最新刊が月末にってのは皆さんご存じでしょうが下巻も7月に発売です。でも15巻みたいに特典ありになるならちょっと予約は様子見したほうがいいんでしょうかね。
オーバーロード10周年で作者の丸山くがね先生がコメントされていました。いやもう涎が出そうなコメントですね、あの設定で小説誰か書いて。
世界級アイテム
その力は絶大だ。ユグドラシルでは世界と冠するものは非常に強力な傾向がある。
世界級アイテムは当然として、戦士系最強とも名高いワールドチャンピオン。魔法系最強のワールドディザスター。
メンバーにはいなかったがワールドガーディアンという職業もあるようだ。
世界級アイテムの中でも特に強力で異常さえともいえるものが二十。
世界級アイテムは200種あるとされている――どこまで本当かは分からない――が通称二十と呼ばれるものは使い切り、1回きりのアイテム。凶悪すぎる効果を持ち、一部は
運営にお願い系のアイテムもある。極端な話、ちょぉっとこここんな感じにアップデートとかどうですかねぇ?っていう事も可能である、要望だけなら。
有名なものは
いちプレイヤーの行動がゲームの世界観に影響を与える等正気の沙汰ではない。
二十の一つに
1週目をクリアしたプレイヤーがアイテムや装備を引き継ぎ悠々と2週目を楽しむ。そういった楽しみ方が昔流行ったらしい。だがユグドラシルはMMOでありいつでも1週目である。
ではどういう形で2週目を楽しむのか。
『
ステータス配分があるゲームにはよくあるシステムだ。
ユグドラシルでも限定的に実装されていた。ただあくまでそれは死亡した際のペナルティを活かし職業クラスを取り直すという程度であった。
サブアカウントが作成出来ないユグドラシルでは自分が納得するキャラクターのために作り直す者もいた。
家庭用ゲームなどなら――実用性はともかくとして――上位職やレア職で固める事も出来ただろう。
なんとユグドラシルでも上位職やレア職で固める事が出来たらしい。
死亡した際に
上の上、その中でも極めて限られたプレイヤーはその僅かな差を作るために鎬を削っているという。
そんな使用を躊躇うような世界級アイテムであったため、手に入れる事が出来ても使いどころが難しいがっかりアイテムという人が多かった。
アインズ自身は持っていなかったがロールプレイでとった職業、種族は必要であると割り切っているためあまり興味を惹かれなかった――無論手に入るならば――。
長々と説明をしたが一言で言えば極めて限定的な使い方しか出来ないが勝ち続けている間はその恩恵を受けられるピーキーなアイテムと認識してもらえればいい。ただ……二十にしては少ししょぼくないかという話題はよく出たが……修正される事は終ぞ無かった。
「ドライアド、その世界級アイテムへの認識は合っていたかな?」
「……怖いね。噂では聞いた――万を滅ぼす死の王――災獣の使役者――だが本当の恐ろしさはそれほどの力を持っていても油断せず一手一手詰めてくる用心深さだよ」
「お褒めの言葉ありがとう、ぷれいやーを知ってる貴様なら分かるだろうが我々が持つスキルは所詮スキルだ。100レベルの魔法詠唱者であれば私と同様に強力なスキルを持つだろう。優位とはとても言えん」
「我々だけが使えるスキル、アイテム、魔法……いくらでも可能性がある、放置こそ愚策」
「あまり信用されていなくて残念だが私は友好的な態度を見せる者へは慈悲深い対応を心掛けている。八欲王の再来など望んではいないだろう?」
「あたしは混沌とした世界など見たかない」
その言葉には実感が籠っていた。無気力に生きる日々の中で僅かな陽だまりを侵す何かがあったのだろう。
「話を戻そうか、世界級アイテム
「
この
アインズも当初は興味を持ったがナザリックのNPCは繊細なバランスで構成されており、万が一半永久的なレベルダウンなどがあれば数字以上のデメリットになる、そのため手に入れても使う事は無いと考え他の世界級アイテムに比べ優先順位は下だった。
