絶対正義は鴉のマークと共に   作:嘘吐きgogo

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移転作品の、前書き、後書きは当時のものです。

今までは読んでるだけだったんですが、昔にいくつか妄想していた物を一度形にしてみたくなり投稿してみました。
実際、書いてみると妄想してるのと違い難しい物ですね。
東方Projectとワンピースという異色な組み合わせ、しかも東方Projectは能力クロスだけ、という異色な作品ですので、読むにあたってそれでも良いという方だけつたない文章ですがお読みください。
二次設定、オリ設定にも注意。



1話ープロローグ:喪失

体が痛い。そして寒い。

 いつも横になって体を休めているベットのスプリングはこんなに固かっただろうか。

 羽毛でふかふかの掛け布団も寝てる最中に蹴飛ばしたのか、冷たい空気が自分の体を冷やしているのがわかる。

 風が吹くたびに顔をくすぐる草と土の香り、指先の砂の感触……砂?

 そこで完全に目が覚めた。

 

 

 

 

 

 何所だここ?

 寝ていたのは一面緑の草の上、上半身を起こして辺りを見渡せば目に入るのは森と青空。

 自分の部屋ではありえない風景。というか部屋の中ですらない。

 寝る前に横になったのは自分の部屋にあったベットのはずで、こんな都会ではもはやお目にかかれない森の中ではなかったはず。

 混乱する頭を落ち着けながら、取りあえずは立ち上がろうすると更に異様なものが目に映った。

 

「……え?」

 

 思わず声が出た。

 緑色のスカート。そこから除くシミの無い白く細い太腿――おそらくまだ年端もいかない少女の足。その先を見れば黒い靴下を履いており、右足首には解けたコンクリートがくっついているよな異様な靴。左足は普通のローファーを履いているが、足首には変な金色の二重のリングをはめている。

 そんな見慣れない物が自分の下半身に付いているのだ変な声が出ても不思議ではないだろう。

 自分に女装趣味などは無いし、まず足からして自分の物ではない。自分の足は一般の二十年前半の男性とそう変わらなくこんなに細くない。

 一度自分の体を見直してみれば、色々おかしい事気がついた。

 左腕も足のようにシミの無いきれいな腕――やはり少女の物のようで男の自分の物とはまるで別物だった。右腕も肘までは左腕と同じだが、その先には膝まで届く、茶色い六角形のまるで砲台のような筒が腕を覆っている。

 上半身には白いYシャツのような服にフリルが付いている物を着ていて、その胸の部分には大きな紅い宝石が付いている。宝石の内部には黒い線が縦に入っておりまるで何かの目のようにみえる。

 

 足やら腕やら見ている間に気がついてはいたが、どうやらこの体は自分の物ではないようだ。

 このコスプレまがいの格好までは説明付く。誰かに着せられたか、無意識の自分の欲求によって着たか……それはそれで問題だが。

 この手足は明らかに自分の物ではない。なにより……胸がある。

 PADかとも思い試しに触れてみるが、どうやら本物のようだ。掴んだ時走った微妙な感覚は極力思い出さないようにしておこう。

 健全な男子であるはずの自分に付いていてはいけない物がついており、多分下には付いていなければいけない物が無い。

 それはもう、頭を抱え酷く取り乱した。

 

 

 

 

 

 途中、腰まで届くほど長い黒髪が絡んで痛かった。

 

 

 

 

 

 数十分はたっただろうか、人間というのはなれる生き物だという事を、まだ少ない人生経験の中で痛感していると、自分の格好に見覚えがある事に気がついた。

 もしやと思いつつ立ち上がり背中に目をやれば、思った通りそこには白いマントを羽織った、黒い一対の翼がある。

 

 霊烏路(れいうじ) 空(うつほ)

 とあるシューティングゲームに出てくるキャラクターだ。

 自分はそのゲームが好きでシリーズ全てもっており、派系作品の格闘ゲームもやっていて、このキャラクターをメインに使っていた。

 シリーズを通して一番好きなキャラクターでもある。

 

 

 

 

 ――そのキャラクターの姿に何故自分はなっているんだ!

