
「あんたはちょっとこっち手伝「ヤダ」って即答!?なんでよ!?」
「ヤなもんはヤダ。
思わず一人称を俺に戻しちゃったけど、とりあえず軽く睨んでおく。だ~れが嫌いなやつの仕事手伝うかって。
「ぐ……まあ、いいわ。言っとくけどあんたら、私の暗殺を少しでも邪魔したら……殺すわよ」
負け惜しみかなんか知らないけど、ビッチねえさんはそんなことを言い残しながら、あとから来た見知らぬ男3人とその場を去っていった。
このとき、クラス全員が同じことを思った。この先生は嫌いだ!と。