ラウラがIS学園に入学する一年前、ラウラは千冬から指導を受け、軍の中では最強の座に返り咲いていた
だが、力が全てという考えに取り付かれ、周りから浮いていた
そんなある日のこと、ラウラは廊下で黄金の扉を見つけた
興味心から中に入れると、そこは戦場だった
だが、見たことの無い怪物が戦場を悠々と闊歩し、兵隊は逃げ惑っていた
ラウラ「あんなものに逃げてどうする、最強であるISと私ならば勝てる!!」
ラウラは
だが、ラウラは怪物の一撃で簡単には吹き飛ばされ、
ラウラ「そんな…馬鹿な…」
ラウラは今まで信じてきた力がいかに脆弱でなんにも役に立たないことを思い知らされ、後は死を待つだけとなっていた
だが、何時まで経ってもその感覚が来ない、目を開けてみると、そこには黒髪の青年がナイフ一本で怪物の攻撃を防いでいた
?「ったく、誰だこんなところにアマチュアを連れてきたのは…」
青年は怪物を軽々と蹴り上げ、怪物は空を舞った
?「退いてろ…餓鬼…ここは戦場だ…」
ラウラ「んな!?」
ラウラは殴り掛かろうとしたが、彼の近くに黒い兎が現れたことに、驚き、何もできなかった
?「コクウ、行くぞ?」
コクウ「キュー!」
青年がコクウと呼んだ黒い兎が輝き、青年は右手に拳銃、左手に黒いナイフ、服装は黒いコートを羽織った姿になっていた
?「さあ、受け入れろ…これも
ナイフから黒い炎が立ち上り、ラウラがあっさりと負けてしまった怪物を青年は何の苦も無く倒した
ラウラはその現実を見ていると、兵士らしき人間がやってきた
軍人1「ロラン中将!!お疲れ様です!!」
ロラン「…ありがとう…それと、そこにいるアマチュアを連れていくぞ…」
軍人2「ハッ!!」
軍人二人はラウラを連れていこうとしたが、ラウラは二人を睨み付けた
ラウラ「助けなどいらん!!あの程度、私一人でも…」
ロラン「殺せたのか?」
ラウラ「何を言って…」
ロラン「お前はあの怪物を倒すことだけを考え、殺すことを考えていなかった…」
ロランはそれだけ言うと何処からか、ハーモニカを取り出し、演奏を始めた
それはまるで死んでしまった怪物に捧げる鎮魂歌のようだった
演奏が終わり、ロランは姿を先ほどの姿に戻し、歩き出した
ラウラは圧倒的な力を思い出し、ロランの後を追った
軍の駐屯所、ロランはコーヒーを飲んでゆっくりしていた
だが、そんなくつろぎも部外者がいた
ラウラ「貴様、貴様はなぜ強い!? 答えろ!!」
ロラン「……誰だ、このちんちくりんを入れたのは…」
ロランはため息をついてラウラを見た、ラウラの目は強さだけを求めている目であり、殺すということとは無縁な存在だった
ロランはなかなか引き下がらなさそうなのを感じると、ラウラをいきなり担ぎ上げ、とある一室に連れ込んだ
その部屋はトイレと風呂、簡単なベッドと机、それなりにある食料と水、そして一匹の白い兎がいた
ロラン「この部屋から一歩も出ないで一か月過ごせたら教えてやる…一応その部屋にあるものならなんでも食ってもいいし、なんでも使っていいぞ?」
ロランはそう言って、ラウラをその部屋に閉じ込めた
ラウラはこれぐらいの事はどうとでもなるという確信があった
食料もそれなりにある、これなら一か月は持ちそうな気配がしていた
だが、ラウラの視線には白い兎が入っていた
ラウラは白い兎を無視しようと思ったのだが、どうにも気になり、世話をした
初めの頃は順調だったのだが、二週間が経つと、タンパク質を含む食料が底をついた
ラウラは何か無いかと探していると、サバイバルナイフを見つけた
それと同時にある考えが浮かんだ
『この兎を食べる』
ラウラは実行しようとしたが、それができなかった
軍人として、人を殺すために生み出された試験管ベビーだったラウラは死を、殺すことなど知らない、故に恐怖していた。力の無い
その日は結局、兎と共に、少ない食料で食事をし、ラウラは眠りについた
それから、兎に餌をやりつつ、自分も食事をしていた
だが、それでも着実に食料が少なくなっていく、兎を殺せば、何とかなるのだが、それができない、生き残りたいのだが、殺したくない、二つの心が葛藤していた
一か月が経ち、扉が開いた
扉の中は綺麗だったのだが、ラウラは痩せこけ、兎は元気そうだった
そして、ラウラが気が付いたのは医務室だった
ロラン「目が覚めたか」
