SALO(ソードアート・ルナティックオンライン)   作:ふぁもにか

4 / 15
 ふと今までの話を見返してみて思ったのですが……あれ? これSAOだよね? ソードスキル全く使ってなくね? これってまずくないか、と。その結果できた展開が以下の通りです。
 P.S.タイトルで大体わかると思いますけど……次回はボス戦だと言ったな? あれ嘘です。ごめんなさい。


VS.コボルドセンチネル

「聞いてくれ皆」

 アインクラッド第一層ボスが待ち構えるフロアの手前。現実世界ではかなりレアであろう蒼髪をなびかせる青年――ディアベル――はボス戦を前に緊張の色を見せる一同に向けて語りかける。剣を前方に突き刺し真摯な目で悠然とたたずむ姿はまさしく騎士だ。騎士団長と言ってもいいかもしれない。

 

「俺達はこれからボスと対戦することになる。……俺達はなにがなんでもここで勝利しなければならない。ただの勝利じゃダメだ。誰一人の犠牲だってあってはならない。始まりの街で待ってる人達に希望を持ってもらうためには圧倒的な勝利が必要だ。犠牲が出たら俺達は負けたようなものだ。HPゲージが危なくなったらすぐに戦線離脱。回復したらただちに復帰。あくまで自分の命を最優先にしてほしい」

 ディアベルは一人一人の目を見据えて雄弁に語る。沈黙は金、雄弁は銀などと一般には言われているがこの場合は雄弁こそが金だろう。こういう所が皆のリーダーたる所以なんだろうなとキリトは改めてディアベルを評価する。尤も、顔を隠す隣のアスベルの目までちゃんと見据えられたかどうかは微妙だが。

 

 ちなみにこのアスベルへの疑問についてキリトは気にしないことにした。元ネカマプレイヤーだろうが女性プレイヤーだろうがここまでソロで生き抜いてきたであろうことは紛れもない事実。根拠は集団戦闘の基本たる『スイッチ』の存在すら知らなかったこと。それさえ分かれば十分だった。単にアスベルの地雷原に踏み入ることが怖くてできなかったとも言える。

 話は元に戻すがディアベルの主張は尤もである。誰一人死なずに完全勝利。これがもたらす影響は大きい。現在、約二万人もの人々が未だ始まりの街で救援を待ち続けている。凶悪なモンスターに怯え、来ないと本当は分かっている外部からの救済をそれでも希望だと縋りついている。今回の圧倒的勝利はきっと彼らの多くを動かすきっかけをもたらしてくれる。一人でも多くのプレイヤーがSAO攻略に尽力すればするほどより早いこの世界からの脱出が可能となるだろう。同時にもし万が一ボス攻略に失敗し多数の死者を出してしまえば待機組は今後一切テコでも動くまい。そうなればSAO攻略は一気に厳しいものとなる。それだけ今回のボス攻略は責任重大だ。

 ディアベルの主張は大いに共感できる。できるのだがせめて語る場所を考えてほしいとキリトは内心で訴える。キリトの希望的観測ができない脳内では第一層ボスの『Illfang the Kobold Lord』略してイルファンとやらが眼前の重厚な扉を突き破ってディアベルを捕食するシーンが何度も再生されている。キリトの精神的に非常によろしくない。

 

「最後に、俺から言うことはたった一つだ。――勝とうぜ!」

 早く終わってくれ。キリトの願いが届いたのか、単にこれ以上長々しく語る気がなかっただけなのか。ディアベルの勝とうぜ宣言を最後に演説を締めくくる。それを契機に湧き上がる周囲。演説の終了に安堵のため息をつくキリトと場の雰囲気に一切流されないアスベルは完全に浮いている。あぶれ者たる所以の一端である。幸い周囲の熱気のおかげでやる気がなさそうにも見える二人を見やった者はいない。

 

「――行くぞ!!」

 かくして扉は開かれる。第一層ボスイルファン攻略し隊、計七十二人。先陣をきるディアベルを筆頭に彼らはボスフロアに躍り出るのだった――

 

 

 ◇◇◇

 

