君に気持ちを伝えたい   作:世嗣

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副題「何時でも男子はこんな会話をしてる」


最近シリアス否、シリアスもどき続きだったので久々にほのぼのな話をば。


大変お待たせしました。




七月二日

「チンク、僕最近気づいたことがあるんだ」

 

朝ばったりと出会ったチンクと一緒に登校中に僕は突然そう切り出した。

チンクが小さく首を傾げる。その小動物ちっくな可愛さに胸を打たれるものを感じながら話を続ける。

 

「テスト、近いな」

 

「そうだな……」

 

二人で夏の透き通るように青い空を見上げる。みんみんと喧しく泣き続けるセミが暑さを際立たせる。

 

テスト。

 

それは魔の三文字だ。

 

全国の中高生の多くはその一言だけで膝をつきこうべを垂れる。

それほどの破壊力をもつ三文字(デスワード)である。

 

そしてその中高生には僕とチンクも含まれる。

 

「前の中間テストどうだった」

 

「聞かないでよチンク」

 

僕は主要三教科は特に英語が壊滅状態なのだ。どれくらいかというと小テストのdangerをダンガーと読んだくらい。

 

「はあ、憂鬱だ……」

 

二人してとぼとぼと学校へと向かう。

 

「何そんなに落ち込んでるの?」

 

背後からそんな俺たちを呼び止める声がした。

振り返ると藍色の髪に緑の瞳の高身長の見知った少女。

 

「げ……」

 

「何が「げ……」よ。そんな悪いものでも見たみたいに」

 

うるさいぞ大魔王(ギンガ)。僕はオマエとあっていいことなんかねぇよ。僕とチンクの登校時間を邪魔しやがって。

 

目を半眼にしてギンガを非難するが、当のギンガはふんふんと鼻歌を歌いながら僕の反対、チンクの左隣を陣取った。

 

「よかったわねちゃんと一緒に登校できて」

 

ギンガがチンクに耳打ちするとチンクはたちまち顔を真っ赤にして、こちらを睨んだ。

 

「そ、そんなんじゃないからな!本当に、本当にた、ただの偶然だぞ?」

 

目の焦点をぐるぐると合わせないチンクは、普段のクールな仕草とあまりにもギャップがありすぎて可愛い。

 

「うん。わかってるって。ただの偶然でしょ」

 

「ああ、そうだ、その通りだ」

 

ギンガはそんな実の妹の様子を見てニコニコと笑っていた。

コイツ実の妹の醜態をみて喜んでいる……ヤベェ。

 

隣に目を向けるとチンクは未だ赤い顔で俯いていた。そんなに恥ずかしい話題だったのか。

 

「なんかさ、こうして3人で並んでると昔を思い出さない?」

 

ギンガ立ち止まり静かに目を空にあげた。つられて僕とチンクも空に目を向ける。

見上げた空は先ほどと変わらず目にしみるくらいの青だった。

 

「そうだな、私がいて、姉さんがいて、ケイがいた頃だ」

 

チンクが昔を思い返すように静かにそう言った。

懐かしい、もう帰ってこない大切な思い出だ。

 

「別に今も三人でいるじゃん」

 

「そういうのとは、違うんだよ」

 

僕のぼやきにギンガが呆れたようにため息をついた。

ふと目を閉じると昔の姿を幻視する。

 

男の子と銀髪の女の子と藍色の髪の女の子が手を繋いで歩いている姿を。

 

その姿を見て今と昔が変わってしまったということを理解する。

 

「ねえ、二人ともあと一つ言ってもいいかな」

 

ギンガが立ち止まった僕らの列から外れ数歩進んで振り返った。

 

「実はーー」

 

ギンガの唇が言葉を紡ぐ。

 

僕とチンクには驚愕の、その言葉を。

 

「あと2分で学校始まるんだ」

 

何を言われたのか理解できなかった。

 

隣のチンクが慌てて腕時計を見たので僕もその時計を覗き込む。

 

登校時間終了まであと2分。

 

そして、いま1分になった。

 

「じゃあね!私はもう行くよ!」

 

ギンガが僕らをおいて走り出す。

 

「はぁ?ギンガそれはちょっとないぞ!」

 

