前略、死んだ父さん母さん、何処だか分からないけど研究員の晶姉さん。そして行方不明の青姉さん。
僕は今……
「死んで……たまるかぁぁぁ!!」
命懸けの鬼ごっこをしています。
今僕が居るのは、異空間の通称魔都。広さは東京都位の、人間が生きるには過酷、というより地獄な世界。
その主な理由が、醜鬼て呼ばれる化け物だ。
この魔都は、今から約80年程前から観測されていて、魔都が原因で起こる事件を、通称で魔都災害と呼ぶ。
僕みたいに魔都にいきなり転位したり、魔都から醜鬼が地球に現れたりと、様々だ。
勿論人理も、やられてばかりではなかった。
この魔都に立ち向かう組織、魔都防衛隊を組織し、反撃と研究を開始。
そして、魔都で見つけた桃を女性が食べれば、様々な超能力を得る事を発見。
各国政府は女性優遇策を制定し、一定年齢に達した女性達にその桃を食べさせて超能力を発現させると、優秀な人材は魔都防衛隊に編入する事にし、何とか魔都災害を減らすように努めた。
それでも、魔都災害は完全には防止出来ない。
何故か、魔都に繋がる門は魔都防衛隊が抑えている門以外は、何時何処に現れるか全く分からないからだ。
今回僕は、いつの間にかその門を潜ってしまったらしく、魔都に居た。
そして、魔都防衛隊に見つけてもらうまで走るしかないという状況だった。
「マズっ!?」
後ろから十数体の醜鬼に追いかけられていたのだが、前から新たに一体の醜鬼が来ていた。
って、よく見れば……前から来た醜鬼の背中に、人が乗ってる?
「ようやく見つけたぞ。既に襲われているとは、不運な奴だ!!」
その醜鬼の背中に乗っていた女性はそう言って、すれ違うと刀を抜いた。
「いや、確か魔都に引き込まれたのは、3人と聞いたが……」
「二人は、先き来たジープに乗せて、避難しました……僕は乗る暇が無く、走ってました……」
「偶々近くに居たという……いや、間に合って何よりだ。私は魔都防衛隊七番組組長、
京香さんはそう言って、醜鬼の首に伸びていた鎖を掴み
「来い、醜鬼共……屈伏の時間だ!!」
そう言って、追い掛けてきていた十数体に突撃。
あっと言う間に倒していくが、乗っていた醜鬼が最後の一体の攻撃で倒れてしまった。
その一体は、京香さんは何を考えたのか、峰打ちで地面に叩きつけた。
その時、雄叫びと地響きが聞こえて、周囲から凄まじい数の醜鬼が、僕達の方に殺到してきていた。
「これは……!?」
「落ち着け、助けてやると言っただろ」
京香さんは冷静に、先ほどの醜鬼の首から現れた鎖を掴み
「こっちだ!」
「あ、はい!」
僕は京香さんに捕まって、醜鬼の背中に乗った。
すると、一気に駆け出した。だが、前からも醜鬼が来る。
「左だ!」
京香さんの指示に醜鬼は従うが、反応が鈍い。
最初の数体は、京香さんの攻撃で倒したが、乗っていた醜鬼は、頭を破壊されて倒れた。
そこに周囲から醜鬼が飛び掛かってきたが、京香さんが素早く取り出した札を地面に叩きつけると、見えない壁に阻まれた。
「結界だ。パニックになって、外に出るなよ」
「で、でも、長くは保たなそうですよ!?」
醜鬼の攻撃で、空間にヒビが広がっていく。
明らかに、長くは保たない感じがする。
でも、僕にはどうする事も出来ない。
「お前、名前は?」
「へ? 吉井明久です」
「明久。ここを脱出する方法があるが、お前にも働いてもらうぞ」
「ぼ、僕に出来る事があるなら、何でもします!」
僕は藁にも縋る思いで、京香さんに返事をした。
すると
「よく言った……ならば今から、お前を私の奴隷にする」
「……へ?」
予想しなかった言葉に、僕は思わず呆然としてしまった。
これが、僕の戦いの幕開けだった。