インフィニット・ストラトス 宝石と宙   作:在原昴

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愚者の夏休み

レック達が遺跡を調査している頃、春人はIS学園で補習を受けていた

理由は臨海学校の時の無断出撃とナツキをわざと雪片弐型で刺したことだ

自業自得なのだが、春人は終始ナツキ達を悪だと決めつけ、文句をぶつぶつと言っていた

そんな中、千冬は倉持技研に来ていた

目的は白式のメンテナンスをしてもらう事と、適当な生徒を春人のパートナーにして白式のサポート機を渡すために専用機の製作を依頼するためだ

幸い、廃棄処分が決まった打鉄のコアがあったので、それを専用機のコアにするつもりだった

応接室で待っていると、一人の女性が入って来た

 

「どうも、織斑千冬さん、お待たせしました」

千冬「御託は良い、良いから白式のメンテナンスをしろ」

「はぁ…分かりました」

 

女性は白式の待機状態を持ってメンテナンスルームに向かった

数時間後、女性は苦虫を噛み潰したような顔をして戻って来た

 

千冬「メンテナンスは終わったのか?」

「それが…メンテナンス自体はすぐに終わったんですが…一つ問題がありまして…」

千冬「問題…?」

「ISコアがもう壊れかけているんです」

 

それを聞いた千冬は女性の襟をつかみかかった

 

千冬「どういうことだ!!」

「落ち着いてください、理由はよくわかりませんが、コアに罅が入っていまして…これ以上稼働させ続けますとコアが壊れてしまいます」

千冬「何とかならんのか?」

「無理ですよ、ISのコアは篠ノ之博士ぐらいしかわかりません、それにそのコア、武装にだけ零落白夜を残して殆ど機能を停止していますので…別のコアを使えば何とかなりますが…」

 

それを言われた千冬には二つの選択肢が現れた

白式のコアを今持っているコアと交換すること、もう一つは白式のコアをそのままに新たな専用機を作成してもらうことだ

千冬は最後まで春人に自分の専用機を使って貰いたいと思っており、新たに作るなど考えておらず、自身が持ってきたISコアを交換してもらうことにした

その時の金額の話を女性がした時、千冬は春人に欠陥機を渡したくせに今更金を払う事はしないと言って、無償で無理矢理作業させた

 

 

 

 

 

 

 

春人は茹るような暑さの中、学園長の命令で学園の中庭の掃除をしていた

 

春人「クソ…何で俺がこんなことを…俺は…オリ主なんだぞ…」

 

春人の辞書に反省という文字は無く、ただ愚痴を言っては監視の教師に注意されていた

 

春人「あの出来損ないとクソアマモドキの所為だ…!!彼奴等さえいなけりゃ今頃俺はハーレムスクールライフを送れるはずだったんだ!!」

「織斑春人!! 手が止まっているぞ!!」

春人「あ、はい」

 

春人はそのまま中庭の掃除をし、ひと段落が付き、僅かな休息をとり始めた

その間も、ナツキ達への憎悪を燃やしていた

 

休憩が終わり、春人はアリーナに来て、メンテナンスが終わった白式を纏って、千冬と訓練を受けていた

だが、武器は相変わらず雪片弐型のみで、銃撃戦を想定した訓練をしていなかった

 

春人「ダァァァァァァァァ!!!」

千冬「甘い!!」

 

千冬は打鉄を纏い、近接ブレード『葵』で春人の上段の構えから振り下ろされた雪片弐型よりも早く斬りつけ、春人はアリーナの壁にふっ飛ばされた

 

千冬「何をしている、早く立て」

春人「ウググ…待ってよ…千冬姉…」

千冬「グダグダするな…」

 

千冬は苛立っていて、その苛立ちを春人にぶつけていた

それが一時間ぐらい続き、春人は自室に戻り、反省文を書き始めた

 

 

 

 

 

 

 

千冬は苛立ちながら、歩いているとき、ラウラと遭遇した

 

ラウラ「織斑先生、こんにちは…」

千冬「ボーデヴィッヒ…何故ここにいる」

ラウラ「夏季休暇の間の外出届を提出しに行くだけです」

 

ラウラは淡々と言い、その場を立ち去ろうとしていたが、千冬はラウラの肩を掴んだ

 

ラウラ「…何か御用ですか?」

千冬「ボーデヴィッヒ、貴様には織斑の訓練の相手をしてもらう」

ラウラ「…お断りします、私は夏季休暇の間、祖国に戻り、ISのデータの提出、他の隊員との訓練、父上との観光等、織斑春人に構っている暇などありません」

 

ラウラは千冬の手を払いのけ、その場を去ろうとしたが、千冬は出席簿を持ってラウラに殴り掛かった

だが、それはラウラには届かなかった、なぜならば当たる瞬間に黒い獅子が現れ、千冬の出席簿をその腕で叩き落としていたからだ

 

千冬「な!? いつの間に」

ラウラ「ナッツ、お前が手を出すまでもないぞ」

 

ラウラは黒い獅子、ナッツの喉を撫で、ナッツは気持ちよさそうに目を細めてラウラに懐いていた

 

千冬「な、何なんだ、ヴォルフスと言い、フェイリスと言い…その動物は…学園ではペットは禁止のはずだ…」

ラウラ「ペットではありません…私の右腕にして、コア人格の具現体…名はナッツ、機体名は黒い月(シュバルツェア・ムーナット)ですよ…Haben Sie verstanden, Orimura Lehrer?(ご理解いただけましたか、織斑先生)?」

 

ラウラはドイツ語で言い捨てると、去って行った

その後、ロランが溜息を付きながら書類を持って歩いてきた

 

ロラン「…全く、ラウラの奴…人の予定を何だと思っている…」

千冬「ロラン・ヴォーデビッヒか」

ロラン「織斑先生、何か御用ですか? 俺はこれから夏季休暇の申請に行くところなのですが」

千冬「貴様、ボーデヴィッヒに何を吹き込んだ?」

ロラン「何を言っているんだ…? 俺は彼奴を鍛えただけだ…その上で人の死と己の弱さを教えた…」

千冬「弱さだと? そんなもの何になる、強くなければ意味がない、弱さなど必要ない」

 

ロランは溜息を付き、千冬を見た

 

ロラン「…そうか…なら、お前は指導者失格だ…」

 

ロランははっきりと言い捨てると書類を持って立ち去って行った

千冬はそれを睨むことしかできず、血が滲むほど手を握りしめていた

それを何かが見ていた、黒く、ダイヤモンドカットが施された宝石、その中心に赤い目がギョロリと存在し、その宝石は狂気じみたほど歓喜で歪んでいた

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