イベント後、留美が人気者に?八幡といろはの反応は
どうしたんだろう…時折寂しそうに先輩の顔が曇る。こんなに順調に仕事が進んでいるのに。
「それと比企谷君、例の件だけど考えてくれてるかな?」
「前向きに検討してますから。」
「そう、良かったわ。今日は兎に角、食べてね~♪」
その日は美味しい焼肉に3人舌鼓を打ったのであった。
・・・・・・
「雑誌に載ったゴッドシリーズってありますか?」
最近、よくお店に来るお客さんから聞かれる質問だ。
あった、これだこれだ!お~スゲー格好いい!全部揃えると40万か…う~ん、思い切って買うか。12神全部下さい!」
今週、これで8人目だけど高額でもよく売れて嬉しい、単品も欠品が出るくらいだしホント、ネット販売って凄いな。
梱包が間に合わないくらいの売れ行き。
「あ…はい、ありがとうございます少々お待ち下さい。」
「12神セットで買うとフェアリーかエンジェルのアクセどちらかが貰えるんだよね?」
「う~ん、迷うな~お姉さんどっちがいいと思う?」
「お客様のお好みなのでお好きな方で。」
「あ~迷うな~どっちがいいかなぁ~。」
「お包みしますので最後に教えて下さいね、お客様~♪」
オマケのフェアリーとエンジェルを選ぶ比率は今の所半々…と言う事にしておいて。
「じゃーフェアリーでお姉さん、お願いします。」
「…はい、ありがとうございます。」
はぁ…エンジェル選んでよ、留美ちゃんのばっかり出る。
「あの…」
「はい、何ですか?お客様。」
「今日は雑誌とかネットでモデルやってた店員さんの子っていないんですか?」
「あ~留美ちゃんの事かな?あの子は土日のバイトさんだから今日はいないの、御免なさいね。」
「そっかぁ~楽しみにしてたんだけどなぁ~。」
「あはっ、またよって下さいね。あたしも夕方ならいますから!」
「あ、はいはい。ありがとう…」
ぐぬぬっ…ここに来てもう1つの話題は留美ちゃんの人気に火が点いて凄いの…男性のお客様の殆どがキョロキョロしてるし、よく彼女の事を聞かれる、あたしが居るのにね。この前も写メ撮らせてと言われて留美ちゃん困ってたし…
「あ~ん、留美困っちゃう八幡助けてよ~!」
甘えた声で留美ちゃんが先輩に助けを求める。
「写メくらい、いいんじゃね?俺なんか『12神のハーデスのデザイン何とかなりませんか?』って言われて流石に落ち込んだぞ。」
そうなんです…実は先輩…自分をハーデス神のデザインにしちゃったんです。
だから他の神々と比べある意味妙にリアルで浮きまくり…1番売れないし、ネットでもお問合わせメールに「あのハーデスの顔を見てるとこっちまで暗くなるからデザインの変更をお願いします。」とか入ってて落ち込んでるんです。
先輩と二人実は僻んでるんですよぉ~だ。
因みに1番人気なのが美の女神のアフロディーテ…えぇ、モデル?雪ノ下先輩…妹の方ね。何でかな?あたしと差があり過ぎる気がするんだけど。2番人気が太陽神アポロン…モデル葉山先輩、あたしが高校一年の時だったら10固は買ってた傑作。後はどんぐりの何とかで(先輩が中々口を割らなかったんだけど他のモデルがあるのか聞いてみたら…海神ポセイドンは中二病の材木座さん…よかったね神になれて。 ヘルメスは戸部先輩…軽い感じがイメージピッタリ!東京でデザイン会社興して活躍してるんだって凄いね。アルテミスは小町ちゃん、よく似合いそう。それと後…聞くところによるとね、前回販売された堕天使シリーズのメデューサは平塚先生なんだって。髪長かったしよく似合いそう、あっ、先生に怒られちゃう。先生はその後ご結婚されて幸せになってるそうですよ、でもモデルの事は内緒との事です。
「ネット注文って凄いですね、今日なんか海外から注文来ちゃいましたよぉ〜。」
「イギリス在中のお客さんからだな。」
「アメリカのバイヤーからオファーが来てるみたいな事を言ってたなオーナー。」
「凄いじゃないですか先輩!」
「今月はブツブツ言われなくて済みそうだ。」
「そうですよね~一杯売れてるし留美ちゃんのお陰でお店も繁盛してるし。」
「ホント、お店に来るお客さんの半分近くが留美ちゃんの事を聞くし妬けちゃう。」
あたしがいる時でも聞かれるし、つい愚痴が出ちゃう。
「一色はあざといからな。」
「今は其ほどでもないですよ~だ、先輩~♪」
「でも…先輩の前では素のままなんですからね。」
「あ~はいはい。」
「もぉ~ちゃんと聞いて下さい!」
・・・・・
週末土曜日のお昼過ぎ
「そろそろ、お客が引けてきたし宅配物も片付いたし一服するか。」
「「はい。」」
「留美ちゃん、お茶の準備しようか?」
「そうね、じゃ私持ってきたお菓子用意するわ。」
「ありがとう~お願いね留美ちゃん。」
紅茶の香りが店内に漂ってきた頃、若くこざっぱりとして感じのいい男性が訪ねて来た。
