「なるほど、つまりお前はPhoに洗脳された。で、シリカに一目惚れしてそれが解けた。と。」
「まあ大体そんなところだな。」
「しかし洗脳、か。ラフコフがどうしてあんなにたくさんのメンバーを揃えられているかの一つの理由っぽいな。」
「ああ。もちろん元々殺人嗜好があった奴らも少しはいただろうけど、それにしても一万人しかいないSAOプレイヤーの中にレッド、それに準ずるオレンジプレイヤーの数が多すぎるとは思ってたんだ。」
「Pho、相変わらず底の知れない奴だな。わかった、この事はアルゴから伝えてもらうようにするよ。」
「サンキュ。で、キリトはなんでこんな中層にいるんだ?お前いつも最前線でバーサクしてるんじゃないの?」
「まあ間違っちゃないんだけどそれにしても失礼だな。俺もシリカに用があってさ。」
「ふぇ?私ですか?」
おいまてや。まさか俺の婚約者(仮)に手を出そうとしてるんじゃねえだろうな?
「ああ、そこの馬鹿みたいな訳わかんない用じゃないよ。」
「いえ、セルキさんは恩人ですので…。」
「いやいや。シリカちゃんを助けるためなら何でもするぜ。たとえ火の中SAOの中!」
「で、用ってのはさ、ロザリアって知ってるよね?」
「!」
おい無視かよ。ってシリカちゃんすっげえ驚いた顔してるけど誰だよそれ。
「えっと、私が迷いの森に一人でいたのはその人と回復アイテムの分配で揉めたせいで…。こないだまでパーティーを組んでた人なんです。」
「おいおい、どんな奴だよ。回復アイテムを分けようとしないって。」
「ロザリアさんは私にはピナがいるからいいでしょうって…。あ、ピナってこの子のことなんですけど。」
「シリカちゃんってビーストテイマー?」
「はい。確かにピナは私を回復してくれますけどそれにも限界がありますし。」
「当然だな。回復アイテムは数があればあるほどいい。やっぱり腐った奴だな。」
キリトの言うとおり腐った奴だ、いくら他の回復手段があるとしても回復アイテムは生命線だぞ。シリカちゃんが死んだらどうしてくれる。今度から俺がシリカちゃんにいくらでも貢ごう。
「あの、ところでなんでキリトさんはロザリアさんのことを聞いたんですか?知り合いなんですか?」
「いや、知り合いじゃないよ。ただロザリアに用事があってさ。セルキ、ちょっといいか?シリカ、少し待っててくれ。」
「あん?」
「あ、はい。」
──────────────────────
「で、用事ってなんだ?シリカに聞かせたくないことなんだろ?」
「ああ。ロザリアはレッドパーティーのリーダーだ。」
「は!?なんでそんな奴がのうのうと街中にいるんだよ?犯罪者は街に入れないだろ?」
「犯罪者パーティーのメンバーをグリーンにしておいてアイテム補給とか情報収集とかの役をしてもらうのはよくあることだよ。話を戻すとロザリアはこないだある中堅パーティーを襲った。そのパーティーはリーダーを除いて全員殺された。」
「っ…!」
「続けるぞ。そのリーダーは最前線で泣きながら復讐してくれるやつを探してた。俺はその依頼を受けたんだ。それでロザリアを観察して、アイツの次の狙いはシリカだとアタリをつけた。それがシリカに用があるって言った理由だよ。」
「…そういう事だったのか。で、どうロザリアに復讐するつもりなんだ?まさか殺そうなんてことは無いよな?」
「当然。そのリーダーさん強いよ。監獄に送ってくれ。それでいいって。」
「そうか。」
そのリーダーさんはキリトが称したように確かに強い。仲間を殺した奴を俺なら殺したいほど憎むだろうし復讐するなら牢屋に打ち込むだけじゃ気が済まないだろう。それが新しい憎しみや罪を生むとわかっていても。
「それでだ、作戦を考えた。シリカを囮にする。」
「却下。」
「ちょっ、もう少し話聞いてくんない?」
「却下。」
「いやマジで、シリカが心配なのはわかるけどさあ。」
「却下だっつてんだろ!シリカちゃんにんな事させられるか!」