 

 キリトとアスベル。あぶれ者コンビたる二人に与えられた任務はイルファンの取り巻き『Ruin Kobold Sentinel』略称センチネルの妨害。イルファン討伐を担う本隊にセンチネルが乱入するのを防ぐ役割だ。ここでセンチネル討伐を求められなかったのは二人程度で倒せるわけがないと高をくくられたからだろう。少々むかついたが自分が逆の立場だったら同じように考えていただろうとグッと堪えたのは記憶に新しい。輪を乱す、よくない。キリトは絶対にセンチネルを掃討しイルファン退治に加勢してやると心に決めてその場は引き下がることにした。

 だが今こうしてセンチネルを前にすると本当にセンチネルを倒していいのか疑問に感じてしまう。調子に乗ってセンチネルを大量虐殺すればイルファンの逆鱗に触れるかもしれない。結果、さらにセンチネルを大量召喚だったりイルファンパワーアップだったりがもたらされる可能性が十分にあるのだ。あくまでセンチネルを二人だけで倒せることが前提だが。

 だからといってキリトだけがセンチネルを生かさず殺さずに徹していれば他のセンチネル共が二人を雑魚認定して一斉に襲いかかるかもしれない。自分のみならずキリト憧れのアスベルにまで迷惑が及ぶ。孤高のソロプレイヤーの足は引っ張りたくない。結局この先どんな理不尽展開が待ち受けていようとキリトにはセンチネル討伐しか道は残されていなかった。

 

「行くぞアスベル!」

『ああ!』

 前方のセンチネル一体に向けて二人は駆ける。この時を迎えるまでに何とか距離を縮めたいキリトだったが見事に避けられたため連携にあまり期待はできない。仕方ないだろう。ただでさえ人付き合いに難のあるキリトが勇気を振り絞って関係の親密化を試みたのにそのことごとくを拒否されたのだ。警戒心をむき出しにされ生ゴミを見るような目つきを向けられたかのように錯覚したキリト。心が折れるのも無理はなかった。

 さて。目の前には両手に二本の棍棒を構えるセンチネル。尻尾や耳がなければ全身を鎧に覆った兵士一号に見えなくもない。腰が曲がっているので強そうだとは全く思えないが。

 

「らあッ!!」

 先陣をきるのはキリト。センチネルに防御させるように正面から剣を振り落とす。狙い通りしっかりと棍棒で攻撃を受け止めたセンチネルは反撃とばかりに「キシャー!」と反撃する。もう一方の棍棒による薙ぎ払いを敢えてキリトは剣で受け止める。

 

「グッ――」

 センチネルの攻撃に思わず吹っ飛ばされそうになるのを地面を踏みしめてこらえる。この一見無謀な行為の目的は二つだ。一つはこうしてセンチネルの一撃を受け止めたときにどれだけHPゲージが減るかの確認だ。ここにはHPゲージが満タンのうちに早めに試しておきたいというキリトの狙いがある。キリトは自分のHPゲージを一瞥。四分の一ほど減っているのをしっかりと確認。思ったよりダメージは少ないなと笑みを浮かべる。とはいえモロにセンチネルの攻撃を喰らえば半分はHPゲージが減るのだろうが。

 もう一つはセンチネルの注意をキリトのみに向けること。要はキリトは体を張った囮を買って出たのだ。センチネルがキリトを潰さんとさらに棍棒を振り上げる。

 

『――せい!』

「シャア!?」

 センチネルの攻撃は素早くセンチネルの背後をとったアスベルの強襲により中断される。センチネルは背中からの攻撃についアスベルの方を向こうとする。キリトに対して隙を晒したセンチネルにキリトはすかさず切り込み、二人はセンチネルから距離をとる。

 

「四分の一だ」

『ん』

 合流したアスベルに先ほどのHPの減り幅を伝える。レベルを初めとする二人のほとんどのステータスに明確な相違がないことは確認済みだ。つまりキリトがセンチネルから四分の一のダメージを被ったということはそのままアスベルがセンチネルの攻撃を受け止めれば同じだけHPゲージが減ることを意味する。尤も、アスベルのメインウエポンはレイピアだ。攻撃を受け止められるかは怪しい。サブウエポンの小型ナイフ二本ではさらに厳しいだろう。