 

 

 

 

 落ち着け、もう先ほど十分取り乱したし、大丈夫、大丈夫。自分に言い聞かせるように心の中で何度もつぶやく。

 今は何より現状を把握することが大切だ。

 何故このような見知らぬ土地にいるか、自分がゲームのキャラの姿になっているのか……は、さんざん考えてもわからなかったので、取りあえず自分が何所にいるのか把握しないといけない。

 そう考え、早速森を歩いて見る事にしたんだが……歩きにくい。舗装された道でないので木の根や自然にできた段差が酷い上、木自体が邪魔で道と呼べる物が無い。靴もローファーと像の足()でこういった所を歩くのには向いていない。

 これではそうしないうちに足を痛めるかもな。

 

 

 

 

 そんなこんなで探索していてわかった事はどうやらここは小さな島であるという事だった。森自体かなり小さくすぐに抜けてしまった。

 森があってわかりにくかったが直径約3kmも無いと思う。足を痛めることなくてよかった。

 自分がウツホの姿だったので、いわゆる幻想郷入りの可能性も頭の隅に一応入れていたが、海があるのでどうやら違うらしい。因みに一番可能性のある、夢というのは考えても仕方ない事だったのでほっておいた。

 大型の獣とかはいないみたいで安心したのだが、同時に人もいなく結構落ち込んだ。食べれそうな物もよくわからない木の実だけでうかつに口にできない。遠くにここ以外の島があるのが何とか見える程度で、他の収穫は何も無かった。

 

 このままだと餓死するな。

 

 さてどうしたもんかと考えていて、ふと思いついた。

 

 確かにちょっと考えてはいたが、あまりにも奇抜な考えで頭の隅に追いやっていたんだが……もし本当に今自分がウツホになっているならその能力が使えるんじゃないか? という事だ。

 この体になってあちこち歩いみたが、特に違和感を感じる事はなかった。それどころかいつもより体が軽く感じられて数時間歩いたくせに全く疲れていない。どうやら体力は元の自分の体よりかなりあるみたいだ。

 それが妖怪の身体能力のおかげだとしたら、今の自分に能力があってもおかしくはない。

 霊烏路 空が出てくる作品のキャラクターはそれぞれが特有の能力を持っており、”〜する程度の能力”と表される。ウツホは”核融合を操る程度の能力”を持っており、その能力で圧倒的な火力の弾幕を得意としていた。

 といっても作品をみると核融合の他にも核分裂とかも操っているようなので、どちらかと言うと”核反応を操る程度の能力”と言えるだろう。

 

 まぁ、物は試しと右腕に付いている六角形の筒——制御棒に左手を添えて、ちょと離れた所にある岩に向かって構えてみる。

 たしか格闘ゲームではこの制御棒からビームを出していたので、その姿を思い出しながら集中してみると。キュゥンという何かをためているような独特な音の後、凄まじいジェット音と友に制御棒から一筋の光——レーザーが発射された。

 レーザーは真っ直ぐに岩に向かい、あたった岩を瞬時に溶かし大穴をあけ、そのまま進路上の物を蒸発させながら直進した。レーザーがあたった岩の淵は赤く溶け出しておりまるで溶岩のようだ。……森に向かって撃たなくてよかったなコレ。

 しっかしできるかもしれないとは思ったが、まさか本当にできるとは……反動もそれなりにあったが、あんな物を撃ったにしては少なすぎる。どうやら本当に霊烏路 空の体になっているらしい。

 

 それから色々とゲームでウツホがやっていた事を試してみて、いくつかの事がわかった。

 能力の発動はイメージさえできれば細かい事は考えなくていいみたいだ。ただ、威力がどうしても大きくなってしまう。これは自分が制御できていないのか、それともこういった仕様なのかはわからないが、おそらく前者であろう。ゲームでは人間にも当ててたしな、こんなのあたって無事な人間いないだろうし。ちょっとした火を出そうとして、小さな光球はだせたが温度が異常に高いらしく——自分は熱く感じないからわかりにくかったが、危なくてうかつに使えない。色々やっている間に島の見渡しが少しよくなってしまった。……ほんと気をつけないとな。

