レック達は石碑を調べていた
ナツキ「駄目だ、全然読めねぇ…」
レック「僕も…こんな時、ユキがいたら読めたんだけど…アラン、読めそう?」
アラン「済まないが、私にはわからない…」
箒「弱ったな…ここがどんな部屋なのかがわからないとどうするべきかの判断がつかん…」
レック達は石碑をジッと睨みつけていた
石碑には古代語で文字が書かれ、レック達のメンバーで古代語を解読することができる人間はいない
この石碑が何を意味しているのか、レック達にはよくわからなかった
そんな時、楯無が何かを発見した
楯無「みんな、後ろを見て」
簪「お姉ちゃん、何かあったの?」
楯無「いいから、見て!!」
レック達は楯無に言われた通り、石碑の裏側に回ると、絵が彫られていた
その絵には、動物達に囲まれている女性と、その女性に最も近くに存在している熊がいた
その光景はとても微笑ましく、幸せそうにも見える
だが、その絵に掘られている女性がどこか、本音と同じように見えた
レック「彼女はたくさんの動物たちに愛されていたようだいね、なんだかとても羨ましいわ…」
本音「あれ?どうしたの?」
本音はいきなり、アカノミヤマネが本音の手を飛び出し、石碑の方に向かった
そして、アカノミヤマネは石碑に上り、何かを訴えるかのように飛び跳ねていた
ナツキ「あれは何を訴えているんだ?」
鈴音「さあ…でも、あそこまで登ればわかるかも…」
箒「そうだな…」
アラン「ああ…」
楯無「そうね…」
ナツキ達はそう言いながら、レックを見ていた
レック本人はどういうことなのかが理解できないと言わんばかりの顔をして、首を傾げていた
レック「どうして僕が…」
レックは石碑をよじ登っていた
理由はレックがよじ登った体制のまま攻撃することができると言う事である
石碑の上の方に来て、アカノミヤマネが跳ねていた場所を見ると、何かの穴が石で塞がれているのが見えた
レックはそれを見て、その石に手をかけ、一気に引き抜き穴が開くと、アカノミヤマネはその穴の中に入って行った
楯無「入って行ったわね…」
簪「うん…」
鈴音「まさかこれだけ?」
セシリア「え?」
ナツキ「いやいや、きっと何かあると思うぞ? 多分…」
アラン「だが何も…」
その時、突然、讃美歌のような歌が流れだした
その場にいた者達はすっかり聞きほれてしまっていたが、鈴音だけはしっかりと聞いていた
レック「素晴らしい讃美歌だなぁ…」
箒「そうだな…ん? どうした、鈴」
鈴音「この歌、何か言っているみたいね…」
ナツキ「マジかよ…で、何を言っているんだ…?」
鈴音「えっと…『生きとし生きる者達の楽園、聖女の涙が流れる時、生き物の王の逆鱗に触れる
聖女の前で一切の闇を拒むだろう』ここまでは分かったけど…それ以外は全く…」
鈴音は少し苦笑いをして、話していた
その時、爆発音が鳴った
兵士1「やっと到着だ」
兵士2「ここが遺跡の最深部か?」
兵士3「おい、ここに誰かが来ているぞ!!」
ナツキ達が振り向くと、そこには王国の軍隊達がいた
軍隊達は武装していて、ナツキ達はあからさまに嫌そうな顔をしていた
そして、石碑からアカノミヤマネが雫の形にカットされた琥珀のついたロザリオを咥えて出てきた
兵士1「お、あの鼠が宝石を持っていますぜ? 隊長」
隊長「よし、撃ち殺して、奪い取るぞ」
ナツキ「待てよ」
隊長が銃を構えた時、銃口をナツキが掴んだ
隊長「な、なんだ貴様等!?」
アラン「お前達は王命に背いてここに来た…覚悟はできているのか?」
隊長「黙れ!! ここで我らが手柄を立てれば王も許すだろう…構え!!」
兵士達が銃を構え、アカノミヤマネを発砲した
本音はアカノミヤマネをかばって、撃たれそうになった
その時、琥珀が輝き、全ての銃弾が地面に落ちた
光が収まると、琥珀色の瞳を持つ大きな熊が現れ、雄たけびをあげた
熊は軍隊の隊長を見るや否や、襲い掛かった
レック達はなんとか助けようとしたが身体が思うように動かず、それどころか、体に何か重い物が纏わりついたかのような感覚に陥っていた
ナツキ「何だこれは…?」
アラン「身体が…重い…」
レック「多分…重力だ…あの熊…どうやら宝獣…それも、僕やナツキのダイヤモンド、ラウラとロランのオニキス並に上位の存在かもしれない…」
熊は重力で押さえつけていた軍隊の隊長を軽々と殴りあげ、天井に叩き付けた
兵士2「た、隊長!!」
兵士3「そ、総員、構え!! 撃て!!」
兵士達は銃を構え、発砲をしたが、熊は重力で銃弾を下に落とし、そのまま両腕で薙ぎ払った
レック達は一方的な蹂躙を見ることしかできなかった
だが、その中で楯無が疑問に思っていたことがあった
あの熊は何故自分達を狙わないのか
あの熊から一番近かったのは恐らく、本音であり、熊に襲われる可能性があった
それなのに熊に襲われていなかった、それだけではない、自分たちも狙われる可能性もあったのに熊は軍隊の方を狙った
楯無「ねえ、ナツキ君、あの宝獣、何で私達を狙わなかったのか不思議に思わない?」
ナツキ「そう言えば…そうだな…俺達を押さえつけているだけで…何もしてこないな…」
そんな会話の中、アランはとある仮説が頭に浮かんだ
アラン「……成程、恐らくは私達が武器を持っていなかった、もしくは敵意が無かったからだろうな…」
箒「確かに…軍隊達は銃を構て攻撃しようとしていた、いや、したな…」
鈴音「でも、このまま黙ってやられるのを見て居ろっていうのも嫌!!」
セシリア「何とかなりませんの?」
レック「う~ん…あ、一か八かなんだけど、これにかけるしかないね…」
ナツキ「成程…本音!!こいつのパスコードを叫べ!!」
本音「え!?パスコード!?」
楯無「何か頭に浮かんだ言葉を適当に叫んで!! あの人達がやられる前に!!」
本音は楯無の言葉を聞いた後、軍隊の方を見た
怒れる熊が暴れまわり、軍隊の人間たちを蹂躙していた
一人は怯え、一人は逃げ惑っていた
それを見ていた本音は意を決し、ロザリオをアカノミヤマネから受け取り、握りしめた
突如、頭の中に言葉が浮かび上がり、それを唱え始めた
本音「
本音が唱え終えた途端、熊が大人しくなり、本音の元にゆっくりと歩み寄った
熊はそのまま本音の頬ずりをし、懐いていた
そんな熊を本音は顎を撫でて可愛がった