全力で走り出した脳筋(ギンガ)を追いかけて僕も走り出した。

 

「わ、私を置いていくな!」

 

一人出遅れたチンクが走って僕らを追いかける。

 

「ほら、あと30秒走って、禊!マッハ20くらいで!」

 

「そんな黄色の超生物みたいなことできるか!」

 

過去には戻れない。

 

でも僕らは今を、しっかり走り続けている。

 

「二人とも足が速すぎるぞぉ!」

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「ということがあったんだ」

 

「あったんだ、じゃない。このバカ」

 

昼休みクロノと二人で屋上で弁当をつつきながら朝のことを話していた。

弁当をつつく、といっても僕はカロリーメイトなので齧るが正しいんだけどね。

 

「それでテストがやばいって?」

 

「そうなんだよ。特に英語がデッドゾーン」

 

「そんなの僕が知ったことじゃないな」

 

「固いこと言わないでよ」

 

クロノは僕を横目で見ると鼻をならして嘲笑う。

ほう、いい度胸だな。

 

「卵焼きもーらいっ!」

 

「あ、やめろ!今日はフェイトとアリシアが作ってくれたんだ!」

 

「はいはい、ゴチソウサマ」

 

さっとクロノの弁当箱から卵焼きを一つさらうと口に放り込んだ。ほんのりと口の中に甘さが広がる。

 

「美味しいね」

 

「当たり前だ」

 

「流石シスコン」

 

「黙れ脳筋」

 

二人で悪態をつきながら弁当を食べ続ける。

会話が途切れ手持ち無沙汰になった僕はなんとなく空を見上げる。

朝見上げた時と同じく目にしみるくらいの青だった。

 

「それで、何を教えて欲しいんだ」

 

唐突にクロノが口を開いた。驚きのあまり隣を見ると、クロノはやや不機嫌そうな顔で弁当箱をしまっていた。

 

「教えてくれるの?」

 

「君が僕に頼ろうとするのは珍しいからな。それくらいは友人として手伝ってやろう」

 

「流石クロノ、そこに痺れる憧れるゥ!」

 

「ふざけるならやめるが」

 

「是非ともお願いします」

 

王に(かしず)く家臣の如くこうべを垂れた。

 

「大儀である」

 

「それ殿様じゃない?」

 

「偉いしなんでもいいだろう」

 

まあ、そうかもね。

 

立ち上がってクロノの隣に戻る。

 

「あそこの女子なら誰が好み?」

 

遠くの方の四人組の女子を指差してクロノに問う。クロノは一瞬眉をしかめて考えたようだったが、割とすぐに答えを出した。

 

「あー、右から二番目かな」

 

「清楚そうだしお前好みだよね」

 

「じゃあ、君はどうなんだ」

 

「僕も右から二番目」

 

「なんだ同じじゃないか」

 

「清楚な大和撫子はみんなの憧れでしょ」

 

ポケットからペットボトルのお茶を出して口に含む。買ってから時間が随分経ったお茶は生ぬるくて、気分を爽快にしてくれることはなかった。

 

「ならあっちはどうだ」

 

クロノが今度は反対側の三人組の女子を指差した。その女子たちは此方に背中を向けていて仲良く弁当を食べているようだった。

 

「うーん、悩むねぇ」

 

一人は肩口くらいまでの茶髪。二人目は同じく肩口くらいまでの灰色の髪。そして最後の一人は水色の髪をツインテールにしていた。

此方から顔は見えないわけだから、なんとなくの雰囲気から判断するしかない。

 

「真ん中の灰色の子かねぇ」

 

悩んだけどなんとなくその子にした。まあ、ショートカットだし僕好みだ。

 

「判断基準は?」

 

「髪の長さ。僕、ショートカット好きなんだよね」

 

僕がそういうとクロノは片目を閉じて僅かに眉を寄せた。

 

「意外だな。禊はチンクのように長い髪が好みかと思っていた」

 

「いや、別に長い髪も嫌いじゃないけどさ……」

 

いや、むしろ好きなくらいなのだが。それが僕の場合はどうしても。

 

「アイツと被るんだよねぇ……」

 

「はぁ、いいかげん振り切れよ」

 

むう、と唸って三人組から目を外す。瞼を閉じればチラつくのは大切だった()()()()

