絶対正義は鴉のマークと共に   作:嘘吐きgogo

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やっと…やっと、終わった…。
今回は8割原作ですw ぶっちゃけ漫画読めばいいというぐらいほとんど原作のままです。
主人公がいないのにシーンがあるって変えようが無い。

オハラの時点でセンゴク大将だった~!! もうめんどく……仕方ないのでこの小説では早めに元帥になったことにします!
二次設定、オリ設定ありと書いてあるし大丈夫!

誤字修正いたしました。
空さんいつもありがとうございます!!

2013/03/03
あまりに原作と同じところが多かったため規約に反しているのではないかと忠告をもらったので、ロビンサイドを大幅にカットいたしました。
結構味気なくなってしまいましたが、どうかご了承ください。

一応、変更前のものを読みたい方もいらっしゃるだろうので、アップしておきました。読みたい方は下記よりdlしてください。
ttp://firestorage.jp/download/6dd1283aff0334c4444d3344568c4d380e6c30c3


10話ー太陽

 

10話ー太陽

 

あの試合の後、気絶した私が医務室で寝ているとガープ中将に「この忙しい時に何時まで寝てるんじゃ!」と叩き起こされた。

 理不尽である。

 

 しかし、本当の理不尽はそこからだった。

 どうやら私と戦った三人の男は本部中将だったらしい。

 今の時期に中将ともなると非常に忙しい、それが私が大怪我を負わせたせいで三人が担当するはずだった任務ができなくなってしまった。中将クラスの任務となると、他の中将か又は任務によって、それに見合う実力か地位を持っている者が担当しなくてはいけない。

 しかし、他の中将ももちろんの如く自分の任務で忙しく、しかもあの三人は中将の中でも飛び抜けて強い方だったので、その実力に見合う者も少ない。

 

 それで、その三人が受けるはずだった任務を今回の事件の原因であるガープ中将と私が受け持つ事になってしまった。

 私はガープ中将に言われて戦っただけなのに、理不尽極まりない。

 

 

 本当に……大変だった。

 

 私が代わりに任務を持った五ヶ月間の感想はその一言に尽きる。

 自分自身の任務と代わりに受け持った中将三人分の任務。休む暇がないほどの忙しさだった。

 大尉である私が中将の代わりに受け持てる任務は、必然とそのほとんどが海賊の討伐任務となり、それ以外のある程度の地位が必要な任務はガープ中将が受け持った。

 今までは決まった地域をパトロールしながら、発見した海賊を適当に潰すだけだったのだけれど、任務となるとある場所に居る、目標の海賊を自分から倒しに行か無ければならない。

 偉大なる航路のあちこちに船に向かわせては、そこらに居る雑魚海賊とは違う、実力も賞金額も高い海賊達と戦う。海の上ならばまだしも、討伐に向かった海賊の大抵が町等を占拠していたり、自身の根城に籠っていたりするので、能力の使い難い陸地での戦闘で捕縛しなくてはならなくなった。

 おかげでかなり手間取ったけど、私の手に負えないほどの強さの奴はいなかった。

 たぶんガープ中将が私の実力をちゃんと考えて任務を回してくれていたのだろうけど。

 

 しかし、私の体力がほぼ無限に近い事も知っているので、捕縛して連行してはまた別の任務に出る。と休み無く任務が入った。

 終いには船の整備が間に合わないからって、私だけ一人飛んで先行して討伐してくるという状況にもなったし。

 おかげで帰るときに何回か迷子になって泣きそうだった。

 あまりのオーバーワークに初めて部下に文句言われるぐらいきつかった。

 ヒ~ン、私だって泣きたいよ。

 最後の方なんて、私が飛んで行った方が速いからって、それを計算して任務組んだりされて、それに文句言ったら

 

「ワシだって忙しいんじゃ、文句言うな!」

 

