はくのんの受難   作:片仮名

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プロローグで誤字とは恥ずかしい(;´・ω・)
きっとこれからも誤字は多発する(確信)

こんなところでなんだけど、FGOのイベントでやらかしました。

オールチョコとクラスチョコを交換できるじゃん?
クラスチョコを原料チョコに交換できるじゃん?
原料チョコを各種モニュメントと交換できるじゃん?

ライダーチョコがあったから、原料チョコにしようとしたら……ライダーモニュメントを選択していたのである。
気づかぬ私はスライダーをマックスに引き上げ、交換をポチリ。
メルティ用の原料チョコおよそ1800がモニュメントになって消えました……

絵で気づけよ私!
深夜の眠たい時間に惰性でぽちってたのが悪いんですかねぇ……






二話

 

 

 

 

 さて、翌日である。

 検査結果の後、私の事を考えてか一人で考える時間が必要だとその場で解散となった。

 当の本人である私にしてみれば、罪悪感に打ちふるえていたにすぎないのだが。

 何にせよ解散、ならば部屋にと戻って……ベッドに転がってからの記憶が無い。

 どうやら私は思っていたよりも疲れていたらしく、検査時に少し寝たにもかかわらずその後も爆睡してしまったらしい。

 私の意識が覚醒したのは、結局起きてこない私の様子を見に来たマシュに起こされてからである。

 朝から後輩が覗き込むようにこちらを見ている光景には和まされた。

 

「あの、先輩……本当なら一緒に戦闘訓練に付いていきたいのですが、少々、その……」

 

 そういってマシュは廊下の向こうをチラリと見る。

 方角的に中央指令室、ということは所長関連の話なのだろう。

 これ以上時間を割いて所長にマシュが怒られるのはいたたまれない。

 だから気にしないで行ってほしい。

 

「うぅ、ドクターに変なことをされたらすぐに言ってくださいね……それではまた、後程」

 

 マシュはそういって廊下の向こうへと姿を消した。

 さて、それでは私も一度ドクターのところへ向かわなくては。

 ……それにしても、戦闘訓練とは物騒な話である。世界が終わりに向かっているとのことだからそれなりの脅威があるというのは分かるのだが、マスターでもない小娘まで戦力として当てにしなければいけない状況が起こりうるのか。

 そんなことを考えながらドクターのラボへとたどり着く。

 

「ん、やぁおはよう岸波ちゃん。うん、顔色は良さそうだね。昨日の今日だけど、所長から戦闘訓練のメニューが届いてね。まぁさすがの所長も素人に無茶な訓練はさせないってことで、最低限押さえておくべきとこを抜き出してくれたみたい」

 

 何だろうか、これで所長に感謝の言葉を伝えたら

 

 ――べ、別に貴方のためじゃないわよ! 使えるようにしておけば便利と思ったから、暇つぶし程度に考えただけ!

 

 とかなんとかツンデレな言葉が返ってきそうである。

 

「所長と出会って、そんな感想を持てる君は本当に稀有だと思うよ。しかもこれが案外いい線ついてるしね。と、まぁ雑談はここまでにしておこう。予定時刻までに訓練のレポートを提出しないと怒られちゃうからね」

 

 それは避けたいところである。

 ならば早速その戦闘訓練とやらを始めるべきだろう。

 

「それじゃあ場所を移動しようか。カルデア内にはアリーナがあってね、そこを使うんだ」

 

 アリーナか。

 ぶっちゃけ記憶の中にあるアリーナは碌な思い出がないのでちょっと……。

 いつだってあのアリーナは私たちの戦場であった。まぁここはムーンセルじゃないし大丈夫だろうけど。

 

「ここがアリーナだ。更衣室はあっちだから、そこでこの制服に着替えて。カルデアが作った戦闘服なんだ」

 

 このオレンジ色のぴちっとしたのが?

 なんだろうか、かつて見た凛の相棒である青いランサーが一瞬脳裏をよぎった。

 いやいや、あれも立派な戦闘服だし、うん。青タイツじゃないし。

 

「着替え終わったら更衣室の奥からアリーナに入れる。僕はモニタールームに行ってるね」

 

 そういってドクターもまた別の部屋へと姿を消した。

 取り残されるのも気まずいので私もさっさと更衣室の中に入り――かつてマイルームで着替えた要領で高速着脱!

 この間わずか五秒……!

