インフィニット・ストラトス 宝石と宙   作:在原昴

57 / 69
怒り

ナツキ達は楯無の家で残りの夏休みを過ごすことになり、現在、レックとナツキは道場を借りて模擬戦を行っていた

 

ナツキ「やっぱり、強いな、お前は」

レック「これでも鍛えているからね…そう簡単に負けはしないさ」

 

ナツキの蹴りをしゃがんで躱し、レックはそのまま足払いを放った

それをくらったナツキはバランスを崩したが、すぐに態勢を立て直し、殴り掛かろうとしていた時、チャイムが鳴った

その音を合図に、模擬戦が中断された

 

レック「誰か来たのかな…?」

ナツキ「みたいだな…でもいったい誰が…アランあたりか…?」

レック「少し行ってみようよ」

 

その言葉とともに、二人は玄関へと向かった

 

玄関に二人が付くと、虚と見慣れない女性が何やら揉めていた

 

虚「ですから、貴方は何者ですか!? 何者かわからない人物を屋敷にあげるわけには…」

?「お願いします!! 息子に合わせてください!!」

ナツキ「虚さん、何かあったんですか?」

虚「あ、ナツキさん、実はこの人が…」

?「…一夏…?」

 

その女性はナツキの昔の名前を口にして近づいた

ナツキは警戒し、レックも針を取り出して構えていた

だが、レックはその女性の目を見た途端、針をしまった

 

?「一夏、会いたかった!!」

ナツキ「ちょっと待て、あんた何者だ!?」

?「ごめんなさい…私は織斑暦…織斑一夏…あなたの母親よ」

 

それを聞いた瞬間、虚とナツキが驚き、レックは何とも言えない表情で彼女を見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暦は客室に案内され、ナツキは暦と向かい合う形で座っていた

 

暦「…」

レック「えっと…ナツのお母さんなんだよね…僕はレック・ヴォルフス、ナツキの師匠だよ」

暦「息子がお世話になっています…」

ナツキ「なあ、何で俺を置いて何処かに行ったんだよ…」

暦「そ…それは…」

ナツキ「親父は今何している」

暦「ごめんなさい…今は言えないの…」

 

暦はオドオドしながら答えたが、ナツキは怒りで震えていた

 

ナツキ「ざけんなよ!! 俺を生み出しておいて、俺は織斑千冬にいいようにされるために生まれたのか!? 付属品と言われてきたのが分かんねぇのか!?」

暦「そ…それは…」

ナツキ「憎い…憎い…」

 

ナツキの体から黒い霧が立ち上った

 

レック「これって…マズイ!! ナツ、憎しみに飲まれたら!!」

ナツキ「…憎い…全てが憎い!!」

 

黒い霧がナツキを包み込んだ

 

暦「これって…もしかして…」

レック「…ナツ…やっぱり体内に黒い宝石が埋め込まれてしまっていたんだね…」

ナツキ「ガルルルルルッ」

 

黒い霧が晴れ、そこには黒い和服をまとい、狐の能面を被り、黒い狐の尾が生えたナツキが獣の唸り声をあげながら立っていた

 

レック「…おいでよ…いつもよりも本気で組み手をしてあげるからさ…!!」

ナツキ「ガルアァァァァァァァァ!!!」

 

レックの姿が妖の姿に変わり、ナツキが殴り掛かろうとしたのを紙一重で交わして狐の尾を掴んで地面に叩き付けた

ナツキはすぐに体勢を立て直し、右腕を前に突き出した

その瞬間、レックはその右腕に引き寄せられていた

 

レック「これって…引力…!?」

ナツキ「グルアァァァァァァ!!!」

 

ナツキは引き寄せられたレックの腹にめがけて拳を放った

拳はレックの腹に突き刺さり、レックは口から血を吐きながらふっ飛ばされた

 

レック「やっぱ、天亡の宝石は厄介だね…でも、やるしかないよね…」

 

レックはよろけながら立ち上がり、扇を広げた

 

ナツキ「ガルルルル!!!」

レック「さあ、舞い踊ろうか…」

 

ナツキはレックに飛びかかり、レックはそれを躱しながら舞うように鋭い蹴りをナツキの脇に放った

そしてそのまま中庭の方向にふっ飛ばしたが、レックもナツキの手から放たれた黒い球体に引っ張られ、中庭に出た

 

レック「引き寄せられるのは少し厄介かな…」

ナツキ「ガルル…『ヤミツキツネ』…!!」

 

ナツキの尾から黒い球体が現れ、辺りの物を吸い込み始め巨大化し始めた

レックも引き寄せられそうになっていた

 

レック「あれに引き込まれたらマズイ…それに、このままでも結構危ないかもね…僕も本気の本気…生涯で一度しか使わなかったあれを使うしかないか…」

 

レックは自分の足の裏にダイヤモンドの棘を生やして地面に突き刺し、引き寄せられるのを防いだ

そして、両腕を前で交差させた構えを取った

 

レック「…『オーバーゼロ』!!」

 

交差させた腕を後ろに引き抜くような動作を取ると、辺りにすさまじい冷気がレックから溢れだし、中庭を銀世界に変えた

そして、冷気の中心にいるレックの外見も変わり、白い髪はそのままだが狼の鬣のようになり、纏っている和服も所々霜が付いていて、模様も鯉の絵から桜の絵に変わり、狼の描かれた陣羽織を羽織って立っていた

その眼の瞳孔は縦になり、目付きも鋭くなっていた

 

レック「…これが本当の本気…そして…最大最高威力の…」

 

レックは両手を空に掲げ、今までよりも巨大な氷の大剣を創りだした

 

ナツキ「ガルラァァァァァァァァ!!!」

レック「『ダイヤモンドエクスカリバー』!!」

 

二人は大技をぶつけようとした時、何者かが来た

 

箒「……ナツキ?」

 

箒が偶然通りかかり、ナツキを見た

ナツキもその声で箒の方向を見た途端、黒い球体が消え、苦しみだした

レックはその隙を見逃さず、氷の大剣を消し、ナツキの顔を思いっきり殴りつけ、中庭の松の木に激突させた

ナツキは意識を失い、元の姿に戻った

それと同時に、鈴音や簪、楯無とカイトと本音、シャルロットとラウラとユキも駆け付けていた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。