 とかなり強くぶん殴られた。

 ガープ中将は元々の地位もあり、受け持った中将としての仕事も多く、どうやら私よりも忙しかったようで機嫌がかなり悪かったみたい。

 でも、一海賊団を連行している間に他の海賊団を捕縛しに行くって流石におかしいよ。

 私の船が本部に着く頃には五つ近くの海賊団を連行してるんだもん。

 

 おかげで中将三人の傷が癒え、再び任務に就くまでの五ヶ月間で階級がまた上がった。

 ただいまの階級は少佐。

 海軍に入って約二年。上がった階級は十個。

 スピード出世にもほどが有るわね。

 

 

 今も新たな任務に就いてるけど、久しぶりにゆっくりと自分の船で行けるので、既に定位置となった船の入り口の屋根の上で横になり日光浴をしている。

 あ~、こんなにゆっくりしたの本当に久しぶりで、気持ちいいな~。

 すっかり趣味になっていた日光浴だが、最近やる暇がまったくなかったので、今はそれをめいいっぱい堪能する。黒い羽がジリジリと太陽の光を受けて、焼けているのがたまらなく気持ちがいい。

 欲を言えば後は暖かな風が吹いてくれれば良いんだけどね。

 けれど、それはかなう事はまず無い。暖かな風どころか、この海域に入ってからは一度の風も吹いていないのだから。本来、風に煽られるはずの帆は今は畳まれていて海軍のカモメのマークを見る事はできない。

 日光浴しながらあのマークがはためくのを見るのが気に入っている私としては、楽しみが半減してしまい残念だ。

 

 

 今、私の船が居るのは偉大なる航路の両脇に沿って存在している無風海域――凪の帯(カームベルト)。

 この海域ではその名の通り風が吹く事が無いうえ、大型の海王類の巣となっているため通常の船での航行は不可能である。

 海軍の船の底には海楼石という、海と同じエネルギーを発する石が敷き詰められており、これのおかげで海と同化し海王類に発見されないらしい。

 ただ確実に見つからないと言う訳でなく、この海域に入ってから何度か見つかってしまっている。

 その度に私が焼き魚にしてるけどね。

 見た目の割に意外とおいしいです。

 

 何故、私の船がそんな所にいるかと言うと、今回の任務で偉大なる航路から出て、西の海(ウエストブルー)に行かなければいけないからだ。

 

 この世界の海は全てで五つに分類される。

 まずは私が居た偉大なる航路。これが世界を横断するかの様に走っており、その両脇に沿って凪の帯が存在している。そして偉大なる航路に対し直角にこの世界を一周する巨大な大陸、赤い土の大陸(レッドライン)。

 そして偉大なる航路と赤い土の大陸によって四つに分かれている海をそれぞれ、東の海(イーストブルー)、西の海(ウエストブルー)、南の海(サウスブルー)、北の海(ノースブルー)と呼ぶ。

 

 偉大なる航路から他の海に出るには、この凪の帯を通るしか無い。

 まったく不便な話よね。

 そう言えばこの船は帆船なのだけど、風の無い中どうやって進んでるのかしら? なんか出発前に聞いたような気がするんだけど忘れちゃった。

 まぁ、いいか。ちゃんと進んでるみたいだし。と私は考えるのを止め日光浴の続きを堪能する。

 カームベルトの透き通るような青空を、ぼ~っと見ながら、私は今回の任務を命じられた数日前の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 ――数日前、海軍本部。

 

 次から次に押し付けられる任務をこなして、今回も帰ってくるまでに七つの海賊団を捕縛して本部に着くと、珍しく直ぐに次の任務の内容が書かれた指令書を渡されずに、ある部屋に通された。

 その部屋には、丸い眼鏡をかけたアフロヘアーの男――海軍のトップ。センゴク元帥が私を待っていた。

 五ヶ月前の三中将との戦いの時、私を止めたのはこの人らしい。

 う~ん、私は全然覚えていないんだけど、確かアフロじゃなかったような~。

 

 

 私がセンゴク元帥の頭を凝視しながら、必死に何かを思い出そうとしていると

 

「お前にはこれから、とある極秘任務に参加してもらう」

 

 センゴク元帥が新たな任務の内容を話し始めたので、私は頭に浮かび始めていた、巫女服を着た元帥と魔女の格好をした元帥に襲われるという、よくわからないがとても怖いイメージを振り払い、元帥の言葉に耳を傾ける事にした。

 

 

 

 

 

「バスターコール?」

「そうだ」

 

 バスターコールってなんだろう? 

