「千束、たきな。依頼だ」
「お、久しぶりに来たね」
「内容はなんですか?」
ここは、下町にある和風喫茶店のリコリコ。しかし、それは表向きの姿。本当の姿は、日本を裏から守る武装組織。DAの支部の一つである。
「依頼内容は、護衛任務。護衛対象は、高校生だ」
「お、同年代!」
「一般人ですか?」
店長であり、支部長を勤めるミカが依頼内容を伝えると、前線要員の
「まあ、この少年自体は一般人だな……だが、DAにとっては重要人物になる」
「ん? どーいうこと?」
「DAの根幹システム……ラジアータの開発者の息子だ」
「ラジアータの開発者の息子!?」
ラジアータ
それは、DAを支える統括AIである。このラジアータが無ければ、DAの活動は色々と面倒が増えるのは間違いないだろう。
「顔、見ておけ。名前は、吉井明久だ」
ミカはそう言って、千束とたきなの前に書類を置いた。
少年らしく短く切り揃えた茶髪に垢抜けた顔が特徴の少々バカっぽい少年だった。
すると、奥の部屋から小柄な少女。クルミと眼鏡を掛けた女性の中原ミズキが現れて
「おーい。そいつの居場所と、学校特定したぞ」
「それに、それに差し向けられてる相手も分かったわよ。ちょっとヤバいわね」
とタブレットを置いた。そのタブレットの情報を見て、ミカは
「おいおい……オーケストラじゃないか」
「なに、管弦楽団?」
「確か、DA本部で聞いたことがあります……要注意の危険な殺し屋集団……」
千束が的外れなことを言って、たきなが思い出しながら呟くように言った。するとミカが、パソコンを操作して
「ああ……一番ヤバかった時は、欧州方面で警官隊相手にして三万発の銃撃戦をしたって連中だ。オーケストラと呼ばれるようになった理由は、その人数の多さと銃を楽器と呼んでたからだ」
「銃を楽器って……頭イカれてるとしか言えないじゃん」
ミカの話に、千束は理解出来ないという表情で呟いた。確かに、理解し難いだろう。
「だが、その欧州での銃撃戦で壊滅したって聞いてたが……復活したのか」
「しかし、どうしてそんな連中に狙われてるんですか、彼は」
「それは、まだ調べてる最中だ」
「それより、急がないとマズイかもよ? 最新の情報では、そいつららしい構成員が日本に入ってきてるって」
「おっと、それは急がないとねー」
千束は弾を装填し終わると、予備弾倉を鞄に仕舞い、拳銃を固定した。たきなも同じく、拳銃と弾倉を固定。二人して背負った。
「私とクルミはバックアップするから、まずは彼と合流して」
「分かりました。場所は?」
「ここだ。立川駅三番線の一番前に居る」
その指示を聞いて、千束とたきなはリコリコから出た。
これが、三人の奇妙な話の始まり。