「……ミラは元気かなぁ……」
と少年は、教室の窓から蒼空を見上げながら呟いていた。
そこに
「……くん……井くん……吉井君!!」
と彼、
「あ、はい!?」
呼ばれてることに気付いた明久は、声のした方向に視線を向けた。その先では、クラスの担任たる高橋女史が明久を見ていた。
「吉井君の自己紹介番です」
「あ、はい。すいません」
高橋女史の説明を聞いた明久は、席から立ち上がって
「吉井明久です。趣味は料理とゲーム。特技は、剣術です……よろしくお願いします」
と自己紹介すると、席に座った。
そのタイミングで、高橋女史は携帯を取り出して
「……はい、わかりました」
とだけ答え、ポケットに仕舞った。そして
「遅れていた留学生が来たようですので、迎えに行ってきます。その間、待っていてください」
と言って、教室から去った。
今明久が居るのは、日本は東京の文月学園の2年A組だ。
科学が発展している現代だが、世の中には不思議が溢れている。ある国では、魔術が使われていて、更には竜が棲息している。
科学が発展してもなお、魔術は解明出来ず、竜は簡単には倒せない。
そして今居る文月学園は、世界で初めて科学と魔術の融合を偶然とは言え成功させたシステムを導入させた。
その名前は、召喚獣システム。
生徒のテストの点数が、そのまま強さになるという特殊なシステムを採用し、更にはテストの上限を取っ払ったことにより、実力主義と言える学園を創設。
世界からも注目の学園だ。
その教室で、明久はボーっとしていた。
蒼空を見て、日本から遠い国に居る想い人のことを思い出していたのだ。
『また会いましょうね、明久……』
それが、別れ際に交わした最後の会話だ。
だが、元気にしているとなんとなくだが確信もしている。そこに、明久は何やら知っている冷気を感じて視線をドアの方向に向けた。
その直後、ドアが開いて高橋女史が三人の少年少女と共に入ってきた。
だが明久は、その内の一人に視線が吸い寄せられていた。
長く伸ばした青い髪を、ポニーテールにした一人の美少女に。
「遅れていた留学生です。皆さん自己紹介をお願いします」
と高橋女史に促されて、まず一人目。
短く切り揃えられたくすんだ赤い髪が特徴の少年が、一歩前に出て
「ブリューヌジスタート皇国より来ました。ティグルヴルムド・ヴォルンと言います。よろしくお願いします」
と名乗りながら、頭を下げた。
そして二人目、長く伸ばした銀髪が特徴の美少女が
「同じく、ブリューヌジスタート皇国より来た、エレオノーラ・ヴィルターリアだ。よろしく頼む」
と自己紹介しながら、軽く会釈。
そして、最後の一人。長く伸ばした青い髪を、ポニーテールにした美少女が
「ブリューヌジスタート皇国より来た、リュドミラ・ルリエよ。よろしくお願いするわ」
と自己紹介。
そして、明久を見て
「久しぶりね、明久」
と微笑んだ。
だから明久も、微笑んで
「久しぶり、ミラ」
と彼女の愛称で呼んだ。
すると、高橋女史が再び携帯を取り出して
「……はい、わかりました」
と言って、携帯を仕舞った。
「FクラスがDクラスに対して、試召戦争を挑みましたので、予定を変更して自習とします……自己紹介は、各自で行ってください」
高橋女史はそう言って、教室から去った。
これは、戦姫達と少年達の物語。