執筆初心者です。よろしくお願いします。
チャイムの音が鳴る。そして授業が終わる。
皆が楽しそうに話している中、友達もいない自分は早足に教室を後にする。
いつものことだ。小学生からの今まで。
自分は小学生の頃から人と話すのが苦手で、話しかけられるとつい目をそらしてしまう。
それが原因で友達はいない。
これが自分の個性だと思うと神様ってのがどれだけ人をつくるのに差別してるかを感じてしまう。
そして、人って輝かしいところしかみてないって分かったのも話せなくなった原因だと思う。
学校の先生って無口な自分より、自分より成績が悪いようなお喋りの人に贔屓するんだから。
よく本なんかで読んだ、些細なことでいじめられるってのも
結局は輝けない石を蹴って遊んでいるようなものなんだから。
石を蹴って罪悪感が出る人は少ないと思う。
まあ、石を蹴るのと人を蹴るのは違うけどね。
だから自分は目立たないようにしている。こんな話す事ができない人なんだ。
きっと目立ってしまったらいじめられるだろう。そう考えて。
でも、ときどき。どうしようもなく考えてしまう。
-ああ、自分もあんな風に楽しく話す事ができればなぁ―
なんて。
まぁ、個性のおかげで人とまともに話せない自分ができるわけないけど。
そんな事を考えて少し暗い気持ちになってしまった。
どうせ、早く帰ってもやることなんてないからな。
そう考えて少し、遠回りして変えることにした。
自分も通った事のない道を歩いてみようって。気分転換になると思ったから。
どれくらい時間がたったのだろうか。
少し暗くなってきたなぁ。そろそろ帰ろうかな。
そう考えていたとき。
一本の桜の花が目に入った。
この季節だと珍しくもない花。
しかし、こんな場所で。誰も来ないような場所で。可憐な花を咲かせるそれはとても綺麗に思った。
それがきっかけ。それから毎日その場所へ通った。
中学生の春の出来事。
そこは自分にとっての楽園だった。
誰も来ないから一人でいても変な目で見られる事もない。
自分にはこの桜の木があるということで孤独を感じることも無く。
春になればまた可憐な花を咲かせる。
根に座って本を読んだりして日々を過ごした。
時が流れ、もう卒業式。
実はここ数日くらい桜を見に行っていない。毎年この日よりも前に花が咲くはずだが、
卒業式のあと、今年初めての桜を見たいと思ったから。
皆が後輩なんかに囲まれていたり泣いたりしている中
式が終わったので早足に去る。
自分には居場所が無いから。
帰りは一直線に木の方へ。
楽しみだなぁ。今年はどんな綺麗な花を見せてくれるのかな。
なんて思いながら。
だんだんとあの場所へと近づいてきた。
でも、なんか変だ。
風が吹いて、花弁が地面に少し落ちているというのに。それが、見えない。
それでも自分は歩き続ける。
そして見たのはただの桜の木。花は咲いていなかった。
高校生になるまでの休み、通い続けた
でも花が咲く事はなかった。
気になって。前までできないといって避けていたコンピューターを使って調べてみたり、
普段時間が無いと言って行けなかった図書館で本を読んだり、
花屋へ行って勇気を出して聞いてみたり。
調べているとわかった。
原因。それは根にあった。
いや、こう言うとちょっと違うか。
根を踏むと、木に悪いらしい。
なんて、当たり前と言われそうな事だが、それが原因だと分かった。
そして、理解してしまった。
自分が、この木を枯らしたって。
毎日、毎日。花ばっかり見て。
自分しか知らないような場所って分かっていたのに手入れもしないで。
根の上で歩き回ったり、腰かけたりして。
輝いてるところしか見ていないのが人だって、勝手に決め付けて。
結局は自分も花という輝いてる部分しか見ていなかった。
まわりを見ている時も人と仲よさそうに話している人をみて嫉妬して。
そして
自分が目をつぶって逃げていただけなんだって気付いた。
コンピューターを使うことなんて「できない」
図書館に時間がないから「行けない」
そして人と話すことが「できない」
できたじゃないか。
本当は分かっていたんじゃないか。
悟ったふりしてできないってことはなかった。やらなかっただけだって気付いた。
話す事が『できない』 嘘だ。
自分が勝手に一歩引いて話すのを諦めたからだ。やってない。
じゃあ自分が話す事ができないと言うようになったのはなぜだ。
何故自分はそう簡単に諦めていた。
人が輝いているところしか見ていないというのなら、
何故輝く努力をしなかった。何故話さなかった。何故…何故……何故だ………
答えは簡単だった。
一人の方がかっこいいと思ったからだったり。
群れているのがかっこ悪いと思ったからだったり。
その方が楽だから。
そして一番は…
「逃げていただけ」
やっと分かった。理解した。
そして、決めました。
「桜。ごめんな。いままで踏んだりして。
ありがとう。いままで、支えてくれてありがとう。
いままで頑張ってくれてありがとう。」
桜の木は根が頑張ってくれたおかげで今まで花を咲かせてくれていたのだ。
だから…自分も…
「根のように踏ん張って、幹が支えて、そして花のように輝けるように。
そして、逃げない。話すことも。個性って言葉に甘えて、見なかった事から。」
そう、宣言した。
「それがこの先輩である自分のいい話だぞ。後輩クン。」
「酒の席でそんなしんみりすること言わないで下さいよ……」
そう言っている後輩を軽く無視しながら酒を飲む。
むぅ。この話に感動しないのか。まぁいいや。
ふてくされた後輩も諦めたのか軽くため息をついた。
「そういえば、その桜の木ってどうなったんですか?」
「ん? ああ、枯れちゃったよ。」
「ええ……そこは復活させたって言ってくれると主人公みたいでかっこよかったのに…
しかもそれだけじゃ人によってはひどい人だって思われかねないですよ。」
「まぁ、がんばったんだけどね。それにひどい人って言われても文句は言わない。」
「えっ。」
「だって宣言した通り逃げないで頑張った。それでだめだった。だからひどい人でもいい。それくらいが似合っている。今の自分がいるのは間違いなくあの桜の木のおかげだし、あの桜にしては自分は死に追いやった犯人だから。勝手に恩義を感じただけ。前までの自分だったらひどい人って言われたらブチ切れると思うけど、精一杯やった結果だから、後悔はない。あるとすればその前の自分に対しての後悔かな。」
「なるほど…ではひどいh…ああ、嘘です殴らないで。」
「まったく…で?」
「痛いなあ……えっと、いや、なんか先輩ってかっこいいなぁって思ったって言おうとしただけです。」
「どやぁ。まあ、ありがとう。んじゃ、次は後輩君の好きな人暴露しよー。」
「ちょ、やめて下さいよー!。」
ふと、声が聞こえた気がした。耳元で。
「私はひどい人だなんて、思っていませんよ。」
はっとして周りを見回す。
「どうしたんですか?」
「いや、ちょっとね……さあ、暴露大会の始まりだー!。」
「やめてくださいいぃ」
何事も無かったかのように振る舞うけど、声は聞こえた。
きっと酔っているんだろう。珍しく。自分にしては。
そういうことにして。今はこの場を楽しもうじゃないか。
読んでいただき、ありがとうございました。
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