「お前リーダーさんに対して思うことは無いのかよ!?それに絶対シリカを危険な状態にはしないから!」
「それとこれとは話が別だ!それに囮にするって時点で危険なんだよ!」
「ええ…。じゃあどうしよう…。」
悩むキリト。だが助けんぞ。シリカちゃんを囮にするなんて言語道断。リーダーさんには悪いけど俺は復讐を手伝えなさそうだ。
「お前シリカが自分に賛成するとしか考えてねえだろ。」
「シリカちゃんも囮にされるなんて嫌だろ。」
「まあそりゃそうだけどさ…。いや、それってのもさ、ロザリアがシリカを狙ってるのには理由があって、最近発見されたアイテム知ってる?」
「いや、初耳だな。」
「それの発生条件がどうもビーストテイマーが要るっぽいんだよ。それでロザリアはそのアイテムを手に入れるためにシリカを利用しようとしてるってふんだんだ。」
「なるほどなあ。そういう意味での囮か。」
「うん。とは言ってもお前の言うとおり俺はシリカのことを考えてなかったな。他の作戦を考えるよ。」
「そうしてくれ。あとシリカにロザリアのことは話しておいた方がいいだろうな。」
「わかった。」
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「シリカちゃん、ショック受けてたな。当然か。」
いくら喧嘩別れしたとはいえ一緒にプレイしていた相手が犯罪者だった。
─いや、俺もそうか。最初シリカちゃんを殺そうとしてたんだ。この事は隠しておくべきなんだろうか。
そんなことを考えてたらノックがした。
「セルキさん、まだ起きてますか?」
「フォッ!?う、うん。」
「少しお話したくて、入っていいですか?」
「ああ。いいよ。」
「おじゃましまーす。こんばんは、セルキさん!」
「こんばんは。話って?」
「昼間のお礼をまだちゃんとしてなかったなって。セルキさん。助けてくれてありがとうございました。」
「ああ、無事でよかったよ。」
「本当に助かりました。私、中層ではビーストテイマーってことで少し有名人で、…驕っていたんだと思います。迷いの森からも一人で脱出できる。そう考えてました。でもあんな事になって、身体が動かなくて…。怖かった。でもセルキさんが来てくれて。って私何言ってるんだろ!?恥ずかしい!」
ヤバい。更に惚れる。なんだこれかわいすぎるだろ。
「そんなに感謝しなくてもいいよ。助けるのは当然だし。」
「でも、なにか私にできることありませんか?お返しがしたいです。」
「お返し?」
「はい!私にできることならなんでも!」
なんでも…だと…?まさかこの台詞が聞ける日が来るなんて!?ここは何をしてもらうべきだろう。膝枕?添い寝?いや倫理コード解除してもらって…いやいやイカンイカン。そんなことをしたら確実に嫌われる。そもそも条例が…いやSAO中にも適用されるのか知らないけど。
ここはこれでいくべきだ!
「ほんとに大丈夫だよ。気に負うことは無いさ。」
「そ、そうですか。…意気地なし。」
決まった。これで好感度アップしたに違いない。最後になんか言ってたみたいだけど聞こえなかったな。まあいいか。
「しかし眠くなくなっちゃったな。どうしようか。」
「ごめんなさい…。」
「いやあ、まあいいんだけど。明日予定があるわけでもないし。」
「ならお話しません?お礼とかじゃなくて。セルキさんに聞きたいことたくさんあります。」
「ああいいよ。何から聞きたい?」
「そうですね。セルキさんって、普段何してるんですか?」
「そうだな…」
──────────────────────
いかん、いつの間にか寝落ちしてったっぽい。
ん?なんかベッドが狭いな?
「ブフォッ!?」
シリカちゃんが隣で寝てた。
「ん?もう朝ですか?おはようございますセルキさん…ふぇぇっ!?」
現実の母さん。俺、大人になったかもしれません。
遅くなってスイマセン。期末テストが…。
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