 私がよく分かっていない顔をしているのを見ると、センゴク元帥は「ガープの奴、そんな事も教えてないのか」と小声で呟き、どこか呆れた顔をして私に説明してくれた。

 耳が良くて聞こえたけど、耳が痛いから聞こえたくなかったな~。

 未だに海軍の事は部下任せです。

 

 

 バスターコール――海軍本部中将五名と大型軍艦十隻という国家戦争クラスの軍事力を一点に召集する緊急指令。この命令を発動できるのは海軍本部元帥と海軍本部大将、或いは彼らから特例として権限を譲渡された役人のみ。

 

 ふ~ん、中将五人と軍艦十隻で戦争できるんだ~。

 説明を聞いた私の正直な感想はそんな物だった。よくわからなかったし。

 それで、私は少佐なんだけど何で参加するんですか?

 

 

「この間の中将達との試合は、本来はお前の能力を検証するために行われた物だ。少々、予想外のことが起きたが、能力についてある程度の把握はできたので良しとする」

 

 だからいきなりあんな強い人と戦うはめになったんですね。

 因みに私は何も良くなかったです。

 

「今回の作戦への参加は、お前の能力の最大火力を測るためだ。お前の能力が殲滅戦向きなのは、これまでの任務とガープからの報告で理解している。お前に対する命令は只一つ「全力でやれ」だ」

 

 そういや全力で攻撃した事無いや。

 全力でやる必要が無かったし、やれる機会も無かったしね。

 人相手にやる事でもないし。

 

 バスターコールは目標地点への一斉砲撃。確かに私が全力で攻撃しても問題は無い作戦ではあるね。

 どこでやるんでしょうか?

 

「バスターコールの目標は西の海にある考古学の島、オハラ」

 

 

 

 

 

 

 そういうわけで私の船は今、オハラに向けて航行中。

 実は色んな任務が有ったけど、偉大なる航路から出るのはこれが初めてだったりするので少し楽しみだ。

 移動中は暇だけどね。

 

 それとその楽しみを台無しにするマイナス要素もある。

 青空に向けてる視線をチラリと横を向ければ、他の船が目に入る。私と同じくバスターコールに参加する軍艦だ。

 

 それを見ると自然とため息をつきたくなる。

 なぜなら、バスターコールに参加する中将五名の内、三名が私が五ヶ月前に怪我させた人たちだからだ。

 オハラに着いたらあの人たち怪我させた能力使うのに……気まずいって。

 ガープ中将も来てくれれば良かったのに、任務の皺寄せが終わるやいなや何やら大事な約束があるとどこかに行ってしまっていて、この作戦には参加していない。

 

 どちらにしろガープ中将はこの作戦嫌いそうだし、参加しなかったかもね。

 今回の目標、考古学の島オハラは名前の通り、考古学の聖地と言われ、考古学者達が大勢居る。何故、そんな島にバスターコールが発令されたかというと、その考古学者達が原因である。

 

 歴史の本文(ポーネグリフ)――世界中に点在する、歴史を示した石碑。決して砕けない固い石に特殊な古代文字で歴史が刻まれており、古代文字の知識を持つ者にしか解読できない。そして、世界政府が探索および解読を死罪と定めるほどの重要物でもある。

 

 その歴史の本文をオハラの学者達が研究し、そこに記された古代兵器――太古に滅びたと言い伝えられる古代文明の科学技術で建造された兵器――を復活させようとしているらしい。

 それでその危険な研究と学者達を一掃するためにバスターコールが発令された。

 まだ、研究しているかの確証はないので着いたら直ぐに攻撃する訳でなく、先に到着している政府の諜報部員が証拠を発見してから攻撃するらしいけどね。

 

 

 それにしても古代兵器か~。

 ちょっと古代兵器には興味がある。私の本気とどっちのが強いのかな?

