死亡確定のユージオくんになったので取り敢えず剣術を極めてみた   作:鬼城

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遅くなりました。すみません。

もっとはやくにだしていきたいのにそれができない…なぜだ!
掛け持ちしてるからですね…はい。すみません(本気)。




4話 洞窟ってこんなに近かったんだね

冒険が始まって数分。

ユージオの目には前を歩くアリスの姿が映っていた。別に見惚れていたわけではない。アリスはいつも以上に軽やかなステップを踏み歩いている。そのステップを見てユージオは苦笑していた。

 

アリスは剣の練習ごっこの時でも天才っぷりを発揮した。どれだけ剣を振ろうとも当たらなければ意味がない。アリスは剣を避けるのがとても上手かった。今しているステップを使って。だから、ユージオやキリトは負けたと思うことが多かったものだ。

だからもし、アリスがあのまま修行を続けていたら、ベルクーリのようにこの村で最強の剣士になれたかもしれない。それが嫌で、ユージオは剣術により力を入れていった。

アリスにも勝てなければ自分を守ることはおろかここで守りたいと思った大切な人達を守ることも出来ないではないか、と。

そして、これを聞くと誰もが笑う。

守る?そんなこと出来るはずがないだろう?と。

ユージオは…否、ここにいるアンダーワールド人の農民達は殆どのRPGゲームでの雑魚キャラのゴブリンにすら勝てなくて武器で戦うことすらも出来ない。それが出来るのはほんの一部の人間で、その中にユージオは含まれてはいないのだ。

所詮、ユージオは木こりで剣士ではない。木こりがどんな夢を見ようと人を守れるようになるはずがないのである。木こりにできるのは只、木を切り株に変えることだけで……そこに守るも何もない。

あえて言うのなら、森を壊すという逆のことをしているに過ぎない。

それでもユージオは夢を見る。

それは子供だと笑われるようなことだとしてもーー

それは馬鹿にされるようなことだとしてもーー

それは叶わないことだとしてもーー

衛士?そんなもの…ユージオが目指すのは剣士だ。

誰もが…村の子供達が、憧れる衛士。それは、そうそうなれるものではない。それでも、唯一武器を持てるそして剣術を習うことができる。それだけで皆が皆、憧れるのだ。

しかし、憧れているのは衛士ではなくさらに上の剣士。

衛士になれても剣士になれなかったら誰もが肩を落としてしまう。それほどまでに剣士というのは夢なのだ。

 

「剣術…かぁ」

 

ユージオはボソリとそう呟く。

圧倒的にユージオに足りていないものは技術である。抜刀術ぐらいなら、前世で聞いたこともあり見たこともあったので、再現できた。その再現がすでにオリジナルを超えていることをユージオは分かっていないが……それでも、ユージオにあるのはそれだけだ。

抜刀術が出来る?はっ、それだけで誰と戦えるんだよ。ペッ!と言われても仕方がない。ユージオは知らないがこの世界ではチート級の武器を使う奴が多いのだ。流石にそんな奴らと戦うのに抜刀術だけというのは舐めているのか?と言われても文句が言えない。

そもそも、本当に剣術が必要になってくるのかが分からない。本当にユージオとキリトは剣士になるべくザッカリアに行ったのか?という疑問がないとなれば嘘となる。

そして、一つの不安が頭によぎるのだ。

ーー僕がここに来たから物語が変わった?と。

それならば…自分のしてきたことは意味がないものである。まるで道化だ。道化ユージオ……実にありそうな展開だ。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ落胆したユージオに

 

「まだ、終わった夢じゃないぜ」

 

と、ユージオの呟きからなにを考えているのか悟ったキリトは言う。その言葉にユージオはびっくりしてキリトの方を向いた。そして、さっきの呟きが聞かれていたらしい、と納得する。

 

「ははっ、それはどうかなぁ」

 

すでに衛士の天職には、現衛士長の息子ジンクが就いていた。一番剣の腕がなかったというのにも関わらずだ。まったく、理不尽な話だ。

ユージオとしては個人の能力ではなく家で決まってしまうのだから、いつの時代の話だよ、と呆れるくらいである。

 

「まぁ、もう無理なんだろうけど…。だって、一度決まった天職は、村長にだって変えられないんだ」

「たった一つの例外を除けば、な」

「例外…?」

「仕事をやり遂げた場合さ」

 

キリトの言葉に、あー、そんなものもあったなぁと思い出し………

あることに気づく。

(え?まさか!?………んなバカなっ)

