ベルが異世界の自分を知ってチートなのは間違いだろうか。   作:暇人

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ベルの長い一日の始まり。

「それじゃあ行ってきます。昼には戻りますから」

 

「気を付けて行くんだよ〜」

 

昨日、ベルとヘスティアは豊穣の女主人で夕食を摂った後は、ベルが泥酔したヘスティアを介抱しながらホームに帰った後は、当たり前のようにヘスティアとベルは熱い夜を過ごした。

 

今日はヘスティアが神の宴なので、ベルは昼から一緒にドレスを買いに行く約束をしていた。

 

ベルはホームを飛び出して、ある場所に向かって歩き出した。

その方向はバベル前の待ち合わせ場所に向かっているわけではなかった。

 

数分程歩いて、冒険者達の波を抜けて細い路地裏に目的地はあった。

そこは殆ど知られていない見窄らしい建物で中に店があり、その中にベルは入っていった。

 

「いらっしゃ・・・い。ベル?」

 

「おはようございます。一ヶ月ぶりですねナァーザさん」

 

「死んだかと・・・思った」

 

「それは酷いですよ、ナァーザさん」

 

ベルの目の前にいる女性は【ミアハ・ファミリア】所属のナァーザ・エリスイス。種族は犬人(シアンスロープ)

ベルは主神のミアハから元冒険者だったことしか聞いていなかった。

個人的に見た目は悪くないので全然問題な

 

「今日は・・・買い物?」

 

「それもありますが、その前に聞きたいことがあります」

 

今まで柔らかい言葉遣いが変わり、鋭くなる。

 

「ここで買ったポーションはパチもんですね。そのお陰で僕、ダンジョンで死にかけたんですよ。どう、責任とってくれるんですか?」

 

「私はそんな事・・・知らない」

 

ベルが悪い笑みを浮かべる。

 

「ならミアハ様に直接聞きましょうか? 下界の子供達は神に嘘はつけない。その後にギルドに報告してペナルティは確実ですね。下手すれば悪質ファミリア認定されて、ファミリア解散も在り得るかもしれませんね」

 

全てはったりだ。

思いつく限りの嫌がらせ行為。

そこまでして、ベルは知りたかった。

 

「ミアハ様にも・・・ギルドも・・・ダメ」

 

「なら何故こんな事をした経緯を教えてくれませんか? 僕はそれが知りたい」

 

この瞬間、もしもベル・クラネルの精神が少しでも、はぐれ悪魔祓いだったら身体を要求したかもしれないが、最近のベル・クラネルは少しだけ優しかった。

 

「教えるから・・・言わないで」

 

「話を始めてください」

 

ベルは頷かなかった。

 

 

 

 

 

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簡潔に言うならば、彼女は冒険者だった。

ダンジョンに潜っている時に右腕を食われた。

そしてミアハが【ディアンケヒト・ファミリア】に借金して銀の腕を作ってもらい、莫大な借金のせいで団員達はミアハに愛想を尽かして、今では中堅だった頃の面影はない。

 

ナァーザの説明を聞きながら、「」だった時の知識を活かして気づいたことがあった。

 

(確か、銀の腕といえばサルバトーレ・ドニの権能。古代ケルト人が崇めたダーナ神族の王ヌアダ。諸説あるがディアンケヒトが治すが所詮は義手。息子のミアハが腕を再生させて父であるディアンケヒトに殺される。さしずめナァーザさんがヌアダの役割なのか)

 

それを聞いたベルの感情は混沌を極めていた。

同情と怒り。ベルの夢の人物たちは殆どが善人だ。だから憐れんで同情する。

しかし一人だけの悪人である、キチガイはキレていた。

実力不足だから腕を食われて、お前のせいでファミリアは衰退したんだと。

 

「そうなんですか。ならタイミングが良かったです。カドモスの泉の水を貴方達に上げます。丁度、【ディアンケヒト・ファミリア】に売る予定だったんですが、こっちの方が役に立つでしょう」

 

ベルはインベントリを操作して、泉の水が入った大中小の瓶を取り出した。

 

「じゃあ、僕はこれで!」

 

ベルは大量のボトルを置いて、店から飛び出した。

 

「これ・・・億はくだらない・・・よね?・・・どうしよう」

 

取り残されたナァーザはボトルをどうするか悩んだ。

 

 

 

 

 

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ベルは昔、祖父から女性が悪い事するのには理由があるということを教えられた。

この考えが適用されるなら、フリードは認めないけど聖女アーシアちゃんは無罪確定。

ということを考えながら、メインストリートを歩いていたら待ち合わせ場所についた。

 

ベルは辺りを見回し、はずれのベンチに座っている小さな少女を見つけたのでそちらの方に歩いて行く。

 

「おはよう。リリ」

 

「おはようございます。ベル様」

 

ベルもリリの隣に座る。

 

「それじゃあ、行こうか?」

 

「その前に私ごとですが、ベル様にお話があります。いいですか?」

 

「うん。別に構わないよ。どうかしたの?」

 

「リリをベル様のファミリアに入れてもらえませんか?」

 

「じゃあ、ヘスティアに聞いてみようか」

 

ベルは立ち上がると、リリに手を差し伸べる。結局、リリが何か言う前にベルが無理矢理手を握ってホームに向かった。

 

 

 

 

 

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「ベル様は何も聞かないんですか?」

 

今二人はしっかりと手を握り合って歩いている。先に口を開いたのはリリだった。

 

「何が?」

 

「リリが突然、改宗したいと言い出した理由についてです」

 

「別に理由なんて幾らでもあるじゃないか。僕に一目惚れしたとか、結婚したいとか・・・ね?」

 

「違います! 何でベル様なんかの伴侶にならないといけないんですか! 別に知らない【ファミリア】に行くくらいな知り合いのベル様のとこにしたいと思っただけです。別にベル様の事なんて何とも思ってませんから!」

 

先程の重たい雰囲気がベルがふざけた所為で壊れてしまい、あからさまな態度を取るリリにベルは可愛いと思っていた。




長くなりそうだったので分割しました。
後半は書き上げ次第投稿します!
取り敢えず、前半です。
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