申し訳ないですがちょっと話は前後します。
前回の茶会の話はまた別途。外伝みたいなものなので追々書きます。
目次で見るとなんやこれ状態なんでまた整理します
先にダージリンの街でのやり取りをまとめます。
あらすじ
帝国で紅茶が有名な街に行った
ちょっと怪しくてもっかい行ったらNPCがいた
何かを答えてほしいような様子にもやもやしてたがいいやもう面倒くせぇ紅茶持ってて喋ったろと赴く。解決するといいな(願望
「ドライアド、茶を持ってきたぞ」
「……驚いたね。配下を引き連れて粛清でもするものかと思ってたよ」
「そういう意見が無いわけでもなかったがな。殺すなとは言わんが無意味な殺戮は好まん」
「アンデッドなのにかい?」
「アンデッドだからこそだ」
まぁいいやと言いながらドライアドは普段偽装している老婆の姿から幼い見た目にすっと変わる。
「拍子抜けしたんだけど本当に茶を飲みに来ただけなの?」
「本題は別にあるさ、だが『まずは紅茶だ』だろう?」
違いないと笑う表情は心からのものだろう。
「この街のダージリンは素晴らしいが、お前は今までにどれくらいの種類の紅茶を飲んだことがあるんだ?」
「さぁねぇ、紅茶はよく飲むがそこまで種類とかには拘りが無いよ。……ただそれでもダージリン、ヌワラエリヤ、ディンヴラ、キャンディ、ルフナ、サバラガムワ、アッサム、ニルギリ」
「私以上に知っている事はよくわかる」
アインズも最初紅茶を飲んでいる時産地を聞いた事があるが正直どこがどうとかはあまりイメージが分からなかった。
だが実際に聞いた生産地をリアルの地図に当てはめると見えてくるものがある。インド、スリランカ、中国、ケニア、インドネシア、日本…。
生産地で言えばこのあたりになるが比較的温暖な気候のところに集中している。後は一定の雨が無ければよい茶葉は育たない。
「だがリアルと同等の位にバリエーションが富んでいる。他の嗜好品もこれほどなのか?」
「コーヒーや酒は多少似たようなものがあるそうだ。それでも紅茶に比べれば種類は少ないね」
先人の試行錯誤だねと呟く。
「その先人にお前は含まれるのか?」
「このダージリンの街を含むのならそりゃ入る。あたしが力を注いできたのはこの街くらいだ」
紅茶だけにねと笑う。少し老婆の口調が残っている風で上手いことを言う。
「湯の用意も出来たようだ。今日はどんな茶を持ってきてくれたんだい?」
出来れば飲んだことがないものがいいねと期待した様子を見せる。
「さて緊張してしまうな?だが楽しみにしてくれていい」
紅茶の準備をしつつ、ドライアドに茶葉を見せる。
「ふむ……、大きさはBOPといったところ。ただゴールデンチップが多いね。」
「さすがに詳しいな。その通りだ、柔らかい新芽が十分に使われ非常に高いクオリティを示している」
※BOP
スリランカ産で多い茶葉の
勘違いされがちだがあくまで大きさのみを示すもの。味などに対するものではない。
※ゴールデンチップ
ゴールデンディップ、ファインチップ等呼び名は多いが、発酵した茶葉のエキスが染み出し、色がついたもの。黒の中に明るい色が入るので非常に目立つ。新芽が使われたものによく見受けられる。
「ところで本当に茶の話ばかりしていいのか?正直もっと色々と聞かれると思ったけど」
「聞きたくないという訳ではない、だが私はお前と茶飲み友達と考えている。最低限は弁えるべきだ」
弁えるとは何とも便利な言葉だ。抽象的なところが使いやすい。
「なるほど、それなら友人が持ってきたお茶を素直に楽しむとしよう」
そうしてくれとアインズが朗らかな様子で頷く。
「ところで、ドライアド普段はお前はここで何をしているんだ?」
「唐突な質問だね、まぁいーけど。いきさつから話すと昔の村長にちょっと世話になってね。面倒みてる」
「うん?お前が村長ではなかったのか」
「村長だよ、正確に言えば代理がつくけど」
少し意外に思う。代理という点ではなく正体を知っている存在がいるという事に。
この世界では個の力は時に何千、何万の兵を優に上回る。普通の人間レベルまでであればしかるべき地位まで登り詰めるだろう。
だが目の前のドライアドのように少なくとも第六位階以上の魔術を行使できるとなるとこの世界ではイレギュラーだ。
そういった人物はむやみやたらに目立たないように隠遁するイメージがあるものだが。
「隠遁する賢者のような過ごし方はしなかったのだな」
「一度試してみたけど無理無理、あたしはお喋りだし」
そっちが理由かよと思わずつっこみたくなる。
だがまぁ確かにアインズとしても自分ひとりでこの世界に転移したとするとどう動くだろうか。