 

「いやでも、ショートカットもいいよね。あの覗くうなじが何とも……」

 

「僕は長い髪に女性らしさを感じるがな」

 

クロノが僕との距離を僅かに詰める。これはクロノが特殊なセクシュアルに目覚めたわけではない。ただ単に会話が人に聞かれるとやばい方向に向き始めたので声を落としても聞こえるようにだろう。

 

「たとえばでいったら誰が好み?」

 

僕もそれに習い僅かに声量を落としクロノに問う。

 

「そうだな……2–Aのスタークスか、2–Cのエレミア、ダールグリュンなんかもいいな」

 

「僕は、うん。委員長なんかすげえ好みのタイプだし、あとはもちろんチンクだね!」

 

「はいはい、ゴチソウサマ」

 

二人で軽口を叩きあう。

 

それにしてもこうしてクロノとどうでもいい話をするのはずいぶんと久しぶりな気がするのは気のせいではないだろう。

 

まあ、僕もクロノもしばらく会ってなかったし仕方ないといえば仕方ないんだけど。

 

「しかしスタークスは少し負けず嫌いの気があるからなぁ……」

 

「委員長は怒ると死ぬほど強いんだよねぇ……」

 

二人で顔を見合わせて小さくため息。

 

「それに比べてエレミアさんは親しみやすいよね。ちょっと人見知りっぽいけどそこがいいよね」

 

「ああ、そうだ……な……」

 

会話の途中でクロノが目を見開いてピシリと固まった。頰の端の方ぴくぴくと痙攣していて、いかにもビビっているといった感じだ。

 

「どうしたんだよクローーむぐっ」

 

クロノが僕の口を押さえて静かに震える腕で先ほどの女子の方を指差す。

口を押さえられたまま顔を指差された方へと向ける。

 

瞬間、顔から血の気が引いた。

 

そこに居たのはこちらを振り向く委員長。揺れる灰色の髪が麗しい。そして眼鏡の位置を正し目を細めているシュテルン。

そしてついでに横で飴をなめているレヴィ。

 

「クロノ、聞こえてないよね」

 

「恐らくな」

 

な、なら焦る必要はないよね!

 

だって僕らがバカみたいに大声で喋っていたならともかく僕らは声量を押さえてたはずだし!

 

たらたらと背中を伝う冷や汗を必死に無視する。

 

とりあえず委員長たちに僕たちの声が聞こえてるかどうか確認してみよう。

 

「レヴィのアメ美味しそうだね……」

 

僕が先程と声量をたいして変えずにそう言うと、レヴィは唇をへの字にしてアメを僕らの見えないところへと隠した。

 

確信する。

 

ーー()()()()()()

 

「僕今日日直なこと忘れてたナァ。キョーシツにモドロッカナー」

 

「ハハ、奇遇だなぁ禊。僕も先生から提出物の回収を頼まれてるんだった」

 

目線を斜め下に向けて委員長たちにゆっくりと背中を向ける。

 

「それ逃げろっ!」

 

「逃げるが勝ちだっ!」

 

荷物を持っていつぞやの時のように全力で委員長から逃げる。

 

「この戯け」

 

「全くです」

 

しかしそれよりも早く委員長とシュテルンはこちらに走り出しており。あっという間に回り込んだ。

 

「わっ」

 

「おっ」

 

僕とクロノの足が委員長とシュテルンのおみ足に見事にこかされた。

その後僕は薄汚いコンクリートと熱烈なキスを果たし、クロノの方は段差に向こう脛を強かに打ちつけた。

 

「おわぁぁーー!アゴがぁあああ」

 

「脛!脛!エグい音がなった!」

 

振りでゴロゴロとコンクリートを転げ回り悶絶する。

 

やばいマジ痛い!

本当に痛すぎて涙でそう。

 

でも泣かない!オトコノコだもん!

 

ちらりと上を仰ぎ見ると委員長が目を細めて僕を睨んでいた。

 

「僕らは無実だ!」

 

「犯人はみんなそう言う」

 

脇腹をけられた。

なんか骨の間を通されてすげぇ痛いんですが。

 

立ち上あがり体についた埃を払う。隣ではクロノも同じ動作をしていた。

 

ーー逃げれる?