 アスベルの突き技三連撃とキリトの胴薙ぎでセンチネルのHPは残り半分となりイエローゾーンに突入している。幸先いい展開だが毛ほども安心できない。むしろ緊張感は増していく。センチネルの攻撃パターンが変化する恐れが大いにあるからだ。

 不意打ちがお気に召さなかったのかセンチネルが「ギシュアアアア!」と二人を呪わんばかりの声をあげて迫る。同時に二人は二手に分かれ挟撃の構えに移行する。センチネルの標的はキリトだ。フレンジーボアほどではないがやはりスピードが速くなっているセンチネル。タイミングを合わせ棍棒をサイドステップでかわそうとして――

 

「なッ!?」

 寸での所でしゃがんでよける。キリトの顔は驚愕に染まっていた。当然だ。センチネルの射程外だと判断していた所からセンチネルが棍棒を投げてきたのだ。これはさすがに想定外。だがその武器を捨てるに等しいセンチネルの不意打ちをたぐいまれなる反射神経でやり過ごせたのはキリトだからこそだろう。武器を投げたことで片手に一本しか棍棒を所持していないセンチネル。攻撃のチャンスだとキリトは距離を詰めようとする。

 

『後ろだキリト!』

「――ッ!?」

 

 センチネルを挟んだ向かい側のアスベルが声を張り上げる。見れば別のセンチネルがキリト目がけて今まさに棍棒を投げようとしていた。HPゲージが若干減っていることから大方他のプレイヤーから標的をこちらに切り替えてきたのだろう。センチネル二号から放たれたそれを身をひねって紙一重でかわす。

 

「……嘘、だろ?」

『――ッ』

 少々HPゲージが減ったことなど目もくれずキリトはセンチネル一号の行動に無意識に呟きを漏らす。アスベルが息を呑んだ気配がしたのでアスベルも同様に驚いていることだろう。何とセンチネル二号が投げ飛ばした棍棒をセンチネル一号が空中でキャッチ。そのまま重力を味方につけて必殺の一撃をキリトに振り下ろしてきたのだ。あたかも連携はお前らプレイヤーだけの特権じゃないぞと主張するかのように。

 キリトは横っ飛びでセンチネル一号の強烈な一撃をかわす。即座に立ち上がり油断なく辺りを見渡して、真後ろから棍棒を振り下ろすまた新しいセンチネル三号の姿を捉えた。これはかわせないとキリトはダメージ覚悟で剣で受け止める体勢をとる。そのセンチネル三号の攻撃は横から乱入してきたアスベルのセンチネル三号の小手を狙った正確無比の一突きによってキャンセルされた。助かったとキリトは安堵の息を吐く。しかし二人を取り巻く状況は着々と悪化の一途をたどっている。

 

「囲まれたな」

『……』

 二人は互いに背中合わせになり敵モンスターを見やる。計三体のセンチネルが徐々にその包囲網を狭めてくる。その光景の先には第一層ボスことイルファンとイルファン攻略の本隊の姿。本隊の面々はイルファンを誘導して取り巻きのセンチネル共をイルファンに殺させつつ着実にHPゲージを減らしている。イルファンは頭があまりよろしくないのだろうか? ともかく本隊は膨大なHPゲージのうちの三分の一を減らしイルファン攻略自体は順調に見える。だが本隊の五十人は気づいていない。イルファンに同胞殺しをさせていることがイルファンの怒りをかっていることに。センチネルの召喚頻度が明らかに増していることに。本隊サポート組が軒並み窮地に追い込まれていることに。囲まれているとはいえ本隊から比較的離れた所で戦況を俯瞰できたからこそ判明した事実だ。

 どうするべきか。イルファンとは対照的に息の合った連携ができる分、センチネルの知能はかなり高いだろう。どうすれば現状を切り抜けられるか。逆境を覆せるか。キリトは少し考えて、覚悟を決めた。

