マッハ3を誇るMiG-31のマックススピードで投下される対艦魚雷とか、見た目のインパクトだけは凄まじい筈
拝啓、直ぐ傍でお腹抱えて笑っている深山提督と青葉さんへ。聞くまでも無くお元気ですよねそうですよね。因みにワタクシこと駆逐艦『桜風』は唯今現在
「む・・・むらくもぉ・・・。酷いじゃないか・・・これは、男の性と言うか、ただの社交辞令だぁ・・・」
「初対面の駆逐艦娘を口説いて食事に誘うのが『社交辞令』な訳無いでしょアンタ馬鹿ぁ!!?大体アンタのその口説き癖を良い加減どうにか直しなさいよ!!!」
「それは無理だ。美しい女性を見るとどうしても、この俺の中の『漢の魂』が『彼女を口説け』と轟き叫ぶんだ!!!」
「・・・ああそう。言っても分からないのなら、覚えるまで身体に叩きこんでやるわよ!!」
「え、いや、叢雲、流石に槍の穂先を突き立てるのはギャァァアァアアア!!!」
自分の配下である筈の駆逐艦娘の叢雲に自身の上官になる提督である筈の『大石 翔』大将が全力でしばかれているのを見て大混乱しています。え、『提督』と『艦娘』の関係ってこれで良いの?
「『大演習』・・・ですか?」
「そうよ。『桜風』の性能評価試験と、今までに開発した新兵器の実践演習を纏めてする事になったの」
「・・・また急に決まりましたね、司令官」
「他所の提督が『桜風』の性能に疑いの目を向けているそうだし、もしかしたら救援や共同戦線を張る事になるかもしれないから、その時に『桜風』の指示を無視されない様にする為の予防線だからね。早い方が良い事には違いないから」
『駆逐艦『桜風』酒酔い大暴走事件』より早幾日。深山艦隊の艦娘は皆抱き着き魔となった『桜風』に対して暖かな・・・具体的には『いつでも抱き着いてきて大丈夫だよー?ほらほら、こっちに来なさいな』的な対応に終始し、それによって『桜風』の恥ずかしさと申し訳なさからくる引き籠り願望は、早々に無くなっていった。一部艦娘からは抱き着きや膝乗せをしないと犬が尻尾を丸めるが如くシュンとした表情になってしまうのも要因の一つであったが。
その後の『桜風』の日常業務は、深海棲艦相手だとオーバーキルにも程が有る為殆ど出撃する事も無く開発と建造、そして深山提督の仕事の手伝いに終始していた。ただ、開発は兎も角として、建造に関しては何度繰り返しても『一隻たりとも』成功する事は無かった。戦艦や空母、レア駆逐艦等あらゆるレシピに加えて、最後の最後には意地になった深山提督の指示で『資源消費量MAXでの大型建造』すら決行した物の、結果は『建造成功無し』に終わった。正気に戻った深山提督はその後最終的な全消費資源量をみて引き攣った笑みを浮かべた事は言うまでもない。
「相手は何処の艦隊ですか?」
「舞鶴鎮守府所属の第7海上部隊ね」
「舞鎮第7部隊・・・。ああ、あの部隊ですか」
「・・・『あの部隊』?」
「・・・まあ、悪い提督じゃ無いから、安心して良いと思います」
・・・眼を逸らしながら言われても説得力有りませんが青葉さん。
『桜風』と一緒に深山提督の手伝いをしていた青葉の行動を見て、そう思う『桜風』。幸か不幸か、青葉と深山提督が揃って小さく肩を震わせていた事には気付くことは無かった。
「やあやあお嬢さん。君が今話題の『桜風』ちゃんだね?俺は舞鶴鎮守府の『大石翔』って言う者だ。どうだい?もし良かったら演習の後にでも高級レストランで一緒に食事でもグボァ?!」
「初めましてね『桜風』。舞鶴鎮守府第7海上部隊大石艦隊所属の駆逐艦娘の叢雲よ。この馬鹿の妄言は聞かなかった事にして頂戴」
「お、おう・・・おう?おう・・・?おう?」
そして初対面で軍服を着たイケメンに開口一番で口説かれ、白髪の駆逐艦娘が何処からか取り出した槍でそのイケメンが物理制裁された情景が、冒頭部である。『桜風』は処理が追い付かずにどこかの駆逐艦の口癖になっているのはご愛敬である。
「では改めて。舞鶴鎮守府から来た『大石翔』、階級はこの前大将を拝命した男だ」
「その秘書艦で尚且つ初期艦の叢雲よ」
「はい、大石大将、それと叢雲さん。駆逐艦『桜風』と申します。明日の演習ではよろしくお願いします」
「へぇー・・・。大石君大将になったんだ。寝技でも使ったの?」
「使ってませんよ!?深山提督変な事言わないで下さい!」
「ふーん・・・寝技、ね」
「天地天命に誓ってそんなことして無いからその冷たい目線をやめて下さい叢雲殿ぉー!?」
・・・いったいなんなんだこの二人。仲が悪いようには見えないけど・・・?