 復活した古代兵器と一騎打ちとかしてみたいな~……えへへ~。

 頭に浮かべた、兵器と打ち合う自分の姿がかっこ良くて、顔が自然とにやけてくる。

 それに、今回初めて全力で攻撃できる私は、能力を使う時の高揚感を想像すると今からワクワクしてきてたまらない。

 私は怪我させた中将達の事なんてパッと忘れて上機嫌になる。

 早くオハラに着かないかな~。

 

 

 

 

 

SIDEOUT

 

 ――西の海にある、全知の樹という巨大な木が島の中心に生えている島、オハラ。

 

 そのありとあるゆる本が集まるといわれる、図書館でもある全知の樹の前の広場には今、この島の誇りであるはずの学者達が有無を言わさずに並べられていた。その周りを取り囲むのは、銃を構える政府の手の者たちであった。

 政府は、学者達が法で禁止されている古代文字の解読研究をやっていたことを突詰め、世界を滅ぼす研究をしているという名目の上、強制調査にでていた。

 ただし、そのやり口は横暴そのものであった。手柄欲しさに、暗躍諜報機関”CP9”の長官、スパンダインが強硬手段を行ったためである。

 

 しかし、それはとても効果的であり、結果、学者達の古代文字の研究結果が発見されてしまった。

 もちろん彼らは世界を滅ぼす研究などしていない。彼らはその有能な頭脳と豊富な知識量から、この世界の歴史がどこか可笑しい事に気がつき”空白の百年”とよばれる歴史の真実を解き明かそうとしていたのだ。

 だが、古代文字の研究は死罪。それが見つかった今、彼らにその歴史を解き明かすチャンスは二度と来ない。だからこそ、最後に彼らのリーダーであるクローバー博士は、彼らが今まで研究してきた”空白の百年”に対する仮説を、古代文字の研究を異常なまでに禁止させる、政府のトップ、五老星に聞かせていた。

 

 

 

 それが自分達の死など生ぬるい、最悪の引き金を引くことになるとも知らずに。

 

 

 

「……全ての鍵を握るかつて栄えたその王国の名は――」

 

『消せ!』

 

 ドォン!!

 

「「「博士!!」」」

 

 五老星と電伝虫を通して会話していたクローバー博士は、スパンダインに銃で撃たれた。

 博士の話す仮説は正しかった。それ故に撃たれた。口にしてはならない事を口にする前に。

 

 

 ――「オハラ」は知りすぎた

 

『攻撃の合図を出せ、誰一人、逃してはならん』

「うわあ~~ん」

 

 博士が打たれた後すぐに、小さな黒髪の少女が泣きながら駆け寄ってきた。その少女の名前はロビン。この島で生まれ育った考古学者の少女だ。話しを聞くと罪になるからと、離れさせていたが、ロビンは心配で遠くからこっそり見ていたのだ。

 この島の学者達が犯罪とされる歴史の本文の研究を密かにしていたのを、未だ八歳の身で有りながらも考古学に深い知識を持ったロビンは知っていた。学者達はロビンには隠しておきたかったようだが、ロビンはハナハナの実を食べた悪魔の実の能力者であり、その能力を使い、歴史の本文が置かれている地下の研究室を覗き見ていたのだ。

 しかし、違法の研究などロビンには関係なかった。学者達は能力者と言う事で島の人から嫌われ、二歳の頃に母が島を出て行ってしまい独りぼっちのロビンに取っての家族同然の人たちだったからだ。

 そして、クローバー博士はそんなロビンの親代わりとも言える人だった。

 