「此方に鶴見留美さんという方はいらっしゃいますか?」
「えっ、はい…わたしですけど。」
「申し遅れましたが私、モデル事務所のスカウトをしている田中と申しますが鶴見さんですね!」
「はぁ…」
「鶴見さん、突然で申し訳ないのですがモデルになってみませんか?ジュエリーフェアーとネットで話題になってますよね!あっ、私たちの事務所は決して如何わしい事務所ではないので安心して下さい。是非一度少しでいいのでお話だけでも聞いて頂けないかとお願いしたいのですが。」
「あっ、私そんな事全然考えてませんから。其れに今は仕事中ですから迷惑です!」
「ごめんなさい!仕事がらつい、場所もわきまえずに失礼しました。よろしければ名刺を置いていきますから何時でも構いませんのでご連絡下さいお待ちしています。では、これで。」
残念そうにスカウトさんは頭を深々と下げて帰っていった。
留美ちゃんがテーブルの上へ無造作に「ポン」と置いた名刺には・・・
「あのスカウトさん〇ス〇ープロモーションって名刺に書いてあるよ。」
「はぁ~一昨日は〇リプロに〇音、他2社の会社の人からモデルにならないかって言われたけど興味ないから。誰かさんはちっとも気にもしないし。」
「それにしても留美、まぁ…スカウトのお眼鏡にかなうなんてそんなに無い事だと思うぞ。きっと留美には素質とかがあるんじゃないか?こんな所でバイトなんかしてるよりずっと面白いかもな、クリパの時だっけ?演劇スゲエ上手かったし、案外いいかも、モデルになった留美を見てみたい気もする。」
「あれは八幡が出ろって言ったからだよ!あたしはそんなのどうでもいいの、八幡のバカ!」
「へいへい、そうでした。」
「でも…八幡が見たいとか…」
「……有名になっちゃったね留美ちゃん、でも凄いねトップクラスの芸能事務所ばかりじゃない?勿体無いような気が…」
癪だけど女のあたしから見ても留美ちゃんって凄い美少女だしスタイルも良くて格好良いもん…イベントの時なんかお店の商品を着けてニッコリしてたら忽ちカメラマンなのかな?写真撮られまくってて何処のタレントが来たのかってちょっとした騒ぎになったくらいなんだから。ジュエリーフェアーのホムペにオブザイヤーを頂いたお店のアクセを着けて名前と写真が掲載されてから…あたしなんかカメラマンにピーアールしても全然写真撮ってくれないから余計頭にきちゃう。だけど、今まで彼氏も居ないのって不思議な気がするなぁ。
「いいの、やっぱり興味ないし。やりたいなら一色さんが連絡してみたらどう?」
機嫌悪そうに留美ちゃん先輩の方を気にしながら呟いた。
「あは、あたしはチビだしスタイルだって…ねっ。留美ちゃんはスタイルいいし、背も高いからモデルさんでもOKかなって。」
「あたしそんなに大きくないよ、162だもん!」
「あたしより4cmは大きいよ、羨ましいな。」
「男の人は小さい女の子の方が好みでしょ?」
「それは人によるんじゃないかな、あたしは逆に低い方だから留美ちゃんみたいにスタイルがよくて洋服が似合う人がいいと思うよ。」
「ねっ、八幡は…どんな感じの人が好みなの?」
「あっ?そんなの似合ってれば何でもいいんじゃね?」
洋服選んでるんじゃないんだからね?気にもしてないみたい。
「もう、八幡~聞いてるのにぃ~!」
「あ~どっちも可愛いよ~どっちも素敵だなぁ~。」
留美ちゃんがジト目を先輩に向けて口を膨らませ拗ねてる、あたしも同じく…また適当な事言ってはぐらかす先輩に、大きく溜め息をついた。
二人、不満を抱えながらもお茶菓子を頬張りながら一時のおしゃべりを楽しんだ。
・・・・・・
「ねぇ、一色ちゃん噂で聞いたんだけど知ってる?」
「えっ、何をですか富田さん?」
火曜日のスクールが終わり片付けをしながら常連の富田さんがあたしにイソイソと話し掛けてきた。
「あたしも他所のお店で聞いただけなんだけど、比企谷先生がねお店辞めちゃうって言う噂話。」
「富田さ~ん、何処でそんな話聞いて来たんですか?もぉ~やだなぁ、先輩が辞めるって聞いた事ないですよ。」
「そうよね、一色ちゃんが知らない訳ないもんね、一色ちゃんは先生のいい人なんだから知らなかったら大変だ。」
「いやだぁ、富田さんたら、そんなんじゃ~ありませんよ。」
「何でも海外に行くとかで近々辞めるって聞いたのよ、嘘よね~一色ちゃん?」
「えっ?まぁ…そんな話聞いてませんし誰が言ったんですかね~ははっ。」
嫌な予感がする…まさか…先輩が…あたしに黙って辞めるなんて、嘘であってほしい。
・・・・
富田さんの一言が何故か引っ掛かる…よく会社なんかの決定事項を他所から聞いて驚く事があるけど、まさかね。
最近の先輩…不安になります。でも先輩ならちゃんとあたしに話してくれますよね、絶対信じてます先輩…。
続編が遅れごめんなさい、頑張ってみます。