地球にて、ユーラシア連合を中心とした動乱が起きていた頃。月のアーシュライト皇国でも、動乱が起きていた。
アーシュライト皇国。
王政を敷いた月面を中心とした独立国家で、非常に高い技術力を有しているが、かなり閉鎖的だ。
事の始まりは、ユーラシア連合が欧州と日本帝国を侵略した頃になる。日本帝国のある都市から逃げた少年。
そんな達哉達を受け入れたのは、アーシュライト皇国の王族だった。
そこで達哉は、運命の出会いをした。
アーシュライト皇国第一皇女、フィーナ・ファム・アーシュライト。心優しき勉強熱心な美少女だった。
達哉はフィーナの支援もあり、皇立仕官学校に通う事になる。アーシュライト皇国唯一の仕官学校だが、専門学校という面も強かった。
達哉は当初、フィーナと一緒に上級仕官クラスに居た。何をしたら良いか分からなかったという面と、同じように避難してきた友人や家族がバラバラのクラスになったから、知り合いの近くなら安心出来ると考えたからだ。
その仕官学校で達哉は、MS操縦で非常に高い適性を示した。
そして達哉は、徐々にフィーナに惹かれ、フィーナも達哉に惹かれていった。それを、フィーナの護衛でもあり、部下でもある武官のカレン・クラヴィウスに見抜かれ、引き離されるかと思った。
だがカレンは、二人を認めた。その理由が、亡くなっているフィーナの母親。セフィリア・ファム・アーシュライトにあった。
セフィリアは実は度々地球に行っており、地球とアーシュライト皇国の交流を目指していた。
しかし、志半ばで病死。その遺志を、カレンは引き継いでいたのだ。
そして実直な達哉を認め、その達哉とフィーナが付き合い婚約すれば、地球との架け橋になるとカレンは考えた。
そこからカレンは、フィーナと達哉の二人をライオネス・テオ・アーシュライトと引き合わせた。
そこで達哉は、驚くべき事を聞いた。
それは、行方不明だと思っていた達哉の父親。朝霧千春が、月の遺跡の調査中に事故にあい、死亡していたという事実だった。
しかも千春は、ライオネスの地球留学時の学友だったという。
その千春は月面と地中に複数ある遺跡を調べていたのだが、空気を送るシステムが故障し、空気不足による脳の損傷が発生。医師達の必死の治療により一度は一命を取り留めたが、少しずつ衰弱していき、約6年前に亡くなったという。
しかも救助した時には脳の損傷により記憶障害が起きていて、地球に家族が居る事も忘れていた事が、フィーナの話で分かった。
実は達哉は、その事を知るまで千春の事を恨んでいた。千春は母親に達哉と義妹の麻衣の事を押し付け、行方不明になっていて、母親が亡くなって葬式をした時も帰ってこなかったからだ。
しかし、帰ってこれる訳が無かった。その時には、既に千春も亡くなっていたのだから。
そこから達哉とフィーナの二人は、支え合って訓練を乗り越えていき、フィーナはある事を決意した。
そして、訓練校が一つの区切りを迎えた時、フィーナは王城に登城し、玉座の間にて、王たる父親。
ライオネス・テア・アーシュライトと大臣達の前で、ある事を宣言した。
それが、朝霧達哉と結婚する、という事だった。
当初、大臣達は猛反対した。
それでは、高貴なる血筋が穢れると。しかし、フィーナは父親も入婿で、母親のセフィリアが選んで迎え入れた貴族ではない人物だと、フィーナは反論した。
それをライオネスめ認め、達哉にフィーナと結婚する覚悟を確認した。
そして、達哉とフィーナ。そしてフィーナの護衛官で、特殊部隊隊長のカレン・クラヴィウスが認めた事で、ライオネスは婚姻を認め、更に地球との外交を積極的にする事を宣言した。
事はこれで終わりそうだったが、それを認めない者も居た。
それが、ガッセナール侯爵を始めとした貴族派兼地球反対派だった。
彼らは地球など時代遅れで穢れた者が住まう地、という考えを持ち、達哉を始めとした地球から避難してきた者達を、例外なく奴隷身分として酷使すべきだと、以前から主張してきていた。
だが、王権派と民衆派の反対によりその案は採用されずにいた。
それらの不満に、今回のフィーナの達哉との婚姻が、彼らの不満が爆発する要因となった。
彼らは以前から秘密裏に、革命軍を組織し、新型のMSも開発していて、それらで王権派と民衆派に宣戦布告。
電撃作戦で、アーシュライト皇国の約半分を占領下に置いた。
革命軍の兵力は、根回しされていた正規兵と貴族派の私兵。そして扇動した一部民衆により、凄まじい規模で、正規兵と近衛兵達だけでは太刀打ち出来ない規模だった。
そこで王様は、皇立仕官学校に共同戦線を打診した。
それを、仕官学校学長。ローレンス・クライファートは受諾。
それに合わせて、今まで貴族か貴族からの推薦無しでは入学出来なかった仕官学校への入学を、特別に志願制に変更。
勿論だが、厳しい身辺調査等は行う。しかし、戦力拡充という点が最優先された。
これまで仕官学校には、生徒会に当たる組織は無かった。
これは、それよりも訓練課程と勉強を優先したのが理由で、ほぼ全てを学長が担ってきた。
しかし今回の事態に伴い、学長は仕官学校の運営に専念してもらい、候補生達の取り纏めをフィーナを筆頭にした新規発足の生徒会が担い、更に軍側との協議もする事になった。
この物語は、学生達によるもう一つの黙示録になる。