真・恋姫†無双〜李岳伝〜   作:ぽー

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外伝 草原の国が興る時

 地に低く植わっているラールの花が揺れている。這うような風がぶつかってはつむじとなって巻き上がっているのだ。エーラーンの大地に揺れる赤い花は春先の今が最盛である。

 ちらつく砂埃を払いのけ、トラマナは茶を飲み干すと従者に茶碗を戻した。茶請けの甘く煮たデーツをかじり馬上から前を見渡す。

 敵陣は広く左右に広がりこちらを包み込んでしまおうという構えだった。五十万の大軍と公称しているが実際は十万程度だろう、というのは弟であるイステミの調べである。

 一方こちらは五万。数だけ見れば劣勢は明らかで、敵陣からも侮るような気配が感じられるほどだった。

「十倍は無理だけど、二倍ならなんとかなりそうだ。大げさに言ってくれるからこっちも気休めを用意しやすいね」

 隣から聞こえてきた声にトラマナは鼻を鳴らした。名は李岳。小さな一族を率いるに過ぎなかったトラマナを、二十を超える部族を束ねる長に押し上げた男だった。遠く東の漢から来た男。ギリシアの言葉を教える代わりに、王になれとそそのかしたペテン師である。

「……俺の悪口を考えてるな、トラマナ」

「邪推するな」

「いいや! そういう扱いはこれまで散々されてきたからわかるんだ。俺の悪口を考えているやつは顔に出る。ひどい顔をしているぞ、族長」

 李岳がトラマナの元に身を寄せて三年が経った。すっかり言葉も馴れ、軽口まで叩くようになっている。

 そしてはたと李岳が戦の前のトラマナを気遣っているということにも気づいた。口の中で転がしていたデーツの種を地面に吐き出してトラマナは肩をすくめた。

「ま、あたりだ。変なちびの甘言に乗せられてこんな事態にまでなった。今日死ぬかもしれないと思うと恨み言の一つや二つは出てくるってものさ」

 漏れ出たトラマナの言葉は決して誇張ではなかった。

 

 ――眼前に布陣するクシャナ軍は決して侮れない。中央に戦象部隊を並べた威容は大陸を見渡しても他に類を見ないものだろう。ひときわ目立つ白象は(シャーヒ)であるヴァースデーヴァが直々に参陣していることを示している。

 

 山地を踏破しカーブルまで残り二日の距離。ここで敗れれば逃走経路はなく全滅する可能性もある。ヴァースデーヴァは敵を死地まで誘い込んだとほくそ笑んでいるかもしれない。

 しかしそれでも李岳のまとう余裕に揺れはない。

「勝つ。勝つ用意はした。そしていま勝たなければならない」

 李岳の読みではこの戦機を逃すと飛躍の時は数十年失われる、という。

 西ではペルシスがとうとう国力でもってパルティアを圧倒し始めていた。諸王の王(シャーハン・シャー)を僭称するアルダシールは山をも崩す勢いで勢力を伸ばしている。ローマを幾度となく打ち払ってきたパルティアをあと数年もすれば飲み込むだろうというのが李岳の見解だった。

 おそらくトラマナ以外が聞けば笑い話だろうと思う。それほどパルティアの支配する領土の広さ、威容、歴史はこの地で他の追随を許さない。しかしそれでも李岳はパルティアはペルシスに滅ぼされると断言する。諸族諸都市も遠くない先にパルティアを離反しペルシスに付くだろうとも。

 商人のウマルと弟のイステミを派遣して調べたが、西方でも大都市といえたメディア、アディアベネ、キルクークが揺れ動いているというのは真実だった。未だ内紛を続けているパルティアではなく恐ろしくも英邁なアルダシールに服属することを選ぶのは、確かに摂理でもあった。

 そのアルダシールがパルティアを飲み込めばもはやトラマナの生きる道はない。王としての道も断たれて平原の民は屈辱の服従を長い間強いられるだろう。

 だから今しかない、と李岳は言うのだ。今この時に東のクシャナを飲み込み、カスピ海を境に東西でこのエーラーンの地を二分するしかないという。パルティアを飲み込んだペルシスに対抗するには現時点で東国の覇権を確立するしかない、と。その後はローマと協調しながら東西でペルシスを挟み、イスファハーンを奪い南北の防衛拠点を確立する、というところまでが李岳の戦略である。

