京勇樹の予告短編集   作:京勇樹

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要望からです
どうでしょうか


GEAR戦士電童・世界を越えた機動戦士

宇宙世紀0079年12月末。

有史以来初の、宇宙での人類同士の戦争。通称、一年戦争が幕を下ろそうとしていた。

宇宙はL3宙域のコロニー群の国家、ジオン公国が地球連邦に宣戦布告したことで始まった一年戦争。

開戦から僅か三ヶ月以内で、当時の地球圏の総人口の半数近くが死んだ。

ジオン公国は、新機軸兵器たるMSを大々的に投入することで、数で勝る地球連邦軍に優勢に戦った。しかし、一気に広げた戦線に補給が追い付かず、ある時期から進軍は停滞。その間に地球連邦軍も軍備を再編し、旧式兵器だが、あらゆる兵器を投入し、戦線を構築・維持し続けた。

更には、ジオン公国軍が投入したMSを鹵獲し、研究することで独自のMSの開発に成功。反撃に出た。

そこからは、あっという間に地球の勢力図は書き変わり、ジオン公国軍は宇宙まで撤退。

その後、最終防衛線たるア・バオア・クーまで押し込まれ、総帥たるギレン・ザビが死んだことで、ジオン公国軍の敗北が決まった。

そして、地球連邦軍の勝利の一因となったMSを有する部隊があった。

第13独立機動群、通称ホワイトベース隊。地球連邦軍では最強のMS隊として名を馳せていた。

旗艦は、新型艦のホワイトベース。そして、旗機、RXー78ー2、ガンダム。たった数機の機動戦力だが、小数でジオン公国軍の要衝を陥落させる要因を作り、更には劣勢を覆し続けた。

そしてこの最終決戦でも、ガンダムは破竹の進撃で敵を次々と撃破していく。そして、パイロットのアムロ・レイのライバル。シャア・アズナブルとの戦いは熾烈を極めた。

機体はコア・ブロックを残すのみとなり、機体から出ると白兵戦を行い、引き分けとなった。

その後アムロは、コア・ブロックで脱出を試み始めた。

時は同じく、ほぼ満身創痍となったホワイトベースも、ア・バオア・クーからの脱出を始めた。

しかし、メインスラスターが不調を起こし、艦長たるブライト・ノアはホワイトベースを捨てて脱出しようと決断し、総員退艦命令を出そうとした。

だがその時、不思議な現象が起きた。

巨大な爆発が起きて、ブライトは間に合わなかったのか、と思った。しかし次の瞬間、景色が変わった。

今まで、L3宙域のア・バオア・クーに居たのに、何故か目の前には青空が広がっていたのだ。

 

「……なんだ、何が起きた……」

 

訳が分からず、ブライトは思わず呟いて、そして気付いた。

 

「これは……地球の、重力?」

 

その身に、慣れ親しんだ重力がまとわりついていた。それも、コロニーの人工重力ではなく、地球の自然の重力だ。

 

「……ミライ、現在地は分かるか!?」

 

「……ダメです。ジャブローだけでなく、あらゆる連邦軍の基地と繋がらず……それだけでなく、GPSも使えません!」

 

総舵手兼副官を勤めるミライ・ヤシマに問い掛けるが、ミライは首を振った。

そこに

 

『こちら、アムロ・レイ! 皆は、無事か!?』

 

とアムロの声が、通信で聞こえてきた。

 

「アムロか!? 無事なんだな!?」

 

『ああ……気が付いたら、ホワイトベースの上甲板にコア・ブロックが乗っていて……今から、艦橋に向かう』

 

ブライトの問い掛けに、アムロがそう言った時。ホワイトベースの真上を数機の戦闘機がフライパスしていった。

 

「なぜ気づかなかった!?」

 

「ダメです! レーダーは損傷により、使用不可能です!」

 

ブライトの問い掛けに、一人がそう答えた。すると、艦橋の前に、一機のヘリコプターがホバリングしてきた。

 

「つっ!?」

 

攻撃されると思ったブライトだったが、ヘリコプターは攻撃する気配を見せない。それだけでなく、機体下部に懸架していたライトを不規則に点滅させ始めた。

 

「これは……光信号か?」

 

それが、光を使ったモールス。光信号と気付いたブライトは、その信号の解読を始めた。

 

「こちらは、特務防衛組織……GEAR……交戦の意志はない……そちらとの、会談を要請する……」

 

「特務防衛組織、GEAR?」

 

地球連邦軍に所属している彼等だが、そのような組織は聞いたことがなかった。だが、友好的に接しようという意志は感じた。

 

「ブライト、どうするの?」

 

帰還してきたセイラ・マスの問い掛けに、ブライトは暫く黙考して

 

「……彼等と会談しよう……アムロは?」

 

と振り向いた。すると、ドアがゆっくりと開き

 

「ブライト!」

 

とアムロが入ってきた。

 

「アムロ、無事で何よりだ。これから、GEARと名乗る組織と会談しようと思う。着いてきてくれ」

 

「分かった。ブライトの判断に従うよ」

 

ブライトの言葉に、アムロは頷いた。そしてブライトは、他にミライとセイラ、ハヤト・コバヤシとカイ・シデンを連れて、上甲板へと向かった。

すると上甲板に、一機の大型のヘリコプターが止まり

 

「こちらの要請を受け入れてくださり、感謝します! お乗りください!!」

 

と中から、一人の兵士が手招きしてきた。

ブライト達が乗ると、その兵士がドアを閉めて

 

「捕まってください! 上昇します!」

 

と全員に忠告し、ブライト達は近くの手すりを掴んだ。そして彼等は、会談で衝撃的事実を知ることになる。


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