ドライアドからすとんと抜け落ちたような表情に変わる。
「あぁ」
「もう嫌だ。」
「本当に嫌だよ。頭がおかしくなる。何で」
「私は主人と茶を飲んでゆっくりと暮らせていればそれでよかったんだ」
「主人は神じゃない。いつか終わりが来る。そうだよ。でもさ、これはあんまりだ」
「
---------------------
「何度も……だと?」
ようやく見せた内心に動揺を隠せなかった。
恐らくドライアドは主人に
だが死んだ相手に効果は発揮されない。対象はドライアドとなり、NPCとぷれいやーでもあり、そうでもない存在に生まれ変わったのではないか。
予想は当たっていた。だが今の現状へ行きつく理由が分からない、このドライアドはどこか投げやりだ。
神でもあり従属神でもある。神でもないが従属神でもない、いわば
(落ち着け、途中までの過程は間違いない。であればどう歪んだかだ。)
アインズはナザリックのシモベ――階層守護者達――を思い出す。
彼らは自分と共にこの世界に来たが、もし自分が滅んだらどのような行動を起こすだろうか?報復する――間違いなく――。ナザリックを守り続ける――一部の者たちは続けるだろう――。自害する――悲しいがそういった者も出てくるだろう――。
自害、自害か。
ドライアドの主人への忠誠心は高い、ナザリックのシモベ達に勝るとも劣らないほどだ。であればこそ忠誠心が故に耐えがたい命令も存在する、矛盾によるエラーが発生していると考えるべきだ。
行わなければならないが避けたい命令、危険な場面になりアインズを犠牲に逃げろと言われるような?それをもっと過激にする。……あぁ。
自分を殺せと命令された時か。
「ドライアド、お前は主人を殺したのか?」
ぴたりとドライアドの慟哭が止まる。
「お前は賢い、帝国という人間主体の国にいながらとんと噂を聞かない、しかし決してこの地に影響が起きぬよう暗躍もしていた。ジルクニフによる血の粛清にも関わっていたと」
目がさらに深く、暗く、沈み口を開ける。
「あぁ、そうだ。そうだ」
「あたしは主人からこの村を守れと言われた!大事な思い出だからと、ささやかな茶園を守ってくれと」
「もちろん守った。村だけじゃない、村にいる人間たちも主人は好ましく思っていた、その子孫たちを蔑ろにはできない。魔物や盗賊、貴族だって来たことがある。でも守ってきた、使命なんだ!当然だ!」
でもとドライアドは手で顔を覆う。
「主人が裏切った時どうすればいいんだ……。村を守れと言った、守ってくれてありがとうと言ってくれた。村を襲ってきた。あんなにも嫌がっていた事をいっぱいしてきた。どの使命が、言葉が望んでいる事なの……」
「だから私は主人のために主人
「まさか……」
アインズの声が震える。ひどく感傷的な思いとそれならばありうるという冷静なアンデッドらしい考えが重なる。
「世界級アイテム――
かちゃりとドライアドがカップを持ち上げる音が響く。
ポットに入っている紅茶は魔法でまだまだ温かいがカップの茶は冷め始めている。
「私は初めて紅茶を飲んだ時、最初なんて考えたと思う?……苦いなぁってね」
「ミルクティーにしてようやく飲めた。そしたら主人がこんな風な飲み方もあるよって教えてくれたり、軽めで飲みやすい種類も教えてくれた。みぃんな主人が教えてくれた」
「あんなに主人が紅茶を好きだった理由は分からない、でもあれほど楽しそうに、嬉しそうに話す主人を見ると私はそれだけで胸がいっぱいになった。ずっとこの時間が続いてほしいとも思った」
ドライアドが掲げたカップの淵は薄く銀細工がされ、素人目にも丁寧で腕がよいものだと感じさせてくれる。
「……少しその主人の気持ちは分かる。私はまだまだ知らない事ばかりだが、以前と同じ茶を飲んだはずなのにまったく違う顔を見せる時がある。それは驚きと喜びを一緒に与えてくれる」