 そのために三年前からあらゆる力を使ってきた。恐ろしいのは李岳だった。三年前から李岳はペルシスの台頭を予言し、クシャナを飲み込むための段取りを整え続けてきた。

 遊牧民諸部族と交わり、時に戦い、クシャナの脅威を訴えトラマナを頂点とした連合を作り上げた。精強な騎馬隊を主軸に侵出を試みるクシャナ軍を打ち払う度に、連合に加わる草原の民は増えていった。

 クシャナのヴァースデーヴァも、ペルシスのアルダシールも、パルティアのアルタバヌスも果たして愚昧ではあるまい。だが己がこの小さな男の手のひらで踊っていると聞けばなんと思うだろう。欲するだろうか、殺したいだろうか、それとも神の気まぐれを呪うだろうか。

 いずれにしろ大国の運命を予言し、先行きを照らす男が隣にいる。その幸運をトラマナは心から実感していた。

 そして彼が指し示す運命を掴み取る剛力が己にあることも祈った。

 やがて前方のクシャナ軍から楽隊の演奏が響き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クシャナ軍は開戦の儀式をまずは処刑から始める。

 敵前逃亡した者、罪人、あるいはその家族らを引き立てて縄で地面に固定する。王の代弁者が宣言を行うと、巨象がゆっくりとその頭を踏み潰すのだ。市中であれば数日かけて四肢から順番に踏み潰す場合もあるため、開戦の人身御供とされる者たちの絶命は一瞬であるからあるいは幸運かもしれない。

 すべての罪人の頭が戦象によって砕かれると、眼前の敵兵もそうなる運命だと兵は確信して狂信的な叫びを上げる。戦象たちも巨体を揺り動かして吠え声を轟かせる。儀式は自軍の鼓舞と敵軍への畏怖を同時にもたらすのだ。

 

 ――李岳はその光景を何の感慨もなく見守っていた。

 

 王の権威を戦場で示すために民の死を用いることは普遍的なことである。それに怒りを示すにはあまりに多くの人の死を見つめ続けてきた李岳。嫌悪感は無論あれどそれを抑え込むことは容易かった。

 しかしそれは怒りをなかったことにするわけではない。

 このような時の李岳はただ己にすべきことだけを鮮明に、明瞭に、まるで楽しむように整理し直すことができる。その思考の転換が己独特の怒気と殺意の表現方法なのだと彼は近頃ようやく自覚することができた。

「大丈夫?」

「ああ」

 肩に置かれた呂布の手を握る。西への旅だと連れてきたというのに結局戦場を引き回しているということについて、一度も謝ったことはない。呂布も怒ったことはない。これは李岳にとって必要なことなのだと呂布はわかっており、その呂布の理解があることを李岳もまたあえて言葉にすることもなく知ることができた。これまで過ごしてきた苦難と、つちかってきた絆は言葉なく気持ちを通わすことを二人に許していた。

「恋」

「行ってくる」

 穏やかな笑みを浮かべて呂布は赤兎馬を駆って隊へと戻っていった。彼女を迎える騎馬隊は比類なき隊長を戴き、すでに天を衝くほどの気迫を漲らせている。

 いつ、どこで戦おうが戦場で当然のように頭角を現す呂布。どの部族の長でもないというのに彼女が騎馬隊を率いることに異論が出ることは一度たりとてなかった。

 一方、李岳もまた軍師としてトラマナのそばに立つ。重鎮として軍を率いることに反対する者はもちろん誰もいない。なにせ軍の構成から軍規、軍略の浸透に至るまで徹底した組織化を成したのはほとんど李岳の発案によるものだったからである。

 その二人を従えるトラマナにこそ最大の敬意が集まることも李岳の思惑通り。

 

 ――やがて前方のクシャナ軍がゆっくりと前進を始めた。来たぞ、というトラマナの声には少し緊張が滲んでいる。

 

 周囲を走り回る伝令が一気に数を増やす。李岳が真っ先に取り組んだのが諜報を担う集団の育成だったが、トラマナの弟であるイステミにその適性があった。またたく間に中央アジアの情勢が李岳の元に集まってきた。

