ナツキ達が戦っているのと同時刻、レックの周りには凍った黒い液体が辺りに散らばっていた
レック「…そこに隠れて見ているのは誰?」
ノウン「気づいていましたか…」
レック「この感じ…成程…彼奴の分身ってわけ?」
ノウン「ええ、目的は一つ達成しましたが…もう一つの目的…あの御方を殺したテメェの首をあの御方の
前に献上するっていうな!!」
ノウンの姿が黒い液体になり、黒い狐の姿となった
ノウンはその尻尾の一撃で避難路を破壊し、完全に部外者が入らないようにした
だが、その場には本音と数人の生徒がいた
レックはそれを見た後、苦笑いしていた
レック「なかなか粋なことしてくれるね…」
ノウン「テメェの弱点は知っているぜ? 例えば…」
ノウンは狐の尾をうねらせ、本音達の方に攻撃を開始した
レックは白銀の狼王を纏い、彼女達を守った
だが、あまりの威力で装甲が壊れ、レックのわき腹から血が流れていた
レック「痛た…」
ノウン「ほらほら、テメェの化物としての姿を見せやがれよ!!」
レック「…化け物になって…誰かに嫌われる覚悟がいる…か…」
レックはそう呟くと、ISを解除し、自分の近くにシロシバを召喚した
レック「見せてあげるよ…忌むべき姿を…」
レックの体から吹雪が吹き荒れ、シロシバと共に白い光を放った
光が晴れると、白髪で赤い瞳で錦鯉の描かれた黒い着物を着た姿になっていた
ノウン「やっと見せたなぁ!! 化物!!」
レック「煩いよ…」
レックは一瞬でノウンの前に現れ、顔面に蹴りを入れた
ノウンはその一撃で後ろに大きく傾き、倒れた
レックはその隙を見逃さず、ダイヤモンドで大きな刀を作り、切りかかった
生徒達は震えていたが、本音はレックの姿に見とれていた
荒々しくも美しく、雅で、その場にいるのはたった一人の静かな舞踏、本音はその光景に目を奪われていた
気が付けばレックに注目していた、そして、心が高まっていた
ノウン「これが…白金の夜叉…レック・ヴォルフス!!」
レック「あの世で友達に懺悔しな」
レックはそういうと、刀でノウンの右前脚を切り裂いた
その際、返り血がレックの顔を汚した
ノウン「テメェ!!殺す!!絶対にぶっ殺す!!」
レック「今度はその頭だ…」
レックは刀を消すと力を一点に集中し始めた
ノウンは焦ったのか、すぐに消えるように逃げた
消えたのを確認すると、レックは本音達の方を向いた
レック「もう、大丈夫だよ、敵は逃げたから」
レックは血まみれの顔で笑顔で言い、三人に近づこうとした
本音はその顔を見て笑って感謝の言葉を言おうとした
生徒1「こ、来ないで!!」
生徒2「ば、化け物…」
二人の生徒はそれだけ言うと、本音の手を引っ張って逃げて行った
レックはそれを立ち尽くして見ていることしかできなかった
その時、アランがやって来た
アラン「レック!!無事か!?」
レック「あ、アラン…? うん、何とかなったよ…」
レックはいつもと変わらない笑顔で言ったが、アランは違和感を感じた
そして、違和感の正体に気が付き、心配そうな顔をしていた
アラン「まさか、あれを使ったのか…!?」
レック「…あはは…うん…皆に少し怖い思いをさせちゃったかな…?」
レックは自嘲気味に笑って、その場を去って行こうとしたが、倒れた
倒れたところから血が広がり、アランは大急ぎで応急処置を施した
レックが気が付くと、医務室だった
近くには涙目のシャルロットがいた
レック「…シャル…」
シャル「馬鹿…馬鹿…!!」
レック「御免ね…心配させて…」
シャル「本当だよ!!何で、何でレックは無茶するの!?」
シャルロットはレックに抱き付いていた
レックはシャルロットの背中を優しくなでた
レック「ごめん…でも…こうでもしないと守りたいものを守れない…例え、夜叉と言われようとも…独りになっても…」
レックはそう言いながら針を取り出し、上半身を脱いだ
レック「…治癒のツボ…っと!」
レックは針を自分の右肩に突き刺した
すると、怪我がみるみる消え、元の状態に戻っていた
レック「これで良し…って、うわ!!」
シャル「キャッ」
レックは傷が治った後、立ち上がろうとした時、足を踏み外してしまいシャルロットを押し倒してしまった
レックは上半身半裸である
その状態で押し倒してしまった光景を誰かに見られてしまえば色々と誤解を生んでしまうだろう…
丁度、麻耶が入ってきてしまった
麻耶「ヴォルフスさん、お知らせが…あ、失礼しました…」
レック「待って!!誤解だ!!」
麻耶「あ、でもそう言うのはまだ早いかと…」
レック「違います、ただバランスを崩して…」
麻耶「あ、男子の大浴場が解放されましたので…その…では!!」
麻耶はそう言って逃げるように出て行った
レックは追おうと思ったが、それは叶わなかった
すぐにレックは上半身の服を着ると、医務室を出て行った
余談だが、春人は反省文を書かされているため、大浴場は使えない
レックはたった一人で大浴場に来ていた
レック「…この世界に来てから…あの姿になったのは二回目かな…あの姿を見たあいつらは化け物を見るような眼だったっけ?」
レックは遠い目をしながら今までのことを考え、湯船に浸かっていた
考え事に集中していたせいで誰かが入ってきたのに気が付かなかった
シャル「レック…」
レック「…え?」
レックの思考が停止した
タオル一枚で前を隠しているシャルロットがいた、レックは慌てて後ろを向いた
シャルロットは普通に入ってきた
レック「シャル、どうして!?」
シャル「…ダメ…?」
レック「ダメじゃないけど…その…男と女だし…」
レックの頬は赤くなり、シャルロットも赤くなっていた
レックは上がろうとしたが、シャルロットに背中から抱き着かれた
シャル「レックは独りじゃないよ…僕がいるし…ナツキやアランもみんないるから…」
レック「…そうだったね…例え、この世界に拒絶されてもシャルやみんながいる…」
レックはうれしそうに笑った
その隙にシャルロットはレックを自分の正面に向けた
それにより、シャルロットの胸を見てしまった
シャル「ねえ…何で赤くなっているの?」
レック「え、えっと…あ、もうのぼせるから…チャオ!」
レックは大急ぎで上がって逃げて行った
シャル「…意気地なし…」
シャルロットの呟きは誰にも聞こえなかった
そして、風呂から上がった