「そうさ、以前に飲んだ茶だって渋みが全く感じないだろう?主人がそういう製法を考え作り出したんだ」
「……お前が語ってくれた主人の寿命は嘘だったのか?」
「ふざけるな、本当だよ。うまく、うまくやってきたんだ……主がいなくなって何年経ったか分からない。それでも使命はずぅっと覚えていた、村が街に国にも引けを取らない時は少しだけ充実感だってあった」
「アイテムの効果も最初は茫然としたさ、どうしたらいいんだって……でも主人の面影を残す存在が1人じゃなく街全体に広がっているのを感じた時は……嬉しかった。1人じゃないって思わせてくれた」
「……」
「でもねぇ、主の面影があっても……愚かな存在ってのはいちまうんだ」
ドライアドが台所から差し湯*1を持ってくる。
「濃くなりすぎちまったね……こんな風に少しだけ主の存在が濃いやつがたまに出てくるんだ。もっと極まると神人って言われるんだろうね」
ドライアドがカップに入った紅茶へゆっくりとお湯を注ぐ。えんじ色のようにほの暗さもった色が光を取り込んだかのように薄っすらと輝く。
「紅茶であればそのように均等に調整すればいい。……しかし人間である以上そんな調整は不可能だ」
いわばボロボロのフレームに素晴らしいエンジンを積まれた自動車、実にちぐはぐでバランスが悪い。
「その濃いやつは武力も知恵も悪くなかったが一つ抜きんでていた――悪意さ」
「……実に人間らしい。アンデッドとしては生者同士もう少し協力すればと考えるのだがね」
「協力もするさ、ただ人間は欲が深すぎる」
以前の世界でも欲深い面は見る事があったがこの世界ではまさに命の価値が違う。近年、なまじ人間の生存圏が広いせいで人間同士で争う事が格段に増えてしまっている。それも内戦のような形では国力は下がるばかりだ。
「王国でもいくらか見た、先を見ない者ほど腐敗するばかりだな。いや、周りが見えてないという方が正しいか?」
「やつらが見えるのは利益だけさ、分かりやすいってのがつくけどね」
「ふむ、短期的には問題ないがその場しのぎにしかならないな。そういった意味ではジルクニフは上手くやっていると聞く」
「あたしは色んな王を見てるけどあれは歴代一、間違いなく」
「それほどか、お前から見てどの点が一番光っている?」
「まぁ……さっきの話と関係してくるね。先見の明さ、具体的に言えば情報の大事さをよくわかっている」
「……」
「鮮血帝って名前の由来は?」
「身内を排し、いくつもの貴族を取り潰したからとは聞いている。果断と言えるな」
「そう、あれをやったからこそ帝国は大きく、強くなった。……あのままじゃ遠からず今の王国になってしまっていたからね」
身近で王国を見てきたアインズにはその言葉がよく分かる。王国は地理的にも脅威が少なく恵まれている。トプの大森林は魔物が多いが、得られるものも多い。
しかし、身内で争う事ばかりに傾倒し危機感を忘れてしまった。王国が未来の姿だと皇帝は気づいたのだろう。
「王国の歴史を紐解き今の統治では問題が発生すると考えたか」
「あぁ、結局貴族が力をつけすぎた事が問題さ。帝国は比較的歴史が浅い、故にまだ間に合った」
「……分からないな、何故それが主の殺害に繋がる?」
ドライアドが少しうんざりとした表情を見せる。
アインズからしてみれば貴族粛清がこの街に及ぼす影響はあまり大きくないと感じる。確かに貴族相手に茶葉を納める事はままあるだろうが、取引相手であることが問題とも思えない。
……待て、考えが少し早計じゃないか?取り扱うものとは
アインズはティーテイスターたるアストリア*2でもなければ四獣天朱雀のように歴史に造詣が深くない。それでもここで手繰り寄せたのは間違いなく彼が茶というものに真摯に向かい合った証拠だった。
自分が持ってきた茶葉をじっと見る、アッサムとダージリンのブレンド……。……そう、
