インフィニット・ストラトス 宝石と宙   作:在原昴

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昔話

十年前、レックは奴隷として鉱山に連れ込まれ、働かされていた

ぼろきれを着た子供達と鞭を持った監視、監視達は気に入らないことがあればすぐに奴隷たちに八つ当たりして、レック達は毎日怯える日々だった

そんなある日、脱走の機会が巡って来た

その日はレックが偶然、牢屋のカギを手に入れており、これさえあれば脱獄できる、そう思い、レックは自分がいる牢屋の鍵を開け、こっそり逃げた

その先に起こるであろう事態など考えもしていなかった

その行為が友を裏切ることだとも知らなかった

 

逃げたのは良いが、どうすればいいのかわからない、どうやって生きていけばいいのかわからない

戦うにしても力が無い

 

レックは森の中、何日間も食べず、彷徨い続けていた

そして、体力も限界なのか、倒れてしまい、あとは死を受け入れるだけとなった

だが、レックの前で鍋を作り始めた老人がいた

その匂いでレックの腹の虫が鳴き、虚ろな目で老人を見ていた

老人はその視線を感じたが、無視して器に鍋の中身を盛り始めた

レックは何も覚えていない六年を自嘲しながら目を閉じた

 

老人「ほれ、起きんか、お前さんの飯だ」

 

その言葉と共に、レックの前には器によせられたスープがあった

レックは思わず犬のように食べ始めた

 

老人「これこれ、スプーンを使わんか!!」

レック「スプーン?」

老人「やれやれ…お前さん、さてはロクな教育を受けておらんな?」

 

老人はレックに食事の仕方を教え、鍋の中身が消えた

 

レック「…何とか生存…感謝…」

老人「お前さんには色々と教えて行かないとな…名前は?」

レック「…レック…」

老人「俺はゴウ・ヴォルフスだ」

 

老人、ゴウは森の中の家にレックを連れて行き、そこでレックは養子になり、ヴォルフス性を貰い、戦い方、生きる術を学んでいた

 

二年後、ゴウから大切な事を学ぶ前に、レックは自分がいた鉱山に向かった

今の自分ならみんなを助けられると思いあがっていたからだ

鉱山に着いた時、誰もいなかった

そして、レックは思い知らされた

二年前、牢屋の鍵を開け、そのままにしていたために、監視が誰かが逃げ出したものだと確信し、その連帯責任で奴隷たちを殺してしまったことを…

レックは絶望にくれ、壁を殴り始めた

 

レック「何で!!何であの時気が付かなかったんだ!!何が助けるだ!!何も守れなかったじゃないか!!何が友情だ!!僕は結局裏切ったじゃないか!!」

 

レックが手から血が出るほど殴っていると、近くに何かが落ちてきた

レックはそれに気が付き、その方角を見ると、何かが輝いていた、それはダイヤモンドだった

だが、すでにカット済みで存在しており、レックはそれを拾い上げた

その瞬間、レックの目の前に大きな白い狼が現れた

 

レック「あはは…僕はこいつに食われて死ぬのかな…?」

?『小娘、何故そう簡単に諦められる』

 

それを聞いたレックの顔が凍り付き、笑顔のまま狼に教えた

 

レック「僕は男なんだけど?」

?『何!? だが、貴様はどう見たって小娘ではないか!?』

レック「そんなに女の子っぽいの!?」

?『一度鏡を見て見ろ!! …さて、小僧…』

レック「(仕切り直した!?)」

?『汝にとって生きることとは何だ?』

 

レックは何も答えられなかった

今迄自分勝手に生きてきて、周りの事も考えてこなかった

そして、この現実がその代償だ

今のレックには生きることが分からなくなってきていた

心に傷を負ったままゴウのいる家に戻って行った

 

 

レック「ねえ…じっちゃん…生きるって何…?」

 

レックは食事をとりながらゴウに訊ねていた

ゴウはレックの暗い表情を見て、何かを思ったが、何も言わず、レックに言った

 

ゴウ「レック、それは俺から教わるものじゃない…お前さん自身で見つけないといけないものだ…」

レック「…」

ゴウ「だが、お前さんは過去を見すぎで今を見ていない…過去に起こったことは変えられない…それが運命なのだから…受け入れて前に進むしかない」

 

ゴウは食事を終え、食器を片付けた後、寝室に戻った

レックは一瞬、ゴウを憎んだが、すぐに冷静になり、今迄の事を考えた

 

 

