ベルが異世界の自分を知ってチートなのは間違いだろうか。 作:暇人
とある受付嬢の受難
ギルドの受付嬢で一番人気な彼女の名前はエイナ・チュール。種族はハーフエルフ。
可憐な容姿に面倒見の良さと、仕事に対する真面目な姿勢が高評価されている。
基本的にギルドの受付嬢は冒険者に深入りしない。仲が良くなれば良くなるほど死んだ時のショックがより大きくなるからだ。
しかし彼女は担当する冒険者が死んで欲しくない為、何かと世話を焼く。
しかし彼女の担当した新米冒険者は二日目から見当たらなくなった。
ギルドは中立の為、一冒険者のファミリアには詮索することは許されない。
だから彼女はバベルで働いている同僚に、白髪赤眼の少年が魔石やドロップアイテムを換金に来たか尋ねたが、同僚は来てないと答えた。
彼女は何度も泣いて悔やんだ。
駆け出しの新米冒険者の少年が死んでしまった事を。
もっと長く厳しく、ダンジョンの恐怖を教えんだら良かった。
泣いても悔やんでも少年は帰ってこない。
だから彼女は彼のような新米冒険者を死なせない為により一層、担当の冒険者達に厳しく指導した。
そんな彼女についた非公式の二つ名は【鬼教官】
名誉か不名誉な二つ名を付けられる程に、彼女は新米冒険者には徹底的に厳しく指導した。
しかし彼女に転機が訪れる。
これは酒場での私闘が始まる前の昼時。
つい先日、長期間の遠征から帰還した【ロキ・ファミリア】の副団長で迷宮都市オラリオ最強の魔法使いであり、母の親友でもあるリヴェリア・リヨス・アールブがエイナを尋ねて来た。
「久し振りだなエイナ。少し見ない間に綺麗になったな」
「リヴェリア様!? ありがとうございますっ!お褒めの言葉、身に沁みる思いで・・・」
「堅苦しいのはやめてくれ。ここはエルフの里ではないんだ。それにお前は里の生まれではないだろう。敬わなくて舞わない」
「しかし母が高貴な方は敬えと・・・」
「アイナまでそんな事を・・・一緒に里を抜け出した仲間なのだがな。別に過敏になるなといっているだけだろう。敬うというのなら、私の心中を察してくれ」
「分かりましたリヴェリア様。今日は何のようですか?」
エルフ達は高貴なハイエルフには逆らえない。その命令でエイナは折れた。
「場所を変えてもらえないか? そこで話そう」
「分かりました。此方へどうぞ」
リヴェリアはエイナに案内されて個別の相談室に向かった。
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二人は向かい合って、リヴェリアはエイナから出された紅茶を飲んでいた。
「それでどういった事なんでしょうか」
「お前が担当していた冒険者の事だ。名前はベル・クラネル。彼について知ってる事を教えてくれ」
エイナは突然出てきた名前に驚いた。
まさか死体が発見されたというのだろうかと思った。
「彼は確かに私の担当でしたが、彼は一ヶ月前に行方不明になっています。まさか彼の死体が見つかったのでしょうか?」
エイナは泣きそうになりながら、リヴェリアに伝えた。
「エイナ。ベルは死んでいない。ベルは50階層で我々が新種のモンスターに襲われている時に助けてくれた」
「へっ?・・・はぁぁぁぁっ?!」
そしてエイナの驚愕の声はギルド中に響いた。
リヴェリアは話を続ける。
彼が50階層を拠点化しているという事。
彼と一緒に地上に帰還した事も。
その際のアクシデントで彼の手を借りた事も。
エイナはキレていた。
死んだと思っていた冒険者が生きているということは確かに嬉しい。
彼のような新米冒険者を死なせないように、今までのマニュアルよりも更にハードに改良した。
寝る時間も惜しんで徹夜で仕上げた。
そして泣いて悔やんだ事を返して欲しい。
それに私の忠告を無視して、深層にまで潜っている。
「頭にキマシタ」
エイナの顔はリヴェリアが引くような強烈な笑顔を浮かべていた。
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無乳と兎
ある場所のある部屋に白髪赤眼の少年と緋色の髪の女神が居た。
先に目が覚めたのは女神だった。重たい瞼を開けると、そこは見知らぬ天井。横から可愛い寝息が聞こえるからそちらの方を向くと少年が居た。
「えっここどこ? なんでドチビの子供が居るんや!?」
