四年前に書いたウィザーズ・ブレイン小説第三弾

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第1話

 

…一面の雲。そして雪。

シティの中では見ることのない、生きることさえ厳しい世界。

それが今の世界。

そう考えると、自分は恵まれているのだろう。

だって、人を殺しさえすれば、シティというゆりかごの中で過ごせるんだから。

 

そう思っていた。彼に会うまで。そして命を知るまで。

 

『かわいそうなやつだ。殺すことしか知らないなんて。

 ああ、違うか。殺す、ってことがどういうことかすらわかっていないのか?

 気に入らないな。決めた。今からお前を外に連れ出す。その上で、今までやったことを後悔しろ』

 

自分のかつての。そして最初で最後、唯一の敗北。

その相手は、こう言い切った。

表情は影になって見えなかったものの―――その声は憐憫に満ちていた。

そして、実際シティの警備をかいくぐり、自分を外に連れ出した。

場所ははわからない。ノイズメイカーをつけられ、目隠しをされ。

そんな警戒の元連れて行かれた先は、一つの小さな町だった。

 

…初めて見た。

町の人は、互いに助け合い、励まし合い。

そして協力して毎日を生きていた。

涙が、こぼれた。

 

自分は、何をしてきた?

こんな風に、頑張って生きている人々を殺してきたのではないか?

何の権利があって? 何のつもりで?

 

わからない、わからないわからないわからないわからない…!

 

どうやらそのまま気絶していたらしい。気がついたらまたシティの中にいた。

無論、侵入者を捕獲できなかったために処罰を受けることになった。

 

内容は、とある町の破壊。

このシティの電力を無断で用いているらしい。

どうでもいい。自分の、戦い、殺すという行動の意味は何だろう。

何故意味のわからないことをしなくてはならないんだろう。

 

 

そんな風に考えの整理がつかないままに向かった先のその町は。

 

つい先日、自分が向かい、そして自分を一時的にとはいえ、受け入れてくれた、まさにその町だった―――

 

 

 

信じられない!いやだ!

いやだイヤだイヤダイヤダ―――!!!!

 

 

 

気がつけば、町の入り口に立っていた。後ろにはフライヤー。

その中には自分を狙う数人の兵士。

 

…笑わせる。そんな、十にも満たない人数で。

 

貴様らが最高傑作の魔法士と謳い。

酷使してきたこの「俺」を。

 

殺せるとでも思ったのか―――!

 

駆ける。行き先は町ではなく、フライヤー。

情報制御を開始、真価を発揮する。

 

(ダブルカテゴリー、「焔騎士」並列。)

焔騎士―――デュアルNo.33と同様に左脳と右脳に同時にI-ブレインの発現した希少種。

 

だが、デュアルと違い、それぞれが異なる能力を持つ。

無論、単体では二流がいいところのI-ブレインだが、その弱点を補強するためのデバイスも与えられた。

それぞれの能力は、限定的にではあるがカテゴリーAとも互角に戦いうる物となった。

 

接近戦の相手には騎士の能力を。

離れた敵には炎使いの能力で。

 

殺して殺して殺して殺して―――全滅させるのに一分もかからなかった。

 

そして彼は―――闘う意味を、殺す意味を見つけた。

 

 

躊躇いはある。かつては同じ所属であった仲間だ。

けど。彼らは自分のことを腫れ物を触るような扱いしかしてくれなかった

この町の人々は、「俺」を認めてくれた。

「俺」のことを叱ってくれた。いろいろなことを教えてくれた!

 

 

この町を守る。この町の人々の命を守る。

それだけが彼の決めた、彼の心を支える物。

 


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