 戦争は情報と速度。それが李岳が漢から持ち込んだ概念であり、勇猛であれば勝つというこの地域の戦の定石を覆しつつある。

 そしてそれは今日をもって決定的になるだろう。

 勝つぞ、と隣に立つトラマナが言った。

「私たちは勝つ。我らは一度も負けぬままここまで来た。李岳、貴様の言う通りの場所で決戦が始まろうとしている! ヴァースデーヴァがなんだ? 二倍の数がどうだと言うんだ! この昂りは勝利の栄光への予感でしかない!」

 赤く焼けた肌、筋肉に包まれた見事な体躯のトラマナが感動に打ち震えるように叫び出した。王の器。恐らく歴史に埋もれゆくはずのその才覚に出会った時、李岳はこの人は必ずや王になると思った。これを利用しない手はないと思った。李岳もまた己の利のために動いていると知った時、トラマナは落胆するだろうか?

 トラマナは振り返り、自らの軍に向けて叫んだ。

「聞け、我が同胞(はらから)よ! 我らはこの地にヴァースデーヴァを引きずり出し、ついにいま打ち破ろうとしている! 今日、誰にも恥じぬ強国として、この草原の大地に我らの国を興そう!」

 返ってきた雄叫びはうねりとなって平原を駆け抜けた。李岳をしてなお仰け反る程の迫力。トラマナは本物だった。子供の身の丈はあろう大剣を片手で振り上げ、トラマナは自ら先頭に立って棹立ちになった。

 突撃。その一言で五万の馬蹄が地を揺り動かす。迎え撃つクシャナ軍は雲を引き裂くほどの射撃で出迎えた。

 それをかいくぐり、敵兵に最初に馬ごとのしかかっていったのもまたトラマナであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 正面から殴り込み、顔面を平手でしたたかに張り飛ばすようにしてトラマナは離脱した。無理押しはしない。勇者は蛮勇と真の勇気の違いを知る者である。

 離脱したトラマナ本隊の穴を埋めるように後続部隊がクシャナ軍に思い切りよく斬り込んで行った。

 ザーミルの息子アシムと妹のファティマ。彼、彼女らが率いる兵は勇猛で決して引くことを知らずトラマナの軍勢の根幹と言えた。さらに両翼からはサカ系、トガラ系の小部族連合による騎馬隊が前進し始める。騎射に優れた遊牧の民たちである。

 一方、クシャナ軍はギリシアから仕入れた重厚な装備に身にまとった重装歩兵部隊が主力である。結束が固く死を恐れず、射撃も得意である。その力で諸部族を収め東方のガンダーラまでを支配下とした。

 しばらく正面からのまともなぶつかり合いになった。両軍の激しい叫びが戦場に響く。

 我軍は勇敢に戦っているが崩しきれない。敵の戦象部隊の射撃が大きな効果を発揮していた。高台から矢を放つようなものだ。クシャナは象を移動式の射撃砲台として憎らしいほどに活用している。

 じりじりと押され始めるまでさほど時間はかからなかった。押し切れない以上、時とともに数の差が出てくるのは当たり前だった。陣形を崩さないようにゆっくりと後退する。まるで舌なめずりをするようにクシャナ軍は勢いよく前進してくる。

 やがて低く響く巨大な銅鑼が何度も打ち鳴らされると、クシャナ軍の前衛は真っ二つに割れた。足元の小石が踊るように跳ねる。地を割るような地響きが大地を揺らす。それまで砲台として機能していた戦象部隊がとうとうその本性を表そうと言うのだ。

 戦象の突撃を正面から阻んだ部隊は未だかつてない。その威力を知っているからこそクシャナ軍は、ヴァースデーヴァは余裕綽々と戦場に現れたのだ。

 しかしトラマナは思う――この時を待っていた!

