死亡確定のユージオくんになったので取り敢えず剣術を極めてみた   作:鬼城

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遅くなってしまいました。

SAOのゲームにハマってしまい…。いや、だからといってサボっていたわけでは…はい、サボってました。

さてさて、待っていてくれた方はすみませんでした。ペコリ
こんな作者ですが作品のほうはどうぞよろしくお願いします。


ビギニング
1話 剣士だと思っていた自分を殴りたい


ギカスシダー、《巨神の大杉》を意味するそれはその名の通り、幹の直径が4メル(ここではメートルをメルというらしい)天辺の枝までゆうに70メルはある。つまりは化け物だ。

その、ギガスシダーは此処《ルーリッドの村》が拓かれる前から根を張っている。その巨大さ故に絶大な生命力ーーそれにより、周囲から陽神と地神の恵みを奪い去ってしまう。大樹の影が届く全ての土地では、種をまいてもいかなる作物も実らない。

ならば開拓をするためにはその邪魔なデカ物をどうすれば良いのか?簡単な話だ。火にかけたり、掘り起こしたり、切ってしまえば良いのだ。とは言うものの、大樹の木質は鉄の硬さを誇り、火にかけても煙すらでず、ましてや地中深くまで根づいている根を掘り起こそうなど論外。だからこそ、彼らは古くから《竜骨の斧》と言われる鉄さえ断てる斧を使い樹の幹を刻んできた。

そして、その役目をまた次の世代に伝えていき、時は流れ約300年。その役目こそ天職《巨樹の刻み手》である。

 

そんな長い長い歴史のある木は今も彼らの頭上に沢山の葉を広げ陽神ソルスによる光を遮っている。そして…彼らは斧を持って立ち上がり沢山の葉の下でーーいつもと同じように高く澄んだ音を鳴らした。

 

 

◆◇◆◇◇◆

 

 

どういうことなんだ?

これこそ、彼が抱いた感想だろう。自分が思っていたのとは違うーーそのため、戸惑いは大きい。

 

『キリト、ユージオ。そなたらの天職は巨樹の刻み手だ』

「………え?」

 

その言葉はユージオを震わせた。

当然だ、勝手に剣士であると考えていたのはユージオ自身である。それが外れていたのだから、戸惑いは絶大だ。そして、ついに出た声はとても情けなかった。

 

「どうした?ユージオ」

「……なんでも、ありません」

 

ここで、なんで剣士じゃないんだ!と言える訳でもなく下を向いて黙るユージオ。その様子を首を傾げながらキリトは見る。そんな二人をコホンという咳払いが同じ方向を向かせた。二人の視線が咳払いをした張本人村長へと注がれ、それを確認した村長は長い長い物語を語り始める。それすらも、ユージオは耳に入ってこなかった。まるで、魂がないかの様にボーッと突っ立っている。

 

「聞いておるのか!ユージオ!」

「えっ?あー、はい。大丈夫です」

 

ギガスシダーはどうのうこうのと話していた村長がユージオの異変に気付き、声をかける。それによって、やっとのことで現実へと引き戻されたユージオだったのだがよほどショックだったのか今度は頭を押さえる。コラコラユージオ君、人の話は聞かなくちゃ!という気にもなりはするが…まぁ、放っておくことをみなさんにオススメしておこう。

 

「ギガスシダーを倒すことは先代からの悲願なのだ。だからーー」

 

ダラダラとギガスシダーについてまたもや語り始めた村長。それをじっくり聞いて終わったのはすでに日が沈む時間。

やっとのことで解放されたキリトとユージオは少しでも筋肉をほぐそうと背伸びをする。

 

「…長かった…」

「そう言うなよ…ユージオ。でも、まさか木こりだとはなー」

「あはは…そうだね…」

 

乾いた笑いをするユージオ。

それにキリトもつられて笑みを零す。

 

「俺としてはやっぱり剣士が良かったんだけどなー」

「…うっ」

「ど、どうした!?ユージオ?」

 

剣士が良かったんだけどなという言葉に先程のことを思い出してかユージオは顔を赤くする。流石に勘違いしていたこともあって恥ずかしいんだろう。

 

「明日からか…ユージオ早く起きろよ?」

「……それ、キリトの方が心配でしょ?」

「ははっ、違いない」

 

そんな他愛もない会話をしながら家へ帰る。

とーー、そんな時不意に後ろからユージオ達を呼ぶ声がした。その声に二人してあぁ、あいつかーーと予想する。その予想はーー。

 

「ユージオ!キリト!」

「……アリス。どうしたの?」

 

あっていたようだ。

金髪で蒼色の瞳をした少女ーーアリス・ツーベルクは息を切らしながらもユージオとキリトの肩に手を置く。

 

「…?」

「剣士じゃなかったみたいね?…まぁ、木こりでも頑張って!」

「…ぐはっ!」

 

ユージオは死んだ。

(何なんだ!?今日は、よく精神攻撃をくらうんだけど!?)

