「なんで俺は、こんな場所に居るのかねぇ……」
ある一人の男子、
その少年は白を基調とした制服を身に付けており、その立ち姿は際立っている
ポニーテールにした白髪に赤い右目、そして左目の眼帯が特徴的だった
彼が居るのは、公立IS学園である
このIS学園は、ISを学ぶために建てられた学校だ
ISとはなにか
IS、正式名称をインフィニット・ストラトスと言い、天才(災?)科学者の
開発した束博士本人としては、宇宙開発を目的としていたが紆余曲折あって、今は競技用として落ち着いている
しかし、このISには一つの欠点があった
それは、《女性にしか》動かせないのである
故に、世界中で女性優遇制度が制定され、女尊男卑が蔓延している
しかしある日、
そう、男がISを動かしたのだ
この事実に世界は驚き、まさしく驚天動地となったのだ
世界中の企業や研究機関はなぜ男がISを動かせたのか知りたくて、一夏に実験台になってくれ、と頼んだほどである
これに対して、日本政府と国際IS委員会は織斑一夏を公立IS学園に入学させることを決定した
こうして、世界初の男のIS操縦者が誕生した
一応、誤解ないようにもう一回言うが、神崎直哉も正真正銘の男である
そんな彼がなぜ、IS学園に居るのか
それは、今から3ヶ月ばかり前だった
回想開始
「これを運べばいいんですね?」
そう言いながら直哉は、ISが載せられた台車を指差した
「ええ、お願いね」
「お願いねーなおくん!」
二人の女性が頷き、それを確認すると
「了解しました」
と返答してから、台車を押そうと触った時
「あっ!」
直哉の手が滑り、台車に載せられていたISに触れた
その瞬間
そのISから澄んだ音が響き渡り、直哉の体に装着された
「うそ!?」
「今まで誰が触っても起動しなかった黒夜叉が、起動した!?」
「あれま……」
女性達は驚き、直哉は少し呆然としていた
これにより、直哉もIS学園に入学することが決まった
第三者sideEND
?side
「それにしても、驚きましたよね」
そう私、
「ああ、そうだな……」
私はテレビを見ながら、呆れ半分で返した
なにせ、テレビに映っているのは私の弟なんだ
一夏は受験に向かったはずなのに、内部で迷い、愛越学園ではなくIS学園の受験会場に入ってしまったバカだ
私はこれから先に起きるだろう事態を思うと、頭が痛かった
その時だった
スーツのポケットに入れていた、携帯が震えた
まったく、誰だ。こんな時に……
私はそう思いながら、携帯を取り出して画面を見た
篠ノ之束
この名前を見た瞬間、切ってやろうかと思ったが、出てやった
『ヤッホー! ちーちゃん! おっひさー!』
相変わらず、脳天気でやかましい奴だ
「なんのようだ? くだらない用事なら切るぞ?」
私は先制をきっておいた
そうしないとこいつは、延々と話し続けるからな
『もう、ヒドいな~ちーちゃんは! 今回は用があったから電話したのに!』
本当か…?
「わかったから、さっさと話せ」
『あのねー、そっちにわたしの知り合いを送るからね!』
私は束の言葉に耳を疑った
こいつが知り合いなんて言えるのは、私と弟の一夏
あとは、今は居ない《あいつ》くらいの筈……
誰だ?
「知り合いだと?」
『うん、そうだよ。データはちーちゃんの端末に送るから、じゃあね~!』
「あ、おい!」
今どこに居るのか聞こうと思ったら、すでに切られた
しかし、知り合い……誰だ?
私が首を捻っていたら
「織斑先生~! 端末が鳴ってますよ!」
山田くんが、私の端末を持ちながら教えてくれた
「ありがとう、山田くん」
私は端末を受け取ると、データを開くためにパスワードを入力した
そして、ファイルを開いて、私は目を見開いた
そこに映っていたのは……六年前に、私が助けられなかったアイツだった……
髪と右目の色が変わり、左目には眼帯をしているが間違なかった……
生きていてくれた……
気づけば私は、端末を胸に抱きしめながら膝を突き泣いていた
千冬sideEND
直哉side
「はて……ここで待ってろって話だったけど……」
えっと……どこに仕舞ったっけ
あ、あった
俺は肩から掛けていたカバンの中から、一枚の紙を取り出して確認した
うん、間違いない
ここで合ってるはず……
「神崎!」
ああ……懐かしい声だ
「千冬さん……お久しぶ……むぐっ!?」
挨拶の途中で、俺の視界は真っ暗になった
しかも、顔全体に柔らかい感触が!