「ディヤーブを出せ!」

 ディヤーブとは狼を意味する。そして最強の騎馬隊に名付けられた称号でもあった。トラマナと李岳に見いだされ、そして呂布によって鍛え上げられた精鋭中の精鋭である。騎射の腕も剣の腕前も、そしてもちろん馬の扱いも熟達した騎馬隊、その数三千。

 トラマナも麾下の一団を率いるとディヤーブに合流した。先頭の呂布が獰猛な笑みを浮かべている。相撲でも、取っ組み合っても、競馬でもトラマナは彼女に一度も勝ててはいない。しかし負けたくないという思いだけは一向に消えようとせず、こんな戦場においても張り合おうとしている。

「遅れるなよ、呂布!」

「トラマナも」

 まるで追い比べのように二人は駆け出した。

 トラマナと呂布の二人を先頭にディヤーブは敵左翼に斜めから突入していく。さらに全軍がディヤーブを追って陣形を流動的に動かし始めた。本陣に残った李岳の指揮が冴え渡る。全軍は一匹の巨大な生き物のように戦場を駆け回る。中央突破を図ったクシャナの戦象部隊は完全に不発となった。象のような巨大な生き物は簡単には方向転換できない、という李岳の読みが当たった。

 ディヤーブは呂布を追うように敵軍を突き進む。五人、十人と敵兵を宙に跳ね上げる呂布はクシャナからすれば阿修羅という名の仏敵の悪神に見えるだろう。さながら赤い閃光。トラマナは目を細め、まるで追いすがるように敵兵をなで斬りながら進む。

 しかし固い。クシャナ軍に撤退はなく後退は死である。その覚悟が巌のような手応えで立ちはだかった。

 時とともに勢いが削がれ始めるのがわかった。激戦である。兵の継戦能力にも当然際限はある。

 トラマナが助けを求めるように背後の本陣を振り返った次の瞬間、全てをわかっていたように李岳の采配が草原を舐めた。

 戦場に黒煙が走る。この時まで隠し続けてきた李岳の策である。ただの油ではなく、時に地に湧く黒い『燃える水』を燃やしての火計。油と同じように燃えるが、同時に強烈な黒煙と異臭を放つ違いがある。

 その匂いが象を狂わせ始めた。染み渡る刺激に耐えかねるように、長い鼻を振り回して象は甲高い悲鳴を次々と上げていく。

 

 ――クシャナ軍に初めて明確な動揺が走った。

 

 象たちが狂ったような叫声を上げてクシャナ軍を踏み潰しながら暴れまわる。自らの手下である象を自ら殺しながらクシャナ軍は鎮静を図るが、その隙は(ディヤーブ)にとってはあまりに大きかった。

「来い、勇者よ! 私に続け!」

 トラマナの声に応えながらディヤーブを先頭に騎馬隊はクシャナ軍を八つ裂きにし始めた。とうとう恐れを振り切って背を向ける者まで出始めた。抵抗を示した一塊の兵団を、呂布が掃き散らすように吹き飛ばす。さらに餓狼が続く。突き進む草原の民を止めることは誰にもできない!

 やがてトラマナの前方に白い影がちらついた。巨大な白い象である。その背には荘厳な鎧を身につけたヴァースデーヴァがおり、はっきりとトラマナと目が合った。

 斬り倒し、血を浴びてトラマナは行く。ディヤーブが血路を開く。呂布が飛んだ。振りかぶった巨大な戟は、真っ直ぐ白象の額に打ちつけられた。次の瞬間、膝を折って崩れ落ちる神の象徴たる白い象と、転がり落ちるように吹き飛ぶ王の姿がさらされた。

 トラマナの白刃が、鮮やかな軌跡を描いて舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 濛々たる砂塵が消え去ると、そこに居合わせたすべての人間が決着が訪れたことを理解した。

 トラマナは自身の成したことを未だ正確に理解できないうちから、しかし成すべきことだけははっきりとわかっていた。

「クシャナ軍を接収せよ。無用な殺戮は不要である。ヴァースデーヴァは死んだ! しかしその兵までも死なせることはない。私が――」

 言いよどんだ瞬間、李岳と呂布がこちらを眼差していることに気づいた。その後ろの数万人の兵たちも見ていた。クシャナの者たちも見ていた。天地の狭間で、トラマナは剣を振り上げて宣言した。

「私が新たな王となる――!」

 歓声が沸き起こるように一瞬で平原に満ち、それがクシャナに伝播するまでもさほどの時間はかからなかった。

「陛下」

 李岳がひざまずいて言った。隣の呂布も見様見真似で同じ姿勢になっている。

「李岳」

「見事な勝利でした。これより貴方はこの大地の王です」

「感謝する。お前がいてくれたから、勝てたのだと思う」

「王のお力です。お手伝いできたことは大きな喜びでした」

 暇乞(いとまご)いの挨拶だということはすぐに理解できた。李岳と呂布は誓いを果たした。再び旅に戻ろうというのだろう。トラマナにもその約定を果たしてくれるよう二人は願っている。