そう、きっとユージオの予想は当たっている。原作の彼らはやり遂げたのだから。

 

ーーギガスシダーを倒す

 

ということを。

つまり、それはユージオ達は剣士になれることを意味していてユージオにとっては小さな希望そのものであった。

自分から死地に向かおうとしている。という点をみればただの馬鹿だが、それ以上に剣での戦いは男のロマンだと思っているユージオにとっては死ななければいいということに尽きる。

その為だけに彼は木の剣を振りまくっていたのだからーー。

 

「あの樹をぶっ倒せば、俺たちの仕事は綺麗さっぱり完了だ。そしたら、次の天職は自分で選べる。そうだろ?」

「まさか…そうなのか?」

 

今も尚、その可能性を見つけ真っ青な顔をしているユージオ。

彼のメンタルがやわいのはすでに知っていることだ。この様子を見て今、彼は『アレを倒せる!』と『アレを倒せるはずがない』とで葛藤しているなどという馬鹿がいるのならばこう言ってやりたい。

アホか、これは葛藤ではない困惑さ(ドヤァ

つまり、彼は『アレを倒す?うそだろ!?』というように困惑しているのである。それを事実だと受け止めるメンタルを持ち合わせていないそれが我らがユージオだ。

 

「おい、大丈夫か!?」

「アレを倒す……ぐはぁ、論外」

「なに!?聞こえないよ!!」

「なんでもないよ。もうダイジョウブ」

「とてもそうは見えねーよ!!」

「テヘヘ」

「何故に照れる!?」

 

もう、ユージオはダメかもしれない。

いや、天命的な意味ではなく精神的な意味で。

三途の川やとテクテク歩いていくユージオの肩をキリトはグッと引き止め焦る。

 

「おい!?そっちガチもんの川!!」

「……やぁ、キリト」

「大丈夫かっ!?」

「……はっ!?なんの話だっけ?」

 

キリトに強く肩を揺さぶられてやっと目を覚ましたユージオはキョロキョロと周りを見渡す。その様子に本当に大丈夫か?というような呆れの目を向けるキリト。

 

「俺たちが剣士になれるかどうかの話だ」

「あぁ、そうだっけ?」

「そうだ。俺は今の天職で良かったと思ってる。絶対にあのギガスシダーを倒す方法があるはずだ。終わりがある天職でよかったよ。その天職が終わればーー」

「ザッカリアの剣術大会にでる?」

「おう!なんとかなるさ!」

 

アレを倒して?どんな主人公だよ。と心の中で思いながらやっぱ主人公はチートだよなぁ、などと考える。

そして、やはり懐かしそうに空を見上げて思い出す。

どんだけ頑張っても主人公にはかなわないそんなこと知っているはずだった。それでもユージオは剣術をーー抜刀術を磨いてきた。いつか主人公の隣に立てるように……それは子供の時の昔からの夢。誰もがヒーローに憧れた時の子供の夢。あぁ、なりたいと馬鹿やって◯◯ごっことかいってはしゃぎまわったときの懐かしい夢。

でも、ユージオは違った。他の子供とは違ってその主人公を支えるまたは共に歩むそんな仲間に憧れを抱いた。

 

ーー主人公の隣に……

 

目を輝かせながらユージオは否、朔弥はヒーロー番組を釘付けにして見る。

 

ーー立ちたい…

 

そして、よくセンターにいるレッドの隣を指差して笑った。

 

そんな懐かしいことを思い出していた。そうだった、俺は主人公に憧れたわけじゃなかったと改めて思う。とその時、前を歩いていたアリスがクルリと俺たち二人の方へ振り返る。

それに今は冒険中だった。と思い出してキリトと顔を見合わせて笑う。

 

「こら、なに二人で内緒話してるのよ」

「いや、何でもないよ。あえて言うなら昼飯はまだかなー的なやつだよ。ねぇ?キリト」

「あ、ああ」

「あっきれた、まだ、歩き始めたばかりじゃないの。それより、ほら、川が見えたわよ」

 

アリスが草穂で指す方を見ると、道の先で水面がきらきらと揺れていた。ルール川と呼ばれるこの川は果ての山脈に源流を持っているためこの川に沿って北に歩けば洞窟につくこととなる。分岐点を過ぎてどんどん北のほうへと歩く。その間にした会話といえばキリトに関しての昔話くらいである。

 

「ねぇ、あれ……」

 