『桜風』の頼りない知識と深山提督とその艦娘との生活で得られた経験では想像もつかない様子に、『桜風』はただただ、そんな感想を抱いていた。
「・・・えっと、大石大将と深山提督の関係って、一体どのような物ですか?」
取り敢えず深山提督と大石大将とは、雰囲気的に浅からぬ縁では無さそうだった為、叢雲と大石とのじゃれ合いには介入する事無く深山提督に聞いてみる『桜風』。『お取込み中の所声かけるのは・・・』と言う判断からである。
「大石君は『提督予科練』における私の二期後輩ね。一昔前に長門型や一航戦に二航戦を建造して少々天狗になっていたこの子を、丁度演習相手だった私が教育してからそれなりに付き合いが有るの」
「いやぁお恥ずかしい・・・。もしあの時に戻れたら全力で当時の俺を殴り倒したい位の黒歴史ですわ」
そう言って冷や汗を流しながら右手を額に当てる大石大将。その脳裏に過るのは、強力な艦艇を建造して浮かれてしまい、つい演習相手の深山提督配下の駆逐艦娘に『貶されている』と勘違いされそうな言葉を吐いてしまった結果、その戯言の代償を骨身にどころか本能にまで染み渡るまで味合された過去の映像だった。お陰で自身の慢心と天狗鼻は消滅し、配下の駆逐艦娘との関係も、その後の努力も有って良化したので、結果オーライと言えばそれまでであるが。
「それで、大石君の艦隊からは誰を連れて来たの?」
「つい先ほど話に出た長門型と南雲機動艦隊。それに時雨改二や夕立改二、金剛改二の様な改二改造組。・・・つまりは俺の艦隊の精鋭全てを掻き集めてきました」
「・・・本気なのは分かったわ。でも舞鶴の方は大丈夫なの?」
「『極東唯一の安全地帯』に深海棲艦が侵入してくるのなら、その時点で日本は既に終わっていますよ。それにあっちには俺以外にも提督と艦娘が居ますし」
「そう。なら良いわ」
「・・・へへっ。深山提督、俺の艦隊は『あの時』とは違います。今度は、絶対に勝たせて貰いますよ」
そう言って不敵な笑みを浮かべる大石大将。元が日本型優男と言うか整った顔立ちのイケメンで有る為、その姿はまるで映画のワンシーンのようであった。脳天にまるで鏡餅の様なでっかいたんこぶを作っていなければ、もっと素晴らしい光景だったのだが。
「こっちからの第一陣は戦艦『長門』『大和』重巡洋艦『青葉』航空母艦『瑞鶴』『加賀』駆逐艦『陽炎』の六隻。事前計画の通り彼女たちには『桜風』の開発した兵装の実践演習試験をして貰うわ」
「そして休憩を挟んでの午後からは、駆逐艦『桜風』一隻に対して俺の艦隊の全力が挑みかかる訳だな」
「・・・支援とかも含めたら一隻対二十四隻ってやり過ぎな気もするんだけど、上層部からの指示も有るからね・・・」
「・・・叢雲はこう言ってるけど、『桜風』はどう思う?」
「・・・そうですね・・・」
そう深山提督が言うと、顎に右手を当てて少し考える『桜風』。前は水を向けられたら奇声を発したり動揺で震えたりしていたが、今になるまで暫く他者と交流しながら時間が経つと、早々変な姿を見せる事は無くなっていった。適応化が進みつつあると言った方が正しいか。
「・・・問題ありません。無傷での完全攻略は難しいとは思いますが、少なくとも戦闘可能状態かつ勝利判定での終結は確実に迎えられます」
「へぇ、言ってくれるじゃないか。俺の艦隊の艦娘は後発組では有るが、少なくとも俺より先輩の提督の熟練艦娘であっても勝てるくらいには相当の経験を積んだ歴戦艦揃いだ。そいつらが群れになって襲い掛かっても勝てると言うのか?」
「ええ、もちろんです。事実ですから」
涼しい顔で大石大将の挑発的な言葉に答える『桜風』。その言葉には特に深い決意や意図、虚勢などは込められていなかった。まるで『日本人だから当然箸くらい使えます』と言わんばかりに『当たり前の表情と声色』での返答だった。
