ナザリックの喫茶店   作:アテュ

5 / 30
お久しぶりです、なかなか久々になってしまいました。アイディアがたまってきたのでまたボチボチと更新させて頂きます



4thCup 「????」

「どこやったかなぁ……あれ何年前のイベントだったかな」

 

 そう言いながらアインズは自室のアイテム保管庫を改めて見回す、以前ユグドラシルで配布されたとあるアイテムを探しに自室でかれこれ1時間程度探している。他の人ならばもう少しあるかないかすぐに分かったであろうがご存知の通り貧乏性であるため間違いなくとってあるはずなのだが、整理整頓が上手くないためこのとおり時間がかかってしまっている。

 

「あぁ……これ懐かしいなぁ、このイベントの時作れた装備結構気に入ってるんだよなぁ。今度装備していこうかな」

 

 片づけ中にマンガを読むよくある現象がさっきから発生してしまっている。長いユグドラシル暦の中で様々なアイテムを手に入れた、全く使い道のないようなアイテムから今でも有用なアイテムまで幅広い。ただイベント品というものはえてして個性が出やすいものが多い。特にあのユグドラシルの運営、「運営相変わらず狂ってんな」と思わせるばかりだ。

 

「やっぱり記憶に残ってるのはやっぱり嫉妬マスクだけどなぁ……何かでっかい栗とか柿になるような変身マント無かったけか?あれのイベントマップでろくでもないPVP流行ったな……」

 

 思い出に浸りながらアイテムを探し続けていると宝箱の奥底に眠る指輪を見つけた。

 

「お、あったあった。むちゃくちゃ奥にあったなぁ……まぁ確かに相当前のイベントだった気はするしな」

 

 アインズが探していた装備は……「指輪」だった。もちろんただの指輪ではない、とあるスキル付加のついた指輪だ。

 

「どれ……」そう言いながらアインズが既に装備している指輪を一つ外し代わりに今手に入れた指輪をはめ直す、すると一時的にスキルを新たに身につけた感覚を得る。

 

「早速試してみるか」

 

 骸骨の顔ではあるがうきうきしたような雰囲気を醸し出しながらアインズが自室から出て行った。

 

 アインズが向かった先は、9階……ロイヤルスイートに設置されたラウンジだった。最もいい場所はやはり食堂だったが、あの場所は少々人が多すぎる。NPCとの距離感が分かった後では騒ぎになりかねない、何より自分が行う事が失敗した時に人目に触れるのは最小限にしておきたいと人間らしい小心者な心があった。

 

 そう考えながらラウンジに向かうと、一般メイドのシクススがラウンジに待機していた。

 

「アインズ様、おはようございます」

 

「うむ、おはよう。少々ラウンジを使わせてもらうぞ」

 

「はい、何なりと御使い下さいませ。ご注文はいかがされますか?」

 

「……あぁ、すまん。そういった意味ではないのだ」

 

「は、はい……?」

 

 尽くすべき至高の存在へ無礼な対応をしてしまったのではないかとシクススが不安な表情を浮かべる。とはいえ無理もない、シモベからすれば予想だにできない事を今からアインズは提案するのだ。

 

「私がラウンジの設備を使わせてもらいたい、私自身で試したいことがあってな」

 

「アインズ様がですか……?いえ、失礼致しました。すぐにご用意致します、お使いになる設備はどちらでしょう?」

 

「いや、そこまではしなくともよい。何かあったら聞かせてもらおう、傍で控えていてくれ」

 

「畏まりました、アインズ様」

 

 シクススはそう言いながら、一歩下がった。しかし忠誠心があふれ出ているようにも見え、表現が悪いが散歩を心待ちにしている犬のようにも感じられた。大切な友人が作ったNPCを犬など……とアインズが自己嫌悪しながら(沈静化)、ラウンジのキッチンエリアに近づく。

 

「さて、必要なものはここにもあるはずだが……」そう言いながらアインズが必要な器具を取り出していく。ガラスのティーポット、ケトル、ティーカップ、ティーキャディ、そして……紅茶の茶葉。そう、今からアインズ自ら紅茶を淹れるつもりなのだ。

 

 ケトルに水を入れ火にかける、その後ティーポットへ水を入れ電子レンジで2分温める。温めている間に用意した茶葉からどれを使うか少しばかり悩む、朝方にはやはりミルクティだなとミルクティ向けの茶葉「ブレックファスト」を選ぶ。