その次の日、レックは初めて町に行った

町は人々で溢れ、レックは苦手そうだったが、ゴウがいたから何ともなかった

そして、町の人達にレックは気に入られ、嬉しそうだった

ある日の事だった、その日は雪が降っていた

いつも通り、レックはゴウと特訓に明け暮れていたが、ゴウが突然倒れた

 

レック「じっちゃん!? どうしたの!?」

ゴウ「俺ももう歳みたいだな…俺の命はそんなに長くはねぇ…」

レック「じっちゃん…」

ゴウ「レック、お前はこれから旅に出ていろんなものを見て学んで来い…」

レック「嫌だ!!じっちゃんといる!!」

ゴウ「…お前に最後の教えだ…どんなことにも責任はついてくる、それを忘れるな…忘れれば暴君になり、凄惨な人生を辿ってしまう、それを忘れるな…」

 

ゴウは父親のような目でレックを見た

レックはそれを受け止め、旅支度を済ませ、出て行った

ゴウはそれを見送った

その時、ゴウはレックに言った

 

ゴウ「【諦めるな少年よ、振り返るな!! 例えこの先何があろうとも、折れることなく進め!!】」

 

レックは泣きそうになったが、走って行った

 

 

そして、誰もいない湖の近くでレックはダイヤモンドの宝石を眺めていた

ダイヤモンドから白い狼が現れ、レックに再び問いかけた

 

?『小僧、答えは出たか?』

レック「待たせたね…やっと出たよ…答えは…『そんな物知るか』!!」

 

レックは堂々と言い、白い狼は何も言えずにいた

 

レック「そんなの、考えていたって仕方ないじゃないか、わからないんだし…だから人間は生きることの意味を探して生きているものなんじゃないの?」

 

それを聞いた白い狼は笑い出した

 

?『クハハハハハ!!面白い、面白いぞ、小僧、良いだろう…今この時を以て、我はお前を主とする…主よ、望みを言え』

レック「僕の望みはたくさんある、今を精一杯生きたい、手の届く範囲のものを守りたい!!」

?『良いだろう…契約は成された…』

 

その言葉と共に、ダイヤモンドを起点に銀色の腕輪となり、レックはそれを装着した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、現在、レックは過去の話を語り、紅茶を飲んでいた

セシリアに至っては少し泣いていた

 

レック「その後色々と見て回ったんだ、科学が異常に発達した国や魔法の国、後、東洋の国にも行ったかな…そこでたくさん出会って…色んな人と戦って、世界も救ったかな?」

セシリア「世界を救ったとはどういうことですの?」

アラン「私から話そうか…」

 

アランがやって来て、話し始めた

 

アラン「あれは今から三年前、レックが十三の頃だ…私を覗く、八人は世界最大の厄災を退けた…」

レック「そう…あれは完全なる悪…彼奴は天を亡くした者…天亡と名乗っていたよ…それと、アラン、君は一つ間違えているよ?」

 

レックはアランに微笑みかけ、アランの言葉の一つを訂正した

 

レック「厳密には九人だよ?」

アラン「…そうだったな…私と彼女は語られることはないだろうが…」

シャル「九人目って?」

アラン「天亡に乗っ取られていたレックの親友だ…」

レック「うん…」

 

レックは悲しそうな顔を浮かべ、そこから先は何も言わなかった

 

レック「あ、湿っぽい話はやめようかな? シャルとの出会いも教えちゃおうかな?」

 

レックは気さくに語りだした

 

レック「シャルと会ったのは三年前くらいかな? 会社から逃げていた時に偶然こっちに来たみたいなんだけど…その時のシャルって今と違って怯えていたんだよねぇ…」

シャル「れ、レック!?」

レック「何時も僕の顔色を窺って…僕の言う事に流されていた…でも、漸く心を開いてくれてね…」

ミリア「レックの告白の内容を記録しているのだけど…」

 

ミリアはそう言って霧を発生させ、何かを投影した

レックは紅い顔をして大慌てで霧を消そうとしていたが、もう遅かった

 

レック『この世界は君が思っているほど優しくないし残酷かもしれない…でも、世界に怯えなくても良いんだよ? 大丈夫、僕が連れてってあげるよ、僕のお姫様』

 

それを聞いたレックは赤面して、床を転げまわった

アラン以外の人物は顔がにやけていた

シャルロットも顔を赤らめていた

 

ナツキ「レックって結構肉食系なんだな…」

箒「あんな感じで告白したのか?」

鈴音「あれは完全に落としに行ったわね…」

楯無「これがロールキャベツ系男子…」

レック「それ以上言わないでよ!!」

 

レックはしばらくナツキ達に弄り倒されたらしい

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