ロキは思わず身体を素早く起こす。すると下着すら着けておらず全裸だった。ロキは少年の毛布を軽く持ち上げて覗き見ると全裸だった。
思考停止していた脳をフル活用して、ロキは考える。
この部屋の状況は豪華な装飾品で飾られた高級感漂う部屋。服は同じ場所に脱ぎ捨てられている。ベッドの硬さは丁度良い。そしてズキズキと痛む秘部。もしやと思い、毛布を持ち上げて覗き見ると血が白いベッドを染めていた。
「うち、ドチビの子供と寝たんか?」
昨日の記憶を辿る。豊穣の女主人で皆と別れた後、神の力を使った少年の秘密を暴こうとして酒場を回ったのは覚えているが、そこから先の記憶が無い。しかし熱烈にアプローチされたのは覚えていた。
ロキは横で寝ている少年の顔を覗き込む。
「よくよく見れば可愛い顔してる。もしかして、うちってショタコン予備軍やったんか!?」
衝撃の事実が発覚した。しかし可愛い顔なのは事実なので、守ってあげたくなってる。ぎゅーと抱き締めてやりたい。
「いきなりはダメやな。うん」
だからロキはベルの頬を軽く撫でる。柔らかい。スベスベして肌も綺麗だった。そしてその手は身体の方にむかっていく。胸板から腹筋へと。
「顔に似合わず、細マッチョなんやな」
「ん。あっロキ様おはようございます」
ベルは身体を触られたせいか目を覚ました。ロキは触っていた手を引っ込める。
「おはようベルたん」
「ベルたん!?」
「ダメなんか? それとうちのことは呼び捨てでいいからな」
「ダメじゃないですけど。分かったよロキ」
ベルに名前を呼ばれて、ロキは嬉しい気持ちで満たされた。
ベルはタジタジだった。ベルは朝起きたらてっきり裁判の流れの可能性が高い中でお持ち帰りしたわけだが、この展開は願ったり叶ったりだった。
「なあなあ。うちのこと好きって言ったやん?」
「はい大好きです」
「それに愛し抜きます。とも言ったやん?」
「男に二言はありません!」
「なら、うちを傷物にした責任とってな。一年後にうちが迎えに行くから」
ロキは笑顔でベルに抱き着いた。その後にロキがシャワーに先に入るがベルも一緒に浴びて第二ラウンドが始まるのは必然だった。
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薄汚い少女。
とある格安の古臭い宿屋の部屋に、小人族の少女リリルカ・アーデは息を潜めるように過ごしていた。
「まさかたった一回でこんなに貰えるなんて夢にも思いませんでした」
彼女はベッドの下に隠している金庫から金を取り出す。その金はベルとパーティーを組んで半日で稼いだ金だ。
彼女の所属は生まれた時から【ソーマ・ファミリア】だった。両親は幼いリリに金を稼ぐように厳命していた。親らしいことは何一つせずに、気付いたら死んでいた。神酒を求める余り、実力が見合わない階層で野垂れ死にした。
リリは神酒を奪い合う【ソーマ・ファミリア】で孤立した。他の団員達はリリの事なんて気にも止めていなかった。そして派閥拡張の際に配られた神酒を飲んでしまい、リリも神酒に魅了された。
リリは孤立していた為、頼れる存在はいない。自力で稼ごうとしたが全てが無駄に終わった。リリには冒険者の才能がなかったからだ。リリはサポーターに転職を余儀無くされた。
そしてリリの地獄の日々が始まった。他の団員達に身に覚えのないクレームを付けられて搾取され続けた。
モンスターに殺されかけても助けてくれはしない。怪我をしても治療しようとしない。荷物を無くしたらただじゃおかないと脅され暴力の嵐。奴隷のように酷く扱われた。
ダンジョンから帰還すると醜い報酬の奪い合いが始まる。
ファミリアから何回も逃げた。しかしその度に見つかって、その居場所を壊されて金を奪われる。花屋で優しく保護してくれた老夫妻の時は冷たい態度で手の平を返された。
「冒険者を辞める選択肢もありますね。でもベル様となら・・・」
リリは昨日パーティーを組んだ白髪赤眼の少年を思い出す。
今までに冒険者と違って、優しくて気遣いが出来て出鱈目な強さ。
目の前で【ロキ・ファミリア】の一流冒険者ベート・ローガとの私闘。
「リリの為にと一瞬でも思ったリリが馬鹿でした。本当にベル様は女好きの変態さんです。でも・・・」
しかしリリはベルとの冒険を楽しんでいた。
