暴力表現があります。
誰しも、自分を『場違いだな』と思ったことがあると思う。
『場違い』とは、周りの雰囲気に自分がそぐわなかったり、求められる基準に達していない時なんかに使う言葉だ。例えば若い女の子しかいない小洒落たカフェに入店してしまった時。格式の高いレストランやホテルに足を踏み入れた時。そんな時、人間は居心地の悪さからその場を早々に退場する。……でも、退場できない場合、人はどんな行動をとってしまうのだろうか? うん、俺はその答えを知っている。何故なら今、俺がその立場に置かれているからだ。――そう、答えは『逃避』だ。
目の前で繰り広げられる非現実的な光景を俺は受け入れられないでいた。
人の防衛本能のなせる業なのか、脳は現実を虚構化する。そうやってぎりぎりの所で自分を守るのだ。ただし、これは問題の解決にはならない。大事なことだからもう一度言おう。これは、問題の解決策ではない。
少年の要望どおり“発”を解除した途端、ジョセ・ヴァーシからの殺気を全身に受ける。いや、殺気は俺に対してじゃなかった。俺の横にいる黒髪の少年に対してだ。二人が友好的な関係でないことはそれだけで知れた。どうやらこの少年は、ジョセ・ヴァーシを助け出す為に来た訳じゃない。だが、それが俺にとっての幸運に繋がるかどうかはまた別の問題だ。
「動くな」
少年は鋭利な得物を真横に構えると静かに宣言する。淡々とした言葉とは裏腹に、少年からの威圧は更に凄まじい。俺は震える膝を叱咤したが、堪らずその場に膝を着いた。自分の出来る限りの“纏”をしているが、到底防ぎきれているとは思えない。
唐突に、ヒュッ、という空気を裂く音と、ドス! という鈍い音がほぼ同時に聞こえた。一瞬遅れて俺の前髪を風圧が通り過ぎる。え? と思う。木製の椅子が倒れる音。椅子に座っていた筈のジョセ・ヴァーシが、奴の真後ろの壁に右手を縫いとめられていた。金属性の得物は完全に手の平を貫通して、石造りの壁に深く突き刺さっている。
「動くな。次は殺す」
動いた……のか? 全然見えなかった。
ジョセ・ヴァーシは少年を睨み付けていたが、額には大量の汗が浮かんでいる。少年からの威圧に加え、右手も相当痛む筈だ。うめき声ひとつ漏らさないだけ大したものだ。
一方少年は、相変わらず感情の窺えない涼しい顔だ。鉄格子の扉の前まで来ると、電子ロックを解除する。その迷いのない指の動きに、ああやっぱり警察官が入力していた暗証番号を見ていたのだなと確信した。少年が扉を潜って被疑者に対峙する。
「……イルミ・ゾルディック。俺を始末しに来たか」
男の食いしばった歯の間から、憎々しげに吐かれた言葉にぎょっとする。イルミとは、十中八九この少年のことだろう。いや、問題はそこじゃない。ゾルディック、って言ったか? ……ゾルディックだと?! ゾルディックってアレだよな? あの伝説の暗殺一家。パドキア共和国の
ところで、伝説の暗殺一家のひとりを見てしまった俺はどうなる? ……ダメだ、生き残れる気がまるでしない。
「随分、来るのが遅かったじゃないか。
ジョセ・ヴァーシは言い捨てる。虚勢か諦観なのか。俺には内実までは分からない。
実は、ゾルディックの名を聞いて俺は納得しかけた。殺された子ども達の親の誰かが、ゾルディック家に被疑者の殺害依頼をしたのではないかと考えたからだ。殺された子どもの親には、モローク地区に観光に来ていた資産家もいた筈だ。だが、違う。多分そうじゃない。それだとジョセ・ヴァーシが「イルミ・ゾルディック」だと断じていることに疑問が残る。普通は「お前は誰だ?」とでも言うんじゃないか? 何で来ることを確信している? 俺の疑問は、イルミ少年の次の言葉でますます混迷していくことになる。