 身体能力も以前と比べ物にならないほど高くなったようで、何メートルも高く跳べるし、巨大な岩を持ち上げることもできた。こちらは力加減はできるようで出そうと思わなければ普段は人並の力しか出ない。

 後、空を飛べるかどうか試したのだが何の問題も無く、思い道りに飛べてしまい逆に不安になったほどだ。空を飛ぶといっても別に翼で飛んでるわけではないみたいだが、翼を意識している方が飛びやすい。そのせいか飛んでいると無意識に羽ばたいてしまっている。

 

 取りあえず空も飛べるようになったし、食料もろくに無いこの島にいるより遠くに見える島に一部の望みをかけて向かう事しよう。かなり遠くにあるけど、色々試している時も飛んでる最中もろくに疲れなかったので体力的には多分大丈夫だろう。

 というか結構能力使ってたが、核反応の時のエネルギーは何所から着てるんだろうか? 

 元が幻想の力だし無限かもな、さすが太陽の化身である八咫烏。洒落になってないな。

 などと考えながら海の上を飛んでいたら

 

「ギャァオォォォォォォ!!」

 

 海面から巨大な海蛇のような生き物が大口開けて飛び出てきた。

 

「うっそぉ!?」

 

 まだ聞き慣れていない、以前と比べずいぶんと高くなった自分の悲鳴を聞きながら、怪物の口の中でその入り口が閉じるのを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アビス……ノヴァ」

 

 自分を中心にとんでもない熱量が爆発的に広がる。もう一つの太陽が現れたかのようなまばゆい光が、海蛇の肉を塵も残らず焼きつくすのにとどまらず、海水を一瞬で蒸発させる。

 半径数キロに急激に蒸発した水蒸気が立ちこめて何も見えない。沸騰した海から気泡がわき上がる音と、独特な臭いが自分が生きている事を教えてくれる。

 普通ならばこの水蒸気の熱量で肺が焼けただれて死にいたるのだが、どうやら熱に対してはとことん耐性があるらしい。

 

「し、死んだがど思っだ」

 

 ぜぇぜぇと荒い呼吸を繰り返し、気分を落ち着けさせようとする。ちょっと涙声なのは仕方ないだろう、食われるような目にあったの初めてなんだ。

 焼けた空気のせいで全然落ち着かないので、冷たい空気を求めて高度を上げる。それにあんなのにまた襲われたらたまらないので海面の近くはもう飛ばないようにしよう。

 雲の近くまで高度を上げて、やっと一息つく。

 空にはいないだろうな? ちょっと不安になりビクビクと辺りを見渡すが、特に何もいないようだ。

 

 何だったんだろうか今の生き物は? 巨大にもほどがある。全長何十メートルあったんだ?

 現実離れした事ばかりだったが、どうやらここが異世界という可能性は結構高いみたいだ。

 今度は辺りを警戒しながら慎重に島を目指す事にした。

 

 

 島に近づいてくると、港があり多数の船がとまっているのが見えた。どうやらまた無人島という事は無いようだ。

 ただ気になるのは、泊まってる船が全て時代遅れの木造船である事だ。先ほどの海蛇と良いどうやら異世界説が大当たりしたらしい。

 人ではありえない視力で上空から町を見下ろすと、元の世界と比べずいぶんと昔の時代風景のようだ。

 町に入り情報集をしたいのだが、困った事がある。今の自分の姿だ。

 もしこの世界に妖怪がいて人間と敵対関係にあるとしたら、町に入る時に困った事になる。その事は羽を隠せば何とかなるかもしれないが、今の格好自体が奇抜なのも問題だし、なにより言葉が通じるかが一番の問題だな。

