ナツキ達は勇に招待され、更識邸に上がった
ナツキ「それにしても、楯無さんの家って本当に広いんですね」
勇「ああ、一応、昔からある武家の家系だったからね、これでも色々とパイプがあるんだ」
鈴音「そうなの?」
楯無「ええ、そうよ」
カイト「…でも、楯無のお父さんがそんなに凄い人だとは知らなかった」
カイトはさりげなく勇に対して物凄く酷いことを言った
勇はその言葉が突き刺さり、倒れそうになった
シアン「カイト、思ってても言っちゃだめよ、子煩悩で恐ろしいほど威厳が無い人物に見えても本当は威厳のある人なのよ」
ナツキ「シアン、お前も酷いこと言ってるよ、勇さん本当に凹んでいるから」
勇はカイトとシアンの言葉が突き刺さり、完全にいじけていた
その時、ナツキの携帯が鳴った
ナツキ「あ、レックからだ…もしもし…」
レック『ナツ、今どこにいるの?』
ナツキ「今、楯無さんの所にいるけど、何かあったのか?」
レック『いや~…今エドとツキネと合流しちゃってさ…助けて…』
ナツキ「エドと一緒って事は…簪もそっちに…?」
レック『ううん、簪はもうそっちに向かっているはずらしいよ、警察から解放されたようなんだけど…』
その時、外からバイクのエンジン音が鳴り響き、玄関まで全員で向かった
玄関の戸を開けると、五台のバイクが並び、その先頭にはバイクヘルメットを被った簪が青いバイクに乗っていた
簪「わりぃ、ちょっと昔世話になっていた所に挨拶してたら遅くなっちまった」
不良1「姐さん、申し訳ねぇっす、つきあわせちまって」
不良2「姐さん、また一緒に走りましょう!!」
簪「別にいいぜ? アタイもストレス溜まってたからよ、いい気晴らしになったぜ」
不良達は気さくに簪と話し、その光景に勇は少しだけショックを覚えていた
勇「娘が非行に走った…」
楯無「どうしてこうなったのかしらね…本当に…」
ナツキ「なんでも、エドさんの所にいたのが原因らしい…」
ラウラ「エド…確か風と呼ばれているライダーだったな…あってみたいな…」
ナツキ「やめとけ、バイクで引きずられるぞ」
不良3「あ、姐さん、貴方の友人もお連れしました!!」
不良3はそう言って後ろに乗せていた少女を優しく降ろした
少女がヘルメットを外すと、その少女の顔が露わになった
本音「あ、ユキちゃんだ~」
ユキ「えっと…皆さん、こんにちは…」
ユキは礼儀正しく一礼し、すぐにナツキの元に駆け寄った
不良4「俺達はこれで、姐さん、今度一緒にひとっ走り行きましょう」
不良5「そんじゃ、俺達はこれで、姐さん、お達者で」
不良達はそのままバイクで走り去って行った
箒「物凄く嵐のようだったな…」
鈴音「本当に…」
ユキ「あ…その…お邪魔しますね…」
ユキはそう言って、中に入った
勇はそんなユキを見た瞬間、電流が走った感覚がした
勇「いらっしゃい、ユキちゃん、ここを家だと思ってくれてもいいんだよ、ささ、客室に案内しよう」
簪「父さん、ユキちゃんに変な事したら国連が一気にここに来るかもしれないから気を付けてね?」
勇「……するわけないだろう、簪」
楯無「お父さん、今絶対、考えていたわよね?」
勇は何故か顔を背けながら答え、楯無は確実に自分の父親である勇が何かしらの事をしようとしていたのが分かり、溜息を付いた
その時、虚が来た
虚「いったい何の騒ぎですか?」
楯無「あ、虚ちゃん、今簪ちゃんがお客さんを連れて来ちゃって…後でお茶をお願いできるかしら?」
虚「わかりました、では皆様、ここでは何ですので、上がってください」
虚が淡々と言うと、全員屋敷に上がった
その時、ユキは虚の事を理想的な女性に見えたそうなのだが、人間、誰しも欠点があることを知らなかった
客室に案内され、ナツキ達は軽く談笑していた
ユキ「えっと…本音さん…こちらで預かっていたアカノミヤマネを連れてきました…」
本音「本当~! ユキちゃんありがと~♪」
ユキが肩にかけていたポシェットから何日か前に仲良くなったアカノミヤマネが飛び出した
アカノミヤマネは出てくるや否や、本音に飛び乗った
ヤマネ「キュイ!」
本音「あはは、くすぐったいよ~」
虚「!?」
アカノミヤマネは本音に頬ずりをして本音はくすぐったそうにしていた
虚はアカノミヤマネを見た瞬間、持っていたお茶の入った盆を落としそうになった
ユキを含めたその場にいた全員が何事かと思い、虚を見た
虚「本音…その生き物…何…?」
本音「この子は向こうの世界でお友達になった子だよ~」
ナツキ「あれ、虚さん、何でそいつを凝視してるの?」
箒「何故だろうか、今一瞬だがユキには見せちゃいけないことが起こりそうな気が…」
箒はそう言いながらユキの目を塞ぎ、鈴音が耳を塞いだ
ユキは何が何だか分からなくなり、パニックに陥っていた
そんな中、虚は本音に近づいた
虚「本音、その子、私も触っても良い?」
本音「良いよ~、この子は大人しいし、お姉ちゃんにもすぐ懐くと思うから~」
虚がアカノミヤマネの頭を撫でようとした瞬間、アカノミヤマネは突然全速力で逃げた
虚「・・・」
カイト「…え?」
本音「お姉ちゃん、やっぱり動物には好かれないんだね~」
虚「…お嬢様…泣いていいですか…?」
楯無「えっと…虚ちゃん、元気出して、そのうち良いことあるから」
虚は若干涙声で楯無に話しかけ、楯無はそんな虚を励ましていた
ナツキ「なんで動物に好かれないんだ? 虚さんは…」
本音「それがね~、お姉ちゃん、動物が大好きなんだけど、大好きすぎて避けられるんだよねぇ~」
鈴音「好きすぎて煙たがれるタイプね…」
鈴音の言葉が虚の心に突き刺さり、虚は倒れそうになった
虚「…お嬢様…私は失礼させていただきます」
虚は若干涙ぐみながら出て行った
そして、箒と鈴音はユキの目と耳を離した
ユキ「えっと…何かあったんですか?」
箒「ユキ、お前は何も知らなくてもいい」
鈴音「ええ、それがあなたの今後の為よ…」
ユキ「は、はぁ…」
ユキは納得していないのだが、とりあえず返事をした
ユキ「あの…よろしければ…泊めてくれませんか…?」
楯無「良いわよ、部屋も開いているし」
ユキ「ありがとうございます!!」
ナツキ「あ、それとレックも助けてもらえるか? なんでもツキネとエドさんといるらしいんだが…」
ユキ「わかった…」
その瞬間、黄金の扉が現れ、なだれ込むようにレックとシャルロットが出てきた
レック「た、助かった…」
シャル「うん…本当に色々…」
その時の二人の顔は焦燥しきっており、ふらりと倒れた