短くてごめんなさい
夜、アメリカ大陸。
その日その時、雨が降るなか数台の二台のトラックと二台の車がある街に向かって走っていた。
そのトラックの荷台には、HCLIというロゴが印刷されていた。
『はいはーい、皆、聞こえてるー?』
『うぃーっす』
『聞こえてるぜ、ココ』
一人の女性、ココ・ヘクマティアルが無線で呼び掛けると、数人の男女の声が聞こえた。
『今から私達が向かうのは、ラクーン・シティ。そこの警察が、今回の取り引き相手』
『警察からって、相当珍しいですね。ココ』
ココの説明を聞いて、バルメが不思議そうにした。
何せ、彼らは武器商人。本来、警察は彼らを捕まえる立場の側だからだ。
『まあ、確かにそうだね。私も、片手で数える程度しか覚えがないけど……まあ、今回はラクーン・シティの警察が独自に特殊部隊、スターズを結成。けど、上から武器が調達出来なかったらしいんだよねぇ。んで、何処から知ったのか分からないけど、そこの隊長さんが独自に私に依頼してきたんだ。最近、凶悪犯罪が起きてるけど、中々武器が回されない。だから、署長さんと話し合って私達から武器を買うってね』
『……よく、そこの署長さんが許可したね?』
『本当だよ、ヨナ。まあ、署長さんも苦労してたんじゃない?』
ココの護衛部隊で一番年下で新入りのヨナの言葉に、ココも同意した。しかしココは
(けど、なぁんか嫌な予感がするんだよねぇ……)
と思っていた。その理由は
『トージョー。向こうと連絡着いた?』
『……ダメですね、ココさん。電話が一切繋がりません……ただ、さっきから妙な通信が聞こえるんです』
『妙な通信って?』
『それが、生き残りの警官は生き残った人々と共に脱出経路を探せ……です。あ、無線が切れた……どう思います、ココさん』
部下の一人のトージョーの話を聞いたココは、腕組みして視線を上に向けた。何が起きているのか、さっぱり分からない。ラジオの周波数を変えて情報収集を試みるが、不気味な位にラクーン・シティに関する放送が無いし聞こえない。
確実に、何らかのトラブルが起きた。そう考えるのが自然だ。しかし、彼らも仕事がある。
もしかしたら、取り引き相手が偶々携帯電話を持たずに出てしまっただけなのではないか。
そして、商売というのは信頼が必要だ。ココとしては、相手が裏切らないと銃を使うことは無い。
だが、どうにも嫌な予感が止まらない。
故に、ココは決めた。
『総員、完全武装』
『え? しかし、ココさん。相手は……』
『分かってる。けど、どうにも嫌な予感が止まらないんだよねぇ……もし相手から指摘されたら、強盗グループに襲われましたって言って誤魔化すよ……私としては、仲間を失う方が嫌だからね』
『了解したぜ、ココ……お前ら、聞いたな? 総員、完全武装だ』
『了解!』
護衛部隊隊長たるレームの指示を受けて、護衛部隊は武装を開始。数分で武装を終えると、ラクーン・シティに向かった。
この時、まさかあんな大事件に巻き込まれるとは、誰も予想しなかった。
ラクーン・シティが、地図から完全に消える程の事件になるとは。