本来なら、モンスターと命のやり取りをしながら死に物狂いでダンジョンを攻略していくのが普通だ。
年下で強くて頼り甲斐のある少年。
顔も悪くはなく、そして報酬も半分という気前の良さ。
「脱退する時、ソーマ様までに辿り着く前に誰かに捕まると全額取られる羽目になりますね。それに辿り着いたとしても、ザニス様が待ち構えていることですし。ベル様なら何とかしてくれるかもしれません。根拠なんてありませんけど」
彼女は何度も神と、この世界を恨んだ。
【アストレア・ファミリア】が存在していたらなどと思ったこともあった。
しかしベルから装備品を盗みたくはなかった。
本当のことを話して嫌われてもいい。
「ベル様のサポーターを辞めたいんじゃなくて、報酬が良いからまだ組んであげるだけなんです」
どん底にいた少女には、まだ希望はあった。
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無乳と兎 後編
ベルはロキを抱えて、完全ステルスのスキルを使用して空を飛んでいた。
目的地は【ロキ・ファミリア】のホームである黄昏の館。ロキの部屋だ。
先程までずっとロキはベルに弄ばれており、腰が抜けて立てなくなったのだ。
「到着です。今日は楽しかったです」
「ベルたんの鬼畜!今もうちを弄んで楽しいか!」
ロキの部屋は散らかっていた。
辺りには様々な物で溢れていた。
一番多いのは小型の保存庫まで用意されている酒類。
様々な色、多様な形のボトルが部屋中に散乱している。
机周りには高価そうな道具の数々。
その付近には服や書物などが転がっていた。
「僕は部屋が汚いことなんて別に気にしませんよ」
ベルはロキをベッドに横にさせた。
「そう言ってもな、女は男を綺麗な部屋に招きたいものなんや」
「じゃあ次に来る時に部屋が綺麗になってることに期待しておくよ」
「ベルたん。また今度な」
「お元気で」
二人は軽いキスをして、ベルは窓から再び空を飛んだ。
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マスタースミスの受難
「それでね、ベルがね、ベルがね?」
とある武具店の執務室でのこと。
機嫌のいい女神の声が弾むように響いていた。
「毎日百以上は聞いたぞ、主神様よ。頼むから仕事をしてくれ」
最近のヘファイストスは浮かれていた。
机に頬杖を突きながら笑みを浮かべている主神に、惚気で手がついていない書類を手伝っている椿が呆れた顔で指摘する。
ヘファイストスは椿を捕まえては、何度目か分からない惚気話を始める。
他の団員達には内緒にしており普段通り接するが、椿が雑務を手伝うために執務室に入ると書類仕事は進んでおらず途端に惚気話になる。
最初は椿も、主神を超えた少年に興味が沸いて話を聞いていたが、主神はあの日のことの思い出に浸っている惚気話しかしない。椿は自分や主神を上回る技量に嫉妬と、この状況を作ったベル・クラネルという名前しか知らない少年に軽く殺意を抱いた。
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女神の疼き。
バベル最上階50階にて。
美の女神フレイヤは、血が乾いたハンカチを吸いながら疼いた体を慰めていた。
「ベルの使用済みハンカチってだけで興奮が止まらないわ」
この部屋にはフレイヤしかいない。
こんな痴態を自分の子供たちには見せられないので、オッタルは部屋の外で待機してもらっている。
「早く神の宴に行きたいわ。ヘスティアにベルを譲るように説得しないといけないわね。それか天界に強制送還は・・・ベルが怒るから駄目ね」
フレイヤは色々な案を考えるが、結局正攻法で攻めることにした。
「昨日のベルはカッコよかったわ・・・でもロキのワンちゃんにはお仕置きが必要かしら。オッタル」
すると扉が空いた音もせずにオッタルが傍に控えていた。
「ロキのワンちゃんに警告をお願い。私のベルに手を出すなら私は黙っていないと。それと軽く手を出しても構わないわ。抗争に発展しても面白いし」
「貴女の御心のままに」
都市最強が動く。
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ロり巨乳と兎
「ただいまヘスティア!」