そこに気づいてからは一気に頭の中でピースが繋がっていく。後はどう喋るかだ。
「ドライアド、お前は出会った当初やけにシングルオリジン*3に拘っていたな」
「……あぁ」
「茶葉
「なぁんだ、分かってるじゃないか」
そういうドライアドの声は朗らかだが滲み出る狂気は隠せない。
「茶ってのはね……正しく飲めば良薬だ。しかも美味い、はじめは帝国の端で採れた珍しいものってことで珍重された」
「貴族に広まり社交にも使われるようになった。そこから商人に、中流階級にも少しづつ広まっていった」
「エキゾチックな神秘ある品であるうちは問題なかった。でも需要に対して供給がまるで追いついていかない、さぁどうするか?簡単だ、増やせばいい。
「茶葉にそれっぽい葉っぱを加えるのならまだまし、だんだんとろくでもない嵩増しばかりされるようになった。そうなると当然品質は落ちる。それでもいいってヤツはごまんといた。そうした中であるものを混ぜようとしたものがいた」
「麻薬だよ、黒粉――ライラの粉末――ともいうね」
聞き覚えがあるその名は王国で蔓延していた麻薬。八本指を手中に収めているため麻薬業は控えめにさせているがゲヘナ前では黙認同然だったらしい。……まるでアヘンだな。
「確かにあの麻薬は水に溶ける。加工して茶葉に加えれば……悍ましい事を考えるものだ」
「全くだ、あたしも最初は耳を疑った。その次にこんなことをした貴族はただじゃおかないとすぐに調べた……そうして見つけちまったのさ」
疲れたようなため息を吐く、他にどうすればよかったのだろうと伝わるような表情だ。
「計画の首謀者はダージリンの街の長」
「悪意極まるそいつは腐ってもこの街の長。品質が高い事で有名なこの街のね、ほうぼうに出回ったさ」
「愚かだな。そのような混ぜ物すぐにわかるだろうに」
現実世界のように機械的なチェックが発展していなければ気づくことは難しい。だがこの世界にはマジックアイテムや魔法がある。それなりの地位にいるものならば事前に防ぐ事は容易だ。
「新商品だとかの触れ込みで取り出して飲ませたようだよ、これもライラの粉末の嫌な特性と噛み合っちまったが安価で多幸感、おまけに依存性が高いってね。人知れず薬物中毒者の出来上がりだ」
「いくつかの家がおかしいと思い始めた頃、粛清が始まった。……皇帝にはちょうどいい理由にもなったんだろうねぇ貴族たる責務を果たさず、薬に溺れる」
「……その長はどうなった?」
「殺した、あたしがね。さっきも言ったけど強さはてんでたいしたことがない」
「存在が薄く残る程度とはいえ主人を殺せるのか」
訝し気に、NPCが主人をそうもたやすく裏切れるのかと。
「あたしだって殺したいはずがない!!!……でも、そうしないと周りの主人が……死にそうだった」
あぁと合点がいく、そうか一人ではないのだ。ナザリックのNPCとは事情が違う。
ナザリックのNPC達からすればアインズは替えが利かない、横に並ぶ存在がいないものだ。だがドライアドにはその長だけでなく何人も主人の面影を残す存在がいたのだろう。
「今までだって諍いはあった、でも追放や罰によって何とかなった。あたしに出来たのはそれが限界だった」
それも断腸の思いだったはずだ、NPCが主人を裁くなどとてもできないだろうと思う。
「なぁ、王よあたしは……何を間違えたんだ?」
オリジナル要素
世界級アイテム 輪廻転生
テイルズウィーバーってMMOやってたんですがそこで再振りがえらい重要でしたね。そこから思いついたネタです。
このアイテムは多分1回だとそんなに強くありません、でも組み合わせでどんどん凶悪になってくイメージです。例えばヴィクティムのような足止め系のスキルを最後に覚えさせるとかね。そんな動く爆弾みたいなキャラが前線に出張ってたらさぞや恐ろしいでしょう。世界級アイテム使うんですし多少の取得制限は免除されるかなぁと勝手に思ってます。