「─時間になりましたので攻略会議を始めたいと思います。欠席者等の報告はありますか?」
「いないようですね。では始めます。前回は先遣隊を派遣するところまでしか話がいかなかったので、まず今回のボスについて。アルゴさん、おねがいします。」
「はいヨ。」
この感じ、久しぶりだな。
俺は壊滅的被害を出した25層以来の攻略会議に参加していた。本当は攻略なんかに参加したくないんだけど言質を取られた以上仕方ないか。
前回の内容をキリトに聞いておいてよかった。話についていけないとこだった。
「そこ、聞いてますか?」
「あっと、悪い。ちょっと考え事してた。」
「はぁ…いくら久しぶりとはいえ呆けてもらっては困りますセルキ君。今回は55層の攻略。50層以来の強敵になると予想されます。しっかりと耳を傾けてください。」
「ごめんアスナ。」
「気をつけてください。アルゴさん、すいませんが続きを。」
「セル君は相変わらずだネ。アーちゃんの紹介があったとおり今回は55層。ボス名『ザ・レイジー・ツイン』怠惰な双子ってとこかな。先遣隊の報告によると双頭の鮫みたいなやつらしい。警戒することとしては噛み付きにデバフ効果がついてること、肌がそれこそ鮫肌で武器の耐久力と当たった場合体力を削ってくるらしいヨ。取り巻きは最初の時点ではいなかった。あと双子っていうくらいだし分裂するかもナ。ただクエストをした限りじゃそんな情報はなかくて、なんか小さくなるって話だったから違うかもしれナイ。」
「ありがとうございます。デバフ対策と予備の武装に注意してください。小さくなるというのは気にとどめておきましょう。それでは…パーティーを組んでもらえますか。」
やべっ!俺とパーティー組んでくれる人なんてボッチのキリトぐらいじゃねえか!どうしよう…
「おーキリト。俺らと組まねえか?」
「エギル。悪いな、今回もお願いしていいか。」
げっ!?キリト…お前だけはボッチだと信じてたのに…
これはマズいぞ、俺だけボス攻略周りがお仲間で俺だけコミュニケーションとれなくてソロプレイ同然になっちまう。さすがに死ぬぞ…
ま、周りだ!あぶれ者を探すんだ!…いたぁ!なんかマスク被ってて変な奴だけどンなこと気にする必要もない!
「き、君!俺とパーティーを組んでください!」
「俺かい?いいけど2人じゃ参加できないんじゃないか?」
「いや、ここには42人しかいないはずだしパーティーの上限人数的に足りないところができるはずだ。そこに入れてもらおう。」
「なるほどね。いやすまない。恥ずかしい話今回が初参加でね。俺はパルム。メインはダガー。よろしくお願いするよ。」
「こちらこそ。俺はセルキ、片手剣だ。さて、足りてないパーティーはどこかなー。」
「アレ4人じゃないか?」
「おっそうだな…ってクラインか。丁度いいや。」
旧知の仲であるクラインにパーティーに入れてもらえた。よかった…
「決まったようですね。団長、お願いします。」
「うん。─みな、よく集まってくれた。おそらく今回も苦しい戦いになることが予想される。しかし、君たちなら乗り越えられる!解放のため、我々を支えてくれる人々のため、そして自分のため、さあ、征こう!」
『『『オオーッ!!!』』』
相変わらずいい激を飛ばすな、血盟騎士団団長、ヒースクリフ。
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「セルキ、お前レベルは大丈夫だよな?」
道中、クラインが話しかけてきた。
「んー、レベルは。ただこんな集団戦は久しぶりだからな。勘を取り戻せるかが…」
「ソロプレイだったもんな。まあお前だし心配してねえぜ。」
重い信頼はやめてくれクライン。死にたくないからサポートたくさんしてくれクラインさん。
「で、パルム。俺はオマエについて知らないからなあ、ただダガーってことは前衛だろ?」
「はい。そのぶん装甲は薄いですけどね。」
「そこなんだよな。うちはタンクいねえから重い攻撃来たら下がるっきゃねえな。まあしゃーねえ。頑張ろうぜ!」
「「「おう!」」」
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ボス部屋の扉が開いた。戦いが始まる。
『いたぞ!』
誰かの声が聞こえた。目の前には報告通り双頭の鮫のようなボス。初撃、貰うか!
「フッ!」
「ハァッ!」
「!」
「オォオッ!」
俺に加えてアスナ、パルム、キリトの4人が同時に攻める。─え?キリトとアスナはわかるけどパルムまで俺達のスピードについてきたってのか?
いや、レベルが高いのならいいことだ。余計なことは考えてられない。集中!
