いつか君を誰より輝く星に   作:暁 煌

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全4話でお送りします。
まずは2人の出会いから。




彼と彼女との始まりは

 

 

 

武内Pを筆頭プロデューサーにして始まったシンデレラプロジェクト。

12人の女の子たちをトップアイドルにしようという壮大な計画。

当然、全員一度にデビューとはいかないのでグループに分けることになった。

そして武内P1人で複数のグループをプロデュースできる筈もないので、

それぞれグループ別の担当プロデューサーが必要とされた。

そこで当時武内Pのアシスタントをしてた自分に白羽の矢が立てられたのは、まあ出世と言えなくもない。

しかしまさか「自分のプロデュースしたい女の子を見つけて来い」とは予想外だった……。

 

武内Pに送り出され、アイドルの逸材を探して西東。

とうとう北海道まで来たが、今のところ収穫はゼロ。

このまま手ぶらで帰ることになるのかと、気落ちしながら大分傾いた太陽を眺める。

そして帰ってから見ることになる、

がっかりした武内Pの顔とにっこり怒る千川さんの顔が脳裏を過ぎり、

テンションの下降が止まらない。

……何とかお土産で許してもらえないだろうか。

 

そんな情けないことを考えながら、夕日差す街中をとぼとぼと歩いていた時だった。

不意に視界の中でキラリと何かが光った。

引き寄せられるように顔を上げたその先に、彼女は居た。

 

 

銀の髪、蒼い瞳の

 

  妖精のように美しい少女だった。

 

 

ジャケットを着たラフな姿にも関わらず、どこか華を感じる。

これが武内Pが言っていた運命を感じるということなのか。

気が付けば思わず声をかけていた。

 

「すみません、少しだけお話をよろしいでしょうか?」

「シト、何でしょう、道案内でしょうか?

 北海道は……初めて?カナール……運河の方はですね、えーと……。」

 

足を止めてくれた少女は嫌な顔一つせず、応じてくれる。

所々日本語ではない言葉がでるので、見た目通り日本人ではないのかもしれない。

 

「いいえ、道案内ではなく、スカウトです。」

 

少女は親切に観光名所を教えてくれようとするのが、ここへ来た目的は観光ではない。

日本語が得意ではない可能性も考え、ストレートに飾ることなく目的だけを告げた。

すると少女は細い眉を寄せ、困った顔を見せる。

 

「道案内違う?

 スカウト……?アイドルのスカウト……。

 ン―、意味がよく分かりません。」

 

これはスカウトという日本語が通じていないのか?

いや、英語だってスカウトはスカウトじゃ?

いやいや、この子に英語が通じないってこともあるか?

それならどうやって説明すればいいんだ?

 

……何と説明すればいいのかと頭を捻っていると、

少女は私の困り顔を見て何かを思ったのか、自己紹介を始めてくれる。

 

「私を外国の人と思いましたか?

 違います、日本人よ。

 ミーニャ ザヴート アーニャ。私の名前は……アナスタシア、です。

 ええと、アーニャは……ニックネームです。」

 

少女、アナスタシアさんは自分のことを日本人だと言う。

それにしては銀の髪、蒼い瞳、外国風の名前だが……。

 

「日本とロシアのハーフです。

 貴方は、どこから来ましたか?」

 

「関東の方です。」と答えながら、なるほどと思う。

両親のどちらかが日本人で、アナスタシアさんは日本国籍なのだろう。

ならばアイドルとして活動してもらうにしても、煩雑な手続きは必要なさそうだ。

「そう、遠くの街から……。」と、まだ見ぬ土地に思いを馳せているアナスタシアさんを、

再びアイドルへ勧誘をしてみる。

 

「アナスタシアさん、アイドルになってみませんか?」

「いきなりアイドルと言われても、よく知りません。

 ビヴィーツァ?バリリーナ?歌と踊りをしますか?」

 

おっと急ぎ過ぎたか。

スカウトするにしても、丁寧に説明せねば変な勧誘と誤解されてしまう。

まずはアイドルの魅力から説明するとしよう。

 

アイドルはまず可愛い!何を差し置いてもとにかく可愛い!!

可愛い服を着て、たくさんのファンを笑顔にして、華々しい舞台で輝く!

歌い、踊り、喋り、ファンを笑顔にする!

星のように輝く素晴らしい仕事だ!!

 

「おしゃべりも……する?

 つまり、何でも、ですね。

 星のように輝く、プリクラースナ……凄いです。」

 

アイドルの素晴らしさが伝わったのか、笑顔を見せてくれるアナスタシアさん。

興味を持ってくれたのかもしれない。

この機を逃すまいと一生懸命スカウトする。

 

そんな素晴らしいアイドルに貴女もなってみませんか!?

貴女の可愛らしさをたくさんの人に見せましょう!

貴女の輝きをもっともっと輝かせましょう!!

貴女ならきっと誰よりも輝く一等星になれる!!

 

「か、可愛い、ですか?/// 私が……星に?

 貴方、とても熱心。私、イニチリェースナ……アー、少し興味があります。

 もっと、ちゃんと聞いてみたいです。

 その……貴方の―――アイドルの話。」

 

吹き過ぎる風に髪を押さえ、はにかむアナスタシアさん。

その可愛さに思わず見惚れてしまう。

しかし、続いたアナスタシアさんの言葉にハッと我に返った。

 

「もしデビューをするなら……ここを離れなければいけませんね。

 雪とレンガの大好きな街……。」

 

北海道でアイドルができないことはないが、

やはり本格的にするなら本社のある関東が拠点となる。

住み慣れた大好きな街を離れるというのは寂しいものだろう。

アナスタシアさんは悲しげに夕暮れの街を見るが、一転して目映い笑みを浮かべた。

 

「でも……私、覗いてみたいです。

 まだ知らない遠くの……アイドルの世界……。」

 

その挑むような決意の笑みに―――綺羅星の輝きを見た。

 

 

 

 

 




彼とであった彼女が輝くまでの話をやっていきます。



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