 

 学者達も近寄ろうとするが、政府の者達に銃口を突きつけられ動けない。

 

「ロビン……バカ者。ここにおってはいかん……ハァ、ハァ……走れ!」

 

 クローバー博士は銃で撃たれてもなお、ロビンだけでも逃がそうとロビンに苦しそうに叫ぶ。

 しかし、ロビンは博士にすがりついて言う事を聞かなかった。

 

「……さて、では元帥センゴクより預かったこの”ゴールデン電伝虫”で」

 

 スパンダインは懐から全身が金色の電伝虫、ゴールデン電伝虫を取り出す。

 ゴールデン電伝虫――これこそが三人の海軍本部大将と海軍本部元帥のみが持つ事を許される、バスターコール発動専用の貴重種である。

 

 

 

 

「「バスターコール」だ! 以後よろしく」

 

 

 

 

ウツホSIDE

 

「暇だな~」

 

 オハラに着いたけど、任務開始まで何もする事が無い。

 最初はでっかい木が生えてる島を見て面白かったけど、船の上で待機していなければならないので上陸もできず、直ぐに飽きた。

 

「うにゅうにゅ」

 

 昼寝をする訳にもいかず、私は手持ち無沙汰になって、むにむに、と白髭の生えた殻が銀色の電伝虫の頬を突く。

 電伝虫って見た目、大きなカタツムリなのに、プニプニしてて微妙に手触りが良いな~。

 電伝虫は嫌そうな顔をしているが逃げる事はせずに黙って受け入れている。

 このシルバー電伝虫が鳴るのが作戦開始の合図らしい。つまりはこの子が鳴くまでやる事が無い。

 

 

 

 

「ヴィヴィヴィーーーーッ!!」

「うっにゅーーー!!?」

 

 いきなりシルバー電伝虫が大きな声で鳴き始めたので、私はビックリして勢い良く頭から転けた。

 あいたたた、甲板にめり込んだ。

 後頭部を甲板から引き抜いて未だ鳴き続ける電伝虫を涙目で見ると、こちらを向いて頬をニヤケさせながら鳴いていた。

 む~、さっきから逃げなかったのはこれを狙ってたな~。

 

 

『バスターコールの要請だ!』

『全艦配置に着き砲撃用意!!』

 

 ヴィー! ヴィー! ヴィー!

 

 他の艦の電伝虫も鳴き出し、拡声電伝虫で湾内に響く様に命令を伝えると、船の上を兵士達が慌ただしく動き回る。

 

 

『バスターコールを発動する!! 一斉砲撃開始――考古学の島「オハラ」その全てを標的とする!!』

 

『オハラの学者達の研究は、我々の想像を超える域に達している』

 

『知識は伝達する、その島から出してはならない。オハラに住む悪魔達を抹殺せよ! 正義の名のもとに!!』

 

 

 ドゴォン、ドゴォン、と他の船から次々に砲撃がオハラに向けて開始される。

 

「ウツホ少佐、我々も砲撃を開始しなければ!」

「? 早く、やりなよ?」

「少佐が命令出さないから動けないんでしょうが!」

 

 えっ、そうなの? ごめんなさい。

 直ぐに命令を出して、私の船も砲撃を開始する。

 なんか、前に文句言われてから私に対する扱いが悪くなった気がする。

 

 

 さぁ、私も見てるだけでなく、砲撃に参加しないとね。

 せっかく、全力でやれるんだし。

 気分よく船から飛び立とうとした時、オハラの近くに二隻の船が停まっているを見つける。

 攻撃して良いのかな、あれ? 

