「さよなら、夕呼先生。霞」
そう言ったのは、この地球を救った英雄
「さよなら、白銀。青臭い英雄さん」
皮肉気味に言ったのは、
武の所属していた国連軍横浜基地の副指令である
「さようなら、武さん。私、あなたの事は忘れません。約束も忘れません」
そう言ったのは、ツインテールにした銀髪が特徴の兎のようなヘッドセットを付けた少女
「ああ、海。必ず見ろよ。霞」
そう言った時、武はこの世界から消えた
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「うーん……いっくんのことは、本当に驚いたなぁー」
そう呑気に言ったのは、この施設の主にして、とある理由により全国的に指名手配されている女性
そんな彼女の服装は、言うなれば、一人不思議の国のアリスだろう
着ている水色のワンピースは、胸元が大きく開いており、その豊満な胸を強調していて、頭には機械的なウサギ耳が付けられている
彼女が言ったいっくんというのは、彼女の幼なじみである
その一夏は、入試をするために試験会場に向かい、内部で迷子になり、ある部屋に置いてあったISを起動させたのである
ISとはなにか
正式名称をインフィニット・ストラトスという、マルチ・パワードスーツである
開発した束としては宇宙開発を目的としていたが、束の意思とは違って現在は紆余曲折あって競技用として落ち着いている
だが、このISには一つ欠点があった
それは、女性にしか動かせないのである
そのために世界各国では、女性優遇制度を実施しており、いわゆる女尊男卑が浸透しているのだ
まあ、束本人としてはどうでもいいが
さて、ここで一つ問題がある
先ほどISは女性にしか動かせないと説明したが、一夏は<男>である
つまり一夏は、《世界で初めて、ISを起動した男》なのである
その大事に、世界は驚愕した
ある企業なんかは、一夏の下に訪れて
『調べたいから、実験動物になってくれ!』
と頼んだほどだ
そこで政府と国際IS委員会は、一夏を公立IS学園に入学させることを決定した
しかし、束とっては一夏がISを動かしたことのほうが不思議だった
「うーん、本当に不思議だなぁー」
と、束が体ごと首を傾けた
その時だった
凄まじい轟音と振動が、束を襲った
その影響で束は、椅子から落ちそうになったが、背もたれを両腕で掴んで免れると
「な、なにごと!?」
叫ぶように視線を左右に巡らせると、扉が開き、一人の少女が入ってきて
「束様、大変です!」
束に近づいてきた
「クーちゃん! 何が起きたの!?」
「空いていた第一倉庫に突如、大きな人型のロボットが現れました!」
クーちゃんと呼ばれた少女は、束が問いかけに答えると
「な、なんだって!?」
束は跳ねるように椅子から降りて、駆け出した
そして、件の倉庫に到着して束が見たのは
「ロボット……?」
巨大な人型のロボットだった
大きさは大体、20メートル近い
機体の色は青を基調としていて、左肩にはUNの文字が見えた
頭部にある、二本の角みたいなのが特徴的な機体だ
「うーん……こんな機体、見たことないなぁ……」
そう言いながら、束は機体の周囲を歩き回った
すると、クーちゃんと呼ばれていた少女がロボットの胸部を指差して
「あそこに生態反応が見られます」
と、束に教えた
その言葉を聞いた束は、視線を胸部に向けて
「あそこだね~、とりゃ!」
束は素早く胸部まで登り、手元に空間投影式キーボードを表示させるとタイピングしだした
「むむっ! なかなかロックが堅いねー…まるで軍事並だよー。だけど、この束さんに掛かれば……」
そう言いながら、束が数秒タイピングすると
ガコンと重い音が響き
胸部が前にスライドした
「はい、御開帳ー!」
束は、スライドしてきたオレンジ色のブロックを覗き込んだ
そこで見たのは
「ん? 男の子?」
束の視線の先に居たのは、体に幾つものプロテクターが装着されているピッタリとしたスーツ
99式強化装備を纏っている白銀武が、座席に座って気絶していた
これが、BETAから地球を救った英雄
白銀武と少年少年達の出会いとなる