 問題は多々あるが、このまま悩んでても仕方が無い。心を決め、一応誰にも見られないよう町の外に静かに降り、町に入る事にした。

 

 結構、緊張して入ったのだが意外とすんなり入れてしまった。因みに羽はマントで隠している。それでも制御棒とか他の格好はそのまんまなんだけど、周りの人たちは誰も気にしていない。人がいないからという訳でもなく、港町だからか、かなりの人がいてにぎわってる。

 もしかして港町だから様々な格好な人が着ていて、変わった服装に慣れているのかもしれない。

 大通りには市場ができており、様々な店が出ている。店の人たちも通りの喧騒に負けないように大きな声で呼び込みをかけている。その声に耳を傾けると不思議な事に皆、日本語で会話しているのだ。明らかに異世界、それもどう見ても日本人でない人が流暢な日本語で会話している。はたしてここは何所なのだろうか?

 

「あの〜、すいません」

「ん? なんだい、お嬢ちゃん?」

 

 やっぱり日本語だ。

 道すがら、歩いている気の良さそうなおじさんに声をかけた所、人の良さそうな笑みを浮かべて答えてくれた。

 

「ぼ……んんっ、私、旅の途中でたまたまこの町に付きまして、よろしければここがどういった町か教えていただけませんか?」

 

 まだこの世界の事がわかっていない以上、変に思われないよう一人称や口調に気をつけつつ人受けの良さそうな顔で聞いてみた。

 

「おぉ、いいよ」

 

 見ためどり良い人だったらしく、あっさりと承諾してくれた。

 しかし、見た目、年端も行かない少女が旅をしている事に何も言ってこない所から、随分と流通のある場所なのか? それともそう珍しい事ではないのか?

 

「この島の名はサークリュー島。貿易が盛んな島だ。ここには偉大なる航路(グランドライン)にある島の様々な物が集まってくるんだ」

「偉大なる航路?」

 

 どこかで聞いた事のあるような単語なのでつい呟いてしまった。何かで聞いたような気が……。

 呟いたのが聞こえたのか、おじさんはこちらを見て不思議な物を見たかのように目をしている。

 

「そうだよ? ここも偉大なる航路じゃないか?」

 

 どうやら偉大なる航路というのは地域の名称らしい。旅をしている者が知らないはず無いようだ。変に思われてはいけないので、つい呟いただけだと答えると、おじさんは納得して続きを語ってくれた。

 

「偉大なる航路にある島は知っての通り、それぞれが独特な文化を持っている。サークリュー島はその島の独特な品物を集めて着て、ここで市を開いているのさ。偉大なる航路は島と島の航海が非常に大変だからね。この島に集まる珍しい品物を目当てに様々な人が訪れるのさ」

 

 それから、おじさんは、島の良い所や、オススメのお店などを教えてくれた。わからない所は話しの流れや軽く質問するだけでわかったのでお礼を言って分かれようとした時、とんでもないことをおじさんは語った。

 

「気をつけなよ。こないだ処刑された海賊王、ゴールド・ロジャーのせいで、海賊がわんさかいるからね。まったくワンピースだか大航海時代だが知らないが、貿易を中心としているこの島にとっては良い迷惑だよ」

 

 やれやれと肩をすくめるおじさんをよそに、今聴いた単語が頭に離れなかった。

 

 ゴールド・ロジャー、大航海時代、海賊、そしてワンピース……ONE PIECE!?

 

 どうやら、ここはあの有名な少年漫画の世界らしい。

 

 

 何故にウツホ?

 




——が投稿する時、何故か分かれてしまう。投稿後は繋がってるみたいだからいいんだけど、確認しづらい。
次の更新はいつかわかりません。需要あるかすら謎なので、自分用の駄文置き場になるやも。
文章がどうしても説明口調になってしまうのをどうにかしたい。


東方知らない人のために技の説明です。
「アビスノヴァ」:核エネルギーを体内で循環増幅
         リミットを越えるとおくう中心に周囲を焼き尽くす
         判定が広くガード不能
         彼女にとっても結構熱い技

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