 以前よりも早く着替えができるようになったかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わってアリーナである。

 何もない広い一室、本当にこの部屋には何もない。

 ここで一体どうやって戦闘訓練を受ければいいというのだろうか。

 

『モニター室から失礼するよ! うん、やっぱり疑問に思うよね。でもこのアリーナ、何にもないけど中々凝っててね?』

 

 マイクの向こうで機械の操作音が聞こえた。

 するとそれに連動して何もなかったアリーナの地下から何か人形のようなものがせりあがってきた。

 ……なんだろうか、あの人形。とっても嫌な予感がするの。

 

『じゃーん! 戦闘訓練用に開発されたドールだよ! このアリーナは表面上は何もない広い場所だけど様々なギミックがあってね。地下にはこういったドールが多く収納されているし、ホログラフによる魔術の訓練だってできるんだ!』

 

 やっぱりかー!

 この人形と私が闘うことになるのか! 一人で!

 あの絶望的な光景を思い出さずにはいられない!

 

 応えてくれた、赤い弓兵の背中。

 応えてくれた、赤い暴君の声。

 応えてくれた、青い妖狐の踊る尻尾。

 

 ここに彼らはいない。

 

 ……まぁ流石にあの、サーヴァントでないと倒せないような戦闘力は誇らないだろう。

 大丈夫大丈夫、きっと大丈夫。

 

『ちなみにそのドールは英霊――まぁカルデアを説明したときに出てきたかつての英雄のことだけど、彼らでもってして余裕で倒せる。魔術師だったら一流じゃないと倒すのに時間がかかるかなってくらいには性能がいいものだよ』

 

 ――殺す気か、貴様。

 

『あっはは、大丈夫だよ。ギリギリは見極めるし、ギリギリを見極めるためにこのドールが選ばれたんだから。ちなみにマスター候補はこれらを一人で打倒するのが最終的な目標になる予定だよ』

 

 マスターってバケモノの総称だっけか。

 これを一人で打倒するとかありえない。

 

『勿論、魔術を使ってさ。このドール、戦闘能力があるとはいっても肉体的なものだから魔術は使えないんだ』

 

 なるほど……で、ここに魔術も使えない人がいるのだが。

 

『当然、ドールの性能は制限するよ。命にかかわるような危険はない、断言する。それに今日は岸波ちゃんがどれだけ動けるかの確認だから、無茶なことはしないよ』

 

 この流れ、絶対に戦わないといけないやつだ。

 ぶっちゃけ私の素の戦闘能力なんて――――うん? ちょっとくらいなら戦えるっぽいぞ?

 そういえば私、生前のアーチャーに戦闘訓練を半年程マンツーマンでみっちり教えられてたっけ?

 ……今更だけど、本当になんなのだろうかこの記憶の混雑は。私が契約したサーヴァントは一騎なのに間違いはないのに、四騎の記憶がこの体の中にはある。そのどれもが間違いなく本物であると自身が認識している。どれも私が経験した事実なのだと。

 

『それじゃあドールを起動するよ。準備はいいね?』

 

 っと、考えている場合じゃなかった。

 取りあえず武器、武器を所望する!

 

『武器かい? うーん、まぁいいんだけど……使えるの?』

 

 使える――――はず!

 あの記憶が本物であるならば、私はある程度双剣ならば扱えるはず。常に双剣を使用した英雄の手ほどきを受けたのだから。彼は天才ではなく、己の修練であの領域に至った。そんな彼の手ほどきを彼の戦いをずっと後ろでみていた私が受けた。

 結果とすれば、当然ながら彼の領域には至らなかったが、まぁ、うん、暴徒くらいなら相手できるかな。二人くらい。

 

『取りあえず、要望通りに双剣を用意したよ』

 

 手に持ってみるが、なじまない。

 そりゃあ量産品だろうし、かつての双剣にくらべれば格が違うのだからしょうがない。

 兎に角準備は整った――!

 

『よし、それじゃあドール起動! 怪我をしないように気を付けてね!』

 

 今日こそ人形を打ち倒す!

 かつてのトラウマを克服する時である。

 

 ――かかってこいやー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 十分後。

 

 

 

 ――無理だー!

 

 記憶はあれど、経験はあれど、体がついてくるはずがなかった!