転移した場所にもよるが、アンデッドは基本的には人に受け入れられない。
であれば冒険者の時と同じように剣士を偽装し行動するだろう。
冒険者組合に所属するだろうか?何ものにも囚われないとまでは言いすぎだが国家の枠組みに縛られにくいのは魅力的だ。
国家ではどうだろう?王国は論外として、法国は……黒よりのグレーだな。プレイヤーの臭いが強すぎる。どうにも自分が駒の一つとして使われる気がしてならない。
とすると帝国か、フールダーもいるし魔術の情報さえ与えれば表立って動くのはフールダーで自分は裏から動くという事もある程度可能だろう。あの魔術狂いならば。
思わずぞくっと背筋が凍るような違和感を感じ体を震えさせる。……また会いに行くのがちょっとなぁ。
「まぁ、そんなわけで事情を知るのが幾人かは必要だったんだよ。なるべく力のある立場のね」
「その村長一族は他に何人いるんだ?」
「1人だね」
「1人?」
何とも奇妙な話だ。まるでたまたま生き残ったような……まさか。
「おや、察しがよさそうだね?骨の見た目でも何となく分かったような雰囲気を感じるよ」
時々NPCらはこんな見た目でも鋭敏に自分の表情を察してくる時がある。いや自分が分かりやすいだけだろうか。
「鮮血帝の貴族粛清か?」
「お察しの通り、皇帝が即位した時のごたごたでね」
何かと貴族粛清が話題に上がる気がする。皇族、王族がらみでもめ事等いくらでもあるだろうがまさか村にまで影響があるとは思わなかった。
「あまりこの規模の村が貴族と深い関りがあるとは思えないな」
「まぁ……そうだね。このダージリンの街は紅茶産業は活発だが逆に言えばそれだけ。まっとうに商売してるだけならちょっと裕福な村、街程度にすぎないよ」
貴族が手を出すような魅力的な品があっただろうか?いや確かに紅茶、茶は珍しいものだがそれはあくまで輸入国側からしたらだ。
過去のリアルでもイギリスは紅茶の輸入大国だった。中国をはじめスリランカ、インド等から多くを輸入している。植民地であるインドを持つ前は輸入するしか手が無い、だからこそ神秘性は高まっていた。
む……輸入?いや帝国からすれば輸出か。そのあたりが非常に引っかかる。
紅茶を知った時、そんな文献を大図書館で少し目にした覚えがある。
あれは何だったか……。そう
「麻薬……」
「!」
先ほどまで饒舌に喋っていたドライアドは警戒するような目を向け様子をうかがってきている。
「知っていたのか?昔の事なのに」
「え……?いや聞きかじっただけだが」
こちらの言葉を無視し、じっとぶつぶつと呟く様子はどうにも怖い。そう勘違いされてそうで。
「まぁいいや、お察しの通りあたしの知らないところで紅茶と一緒に麻薬が栽培されていたんだよ」
「戦闘ならそこらのやつに負けるつもりはないけどあたしは情報のやり取りはあんまりうまくない。だから貴族の甘い言葉に乗せられた前村長たちのバカな企てに気づけなかった」
「貴族に逆らう事が難しかったかもしれないが早々に手を引くべきだったな。ジルクニフの手腕を見ると見過ごすとはとても思えん」
「全くね、あたしが見てきた中でもヤツは相当に優秀な皇帝だ。それだけに動くのも早かった」
あのせいでこっちは色々と動く羽目になったとドライアドが草臥れた顔をする。
「ともあれそんな訳でたまたまうちに来ていた村長の息子以外は粛清にあいましたとさ」
「よく助かったな。一族全てを処刑になってもおかしくないだろうに」
「……情が沸いちゃってさー。それなりに懐いてたし」
「分からないでもない」
そういえばカルネ村の時もふとした思い付きとセバスを見て思い出したささいな切欠だと考える。
「まぁそっからはちょちょいと魔法でいじりながらね」
「器用なものだ。さすがに皇帝にまでは行っていないだろうがそれなりの地位の者を誑かしたのだろう?」
「誑かすとは失礼な、ちょぉ~っと不思議な粉をちらりちらりとしただけだよ~」
以前から思っていた事だがこのドライアドは
さすがにプレイヤーという可能性は無い……はずだがどうにもNPCにしては手が込みすぎてる気がする。ナザリックにいるNPCに比べて、
セバスのような義憤でも、デミウルゴスのような悪意でもない。そうだ、創造主のイメージがつかないのだ。
今まで見てきたNPCは多くは創造主の影響を少なからず受けている。
守護者でいえばセバス、デミウルゴス、コキュートス、アウラあたりは顕著だ。それに比べるとどうにも創造主の影響が弱い。あれほど創造主の遺言に従い、悩みながら生きてきたこのドライアドが?