「・・・そう言えば大石君。大挙して艦娘を連れて来たのは良いとしても、まだお昼食べて無いんでしょ?」
「う、まあ・・・はい、そうです。横須賀に来れると言う事で俺の艦隊の鈴熊コンビ筆頭に都会派メンバーが一刻も早く来たがったせいで早朝始発の新幹線で来たので・・・」
「・・・青葉、『桜風』。アナウンスで大石君の艦娘を呼び集めるから、その娘たちを間宮食堂に誘導してくれる?」
「叢雲も頼む。駆逐艦勢とか大型艦連中とか、多分腹空かしてるだろうからさ」
「分かりましたー!青葉、叢雲さんに『桜風』さんと一緒に呼び集めてきますー!」
「・・・はぁ、分かったわよ。なるべく早く食堂に来なさいよ、司令官」
「分かりました。深山提督も、ちゃんと来てくださいね」
そう言って敬礼を行い、執務室から退室する三隻の艦娘たち。叢雲にどのような私服姿の艦娘が来ているのかを聞きながら退室する姿は、まるで学校教室から帰り支度をする女学生であった。
「あ、そうそう司令官。深山提督に変な事したら・・・」
「しねぇよ?!流石にもう殴られたくないわ!!」
執務室から出る最後の最後に、叢雲によって大石大将にぶっとい釘が突き刺されたが。
「・・・それで、深山提督は未だ少将のままなんですね。俺ですらもう大将になっているって言うのに」
「階級なんてただの飾りよ。自衛海軍における提督の権限は『艦娘への指揮』に限定されているから、私達提督に預けられた階級なんて『戦意高揚』くらいの意味合いしかないんだから」
「・・・『階級は飾り』と言い切るのは深山提督位な者ですけどねぇ・・・」
「他人は他人、私は私。第一日本を守る為に戦っている以上、余計な荷物は要らないの。無駄に階級高いとマスコミ取材とかがうっとおしいらしいしね。私は皆との時間をそんな事で削られたくないし」
・・・こんな性格の人だから第一期生の連中に目の敵にされてるんだろうなぁ・・・。本当に相変わらず、権勢欲が極端に乏しい通り越して殆どない人なんだから・・・
口には出さないが内心そんな感想を抱く大石提督。良識派とも言うべき提督たちの間では、『深山満理奈』と『提督予科練 第一期生』との関係は修復しようが無いほど悪化している事は、表沙汰にされていない為表面上は言われていないが、それなりに知られていた。まあ、悪化した原因が『深山提督を失脚させようとした人間が次々と提督の地位から
「・・・深山提督、気を付けて下さい」
「・・・何を、かな?」
「このところ、『第一期生』は血相を変えて手柄と手駒の確保に奔走しています。実際俺の所にも来ました。当然ながら、即刻叩き出しましたが」
「・・・それがどうしたの?」
「連中、もしかしたら権力保持の為に『桜風』を謀略や武力で強奪しようとするかも知れません。・・・有り得ないとは思いますが、追い詰められた小物は何をやりだすか分かったものでは有りませんから・・・」
「まったく・・・心配性ね、大石君は」
そう言いながら、深山提督は大石提督に対して苦笑しながら、冗談めかしつつこう明確に切り返した。
「私の大切な
今回出て来た大石提督。元ネタでえぐい最後を遂げるも、やる夫スレとかではカッコイイタイプなどに改変されて登場している事もそれなりにある『い』で始まって『と』で終わる名前のあの人っぽい人です。取り敢えず深山提督のサポーター兼常識人枠での突っ込み役で出演出来たら良いなぁ(願望系)と思います。
それとこの世界では普通に同名の艦娘は多数存在します。好みや性格、友好関係、それに細かい容姿もそれぞれ違うので、提督であれば見分けるのは簡単では有りますが。
追記:提督の最後の発言を『この世から居なくなって貰う』から『勝手にこの世から消えてくれる』に変更。変更前では表現がストレート過ぎましたので。
追記:『人類最後の平和な聖域』を『極東唯一の安全地帯』に変更。