後日。
授業が終わり放課後、私は笹川さんたちに指定された場所まで来た。三人はすでに来ていた。
笹川さんは私に詰め寄り、
「金、さっさと出せ。」
「……はい。」
私は財布から4千円取り出して渡す。笹川さんは乱暴に奪いとって数を数え始めた。
「こんだけ?ふざけんな。」
「ぐっ・・!」
足を蹴られて倒れこむ。すると石田さんが私の前にきて私の手を踏みつける。
「つっ・・!」
「あんたさぁ、朱音の制服汚しといて4千円じゃ少なすぎでしょ。それにあんたが朱音を押し倒してケガでもしたらどーすんの?慰謝料込みで10000は出さなくちゃねえ。」
「そ、そんなに持っていません。それぐらいあれば制服はきれいにできるはずです。」
4千円は私の所持金のほとんど。でも彼女たちはそれでは足りないと言ってきた。
「新しい制服代2万円、慰謝料六千円、合計で2万6千円。今4千円返して残りは2万2千円。後どうやって払うの?」
「うそっ、そんなに取るとか桐子あたまいいー」
「そんな…そんなにあるはるはずないでしょう…!どうやって払えばいいんです…!?」
石田さんの隣にいた早乙女さんが私の持って来た金額より7倍近くの値段を請求してきた。
「簡単だよ。…っ!」
「うあっ!?」
笹川さんが私を殴る。顔を殴られて鼻血が出ていた。
「一発千円でいい。今ので2万千円になった。残り21回ってことだな」
「いいじゃんいいじゃん。身体で払うってこういうことだね」
「あなたたち二人でやってて。私は興味ないから」
石田さんと笹川さんの二人が迫りくる。私は何もすることができず、無抵抗のまま………
「や、やめて……!、いや、いや……!!」
数分後、合計22回の殴る蹴るの暴行をされた。中学生の暴力とは遥かに違かった。特に笹川さんの一発が、まるで鈍器で殴られたような感触で腹を殴られたら息ができなくなり、腕を殴られたら青あざができるほどだった。
「っ……、はぁ…、はぁ…っぅあ…、ぐうう……。げほっ……!」
「よかったじゃん。これで返済できて。あたしたちもストレス解消になったし」
「先公共ににチクったら、これじゃすまないからな」
彼女たちはそう言い残して私のもとから立ち去っていく。私はその場で起き上がろうとするも、痛くて起き上がれない。めまいもして数分間その場で倒れていた。
「はぁ…、はぁ…。ううっ…、ん……っ…」
何とか起き上がり壁に寄りかかって、足を引きずりながら寮へと戻っていった。
部屋に戻るまで視線を浴びせられたが自室に戻った私は、ぼろぼろになった制服を脱ぎ始める。私の身体には多くの傷が刻まれていた。中学のときにつけられたタバコのやけど。カッターの切り傷。殴打された時にできたあざ。どれも見るに堪えないものだった。
「っ痛…ん…、はぁ……。っ…」
傷は自分で治すことが当たり前だったので応急処置するのは手馴れていた。傷口に薬を塗ってばんそうこうを貼る。何度もやってきた作業だった。
傷を治すのが作業になるほど、私は傷を負ってきた。
誰も助けに来ない。抵抗してももっとひどい目に合う。
最初は助けを求めた。けど誰も手を差し伸べなかった。余計なことをすれば自分がやられるので皆関わるまいとする。私にとって他人は傍観者か加害者のどちらかになる。できれば傍観者になってくれれば、私としてはまだいいほうだった。生徒たちは私にとっては誰も味方じゃない。生徒だけじゃなく教師の対応も冷ややかなものだった。何度もいじめにあってると言っても信じてもらえず、それどころか学校はいじめをなかったことにしていた。学校の印象を傷つけず面子を守るために教師達は私を見捨てた。
「…………っ。ぐすっ…。」
明日もまた、地獄が待っている。誰も助けてくれない終わりなき地獄が……………。