「神崎……よく……よく生きて……」
千冬さんの涙声が聞こえるが、とりあえず言わせてもらおう
息が出来ない!!
俺は必死に、千冬さんの背中を叩いた
すると、気づいてくれたのか、離してくれて
「あ、ああ……すまん。大丈夫か?」
と聞いてきたので、片手を挙げて大丈夫と示したけど……
キツかった……
俺は深呼吸して息を整えると、姿勢を正して
「では、改めて……お久しぶりですね。千冬さん」
俺は、久しぶりに千冬さんに挨拶した
直哉sideEND
第三者side
「では、改めて……お久しぶりですね。千冬さん」
直哉がそう挨拶すると、千冬は笑みを浮かべ
「ああ……本当に……久しぶりだな……神崎」
直哉の頭を撫でた
直哉の身長は170近いが、千冬のほうが若干高い
ヒールだから、尚更だろう
直哉もしばらく千冬に撫でられていると、千冬は手を離し
「それでは、教室に向かおう。付いて来い」
「はい」
千冬は直哉を教室に案内しだした
校舎まではお互いに無言で歩いていたが、少しすると
「その髪と目は……あそこでか?」
と、直哉に問い掛けた
すると直哉は、うなずいて
「ええ、そうですね……」
と、苦笑いした
「すまない……私がもう少し早く、お前の伝言に気づければ……」
千冬は悔しそうに拳を握った
「いえ、千冬さんは俺の伝言に気づいて動いてくれたじゃないですか。そのおかげで、数人は助かったと聞いてます」
直哉はそう言うが、千冬は首を振り
「お前を助けようとしたのに……助けられなかった……」
俯きながら、歩き続けた
「俺は今もこうして生きてます……大丈夫ですよ……」
「すまない……」
その謝罪を最後に、二人はしばらく無言で歩き続けた
すると、千冬はあるドアの前で止まった
「私が呼んだら入れ、いいな?」
千冬の言葉に直哉は頷き
「了解しました、千冬さん。ああ……織斑先生」
最初に名前で呼んだが、すぐに訂正した
その時だった
『お……織斑一夏です! …………以上です!』
そんな言葉と共に、教室内からずっこけた音が聞こえた
「いや、それはないだろ……一夏」
親友の思わぬ自己紹介に、直哉は思わず突っ込みを入れていた
気づけば、千冬も額に手を当てていた
「少し待っていろ……」
千冬はそう言うと、教室に入っていった
数瞬後、いい音が響き
『げぇ!? 愛紗!?』
と、驚愕する声が聞こえて
再び、いい音が響いた
『知ってる人しか分からないネタを言うな、それと誰が三国志の英雄か』
「そもそも、なんで知ってるか深く聞きたいんだが……」
一夏の言った言葉に、千冬は突っ込みを入れて、直哉は首を傾げた
次の瞬間
黄色い悲鳴が響いた
あまりの声量に、窓ガラスがビリビリと震えている
『本物の千冬様よー!』
『私、千冬様に会うために来ました! 北海道から!』
『私、千冬様のためなら死ねます!!』
「ダメだ、このクラス。早くなんとかしないと……」
直哉は教室内から聞こえてきた声に、頭を抱えた
『はぁ……なんで私のクラスばかりこんな奴らが集まってるんだ? 嫌がらせか?』
教室内から、千冬の疲れた様子の声が聞こえて
「お疲れ様です。千冬さん」
聞こえていないだろうが、直哉が千冬を労った
すると
『あー、それでは、これから編入生を紹介する。入れ』
と、催促されたので
「失礼します」
直哉はドアを開いて、静かに入った
そして、そのまま教卓の前に進み
「神崎直哉です。歳は17だけど、気にせずに同い年として接してくれるとうれしい」
と、軽く自己紹介してから、座り込んでる一夏を見て
「よ、一夏。久しぶりだな」
と、笑みを浮かべた
「直哉? 本当に直哉なのか!?」
一夏は直哉を見上げて驚いていた
「おうよ、8年ぶりだな。一夏」
直哉はそんな一夏を見て、ニカっと笑った
これは、死んだはずの少年と幼馴染の少年少女たち
そして、新たに出会う少女たちの物語である