ふと、目を凝らしてよく見てみると先の方に洞窟らしきものがあった。しかし、ユージオはおかしいなと頭を悩ませる。なぜならば、あまりにも早過ぎるからだ。子供の足で果ての方まで行くとなると半日はかかるだろうと予想していた。それなのにかかった時間はそれよりもとてつもなく早い。しかも、ユージオ達は《北の峠》を越えた覚えはない。

 

「早過ぎやしないか?」

「えぇ、それに《北の峠》ってどこだったの?」

 

キリトとアリスもユージオと同じ意見のようでそう疑問を口にする。しかし、誰も答えることなどできない。何故なら、誰もわかっていないから。しばらくの沈黙ーー。それを破ったのはアリスだった。

 

「あれが果ての山脈なら……あの向こう側が、闇の国ってことなの?だって……私たち、もう四時間くらいは歩いたけど、でもその程度じゃザッカリアの街にだって着かないわよ。ルーリッドって……本当に、世界の端っこにあったのねぇ……」

 

そうなのだ。そう考えることしかできないのだ。

幾ら何でも早過ぎる…それならばルーリッドはユージオ達が思っていたより果ての山脈の近くにあったということとなる。

 

「そ、そんなはず……」

「どうしたんだ?ユージオ」

「いや……なんだか、分からないけど…何かが変?」

「そうだな。確かにこんな近くに果ての山脈があるのは変だ」

「そうじゃなくて……何かがおかしい?」

 

はっきりしろと思ってしまうのが普通だと思う。ユージオはよく分からないと頭をぽりぽり掻きながら頭にハテナマークを浮かべる。はっ、お前がハテナマーク浮かべてどうするよ。ハテナマークを使いたいのはこっちだとキリトはきっと思ったことだろう。というより、思わなかったらヤバイ。

 

「まぁ、いいわ。入る前にお弁当にしましょう」

 

パンーーと仕切り直すように手を叩きアリスは洞窟前に座る。それに続いてキリト、ユージオと円になるようにして座り、真ん中に水筒と籐籠を置いた。

 

「待ってましたー!!」

「キリトうるさい」

「なんだよ。じゃあユージオのご飯はなしで」

「なん、だと!?そんなことさせるか」

「二人ともうるさいわよ」

 

キリトとギャーギャー言っていたユージオにアリスがどっちもどっちよと声を掛ける。そして、それぞれの料理の天命値を確認した。全部、天命値がきれてなかったようなので先ずはとパイを頬張る馬鹿二人。それで満足したらしい。ようやく落ち着いて二人は口を開いた。

 

「そこの洞窟で…氷が見つかれば、明日の昼飯はこんな慌しく食わなくてもよくなるんだよな」

「そうだね。…でもさ、持って帰った氷自体の天命はどうやって保たせるの?」

「む…」

 

それは考えていなかったのかキリトは眉を顰める。その様子に呆れながら今度はアリスが口を開いた。

 

「急いで持って帰って、うちの地下室に入れておけば一晩くらいは大丈夫でしょう。まったく…それくらい考えておきなさいよね」

「な、なんかすみません」

 

ユージオが謝るのをみてキリトは惨めだなぁと自分のことでもあるのに他人事のように思いながら残りの食べ物を口に入れた。

お弁当タイムが終わるとアリスは立ち上がりシラル水が入ってあったコップをもってすぐ傍のせせらぎまで歩く。どうやら、コップを洗うつもりらしい。川水に手を入れ……

 

「うひゃっ」

 

と妙な声を上げるアリス。

 

「どうしたの?」

「川の水、すっごく冷たいよ!真冬の井戸水みたい」

 

そりゃ、すぐ目の前に洞窟があるしね。と思わなくもないユージオだったがなんとか言うのを踏みとどまり笑いながら川に手を入れる。

アリスは興奮しきっている様子でユージオの変な笑いには気づいてないみたいだ。そんな、なんとなく楽しそうな雰囲気を出す二人をキリトはニヤニヤと様子を見ながら洞窟の方へと向き直る。

 

「さてと、そろそろ出発しますかね」

 

二人には聞こえないように言ったキリトだったがあの地獄耳の二人には聞こえたらしい。すぐさま川から離れて洞窟前まで来る。そしてーー。

 

「そうね。行きましょう」

「うん」

 

少し緊張した声を出しながら二人は否、三人は先が真っ暗な洞窟へと足を踏み入れた。




長かったのでここできらせていただきました。
はやく戦闘させろと言う方すみません。しばらくかかりそうなので投稿をはやくできるように頑張りますんで許してくんさい。

では、次回もよろしくお願いします!!
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