Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 命を燃やす少年   作:文房具

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プロローグ

授業終了のチャイムが校内に鳴り響く。

 

そのチャイムとほとんど同時に肌色に近い長髪をした少女、『イリヤスフィール・フォン・アインツベルン(通称イリヤ)』が、さっさと教材と筆記用具をランドセルを入れて教室から走って出て行った。

 

「HR終わってないよね?」

 

その姿を見ながら呆然と呟く一人の少年がいた。彼の名は『天空寺 拓斗』

 

「そうだよなぁ。なにをそんなに焦ってるんだか」

 

拓斗の声に返すのは、彼の隣に浮遊しているオレンジと白のオバケ『ユルセン』だ。

 

ふわふわと浮くその姿は、紛れもなくオバケである。イリヤが帰ったと言っても教室にはまだたくさんの生徒がいる。それでも騒ぎにならないのはユルセンが普通の人間には見えないからだ。

 

「まあ、イリヤだし? しょうがないだろ」

 

黒い髪をおさげにメガネの少女は栗原雀花。時々、拓斗には理解できない単語を並べて拓斗の首をひねらせている。

 

「あはは……」

 

苦笑いを浮かべているのは桂美々。優等生でおとなしめの性格で、個性の強いメンバーの多い拓斗のグループで、最も常識人に近い。

 

「はっはっは! じゃあ俺も帰らせてもらおうか!」

 

豪快に笑って窓から飛び降りようとしているのは嶽間沢龍子。

 

嶽間沢流武術の家の子で常にテンションが高い。

 

「お前は座れ」

 

龍子の腹に一発決めて席に沈めるのは森山那奈亀。

 

今の行動を見てわかるように、主に龍子のボケに対するツッコミ役担当の女の子だ。

 

「そういえばイリヤちゃん、何か今日一日ご機嫌だったね。何かいいことでもあったのかな?」

「残念だけど私達は知らないんだよな。一回聞いてみたけど、ちょっとねとしか答えてもらえなかったし……」

「そうだよなあ」

 

拓斗は表では美々たちと会話し、

 

「拓斗、眼魔が出てるぞ」

「あと少しだから待ってくれよ」

 

裏では、みんなには見えないユルセンと会話する。

 

担任の『藤村 大河』はなしを聞き流しながら会話を続ける拓斗たち。すぐにその話も終わって放課となる。どうやら藤村先生はイリヤがいないことに気が付かなかったらしい。この先生少し大ざっぱなのがたまに傷なのだ。

 

「じゃ、僕も帰るから」

 

拓斗はユルセンにせかされ教室を出るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、ここはとある夕暮れの空港。

 

そこには今しがた到着した飛行機から降りた乗客でごった返していた。

 

そんな中には黒い髪をツインテールにし、上半身を十字架のデザインがされた赤い服に黒いミニスカートに黒のニーソックスを穿いた少女が後ろに大きめのキャリーケースを引きずって歩いていた。

 

「ふぅ……まさか一年で帰ってくることになるとは思わなかったわ」

「久々の帰郷ですが、気分はどうですか?マスタ~?」

 

キャリーケースの中から調子のいい、そしてどこかバカにしたような女の声が聞こえてくる。

 

声を掛けられた彼女は、限界まで膨れ上がっている苛立ちを押さえつつ答える。

 

「別に、どうというわけでもないけど……ただ―――」

「あ~あ、湿っぽくて雑多な国ですこと」

 

少女の背後から苛立ちの原因の声が聞こえてくる。

 

その声の主は青いドレスに金髪を縦ロールのいかにもお嬢様を絵に描いたような感じの風貌だった。この場所には合っていない服装だが。

 

「このバカと一緒に帰ってきたというのに嫌気を感じるだけよ!」

 

とうとうツインテールの少女の怒りが爆発する。

 

だがそれは金髪縦ロールの彼女も同じだった。

 

「それはこちらも同じことですわ。それに、元々私が日本へ来ることになったのも全て貴女が原因ですのよ? 遠坂 凛!」

「ふん、自分のことを棚に上げてよく言うわ。ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトもとい縦ロール!」

「何ですって!貴女、私のこの気品溢れる髪型を侮辱する気ですの!?」

 

お互い唸り声を上げながら火花を散らせる。周りの人もこの2人を避けている。

 

この様子からお察しの通り、二人は超が付くほどの犬猿の仲なのだ。

 

「凛様、マスター。講習の場での喧嘩はおやめ下さい。周りの人のご迷惑になります」

 

さっきの調子のいい声と違って今度は落ち着いた口調の声が二人の喧嘩を止めようとする。

 

その声によって、今にもかみつきあいそうだった2人は、渋々と言った様子で離れる。

 

「まったく、面倒な任務を任されたものだわ。こんな任務さっさと終わらせて帰るわよ、ルビー!」

「サファイアも、よろしいですわね?」

「了解で~す」

「はい、マスター」

 

それっきり2人はお互いのことを頭から追い出し、今自分に課せられているミッションの事を考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拓斗は日もほとんど落ちた山の中を歩いていた。かなり薄暗いソコは、よほどの度胸がないと入りたいとは思えない場所だ。一言でいえば、何か出そうである。

 

しかし、拓斗には関係ない。

 

何故なら拓斗は、自分がそう言う存在だから。

 

「よーし、近いぞ。お、アレだな」

 

ユルセンのガイドによって導かれた先には、無数の人影が見える。眼魔コマンドと呼ばれる下級眼魔だ。

 

「よし、やろうか」

 

拓斗が腰に手をかざすと、腰に目玉の模様があるバックルが付いたベルト『ゴーストドライバー』が現れる。

 

ドライバーの前面にあるカバーを開き、手に持った目玉のようなもの『アイコン』を装填し、カバーを閉じる。

 

《アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!》

 

ベルトからやかましい音と、黒を基調をしたパーカーが出現する。

 

パーカーはベルトの音声に合わせるように、ふわふわと俺の周りを浮遊している。

 

「変身!!」

 

最後にバックルの横にあるレバーを引き、もう一度押し込む。すると、

 

《カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!》

 

パーカーが俺に覆い被さり、拓斗はゴーストへと変身した。

 

拓斗は今からおよそ2カ月前、眼魔に襲われて命を落とした。

 

しかし、『仙人』を名乗る人物によって一時的に現世に留まることが出来ている。

 

その時に与えられた力が、このゴーストへの変身能力。この力を使ってあることをしなければ、今度は本当に死んでしまう。

 

まあ、とりあえず、こまごまとしたことを抜きで言えば、拓斗は、一度死んで蘇った男だ。

 

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