 イメージは浮かんでくるのにその通りに体が動いてくれない。

 ぶっちゃけ反応が悪いのである。コントローラーの反応が悪くてコマンド入れてるのにキャラが動くのにラグがある感じ。

 いやもうほんと、今の今までよく持ったものだと自分をほめてあげたいくらいである。

 

『……ちょっと驚いたな。まさか岸波ちゃんがここまで戦えるなんて。機能制限するって言ったけど、様子を見ながらちょっとづつ制限解除してたんだけど』

 

 聞き捨てならぬこと聞いた気がする。

 弁明があるなら聞こうじゃないか。

 

『上司の命令』

 

 ……何にも言えない。

 しいていうなら覚えてろよ所長。

 

『いや、僕も反対したんだけどこれがやってみるといい線行っててね?』

 

 じゃあもういいだろう。

 今日は様子見だったというのだから、大体のデータはとれたのでは?

 

『あはは、そうだね。それじゃあ今日はここまでにしようか。そのうち岸波ちゃんもドールの制限無しに挑んでもらうことになるから頑張ってね』

 

 ちなみにアレでどれくらい解除されているのでしょうか。

 

『半分くらいかな……うん』

 

 半分で受け止め避けるで手いっぱいだったのにフルパワーとかないわー。

 絶対に開始数秒で意識を刈り取られる自信がある。

 

『あ、あははは。でも大丈夫さ。岸波ちゃんもその時には魔術が使えるようになってると思うよ』

 

 だといいのだが。

 ……それで、もう十分だとのことなので終わりたいのだがどうすればいいのだろうか。

 

『うん? 普通にアリーナから出てくれて大丈夫だよ? シャワールームは着替えた部屋に併設されてるから自由に使ってね』

 

 気遣いありがとう。

 でもそうではないのだ、そうでは。

 

『あれ、まだ何かあった? ああ、着替えだね! それじゃあマシュに頼んでおくよ』

 

 ああ、うん、それも必要だった。

 でも――――その前に、ドール止めてください。

 

『――――――え、止まってないの?』

 

 止まってないの。

 というかなんかうぃんうぃん言って、先ほど以上に元気はつらつなの。

 

『いや、でも確かに僕ドールは停止させ――』

 

『――フォーウ!』

 

 ああ、わかった犯人分かった!

 もう犯人は分かったから今すぐ止めてほしい!

 

『そ、それがコンソールが操作を受け付けなくて! かといって破損があるわけじゃ!? って、アリーナにロック!? これじゃあ出られないぞ?!』

 

 死刑宣告ですか。

 いやいやいやいや、どうしてこうなるの。

 ドールはすごいやる気で、私はもうヘトヘトでろくにうごけはしない。たとえ動けたとしてもアリーナの入り口がロックされているらしいから、出ていくこともできはしない。うん、詰んだ、どうしようもなく詰んだ!

 いつだってこの世は理不尽ばかりである。

 

『岸波ちゃん、少しだけ頑張って! 応援を要請したから!』

 

 もうドクターの声を気にしている余裕はない。

 振りかぶられたドールの拳が眼前に迫る。轟音、そしてその速度に怯え尻もちをつくことで偶然ながらに回避する。

 しかしドールは手を緩めてくれるなんてことはなく、無機質な瞳が私をしっかりととらえている。

 

 

 ――ああ、またこうなるのか。

 

 

 私という人間の始まりは、間違いなくこうだった。

 ただの学生のように生活し、嘘で塗り固められたその生活を脱却し、死が付きまとう殺し合いの中に身を置いた。その始まりは間違いなくこうして、何の感情もないだろう人形との命のやり取りから始まったのだ。

 ここには何もありはしない、誰もいはしない。

 

 

 ――だからと言って、諦める理由にはならないが。

 

 こんなことで諦めていたなら、私はとうの昔にデータの海に溶けていた。

 私が今もこうしていられるのは、諦めない自分と支えてくれた仲間がいてくれたからだ。

 

 ――なら、私がやることはいつも通りである。

 

 前を視ろ、決して折れるな、その過程はきっと報われる。

 ここに彼らと縁を結ぶものはない。この場を乗り切るのは自分自身。

 イメージするのは最強の自分。そんなことを言っていた赤い弓兵がいた。私が想像できる最強の自分は当然、トワイスと戦った自分や魔性菩薩と戦った自分。言ってしまえばマスターとしてレベルを最大限まで上げた上に礼装全部回収して装備、焼きそばパンとプレミアロールケーキなどアイテムいっぱいの自分。