全くもっておかしな話だ、ナザリックのNPCに比べれば設定も少ないかもしれない。だがどうにも
「……成程、そういった訳で幼いまでとは言わないが経験少ない青年にはまだ荷が重いと」
「そーそー、まぁ名誉村長?みたいなもんだね。よくあるじゃんそーゆーの」
「よく知ってるな……。ともあれよくわかった、またそんな事になってしまっては村ぐるみと疑われかねん」
「よくわかってるじゃん、あたしもこの村はそれなりに愛着があるんだ。むやみやたらに潰したくないよ」
せっかく茶の栽培に向いた環境にしたのにねーと話す。そうだその事も気になっていた。
「そういえば栽培地域での標高で味わいが変わる事は知っているが他にどんな事が大事なんだ?」
「あたしも何となくしか知らないよ?こうしたら前よりよくなったなー位だし」
おいおいと思うがある意味自分が使う位階魔法のようなものかもしれない。そういうものとしか説明しようがない事もある。
「一番好きだった紅茶がそーゆー味わいって事もあったんだけどね。寒暖差が結構はっきりしてて、日差しが結構強いほうがいいものが出来ることが多いよ。シーズンごとに変化も出てくるし」
なるほど、いつか自分の茶園を持つ事になった際には参考にしよう。
余談だがダージリンにも色々と種類はある。
ファーストフラッシュ 春摘
最初の頃に取れる。瑞々しいを通り越し青さを感じさせる。
セカンドフラッシュ 夏摘
最もスタンダードなダージリン。よいクオリティが多いのもこのシーズン。
味、香り、水色とバランスがもっともよい。
オータムナル 秋摘
香味は弱い。だがダージリンの中でも熟成された味わいは濃厚なドライフルーツを思わせる。
ダージリンと一口にいっても時期によって様々な顔を見せる。
もちろん独特の香りが特徴ではあるが、強弱をつけるだけでも印象は変わってくる。
以前、紅茶をすすめられた際ひどく強い香りのアールグレイを飲んだ時があった。それから少しアールグレイに苦手意識を持ったが、その話をとある人にしたらあえて人工的に着香を弱くしたアールグレイを紹介され繊細な味わいに驚いたものだ。
「おもしろい話を聞けた。ではそろそろ持ってきた茶葉を楽しんでもらうとしよう」
「へえ、あんた自ら淹れてくれるのか」
「当然だ、ここでさあよろしくなんて言ったら興醒めだ。プレゼンを人任せにするヤツなんていないだろう?」
軽口を叩きながら準備するアインズに緊張の色は無い。
今まで何百回、下手したら千回以上飲んできたのだ。それなりに詳しくなってきている自負はある。自分の性格としても好きになったもの、奥深さを感じたものにはなかなかのめりこむ。
飲むだけでは次第に満足できなくなるというもの。こっそりと淹れる練習を行い、時にはセットしたお茶を何も知らないNPCを呼び何気なく感想を聞くこともある。
よどみなく手が動く。準備に手いっぱいになるのではまだまだサービスとしては二流以下。せめてその準備の時間も有効利用するべきだろう。
「釈迦に説法である事は承知の上だが……ダージリンの魅力とは何だと思う?」
「突然な。ん~いくつもあるけどやっぱり最初にあげるなら香りかな」
「ほう、香りか。味わいや水色も美しいと思うが?」
「そりゃね、でもさぁ凄くない?この香りをかいだら『あ、これダージリンだ』ってなるんだよ?そういう飲み物じゃない、紅茶っていう枠組みの中でそれほど個性を出せるなんてダージリンをおいてほかにないよ」
確かに少し紅茶を飲み始めればすぐに特徴だって覚えるのはダージリンとアールグレイあたりだろう。アールグレイはフレーバーティのためその香りがするのは至極当然。だがダージリンのフレーバーは着香されたものではない、それほどの個性を作り出せたのは奇跡としか言いようがない。
「あんたに以前ミルクティーについても学ばせてもらったけどね、ダージリンに限ってはストレートで味わうのがやっぱり一番さ」
「なかなか意見は覆らないものだな」
思わず苦笑する。初対面の時には柄にもなくオイコラ俺が最近好きな紅茶よくも煽ってくれたなォオン?となってしまった。きっと今ならば広い心をもって対処することも可能だろう。
「当たり前だよ、確かにあんたには学ばせてもらった。だけど個としてダージリンが完成している事は間違いねーよ」
あ、ダメだこいつ何もわかってない。
「はあ……少しは学習したと思ったがやはりまだまだ教育が足りないようだ。頭が痛いな」
アインズは心から失望したとジェスチャーをする。
思わずカチンときたドライアドもその安い挑発に乗ってくる。
「知らねー、好きに好きなもんを飲ませろよ」
「ご尤も。私だってそう思う。だがなぁ私のかつての友人達がこう言っていたんだよ」
|攻略サイトの情報を自信満々に語るヤツは相容れない《得意げになってる生意気なロリにはわからせが必要だ》
最後の言葉は誰と誰が言いそうでしょうねぇ……1人は簡単でしょうけど。
投稿が遅くなり申し訳ありません。
その間にVivyっていうアニメにたいそうはまっていました。
そっちの話もちょっと書いています。まだ少しですが。
もちろん紅茶の話ですといいたいところですが、そっちはコーヒーよりにしていこうかと思っています。
オバロの方に比べなるべくシンプルにしてテンポよく進めたいため1話ごとの文字数は少な目にしています。よければご覧ください。