またもや落ち込んだユージオをキリトは心配そうに眺める。そして、悟る。あぁ、剣士じゃなかった落ち込み度は自分ではなくユージオのほうが大きいのかもしれない、とーー。

 

「で?アリスは応援のためだけに走って来たのか?」

「ん?そうよ。だって明日から私があなたたちのお昼ご飯持っていかないといけないんだもの」

「…うそ、だろ?」

「なによキリト。何か言いたそうな顔をしてるじゃない」

「…アリスが作るわけではないですよね?」

 

何故か敬語になるキリト。怯えたようにアリスを見ているその様子は大型動物に襲われているリスのようだ。

そして、アリスはニコリと笑った。その笑顔は天使にも負けじと劣らない素晴らしいものだった。その瞬間二人にゾクリと悪寒が走ったのは言うまでもない。

 

「…さぁ、どうかしら?」

「(聞いたか、ユージオ!やばいことになりそうだぞ!)」

「(僕たち死ぬのかな…毎回、ご飯の時になったら逃げなきゃいけないのかな…)」

 

コソコソと二人して話す。アリスが作るとなるならばそれだけは阻止しなくてはならないとーー。

最近のことだ。アリスが作った料理を食べたのは…あの時は死んだ。二人して机に伏せた。それほどまでに彼女の料理はヤバいのだ。

 

「二人とも…死ぬ?」

「ギクゥ…いやいや、楽しみだねってキリトと話してたんだよ!」

「そ、そうだぞ」

 

アリスから向けられた冷たい視線を何とか我慢しながらもそう誤魔化す。そして、逃げるように急いで帰るのだった。

 

 

◆◇◆◇◇◆

 

 

重い…

竜骨の斧を持ってそう感じたユージオは同時に不安を感じた。

こんな重い斧を何回も振ることができるのだろうかとーー。そう感じたのはキリトも同じようで苦笑いをしている。

 

「僕、初めてガリッタ爺さんは凄いと感じたよ…」

「あぁ、俺もだ」

 

ガリッタ爺さん。ユージオとキリトの前の巨樹の刻み手である。ガリッタ爺さんは斧を何回振っても疲れた素振りは見せない。そんなガリッタ爺さんをユージオ達はギガスシダー以上のバケモノだと感じていた。

 

「なにを言っておる。早よ振れ」

「は、はい」

「ユージオ頑張れー!」

 

キリトの声援を受け流しながらユージオは目の前にあるバケモノーーギガスシダーを見つめる。ユージオの目の前には1メルほどの切り込みがあり昔の人達の頑張りが見られた。

その切り込みに向かって斧を振る。とーー、手を大きな痺れが襲う。そしてあぁ、また失敗かーーと、ユージオは不安気にガリッタ爺さんを見た。

 

「…まだまだだ」

「はい…精進します」

 

そして次は、キリトがギガスシダーに向かって斧を振る。

やはりそれも鈍い音が響き、失敗したことを意味していた。思った以上に難しいなという顔を浮かべてキリトは自身の手を眺めている。ユージオと同じくその手は痺れているのだろう。

 

「二人ともいいか?木こりは難しいんだ。儂も最初から出来ていたわけではない。体重移動や呼吸、拍子、速度それらを完璧に制御して全ての威力をぶつける。お前らはそれが出来ておらん」

「………」

 

事実なので口答えなど出来るわけではなくユージオは悔しそうに下を向く…わけではなくただ単にこう言いたいだけだ。

ーーまだ、数日しか経ってないのに10歳の子供が出来るわけないだろ?と。

そんなユージオの思いをガリッタ爺さんが気付くはずはなくガリッタ爺さんはユージオを励ますように肩に手を置いた。

 

「……いつか出来るようになる」

「…そ、そうですね」

 

名一杯の励ましの言葉。それすらもユージオは心広く受け止めることができなかった。それでもユージオは優しい心の持ち主である。悪な気持ちは心にしまってなんとか作り笑顔を向ける。

 

「今日はここまでだ。明日からはお前たちだけでがんばるのだぞ?儂は言うことは全て言ったのでの」

「えぇ、この天職名一杯やらせて貰います」

「ふっ、キリトなに?その言い方」

「ユージオくんダメだねぇ。歳上の方には敬語をつかうものなのだよ?君も見習いたまえ」

「ははっ、なんかムカつくなぁ」

 

今日も今日とてユージオとキリトは仲良く会話を開始した。

 

 

 

ーー人界暦三七二年七月ーー

 

天職を貰って2度目の夏。

太陽神ならぬ陽神であるソルスは今も尚、熱と光を発している。

それでも、その陽神の恵みは届かずユージオとキリトの目の前で遮られている。

 

「それにしてもユージオはすごいよなぁ」

「どうしてだい?キリトもかなり…というか意外性があってある意味すごいと思うけどね」

「それは嫌味かい?ユージオくん」

「そんな馬鹿な……それで?どうして僕をすごいと?」

「だって50回ぐらいなら余裕で振ってるだろ?」

「まぁ、鍛えてるからね」

 

剣士になれなかったのは残念であるがそれでも長年やっている腹筋などの筋トレをやめるのも惜しく続けているユージオ。

だからなのかは知らないがキリトよりかは斧を長く振ることが出来ていた。

 

「じゃあ、今日もキリトの奢りかい?」

「んな馬鹿な。まだまだやれるさ」

 

そう言って立ち上がったキリトは真剣そのものだ。

そんなキリトを横にユージオはシラル水♪とウキウキだ。最近ではシラル水を賭けて50回叩く中で何回いい音(ギガスシダーの心中を捉えているか)するかを勝負している二人である。

そして、キリトの叩く音を聞きながらユージオは空を見上げーー

 

「今日もいい天気だ」

 

と呟いた。

 

◆◇◆◇◇◆

 

そろそろお昼頃だ。

アリスは二人のお弁当を作るべく台所に立つ。今日はサンドウィッチにしようかそれともおにぎりか…と悩みに悩みパイを作ることに決めた。

 

「さてさて、やるわよー!」

 

そう意気込んでみてもやはり一人でやるのは不安がある。もう2年ぐらいは経つというのに料理は難しいものだ。

いっそ、神聖術で作れないのか?なんて変なことを考えながら準備に取り掛かる。

そして、今日はーー。

 

 

 

さてさて、今日もまたユージオとキリトの弁当が完成した。




今回で原作の方に入りましたー!
会話とかはユージオ自体の人が違うので違ってくるのですが…。
それでも原作どおりには進んでいくと思うので次回もよろしくお願いします!
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