今日はクラス代表を決める試合だった。最初に私と戦ったのは、イギリスの代表候補性であるオルコットさんだった。なぜ最初に私が戦ったかというと、織斑くんの機体の初期化や最適化に時間がかかるということで、私が先に戦わされた。
だが結果はさんざん。オルコットさんの猛攻になすすべもなく、蹂躙されて私は負けた。そのままピットに戻ると、篠ノ之さんに「何もできずにやられるとは情けないな。」と一言言われた。
私だって、努力はしたつもりだった。クラスの人達にいじめられながらも、この日のためにISの勉強も普通より多くこなして、機体が借りれる日は訓練だってした。なのになんでそんなこと言うの?
「………………っ。」
言えなかった。あれだけ努力したのに私は結果を残せなかった。それだけで十分に情けないことだった。これ以上ここにいたくない。私は駆け足でこの場を去った。
屋上。私は今そこにいる。見下ろすとアリーナのほうでISが飛び交っていた。織斑くんとオルコットさんかもしれない。私がアリーナから出て数分たったけど二人はまだ戦っていた。少なくとも私が戦っていた時間より長かった。
「………………。」
あの人たちは私より才能があって、なおかつ私よりも努力しているんだなとしみじみ思う。それに比べて私は………本当に情けない。どうして……。悲しい気持ちになって涙も流れてきた。
そんなことを考えながら屋上でじっとしていたら日も暮れていた。そろそろ寮に戻ろうとすると………。
「こんなところで何してるの?」
早乙女さんが来た。あの3人のうちの一人で、あまりいじめてこない人。とはいえ、笹川さんたちと一緒にいる以上恐怖の対象だった。あの三人の中で、とても冷たい目をしている彼女は、ほかの二人とは違う怖さを持っている。
「試合。負けたみたいね。」
「はい………。」
「しかも情けないとまで言われるほど。」
「っ………。私だって、努力しました。みんなにいじめられながらも練習や勉強してきました。」
「ならなんで負けたの?」
「オルコットさんは代表候補生です…。私のような凡人がたかが数日練習した程度で代表候補生にかなうわけないですよ……。さっきの試合で思い知らされました…。」
「じゃあ、結局練習しても無駄だったということ?」
「……そうかもしれない。努力なんてしてもしょせん無駄……」
「そう。無駄。あなたがしてきたことは全部無駄。何をやっても結果を残せない。努力したつもりでも何一つ意味があったことなんて何もない。」
「えっ………?」
「聞くけどなんであなたはいじめられてるの?」
「……?」
彼女の言ってる意味が分からなかった。
しかしよく考えてみる。なんでみんな私をいじめているんだろう。私が傷つけたから?でも私は彼女たちじゃない。彼女たちが何を思って私をいじめるのか?
「なんでこんな簡単なことに答えられないの。あなたのせいで傷ついた人がいる。あなたのせいで苦しんだ人がいる。あなたがいなければ傷つかなかった人がいる。あなたがいなければ苦しまなかった人がいる。全部あなたのせいだ。だからみんなあなたをいじめる。あなたが邪魔なの。あなたが目障りなの。あなたが鬱陶しいの。あなたが不愉快なの。あなたが不要なの。あなたが障害なの。あなたが厄介なの。あなたが支障なの。あなたが妨げなの。あなたが阻害なの。あなたが疎ましいの。あなたが腹立たしいの。あなたが気持ち悪いの。あなたが癪に障るの。あなたが気味悪いの。あなたが気に障るの。あなたが憎いの。あなたが頭に来るの。あなたがイラつくの。あなたがいなくなることを望んでるの。」
「い、いや…!もうやめて…!!おねがい…!!」
「あなたは何で生きてるの?あなたに生きる価値なんてあるの?あなたに生きる意味なんてあるの?あなたに生きていて何かいいことなんてあったの?あなたを愛してくれる人なんているの?あなたが何か人のためになることなんてしたの?あなたが必要とされた時なんてあるの?あなたを待ってくれる人なんているの?あなたを助けてくれる人なんているの?あなたに希望なんてあるの?あなたが傷ついて悲しむ人なんているの?あなたに生きていてほしいと望む人がいるの?あなたは幸せになる資格なんてあるの?あなたと一緒に苦楽を共にした人はいるの?あなたに味方なんているの?あなたは誰かを傷つけたことなんてないの?」
「う、ああ…ああああ……!うああ、ああああ…!!」
聞きたくない……!考えたくない…!!思い知らされたくない!!!
「全部、あなたが悪いの。あなたが。誰も待ってないのも、誰も助けてくれないのも、誰も悲しまないのも、何にもないあなたが全部悪い。………………だから、」
「ここで死んで。」
「死……ぬ?」
「ここで死ねば何もかも楽になれる。誰もあなたをいじめない。誰もあなたと関わらない。誰もあなたに近寄れない。それにみんな望んでる。あなたが死ぬことを。笹川朱音も、石田美夏も、織斑一夏も、篠ノ之箒も、織斑千冬も、山田麻耶も。この学校の全員があなたが死ぬことを望んでる。」
「………………………。」
「じゃあ、さようなら。」
「……………。」
死ぬ……。今までそんなの考えたこともなかった。早乙女さんが言った通り、私には何もない。それどころか他人を傷つけてばかり。これなら私は死んだほうがいいのかもしれない。ここは屋上。飛び降りれば必ず死ねるぐらいの高さ。私は死ぬためにこの屋上に来たのかもしれない。
「…………………。」
柵を超えて、わずかに出てる床に立つ。
ここから飛び降りれば全部終わる。これからも続く地獄から……。誰にも干渉されず、誰とも関わらず、自分の手で終わらせる……。
あぁ。なんでこんな簡単なことをもっと早く思いつかなかったんだろう。こうすればよかったんだ。中学の私はなんでいじめられるのかとばかり考えていたから、こんないい選択を思いつかなかったんだ。
もう、思い残すことはない。私は柵から手を放し、そのまま……………。
これ以降の話は分岐しています。