ラウラ「…ここは…?」
ロラン「医務室だ、それにしても驚いた、あそこまであの兎を殺さないなんてな…」
ラウラ「……」
ロラン「殺すって怖いことだ、命は簡単に奪える、お前が力を振りかざすというのなら、それは命を殺してもかまわないだろうな、ちょうどあの兎を殺すようにな…」
ロランはそう言いながら、おかゆをラウラの前に置いた
ロラン「まずは食べやすい物からだ…その後、たんぱく質のあるものを食わせてやろう…」
ラウラはそれをものすごい勢いで食べ始めた
その顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた
あれから二年が経ち、ラウラはロランと共に戦地を巡っていた
その中で、ラウラは沢山の死を目の当たりにしていた、例え力があっても、手が届かず、人が死んでいく、ラウラはこの時、再び思った
ラウラ「ああ、なんと私は無力なのだろう…」
そんな時、いつもロランのハーモニカが聞こえていた
ラウラはある時、ロランに何故ハーモニカを吹くのかを訊ねた
ラウラ「何故、貴様はハーモニカを吹く」
ロラン「…そうだな…戦死した者、巻き込まれた者達が少しでも安らげるように、せめてもの償いだ…このメロディーは昔、俺が愛した女がいつも演奏してくれたものだ…」
ロランのその眼は何処か寂しそうで、優しかった
ラウラは何処か自分が依然、世話になった織斑千冬の事が頭によぎった
だが、千冬が教えたのは力だけ…大事なことは教えていなかった
ロラン「ラウラ、これだけは覚えておけ……力が強くても、そこに自分自身と守るべきものがいなければ誰も見向きをせず、殺すということを理解しないまま人を殺す…そうなったらケダモノとして生きていくしかない…」
ロランはそう言って、昔のことを語りだした
昔、ロランには婚約者がいたこと、その婚約者が目の前で死んでしまったこと、力を求めるだけのケダモノだったこと、そして、レックと出会い、レックから婚約者が残したメロディーを教えてもらったことを話した
ラウラ「そのレックというのはどんな奴なのだ?」
ロラン「そうだな、何処にも縛られることが無い、自由の象徴ともいえる人間だったな」
ロランはレックの話をしていると、苦笑していた
ラウラは尊敬する人物がそんな顔をしていたのを見て、驚いていたが、千冬に抱いていたこととは違い、何処かラウラもうれしいと思っていた
ラウラ「あの…父上とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
ロラン「…勝手にすればいい…」
その後、ラウラはロランに鍛えられ、さらに、精神面でも成長したのか、他者を虐げることが無くなっていた
ラウラはここに来た経緯をロランに改めて話すと、ロランはその出来事の原因が頭によぎった
ロラン「それは恐らく、宝獣王の扉だな…俺の友人にそいつと契約している人間がいる…連絡を取って送ってもらうか、お前の元居た時間軸の世界に…」
ロランはそう言って、電話を切ると、黄金の扉が現れた
ラウラ「これは…あの時の…」
ロラン「行くぞ?」
ラウラ「え?父上も行くのですか!?」
ロラン「…俺もお前の世界がどうなっているのか興味があるのでな…」
二人は黄金の扉をくぐると、ラウラにとっては懐かしいドイツの駐屯所にいた
当然、隣にはロランがいた
その後、ラウラが行方不明になっていたのは二週間だったという事を聞かされていた
ラウラにとっては二年間ぐらいだったのだが、これなら納得がいく
無論、ロランは一時ドイツ政府に拘束されたのだが、その強さと戦略、さらに教官としても完成されていたからか、黒兎隊の教官を務めることとなった
ロランはラウラに自分と同じ、オニキスを埋め込んだナイフをラウラに渡した
ラウラ「父上、これは?」
ロラン「お前の卒業記念だ、その宝石に宿る宝獣もお前を選ぶだろう…」
ラウラはナイフのオニキスにそっと触れると、中から黒い獅子が現れた
黒い獅子は唸り声をあげているだけなのだが、ラウラは何を言っているのかを理解することができ、契約を果たした
それから、二年の月日が流れ、ラウラの専用機がロランの手によって作成され、IS学園に編入した
全ては己を鍛え、救える者を救い、自らが憧れ、父と慕うロランを追い抜くために