 

 余談になるが2016年現在では数多くの紅茶メーカーが紅茶を販売している。リプトン、トワイニング、ディルマ、マリアージュフレール、フォートナムメイソン、フォション、ハロッズなどは特に有名だろう。それら紅茶メーカーが出す紅茶は非常に多種多様であり、個性的なものから伝統的なもの様々なものがある。ただほとんどのメーカーでもとある理由から使われる名称の紅茶がある、それが「ブレックファスト」「アフタヌーン」だ。もちろんダージリン、アッサムといった紅茶もほとんどの紅茶メーカーから販売されているだろう、しかしこれらの紅茶はいわば生産地方から取られているため当然でもある。コーヒーで言えばタンザニアのコーヒー豆の数多くがキリマンジャロと、インドネシアのスマトラ島のとある地域で取れた豆をマンデリンとして販売するのと全く同じ意味になる。

 

 話が少し逸れてしまったが、「ブレックファスト」と「アフタヌーン」は一つのコンセプトで作られた紅茶である事が多い。それは「朝の紅茶(ミルクティ向き)」と「夕方の紅茶(ストレート向き)」といったものだ。名前そのまんまではあるが、ではなぜそういった名称が使われるようになったのだろうか?

 

 かの紅茶の国イギリスでは朝食と一緒に飲むミルクティーをブレックファストティーと言う。そこから派生しブレックファスト=ミルクティ向けのブレンドという認識が広まった。アフタヌーンはよりイメージがしやすい、英国紳士淑女が優雅にお茶会するイメージをしてみてほしい。そういった場面で飲んでいる紅茶こそアフタヌーンティと言えるだろう。こちらでは「ブレックファスト」ほど揃った意味ではないが主にはストレート向きにブレンドされた紅茶が多い。あくまで予想になるが昼後、夕食前に飲むアフタヌーンティでも菓子等と一緒に飲まれる事が多い。それらはクッキー、サンドイッチ、スコーンといった物が好まれていたが、以前ご案内した事かもしれないが

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 これは間違いないと作者も感じている。例えばビター、ナッツなどの重いチョコレートとアッサムを使ったミルクティ。和菓子のようなさっぱりとした軽めの菓子とヌワラエリアの青々しい爽やかさの組み合わせ、これらは互いを活かす組み合わせになる。片方が強いものになってしまうと片方の味わいを消してしまいマリアージュ(組み合わせ)を楽しめない。それは非常にもったいない、ぜひ一度試してみて欲しい。作者おすすめとしてビターなガトーショコラとコク深いアッサムのミルクティだ、さらに言うと一口目ではストレートを飲んで頂けるとより楽しめるだろう。

 

 話がまた非常に脱線したが、要はアフタヌーンという紅茶は「軽食であるサンドイッチなどに対してミルクティは強すぎる。同じく軽めの紅茶が組み合わせとしては望ましい」といったニュアンスでストレートの軽めのコンセプトにした紅茶にされる事が多い。

 

「あっ」

 

そこまで考えていたところでふとアインズが声を上げる。

「アインズ様、如何致しましたか?何かご入用でしょうか」

 

「そうだな……合わせてビター仕上げになったガトーショコラを用意してもらってもよいか?昨日副料理長話しておいたので言えばすぐに貰えるだろう。茶は私が用意するので不要だ」(いかん、副料理長に頼んでおいた菓子をすっかり忘れていた……ま、まぁまだセーフだよな!)

 

「アインズ様自ら……!か、畏まりました。すぐにご用意致します」

 

シクススが恭しくお辞儀をしてアインズから離れる、決して走るなど粗相はしないが少し気が急いているのか動きが早く見える。それも仕方が無い、以前から始まっているアインズ様当番は41人の一般メイドによる交代性だ。すなわち1回担当したらそれは41日後になる(40人+休日)。至高の存在へ尽くすべく作られた存在が突然沸いて出てきた奉仕の機会に喜ぶのも仕方の無いことだろう。

 

「さぁて……シクススが準備している間に、やってみるとするか」

そういってアインズは紅茶を淹れる準備に戻るのだった。




閲覧ありがとうございました。少々短いですが前半はここまでで

後半も近いうちに投稿させて頂きます。

途中のブレックファストとかアフタヌーンのところで1500字くらいあるんですがあそこは本当にノンストップで書けました、オバロ二次創作どこいったという突っ込みは無しでお願いします(苦笑

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。