 

「……アスベル。作戦Cだ。サポート頼む」

『ッ!? 待て! その作戦は――』

「ああ賭けだな。分かってる。だがこのままじゃジリ貧だ。いずれ俺達は殺される。やるしかない」

『……』

 今こうしてアスベルが逡巡している間にも光の粒子とともにキリト&アスベル包囲網にさらにセンチネル四号が追加される。これ以上増えられたら賭けすら行えない。ジリ貧の現状維持の間に本隊がイルファンを倒してくれたらセンチネルももれなく全て消滅してくれるのでなにも問題はないのだがあの様子ではまだまだかかる。その線は全く期待できない。打って出るしかなかった。

 

『……分かった。死ぬなよキリト』

「それはこっちのセリフだ。……悪いな、無茶させることになって」

『そういうのは全部終わってから言ってくれ』

「ははっ、それもそうだな」

 キリトは笑う。つられてアスベルもフフッと笑う。自らに迫る危機などまるで意に介しないように。今から行う賭けへの気負いの類いは一切感じられない。

 

「じゃあ行くぞ。さん、にー、いち――ゼロ!」

 キリトの合図とともにキリトはアスベルをおいて駆け出す。かくして二人の生死を賭けた作戦Cが施行された。キリトの標的はセンチネル一号。残りHPが半分のセンチネルだ。キリトは走りながらソードスキルを発動させる。かつてキリトがフレンジーボアを倒そうとして使ったかのソードスキルだ。ソードスキルは使用後のプレイヤーに硬直状態をもたらす。難易度が段違いに上がったこの世界においてその隙は致命的だ。特にここのようなセンチネルが大量発生している乱戦の場で選んでいい選択肢ではない。だが火力不足を補うためには、なるべく短時間でセンチネルを掃討するには、キリト&アスベル包囲網に風穴を開けるためには、リスクの高いソードスキルの使用を選択せざるを得なかったのだ。

 

 ソードスキル発動によりキリトの位置は一瞬にしてセンチネル一号の背後へと、包囲網の外へと移動する。モロにソードスキルを喰らい残り数ドットの命と化したセンチネル一号。怯んだその一瞬をついてキリトに追随するアスベルがセンチネル一号に止めを刺す。ソードスキルの速度に生身の人間はどうあがいても追いつけないので当然の帰結である。

 この世界で生身といってもどこか違和感が残るのはこの際どうでもいい。

 

『――来い! ルインコボルドセンチネル!! 君達の相手はこのボクだッ!!』 

 包囲網形成から続いていた硬直状態から解放された残り三体が包囲網を抜けた二人に迫る。アスベルは硬直を余儀なくされるキリトの手前で叫ぶ。気迫のこもったその声に三体はアスベルに狙いを定めて一斉に襲いかかる。振り下ろし。薙ぎ払い。逆袈裟。その悉くをズラしてかわしてアスベルはさも当然のように三体の隙間を通り背後に回る。

 

『どうした? この程度か? 張り合いないなぁ』

 アスベルは背後からセンチネル二号にダメージを与えて緊急離脱。レイピアをクルクルと回しながら情けないと鼻で笑う。この類いの挑発が果たして効くかどうかわからなかったのだがどうやらアスベルの言葉が理解できるらしい。三体は荒々しく叫び声をあげながらアスベルへと突き進む。その頭からはキリトのことなど完全に忘れ去られている。

 作戦C――それはキリトが攻撃力の高いソードスキルを存分に使い、生まれる致命的な隙をアスベルがカバーするというものだ。だがそれは危険なんてものではない。キリトがソードスキル使用の結果移動した先にセンチネルが待ち構えていればほぼ間違いなく死ぬだろう。アスベルに至っては複数のセンチネルの注意を常に引きつけていなけばならないのだ。一瞬でも判断が遅れれば確実に死ぬだろう。

 どこまでも勝率の低い賭け。だからこその最終手段。それでも成功させなければならない。生き残るために失敗は許されない。

 