 

ーー無理だ。

 

アイコンタクトで会話を終了させ。委員長にバレないように小さくため息をついた。

 

「あの距離で声が聞こえるとか地獄耳すぎない」

 

「いえ、私たちは聞こえていませんでしたよ?」

 

「ーーむ?それは一体?」

 

クロノが首をかしげると今までひたすらにアメをなめ続け会話に参加することのなかったレヴィが誇らしげに胸を張った。

 

「はっはっはっは、全てはボクのお陰だよ!褒めて!」

 

「うむ、よくやったレヴィ」

 

「えへへ〜、なんたってボクは最強だからね!」

 

ーーお前が犯人か!

 

えへへぃ、と笑うレヴィを尻目にクロノと二人で苦虫を潰したように顔をしかめた。

 

「それにしても『エレミアたちはかわいくていいよね』な……」

 

「いやいや、そこまでは言ってないよ」

 

委員長の咎めるような言葉に反論したが委員長は目を細めたまま僕の脇腹を再びける。

 

「貴様の意見は聞いておらぬ」

 

「いやいや、可愛さで言ったら委員長たちも負けてないって!」

 

委員長の顔に僅かに朱がさす。

 

あ、これこのまま褒め続けたら許してもらえる感じのやつや。

 

流石委員長だ!

よく言えば優しい。悪く言えばちょろい。

 

よっしゃと意気込み僕がマシンガンの如く委員長を褒めようとする。しかし、それを遮る声が一つ。

 

「王よ当初の目的をお忘れなきよう」

 

「む、ああそうであったな」

 

はい、残念。

 

まえからなんか委員長ちょろいと思ってたけどどうやらそれは三人組じゃなかったからみたいだ。

本来はこうしてシュテルンやレヴィかが委員長のストッパーの役目をしてたんだろう。

 

確かに委員長ガード緩かったもんなー。

 

「なあ、スタークスたちは何をそんなに怒っているんだ?」

 

今まで僕と委員長の掛け合いを静観していたクロノが口を挟んだ。

その目には光が灯っており、唇は僅かに笑みを作っている。

 

「何を、とは?」

 

「どうせレヴィごしの大まかな話しか聞いていないんだろう?僕らが何を持って君たちのことを悪く言ってたと思うんだ?」

 

「それはレヴィが私は負けず嫌いで子供みたい、我が王が怒ると怖い、と聞きましたが……?」

 

「それがそもそもの間違いだ」

 

クロノがカッコよくびしっとシュテルンを指差した。

 

「僕は『スタークスは負けず嫌いで子供っぽいがそこが普段のクールな態度とのギャップがあっていい』という話をしていたんだ」

 

「ーーえ?」

 

こ、コイツやりやがった!

 

下手すれば爆死寸前の危険なカードをきりやがった!

 

本人が目の前にいるのに可愛い、とかコイツ勇者か?!勇者なの?!

 

あーあー、シュテルンの顔ちょっと赤くなってるしさぁ。何このイケメン心臓強すぎるよねぇ。

 

「そうなのですかレヴィ?」

 

シュテルンは照れ隠しもかねてか眼鏡の位置を正しながらレヴィに尋ねる。

 

「え?え、えーとそうだったかも?」

 

レヴィは眉を寄せて考えるそぶりをみせたが口からは一応クロノを援護する言葉が出た。

 

シュテルンは顔を赤に染めたままそうですか、と言うと地面に座り込み脛を抑えているクロノに向き直った。

 

「私の勘違いだったようです。申し訳ありさんハラオウンさん」

 

「ああ、気にするなスタークス。勘違いだとわかればいいんだ」

 

にこ、と笑うクロノ。

 

わー、クズー。

でも、ナイスだクロノ!