「見習い風情が。
「はっ、……
ジョセ・ヴァーシが乾いた嗤いを漏らす。
「あんたたちゾルディックを
ところが、対する少年の反応はさらに俺の予想の斜め上を行っていた。
「何のこと」
こてん、と少年は小首を傾げる。俺同様、被疑者の言っている意味が分からなかったようだ。ジョセ・ヴァーシは僅かに目を見開くと、今度こそ馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「まさか、まだ俺の正体に気付いてないワケ? てっきりその事で来たんだと思っていたよ。ははっ……ゾルディックの情報網も大したことないな」
うわ、ちょっ……お前、黙れ!! 何ディスってんだ!! さっきから思っているのだが、この男。わざとイルミ少年を怒らせようとしているんじゃないだろうか。頼むから、余計な事を言わないで欲しい。俺の命運は、この少年の胸三寸で決まるというのに。
だが幸いにも、イルミ少年が激昂する様子はない。まあ、見えているのは後ろ姿だけだから判じようもないが。
「ゾルディックの家業は暗殺だ。どうせうちが殺した人間の血縁者かなんかでしょ? 露払いは執事の仕事で、家族レベルではいちいち意趣返しなんて警戒してこなかったからね――まあ、今後は執事の身元確認を徹底する必要がありそうだ」
それから、と少年は一旦言葉を切る。右手には、先ほど投擲したのと同じタイプの武器がいつの間にやら収まっていた。投げナイフみたいに何本も所持しているんだろう。
「見え透いた挑発には乗らないよ。情報がないなら直接お前から聞き出すだけだ。意味、分かるよね?」
少年はくるくると手の平で得物を回してから、ジョセ・ヴァーシの右眼へ先端をピタリと固定した。うお……あっぶねぇ。刺すかと思った。見てるだけで目が痛くて、俺は目をしばしばと忙しなく瞬かせた。ダメだ、どう考えてもこれは俺向きの絵面じゃない。眼前の光景にまるで耐性がない。俺が経験してきた荒事は、せいぜいが酔っ払いの喧嘩程度だ。
「……元々、隠す気はない」
だらだらと汗を流しつつも、ジョセ・ヴァーシの態度は然程変わらない。相手はゾルディック家だ。男がゾルディックに何をやらかしたのかは知らないが、冒頭の言葉といい、それなりに覚悟していたということだろうか?
「俺の本当のファミリーネームはアナスタシア。ジョセ・アナスタシアと言えば…分かるか?」
「アナスタシア? ……ああ、あれか」
イルミ少年は、納得したのかジョセ・ヴァーシの右目に当てていた先端を外す。男は詰めていた息を吐いた。
「5年前に壊滅させた
「ゾルディックがアナスタシアを裏切ったんだろうが!!」
憎悪を込めて男が吼えた。
「裏切る?」
「アナスタシアとゾルディックはお互い仕事の棲み分けをしていた。それで何代も上手くいっていたんだ。それをゾルディックが裏切った。殺しの旨味を独占するためにな!!」
「何を勘違いしているか知らないけど」
言いながら、少年は机に腰かけ足を組む。俺とは違うすらりと長い脚だ。
「うちは常に人手不足で家族はオーバーワーク気味でね。アナスタシアの請け負っていた仕事まで盗ろうなんて浅ましい考えはないよ。結果として仕事量は増えたけど、迷惑なくらいだ。棲み分け? うちがアナスタシアと提携しているというのもないね。アナスタシアを殺ったのは単に依頼があったからじゃない?」
もう分かったからいいよ、と少年は呟く。
「結局ミルキを拐ったのはゾルディックへの私怨か」
ミルキ? また分からない名前が出た。
だが、その名前に男は口角を上げると、にたりと笑った。俺が見ていてもこう……ねっとりとした粘着質なものを感じて、ほんの僅か感じていた男への同情めいた感情が霧散する。忘れちゃいけない。こいつは幼い子どもを拐って殺した男だ。
