ベルが異世界の自分を知ってチートなのは間違いだろうか。 作:暇人
ベルは転移結晶で【イシュタル・ファミリア】のホームに戻って来た。今、ベルは完全ステルスで誰にもバレる事はありえなかった。
彼の目的はイシュタルを拉致誘拐し、拷問する事だ。最初から対話などするつもりは毛頭無かった。
神にはアルカナムが存在する。もし仮に致命傷となる怪我を負えば、力が神を元に戻すと考えていた。
しかし、それなら使わせなければいい。
女神イシュタルはメソポタミア、アッカド神話の豊饒、美、性愛、戦の女神。
金星を司っている。森の主人とも呼ばれていた。
シュメールのイナンナに相当。
父をエアやエンリルとする説もある。
イナンナ」は古代シュメールに起源を持つとされている女神(地母神)。
名は「天の貴婦人」等と訳されている。
愛と豊穣の女神、水と大地の女神としても信仰されたが、より原型に沿う形では金星の女神であり、翼を持つ姿がレリーフに残っている。
この系統の女神は角を生やし獣を従えた姿で描かれている場合もある。
最も格上の女神ではあるが「母」のイメージは少なく、若い娘の様に奔放で気まぐれな性格の持ち主。
古い神であるせいか、イシュタルやアプロディテやユノーなど、多くの女神と同一視される。
エジプト神話からの移入も考えられ、親神についてはエジプト神話のプタハとされることもある。
美しくも勇猛、残忍な争いの女神として盾とこん棒で武装した乗馬姿でもあらわされ、悪魔アスタロトの前身ともされる。
ベルは外から聞こえる声を頼りに春姫の部屋から出る。勿論、完全ステルス状態でだ。声の方に向かっていると次第に声が大きく聞こえるようになる。
それは怒声だった。
ベルの足が速くなる。しかし足音は響かない。ベルが角を曲がり広い場所に出ると、ブスが他のアマゾネス達を嬲っており、イシュタルが激怒していた。
ベルの目の前には昨晩抱いたロリ系からグラマーまでのアマゾネス達が倒れている。ベルの何かが弾けた。
女に優しくて女好きな心が刺激された。
ベルはステルス状態を解いた。
「ぶっ殺すぞブスが。大人しくニートしてろ」
「貴様ぁ〜。このアタイをブス呼ばわりしやがって、それに昨日の借りは返してないんだよ」
「春姫を何処にやったベル・クラネル!」
ベルはブスの啖呵を無視して、イシュタルを睨みつける。目の前の女神はフレイヤに手を出そうとしていた。
ベルはフレイヤと初めて会った時の事を思い出す。微かにエリカに似ていた。姿や声が彼女に被っていた。甘えてくる所なんてそっくりだった。そんなフレイヤに手を出そうとしたんだ。オッタルや第一級冒険者が揃っていたとしても、許せない。俺のフレイヤだ。僕のフレイヤなんだ。
「悪党に答える義理は無いね。女神イシュタルはメソポタミア、アッカド神話の豊穣、美、性愛、戦の女神だった。天神アヌや月神シンの娘とされた。しかし、同時にイシュタルはシュメールのイアンナと同一視された。二人の女神が対応しているのは金星。しかし母なる大地母神ガイヤやティアマトとは違い、あくまで豊穣の女神としての性格が大きい。それが他の女神達にも引き継がれていく」
この程度では戦士の権能は鈍だ。しかし心意で最後の一押しをする。まつろわぬ神と対峙した感覚を思い出す。そして上書きした。
「何故、下界の子供がアルカナムを・・・」
下界でのアルカナムの使用は禁止されている。破った場合は天界に強制送還される。しかしベルには関係なかった。
「サクサクっと」
ベルはイシュタルとブスの目の前から消え失せた。次の瞬間、フリュネは背中を斬られてた。そしてベルはイシュタルの目の前に突然現れて、腹を黄金の剣で刺した。
イシュタルが吐血する。本来ならアルカナムが自動で働いて、致命傷を治そうとするが治らない。
「何シケた顔してんだ糞ビッチ。たった今、お前の神性を斬った。アルカナムなんて使わせねぇよ。後、そこのブスも数時間は冒険者じゃないただのアマゾネスだ。皆〜仕返しのチャンスでちゅよ〜」
倒れていたアマゾネス達が、獰猛な笑みを浮かべ立ち上がり始めた。
「ベル、冒険者じゃなくなったのは本当かい?」
「僕チンが嘘つくわけないじゃないですかやだー。やっちゃいなよユー。さぁ、イシュタルちゃんはしまっちゃおうね〜」
ベルは身動きが取れないイシュタルを抱え、転移結晶でこの場から消えた。
__________
現在進行形で修羅場が展開されている【ヘスティア・ファミリア】のホームでは神達は何かを感じ取った。
「これは・・・」
ミアハが呟くと同時に神々達は顔を合わせる。
「これはベルたんやな」
ロキの一言で、また【ヘスティア・ファミリア】のホームは騒がしい事になる。ロキの膝の上にいるリリは死にそうだった。
__________
迷宮都市オラリオ。
この都市の富は冒険者達が入手する魔石を工業地域に持ち込み、加工することで商品になりそれを売る。
オラリオの富を管理しているのは【ギルド】だ。その【ギルド】の地下では神ウラヌスがダンジョンに祈祷している最中だった。
「またか・・・」
ウラヌスは呟く。
未知のアルカナム。二日前の夜にも感じた。その時も強制送還しようとしても反応が無かった。今回もだ。
「私の出番というところか」
黒い布を纏ったナニカが壁から出てきた。
「私の知らない事が起きているようだ。調査を頼む」
天界に強制送還されない神。ウラヌスはオラリオの行く末が分からなかった。
__________
そこは迷宮都市オラリオをバベルと同じく象徴するダンジョン。深層の整備された五十階層に攫われた女神と一人の冒険者がいた。
「この私をどうするつもりだ!」
現在、全身を固定され座らせられていた。イシュタルは先程貫かれた腹をベルにエリクサーとハイポーションで治療され、威勢の良さが戻っていた。
ベルはそんな女神を見て、ドス黒い笑みを浮かべ、手に持っている注射器を静脈注射した。
「何をした・・・?」
「人間の悪意ってやつを見せてやんよ糞ビッチ。今のはヘロイン。次は何にしようかぁ?」
その瞳はムッツリすけべの14歳の瞳ではなく、ある世界の狂信者の瞳だった。そしてインベントリから拷問器具を取り出した。
制限時間の三時間は既に切っている。ベルの神に対する冒涜が始まる。
次回、修羅場。デュエルスタンバイ!