「……何か褒美を与えなくてはな。それが王としての最初の仕事かと思う」

「願わくば、東への使者を立てられますよう」

 立ち上がり、東の山を指差して李岳は言った。

「あの果てにある私の生まれ育った大地に……多くの友を残してきました。きっと陛下の助けとなるでしょう」

「漢に人を送れというのだな?」

「折を見て交流を増やされればと思います。得るものも多ければ、助かる者も増えゆくでしょう」

 そのためには両国の間が安定していなければならない。

 李岳が本当に言いたいことがそれだというのはトラマナにははっきりと理解できた。

 彼はこの三年の間、トラマナを王にするために昼夜を忘れて尽力した。

 トラマナのためでもあったろう。だが本当のところでは、彼は故国に残してきた友たちのために戦っていたのだ、ということがわかった。ここから東への道が安定すれば、間に住まう遊牧の民たちも生活が潤うだろう。無用な大乱が抑えることにも寄与するだろうし、争いがあっても仲介ができる。

「……不器用なやつめ」

「何のことやら」

「お前たちは陛下と呼ぶな」

 李岳が何か言う前に手を差し出して言葉を留めた。

「王になっても、私に気安い友が二人くらいいてもいい。違うか?」

「……違わないね。わかるよトラマナ」

「トラマナ、きっといい王になる」

「ありがとう、二人とも」

 次の瞬間、引き止めたい、という抗い難い欲望がトラマナの全身を血とともに熱く駆け巡った。

 その熱を拳に乗せて、トラマナは李岳の腹に打ち込んだ。

「元気でな」

 まともに食らって息もできない李岳。トラマナは大いに笑い、その背中を叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 遊牧の民、草原の国。名はエフタル。その初代の王としてトラマナは長く国を治めたという記録が残っている。東方の漢と結び、西方のペルシスに対抗したトラマナは、見事な体躯と豊かな赤い髪をたくわえていたと石碑には残っている。

 しかし気心の知れた友人が二人いたことまでは、あいにく歴史に記されることはなかった。




 今日は冬至ですね。冬至は「ん」が付くものを食べると良いらしいです。

 なんきん、だいこん、りがくでん。

 というわけでskebでご依頼頂きました外伝の続編をこちらでも掲載させて頂きます。最後の試練を乗り越えてクシャナを倒し、エフタルを建国するに至る場面です。騎馬民族愛され野郎の面目躍如といったところでしょうか。クシャナの描写についてはかなり捏造なのでご容赦ください。
 ご依頼テーマとしては
「トラマナ族長の3年後」
「中央アジア地域で覇権を確保しつつある情勢で、様々な部族を飲み込んで一つの「国」と成した新たな「王」として起ったトラマナは、いよいよクシャナ王朝との決戦に挑む」
「決戦の場を駆け抜けていった李岳と恋」
 などでした。ご期待に応えられていたなら幸いです。


 ついでになりますがもう一点お知らせがございます。
 2022年の冬コミの発行を目指して李岳伝同人書籍の制作を目指しています。書籍用の修正と加筆などの他に、表紙や挿絵についても盛り沢山の予定です。
 部数は悩み中ですが多くて200くらい……かな? 再販の予定は不明です。
 イラストはMOブ様です。

MOブ様のページ(ココナラ)
https://coconala.com/users/725524

 絵心皆無の私のヤバい素案を素敵に具現化して頂いています。
 そして無理を言いまして掲載許可を頂いたデザインをお披露目させて頂きます。素敵すぎる……

表紙イメージ(李岳と呂布)

【挿絵表示】

呂布スケッチ

【挿絵表示】

楼班デザイン

【挿絵表示】

於夫羅&田疇デザイン

【挿絵表示】


 ッッッッバくね?
 続報は活動報告かTwitterの方にでも随時ご連絡できればと思います。
 2022年の冬コミが無事開催されることと、そして皆様のご健康をお祈りいたします。
 良いお年をお過ごしください。

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