これで僕らの誤解(あながち誤解でもないが)も解けてシュテルンたちは喜んでうぃんうぃんだね。

 

「さて、では雉咲」

 

「ーーん?」

 

「今度は貴様の言い分を聞こうか」

 

委員長が背筋が冷える不気味な笑顔を浮かべたまま僕を覗き込む。

 

「ええっ?!クロノの話聞いて誤解は解けたでしょ?!」

 

「ああ、()()()()()な」

 

だが、と前置き。

 

「我の件は何も解決しておらぬ。違うか雉咲」

 

うわー、まじかー。

ちら、と隣のクロノに助けを求めるがそっと目を逸らされた。

 

「あー、えーっと、そのぉ……」

 

はーい、働け僕の灰色の脳細胞。馬車馬の如く働けよー。

 

「うーーん……」

 

「雉咲?」

 

うん無理だわ。だって何も浮かばないし。僕はクロノみたいに頭が上等でもなければ女の子を臆面もなく褒めれるほど勇者でもない。

 

ここはどんなにヘタレと罵られようと最後の手段を使わせてもらうよ……!

 

「ねえ、委員長僕に勉強教えてくれないかなぁ」

 

「む?勉強?」

 

「そうそう、期末テスト近いからちょっとご教授願いたいんだよね」

 

あからさまな話題逸らし(スラッシュIII)。だが、ゆるい委員長には上手くいった。問題はお供二人だ、そっちは任せてぜクロノ。

 

「ほーら、レヴィあめだ」

 

「わーい、サンキューくろのん」

 

「なあ、スタークス最近のオススメの本は何かあるだろうか」

 

「オススメ、ですか」

 

クロノがペロキャンを遠くに投擲、その後レヴィがそれを追いかけていくのを確認すると今度はシュテルンに会話を持ちかけた。

 

一瞬だけクロノと目があった。するとクロノはシュテルンにバレない程度に目配せをした。

 

愛してるぜクロノ。お礼に今度妹たちとのデートをセッティングしてやるよ。

 

「教えるのは構わんが……なぜ我なのだ?クロノでも構わないのではないか?」

 

「僕が委員長に教わりたいんだ」

 

「ーーっ」

 

「ダメかな」

 

だってここら辺で委員長にさっきのこと忘れさせとかないとやばいしね。

 

「ーーか、構わんぞ」

 

委員長はふいっとそっぽを向くと快く僕の頼みを了承してくれた。

 

やった、任務は完遂だ。クロノ僕はやったよ。

きっと今の僕は死線を乗り越えた戦士の様なやり遂げた表情をしていることだろう。

 

「じゃあ、今度の休みにな」

 

「ええ、楽しみにしておきます」

 

シュテルンはクロノに小さく頭をさげると委員長に「帰りましょうディアーチェ」と言った。

 

委員長がこちらを伺う様に覗き込んだ。

 

「近いうちに追って連絡するよ」

 

勉強の事は一旦保留。今は早急に別れるべきだ。

委員長は尊大な仕草で頷くと「教室で」と言ってシュテルンと共に階段を降りていった。

 

それを二人でにこやかに見送り、背中が見えなくなった途端顔を見合わせた。

 

「首尾は?」

 

「上々。なんか委員長にも勉強教えてもらうことになったけど、何とかなるよ。お前は?」

 

「なんかシュタークスと図書館デートする事になった」

 

「何が起こった」

 

こいつは僕の時間稼ぎのためにシュテルンの気を紛らわしていただけだと思ってたんだけどいつの間にデートの約束を取り付けたのか。

 

「まあ、どっちも何とかなりそうだね」

 

二人でやいのやいのと喋りながら屋上からおりる。もうすぐ昼休みが終わるしね。

 

「委員長教えてくれるっぽいけど、クロノも教えてくれよ」

 

「別に構わないが……」

 

「さっすがクロノー」

 

ふと頭に引っかかるものがある。なにか忘れてる気がする……。

 

「まあ、いいかぁ」

 

「どうした?」

 

「何もないよ」

 

忘れてるってことは大したことではないでしょ。

 

おそらく、たぶん、きっと、めいびー。

 

 

 

 

 

 

「あれ?王様?シュテルン?あれれ?くろのんもけーもいないよ?あれ?だれかーみんなーどこいったのー」

 

 

 




これからしばらくはこんな感じで続きます。

あからさまなスラッシュIII
性的興奮すると30倍の身体能力になる少年の得意技。
彼はしばしば使うが、成功率は20%くらい。

クロノの図書館デート
なんか自然にそういう流れになってた。
因みにシュテルとの間にフラグは存在しない。


次回も急ぐつもりですが少し遅れるかも。
これからは恐らく五日ごとに更新します。

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