「いい初撃だ!続け!」
ヒースクリフの声に押されて攻略隊が攻めてくる。
ボスは初撃を当てた4人のうちどれに狙いをつけるか迷ってたようだがどうも俺とキリトにきたようだな。片方ずつ頭が来る。首が伸びるのか。
向こうは基本的な噛み付き、真っ直ぐ来たところを右に半歩分回り避ける。
空振ったところを、上段から斬りつける。
「セァッ!」
再び噛み付きが来る、今度は待ってギリギリで左にステップ。頭がこっちを向いたところを目の上向かって袈裟斬りのソードスキル『スラント』を放つ。威力はやや低いながらもモーションが少ない技ならではの扱いやすさで狙い通りの場所に当てられる。
手応えは…充分!
「スイッチ!」
クリティカルヒットによって鮫が仰け反ったスキに後ろで待機していたクラインと入れ替わった。
ふぅ、集中がもたないな。剣の耐久は大丈夫そう。
「どりゃぁぁぁぁ!」
激しく吠えながらクラインも重たい一撃を喰らわせた。あまり苦戦はしてなさそうだな。
他のところをみても皆落ち着いて戦えてる。
基本的に頭はウチとキリト組、尻尾に血盟騎士団、残りは横から攻めてるみたいだな。
55層、相手も強くなっているが裏を返せば攻略組は54回ボスを倒してきたということだ。当然技術も上がっている。モンスターにそうそう遅れはとっていられない!
──────────────────────
「スイッチ!」
うちのメンバーが叫んだ。ローテーションからすると次は俺か、入れ替わって一撃喰らわせターゲットを引きつける。
既に4本ある体力ゲージのうち2本は削りきり3本目も相当減っている。もうすぐラスト1本に突入するだろう。
ここまで噛み付かれてスタンや毒を受けた人も何人かはいるけど体力がレッドに落ちいったような人はいない。順調!
「フッ!」
鋭い声と共に放たれた『閃光』との異名を持つアスナの超高速のソードスキル『リニアー』、初期技ながらも凄まじく正確なソレは鮫の尻尾を貫いた。
それと同時にゲージが残り1本になる。
「気をつけて!パターン変わるよ!」
アスナが叫ぶ。俺も一旦攻撃の手を緩めて防御に意識を傾ける。
するとアスナが貫いたあたりを起点として鮫が2つに分かれて行く。分裂説は正しかったのか。
と、思ったのも束の間。片方が片方を食い始めた。
さすがにレイドも嫌な予感がして下がる。
「なっ!?アイツら仲間割れか!?」
クラインが喚く。
鮫には母親の胎内で共食いするのもいた気がするけど…
『へっ、共食いしてりゃ世話ねえぜ!』
誰かが突っ込む。
ガブリ。そんな擬音が聞こえてきそうなほど思いっきり噛まれた。
「!?さっきと全然スピードが違う!」
『うわああああ!!!』
『あいつ、噛まれ続けてるぞ!』
ヤバい!このままじゃダメージが蓄積して!
「クソッ!」
キリトと俺が真っ先に飛び出す。間に合え!
「キリト!合わせろ!『ヴォーパル・ストライク』だ!」
キリトが最も得意なソードスキルでいくと合図した瞬間俺とキリトは同時に放った。
ギュン!
ジェットエンジンをつけてるかのような速度で敵を斬る。
同じタイミングで出したはずなのにちょっとキリトの方が早かったな、悔しい。
『た、助かった。ありがとう!』
よし、死んでないな!体力ゲージは相当削られてるけど大丈夫そうだ。良かった。
ドンッ!
『グッ!?』
尻尾!?なんでそっちも伸びてるんだよ!?
『あ…』ガシャン!
ガラスが割れるような音と同時にその人は死んでしまった。仮想でも、現実でも─
「あ…ああああ!!!」
仲間が、殺された…
名前も知らない人だったけど確かに一緒に戦ってた。その人が…
「ハア…、使えねえ部下だな。」
「パルム?」
「全く、リーダーになんて説明すりゃいいんだよ。言われた通りLAとろうにも死んじゃダメだろ、死んじゃ。そもそもゲージがお前一人で削れるわけ無いだろ馬鹿、死ねよ。って、死んでるか。」
「お前、どうした?」
「ああ、セルキ、リーダーから伝言。吹っ切れちまえ。どうせお前は人殺しさ。恋なんかしてられないんだよ。優しい俺は助けとして代わりにあの娘を殺しておいてやるよ。ってさ。」
「…は…?」
「わかんねえ?リーダー、Pohさんからの伝言。同じダガー使いとして尊敬してるぜ。じゃ、確かに伝えたからな。バイバイ!」
「おい!まてよ!」
「セルキ、危ない!」
「!くそっ!」
尻尾の第二撃をなんとか回避。掠りはしたけど大丈夫そうだ。
それより、シリカちゃん…!
読んでいただきありがとうございました!
階層とかの設定違ってる気がしてならない…
感想等待ってます!