「拐う? 違う。ミルキは俺の妻になる女だ。俺のものを俺の自由にして何が悪い。俺はミルキを愛している」
淡々としていた少年の雰囲気が一変する。それはもう見事な変わりようだった。後ろからでもそれと分かるほど、纏う空気が凍てついた。ジョセ・ヴァーシ――いや、自己申告を信じるならば本名ジョセ・アナスタシアの語ったことは、はっきりと地雷だ。それも、多分盛大に踏み抜いた。
「――黙れ」
地を這うような声だった。ここへきて初めて、イルミ少年の人間臭い一面を垣間見る。
「兄なのに知らなかったワケ? ミルキは俺の許嫁だ。これはゾルディックとアナスタシアで内々に取り交わしていた事だ。帰って母親にでも聞くといい」
「黙れ」
ガキン、バキン、とおよそ人間を殴ったとは思えない音が鳴る。あっという間に、男の顔が腫れ上がって原形がなくなる。イルミ少年は、男を殴った自分の拳を少し眺めてから、ち、と短く舌打ちした。
「くくっ……、ははっ、あーー効くね、コレ」
ぷっ、と血ごと歯を吐き出すとジョセ・アナスタシアは愉しそうに笑う。
「何故……人は綺麗なものを汚したいか、あんたに分かるか?」
鼻から、口から血を流しながら、男は語る。殴られたせいか、先程より不明瞭な声だったが、静まり返った部屋の中ではそれでもよく聞こえた。返事をしない少年にお構いないしに男は口を開く。
「永遠に綺麗なものなどないからさ。新雪もいつかは泥にまみれ人に踏みしだかれる。――そして、できればその新雪を踏むなら一番がいい。ふふ……真理だろう? 清らかさは刹那だからこそ貴重なんだ。ミルキはね、奇跡的な存在だよ。お前たち汚らわしいゾルディックの中で、真っ白に清らかさを保っている。でも、聖女はいつまでも聖女ではいられない。いつかは俗世にまみれて地に堕ちる。だから、この手で穢してやろうと思ったのさ。堕ちたミルキもまた美しいだろうしね」
男の瞳はうっとりと虚空を見る。うわ、と俺は完全に引いた。こいつは異常者だ。間違いなくヘンタイだ、通報案件だ。――だが、だんだん分かってきた。誘拐された子どものうち、生き残った少女がいた筈だ。恐らくその少女の名がミルキ。少女の兄がこのイルミ少年で、ゾルディック家の人間だ。つまり、こいつはゾルディック家の娘を拐ったということになる。なんという命知らずな。しかも、本気で少女の所有権は自分にあると思っているようだ。アナスタシア家がゾルディックに消されたのなら許嫁もクソもないだろうに、どういう思考回路をしているのだろう。
「ご高説、どうも」
懐から取り出したのは、今までにない細く長い針だった。それを予備動作なしで男の眉間に突き刺す。続けてもう一本。今度は左の
「お前の性癖なんか興味ないよ。聞きたいことはそれじゃない」
その意見については俺も同意だ。だが……これ、死ぬんじゃないか? 頭に針を刺したのだ。それも二本も。これで生きてたら嘘だろ。痙攣が収まると、男がむくりと顔を上げた。わあ、嘘ぉ。生きてるよ。
「お前の本名は」
「あナスたシア……。じょセ・あなスタシア」
「ゾルディックへ近づいた目的は」
「復讐……ト、ミルキ。……殺ス、ぞるでぃっく、コロス」
ジョセ・アナスタシアからの言葉はたどたどしい。目は虚ろで、焦点は合っていない。口の端からはだらだらと涎が流れていた。うん、これ絶対操作系だ。だから俺の“発”を解除するようにイルミ少年は言ったのか。操作系は早い者勝ちの念能力だ。俺のコントロール下に置かれた人間を、後から別の人間が操作しようと思っても出来ないのだ。自分以外の操作系の能力を初めて見たが、確かにこれは後遺症が酷そうだ。今のジョセ・アナスタシアは、薬物中毒者にしか見えない。これ、そのまま廃人になるんじゃないか? と疑うレベルだ。