 

 ――この体には魔術回路がある。

 

 真の魔術がどんなものかは未だよく把握してはいないが、コードキャストに近いものだと思う。

 確かコードキャストと魔術は肉体に備わった魔術回路の使い方が違うだけだと誰かが言っていた。月で使用していたのはムーンセルのマナであったが、ここで使うのは自分自身の魔力だ。私は間違いなく、魔力の使い方は知っているはずなのである。

 問題があるとすれば、魔力は使えても魔術として行使できるかどうか。

 何にせよ、回路を起こさなければ始まらない。

 起動の合言葉は人それぞれだというが、私にはこれがふさわしい。

 

 ――『再開(スタート)

 

 体に眠る魔術回路が悲鳴を上げる。

 長いこと使われていなかったため錆びていたかの如く、回路の起動と共に痛みが走る。起動した魔術回路は魔力を生成し、閉じていた回路を強引に開き続ける。体の中を削られているような、何かを引き剥がされているかのような想像を絶する痛み。

 しかし、この程度の痛みでは私は気絶なんてできはしない。

 痛みを感じながらも、体を走る回路を認識できる。

 

 ――同様に、この体に走る刻印が何かなんて知らない。

 

 赤く、令呪のように刻まれた刻印たち。

 一つだけではない、およそ40にも及ぶ刻印が体のあちこちに刻まれ熱を放つ。これがドクターの言っていた魔術刻印とやらなのかは知らないが、意識を向けてみれば嫌でもわかる。これが一体なんなのか、どう使う(・・・・)のか。

 ああ、そうだ、これは間違いない。

 

『岸波ちゃん!? なんか全身真っ赤だけど! って、魔術回路が開いてるし、全身のそれって検査時に(・・・・)確認できた魔術刻印!?』

 

 検査時に私の体の状態を知っていたドクターがどこかにいるらしい。

 この件はあとできっちりと聞かせてもらうとしよう。

 

『しまった、口が滑った!? いや、こうなった以上説明はさせてもらうけど、岸波ちゃんにも説明を要求する!』

 

 説明も何も、回路起動したらこうなっただけである。

 実際のところ、この刻印たちがなんなのかを理解しているだけで、なぜこれらがここに、この体に宿っているのかはわからない。

 

 コードキャスト。

 

 そう呼ばれ、礼装に登録されていた戦う術。

 今思うと魔術刻印と呼ばれるソレと、魔術を記録する礼装はよく似通っていると分かる。

 だからだろうか、礼装の能力(・・・・・)魔術刻印(・・・・)としてこの体に刻まれたのは。

 

 何にせよ、この場を切り抜ける力であることに変わりはない。

 かつて使用していた礼装をリストアップし、このさび付いた回路でも使用できるランクのものを選び抜く。敵にダメージを与えるもの、自分自身を強化できるもの、条件を絞った中で見つかったのは序盤でお世話になった礼装の一つ。

 

 ――コードキャスト・守り刀『hack(16)』!

 

 光る骨子でできた見せかけだけの刀。

 しかし発動する魔術は敵に対して確実に効果を発揮する。

 私のこぶしなどと比べるまでもない速度で放たれる魔力の塊が、様子を見るかのように停止していたドールへ着弾する。

 サーヴァントにもほんの僅かながらダメージを与えた魔術がドールの体を吹き飛ばした。

 

『まだだよ岸波ちゃん! それじゃあドールは破壊できない!』

 

 そんなことは分かっている。

 元々、敵エネミーに当てても倒せる威力のものではなかった。

 今欲しかったのは距離である。

 

 ――コードキャスト・強化スパイク『move_speed』!

 

 刻印から魔術を引き出し、両の脚へと魔力の骨子がまとわりつく。

 アリーナで、迷宮で非常によくお世話になった非常に便利な礼装の効果は――移動速度の上昇!

 

 

 

 

 ははははは、この速度についてこれるのならば追いかけてくるがいい!

 

『あれぇ!? かっこよく覚醒とかそんなシーンじゃなかった!』

 

 私に無双とか無理ゲー。

 そもそも私の回路の量じゃ使用できる魔力量少ないし、一度に生産して使用できる魔力もこのレベルが限界だし。

 よって私が選べる選択肢は結局一つ。

 

 ――早く早く応援早く! 強化が続いてるこのうちにー!

 

 この後めちゃくちゃ鬼ごっこをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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