「喰らえッ!」

「ギィッ!?」

 キリトは再びソードスキルを行使。先ほどアスベルがダメージを与えたセンチネル二号に命中させる。標的をキリトに変更しようとするセンチネル二号にアスベルが武器を切り替えて小型ナイフを投げる。見事な投擲センスでセンチネル二号の顔面にナイフが突き刺さったことでアスベルはセンチネル三体の注意を依然引き続けている。その隙に再びアスベルを狙うセンチネル二号を真横から切りつける。返す刃でソードスキルを発動しセンチネル二号を切り裂く。光の粒子と化すセンチネル二号を一瞥し、よし後二体だなとキリトは前を向く。

 

『そっちはダメだキリト!』

 アスベルの悲痛な声があがる。前方にはセンチネル四号。待ってましたと言わんばかりに棍棒を力の限り振りぬいてくる。真横からの一撃である。アスベルの投擲ナイフにも反応を示さずアスベル自身が介入しようとしてもセンチネル三号のやけに粘り強い妨害がそれを阻止する。

 

(もう作戦が看破されたのか!?)

 センチネルの知能の高さは予測していたがこうも簡単に自分達の作戦を見破られるとは思わなかったとキリトは歯噛みする。アスベルの援護は間に合わない。硬直も解ける気配はない。HPゲージを確認し一度だけならモロに受けても死なない大丈夫だと言い聞かせる。

 

「ガフッ」

 横腹を打ち付ける衝撃。HPゲージが赤色に突入する中、痛みこそ感じられないが強烈な不快感に声が漏れる。硬直が解けないことではるか彼方に吹っ飛ばされずに済んだのが不幸中の幸いだとキリトは自身を納得させようとする。だがすぐに最大級の不幸であることを知る。

 

「――ッ」

『キリトおおおおおおおおお!!』

 センチネル四号の攻撃は一度きりではなかった。もう一方の棍棒を上段から容赦なく振り下ろしてくる。残りわずかなキリトのHPゲージではひとたまりもないだろう。アスベルの声がいよいよ絶望に染まり響き渡る。センチネル三号の猛攻を切り抜けキリトの下へ向かうもあと一歩届かないように思われる。

 

(死ぬのか? 俺は?)

 硬直は未だ解けない。動きたくても動けない。迫りくる棍棒がスローモーションのようにキリトには感じられる。いやだ。死にたくないとキリトは純粋に思う。だがその意味合いは初めてフレンジーボアと相対した時とは大きく異なっている。

 この命は自分一人だけのものじゃない。思い起こされるのはクライン一行の姿。見た目おっさんな心優しき四人衆の姿。自分が死んだら彼らがどれだけ悲しむか。彼らだけではない。自分が事前に冗談混じりに語った無謀極まりない作戦に付き合ってくれ今も自分に迫る死を回避しようと危険を顧みず全力で駆けてくるアスベルもそうだ。自分が死んだら悲しみはしないだろうが憧れであるアスベルにも余計な十字架を背負わせてしまう。それは、それだけはなんとしてでも避けたい。切に思った。

 

「うっ、ご、けええええええええええええええええ!!」

 キリトは全身の力を振り絞って咆哮する。全身全霊で自身の硬直を解きにかかる。だがいくら気合いを入れた所で硬直が解けるはずがない。ソードスキル使用後の硬直時間を定めるシステムにバグを起こせるはずがない。だが。果たしてキリトの硬直は解けた。一定の硬直時間が経過したのだ。しかしセンチネル四号の攻撃をかわすにはあまりに遅いタイミング。攻撃を受け止めようとも既に手遅れなタイミング。

 キリトはせめてもの思いでセンチネル四号を睨みつける。だがその程度でセンチネル四号は止まらない。かくして無防備なキリトにセンチネル四号の渾身の一撃が振り下ろされるのだった――

 




 ……信じられるか? これ、あくまでセンチネルが相手なんですよ? センチネルマジ鬼畜。数の暴力って恐ろしいですね。
 キリトくんよりアスベルもとい変装アスナさんの方が奮闘してるように見える件については気にしない方向で。キリトくんにも一応活躍場所ありますし……いいよね?
 

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。