「ふうん、嘘は言ってなかったみたいだね」
なるほど、少年のは自白系の能力か。ただし、対象者の知能は相対的に著しく低下しているように見える。強制的に判断力を失わせることで自白を可能にしているのかもしれない。
「じゃあ、質問の方向性を変えてみよう。共犯、共謀、あるいはお前を
男は沈黙する。暫くして、「いなイ」と短く答えた。「いない?」と少年は訝しげに首を傾げる。
まるで『いない』という答えを想定していなかったかのような反応だ。少年は口許に手を当てて暫く考えていたが、ふと思いついたように口を開いた。
「では、お前がアナスタシアであることを知っている人間は他にいるか」
「イる」
「誰?」
「……ぱリすとン・ひル」
「パリストン?」「パリストンさん?!」
俺と少年の声が被った。しまった、と思ったがもう遅い。ぐりんと振り向いた艶消しの黒に射抜かれる。
「知ってるの?」
俺は仕方なく頷く。うう……パリストンさん、ごめんなさい。恩義ある貴方を売るようだけれど、俺はやっぱり自分と家族が可愛いのです。
「パリストンさんは、ハンター協会の理事のひとりです。若いけれどやり手で、協会の資金ぐりや、協専ハンター斡旋の仕事を担当しています。とても紳士で誠実な人格者でもあります」
「協会幹部か。……厄介だな」
俺が勇気を振り絞って付け加えたパリストンさんの
この流れだと、次にゾルディックが標的にするのはパリストンさんということだろうか。パリストンさんは、協会の幹部だ。いくらゾルディック家とはいえ、やり方次第では協会に喧嘩を売ることにならないか? ハンター協会に喧嘩をふっかけるなんて馬鹿な事、普通だったらしない。うん、普通だったらね。でも、ゾルディックは多分……普通じゃない。
恩人の思わぬ危機に、冷や汗が背中を伝う。
「そのパリストンに、お前の計画を話したか?」
「話し、タ」
げ、と思う。話したのか!
「それはいつ? 内容は?」
「はんターになった時ニ全部。ぞルディッく家ヘノ恨ミも、ミルキが欲しイ事モ……」
「パリストンは何て?」
「ヤめロ……ト、止めラレタ」
スパシーバ!! ハラショーー!!
やっぱりパリストンさんは違う。間違った方向に行こうとする新人ハンターをちゃんと諭しているじゃないか。全然諭し切れていない点についてはこの際致し方ない。パリストンさんとて人間だ。そういうこともあるだろう。
俺はほっと胸を撫で下ろす。これでパリストンさんへの疑いも実質的な害もなくなった筈。ああ、後は俺がこの場を無事に脱出できるかどうかだけが最大に気がかりだ。
「ふうん。止めた、ね。」
少年が不穏な独白をする。ええ?? そこを疑っちゃうと、もう、ね。そこは、自分の操作能力を信じようよ。うん、きっとあれだ。小さい頃から裏家業なんてやってるから、性格が捻じ曲がってしまったに違いない。
と、不意に少年が振り返る。
俺は思わず大袈裟なくらい仰け反った。まさか、今心の声を口に出してしまって……ないよな?!
「拷問にも色々あるけどさ、最も過酷な拷問って何だと思う?」
「はいぃっ?!(……俺?!)」
完全に、少年の目は俺を見ていた。
俺? 俺なの? 答えるの俺?!
最も過酷な拷問? そんな事、考えたことすらないんですけど!! 今までずっと二人の世界だったじゃないか。頼むから、俺の存在を思い出さないで欲しい!
できればそんなマニアックな質問には答えないで済ませたい。俺はごくりと喉を鳴らす。答えを間違えたら殺されるとか、ないだろうな?