「お帰りベルくーん!」
ベルは廃教会に帰ってきた。
そしてお互いに抱き合い、キスをする。
「んっ」
久しぶりのヘスティアの舌を味わうように唾液を交換する。
そして臨戦態勢に移る。
「ベル君! 一か月以上も僕のところに帰ってこないなんて酷いじゃないか!寂しかったんだぞ!」
「ごめんなさい。それよりもお話があります」
二人は椅子に座る。
ベルはインベントリを操作して、金をとりだした。
「ダンジョンに籠っていたおかげで、億を超えましたよ!」
「すごいじゃないかベル君! 流石僕のベル君だよ! 今夜はぱーっと外食に行こうじゃないか!」
ヘスティアは万歳をして喜んでいる。
揺れている巨乳を見てベルはにやけていた。
「いいですね。僕のおすすめの店でいいですか?」
「それは構わないぜ!でも待ってくれないか」
ヘスティアは自分の身体を匂い、クローゼットと睨めっこをしている。
「18時に南西のメインストリート、アモールの広場で集合だっ!」
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そこは楽園だった。
「おぬし、やはり大きくなっておらんか?」
「女神達が成長するわけないでしょう・・・ってこら、揉むな!」
下界の子供達がこの場にいたら、鼻から血が噴き出して下半身を元気にするだろう。
湯気の中、麗しい身体のラインを、豊満な胸を、何も身につけていない生まれたままの裸体を、完成された美しさを誇る女神達が晒している。そこは男達の理想郷。楽園だった。
「ふぁー・・・お風呂に限るな!」
ここは神聖浴場。
その名の通り、神のみが入浴することを許された清浄な浴場だ。
この神専用の大浴場は、ギルドが都市に住む神の為に設け管理している。
各【ファミリア】から徴収した税の一部を、神達の娯楽施設き還元させている。
一応、男風呂もあるが使用率は低いため、神聖浴場といえば基本的に女風呂を指す。
一度とある偉大な老神により、神々の伝説になった侵入を許した。
以降はギルドによる警備は鼠一匹通さない厳重なものになっていた。
ヘスティアの横に女神が来る。
「あら、へスティア。珍しいわ、貴女がここに足を運んでいるなんて」
「あー・・・やぁ、デメテル。久しぶりー」
デメテルはその暴力的なヘスティアを上回る胸を風呂に沈めた。
デメテルがヘスティアを問い詰めることにより、男ができたことがこの場にいる女神達にばらされてしまった。
この浴場には誰にも気づかれずに
(眼福眼福。デメテル胸でかっ!)
完全ステルスを使ってヘスティアを微行した結果、この神聖浴場を知ったベルはギルドの警備を易々と突破し、女神達の裸体が拝める地上の楽園に侵入していた。
ステルス状態でベルはインベントリに服を入れて、ヘスティアに群がっている女神達の美しい身体をその目にしっかりと焼き付けていた。
ヘスティアがデメテルにどこが好きと聞かれ、ベルも気になり耳を傾けていた。
「全部だよ。僕は彼を愛している」
その発言を聞いたベルは獰猛な笑みを浮かべていた。
『照れるなぁ』
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時刻は18時前。
広場にはイチャコラしているカップルで賑わっていた。
ベルはヘスティアを待っている時間を暇つぶしに、女の顔面偏差値とスタイルを採点していた。
「ベル君!」
「ここでーす」
普段と違う服装にベルは見惚れていたのも、つかの間。
ヘスティアを尾行していた女神達に揉みくちゃにされたベルは臨戦態勢に入ってしまったが、先ほどの言葉を思い出してヘスティアの手を握り逃げ出した。
ベルはステルスを使用して空を飛んでいた。
目的地は豊穣の女主人だ。路地裏で降りてベルはステルスを解除した。
「このお店です」
「ああここか!一度は来てみたかったんだよ!」
二人は手を繋いで中に入る。
「いらっしゃいませ!」
ベルはシルと目が合うと逸らされ、冷めた口調でカウンター席に案内された。
二人は座り、すぐに注文をする。
「ミアさん。飯も酒も全部で」
「あいよ。ゆっくりしていきな」
ミアは奥の厨房に向かい、昨日見た光景を思い出す。
「太っ腹だね、流石ベル君だよ!今日は宴だぁ!」
誤字脱字がありましたら気軽に。
感想くれたら嬉しいです。