「ええと……火炙り、かな……?」
「ああ、まあまあのセンスかな。あれはね、火力を弱めてじわじわ炙るとなかなか死ねなくて苦しむらしいよ。中世の魔女裁判では薪を惜しんだ結果生焼けにされて、何日か生きていた事例もある」
おえ……やめろ。想像したじゃないか。怖すぎる。足元から這い上がってきた悪寒とせり上がる吐き気に耐える。少年は、再びジョセ・アナスタシアに向き合うと、淡々と語り出した。
「意外かもしれないけど、最も過酷な拷問のひとつに『断眠』がある。身体的な苦痛じゃなくて、『眠らせない』という拷問方法だ。睡眠は生物にとって必要不可欠なものでね、眠らせない環境を与えることで面白いことがいろいろと起きる」
ああ、もう聞く前から分かっている。その『面白いこと』ってのは、絶対に面白くない。
「睡眠は、身体を休めるためじゃなくて実は脳や脳神経の健全な活動のために必要だと言われている。睡眠不足が慢性化すると、高血糖や高血圧を引き起こすし、判断力も鈍る。常にイライラして心理的にも余裕がなくなる。これは単なる慢性的な睡眠不足における症状だけど――もしも強制的に何日も眠らせないでいるとどうなるか」
どうなるんだろう? 少年の語り口は意外と上手くて、状況を忘れてついつい聞き入っていた自分がいた。
「どうなるんだ?」
うっかり口を挟んでしまって、俺は慌てて両手で口を塞いだ。馬鹿! アホ! 死にたいのか、俺は。
少年は双眸を僅かに細めてちらりと俺を見遣った。分かります、道端のゴミを見る目ですね。イルミ少年はふう、と少し息を吐いたように見えた。
「死ぬよ」
「は?」
「断眠すると、例外なく気が狂って死ぬ」
相変わらず淡々とした物言いだが、語る内容の物騒さに俺はぶるりと身を震わせた。
「身体的に傷をつけなくても、断眠すると脳が損傷するんだ。実際に犬を使った断眠実験の記録が残っている。250時間以上断眠した個体は、皆脳細胞に多大なダメージを受けて死んだ。身体的には全く異常は見られなかったのに脳だけが液状化していたらしい」
ジョセ・アナスタシアがイルミ少年の言葉を理解しているか、というと随分と疑わしい。涎を垂らしながらカタカタと震えてるだけだ。いや、理解できていない方がいっそ幸せなのかもしれない。今語られた内容が、脈絡のない唯の雑談ではないことは明白だった。
少年は眉間の針を素早く抜き取ると踵を返す。左側の針はそのままだ。ジョセ・アナスタシアは頭をがくりと落とす。
「何を……した……?」
死んだ……殺したのだろうか?
俺の唸るような呟きに、意外にも答えが返る。
「すぐには殺さない。左の
少年とすれ違う。緊張がピークに達したが、何をされることもなく通り過ぎる。
「ああ、言い忘れてた」
扉のノブに手を掛けながら、少年が振り返る。
「お前、協会の犬でしょ? あんたの上司――パリストンに伝えてよ。近々ゾルディックが会いにいくから、ってね」
最後に当てられた殺気に、一瞬意識が飛びそうになる。
イルミ少年が出て行った後、俺は放心状態で数分ドアを眺めていた。は、と我に返り気絶したままのジョセ・アナスタシアをもう一度拘束するため、能力を展開した。――ああ、やっぱりだ。操作できない。操作できない!!
どっと汗が噴き出る。1時間おきに脳へ刺激を送る、とイルミ少年は言っていた。つまり、あと何十分か後にこの男は目を覚ます。
「大変だ……」
俺は、震える指で携帯の通話ボタンを押したのだった。
アナスタシア家は、実在のアメリカンイタリア系マフィアの設定をそのまま頂いております。
マーダー・インク(殺人株式会社)のアナスタシア家のボスは、実際に暗殺されています。
蒸しタオルを顔にかけられたまま暗殺されるシーンは、映画ゴッド・ファーザーでも印象的なシーンですね。