 

「ねぇ、あの船も攻撃対象?」

「いえ、あれは政府の船と避難船だそうです」

 

 避難船ってまだ民間人いるの~? あの船、島から近過ぎ。

 全力がどのくらいの威力があるか分からないし……仕方ないな~、船出るまでは避難船から離れた所に適当に攻撃しとこ。

 

 私はもっと高く飛ぼうとしてたのを止め、船のマストの上当たりに留まる。あんまり高く飛ぶと船が出たか分からなくなるし。

 原子を勢い良く回し、バチバチッと音を立てる不安定な光玉を四つ生み出し、私の周りに滞空させる。

 人相手じゃないので、グングン、と原子の動きを激しくして威力がかなり高めになる様にする。それに比例してグングンと気分も高揚してくる。

 

 

「地獄波動砲」

 

 

 不安定に点滅を繰り返してた光弾が一瞬大きなって一部が弾けたかと思うと、直径一メートル近いレーザーが弾けた光弾と同じく、不安定に火花をまき散らしながら直線状に吹き出す。

 四つレーザーは私が狙った通り島の東辺りにそれぞれ間隔を空けて直撃し、レーザーが当たった部分は炸裂し弾け飛ぶ。そのまま吹き出しているレーザーをそれぞれ自在に東側から中央に向けて移動させ、地面に線を描く様にレーザーで薙ぎ払っていく。

 ある程度レーザーが吹き出ると光弾が消えレーザーの噴出が止まる。

 

 私はもう一度、光弾を生み出し同じ様にレーザーで島を焼いていく。

 能力を使ってるから楽しいといえば、楽しいけど。全力でやれると思ってたから物足りない。

 

 

 

 何度か繰り返し島を焼いて、そろそろ東側の原型が無くなってきたな~と思ったら、やっと避難船が島から出航した。

 

「待ってました!!」

 

 私は声を張り上げて喜び、島の遥か上空に直ぐに移動すると、一度深く深呼吸をして周りの空気を体中で感じた後、核融合を開始する。

 先ほどとは比べ物にもならないほど大量に、そして急速に原子を取り込んで行く。

 あまりにも大量に吸い込んでいるせいで、私を中心に大気が大きく渦まいている。ある程度、核融合をすると左腕を頭上に掲げ、その先に赤く輝く光弾を生み出す。

 すると

 

 

 渦の中心が私からその光弾に代わり、光弾は私の上で徐々に大きくなっていった。

 

 

 

 

 

SIDEOUT

 

 バスターコールが発令された事による、敵味方無視の島全体の爆撃により学者達を取り囲む政府の人間達は、先ほどまで見せていた高圧な態度を豹変させ、学者達などお構いなしに我先にと逃げていった。

 しかし、学者達はなおも砲撃が続くさなか、全知の樹に居残った。全知の樹にある世界中の英知、遥か過去から未来に託されるために綴られた本の数々を砲撃によって起きた火災から守るためであった。

 彼らは自身の命より、学者としての使命を優先したのだ。

 

 そして、その中にはロビンの母、オルビアの姿もあった。オルビアは真の歴史を追い求めるために島を出たのだが、古代文字解読の罪で一度捕まってしまったところ、サウロという海軍の正義を信じられなくなった巨人族の元海軍中将と共に脱出し、このオハラに戻ってきていたのだ。

 しかし、オルビアはロビンを”罪人の娘”にしない様にとロビンを守る為に自ら会う事を拒否し、学者達を捕まえにきたスパンダムに奇襲をかけたところ、逆に捕まってしまっていたが、バスターコールの騒ぎで学者達共々、放置されたのだ。

 指名手配を受けてまで、真の歴史を追い求めるほどの学者だった彼女も、当たり前のごとく、学者の信念のためそこに残ることを決意したが、そのときに問題が生じた。

 

 

 母と再会したロビンが自分も残るといい始めたのだ。いくら学者とはいえ、まだ幼い少女であるロビンにその使命を付き合わせるわけにはいかなかった。いや、つき合わせたくなかったのだ。母であるオルビアはもちろんのこと、ロビンを家族同然と思っているの学者達全員がだ。

 しかし、ロビンは長年会えず、やっと再開した母とも、その家族同然の学者達とも別れたくなかった。

 

 そんな時に現れたのが、サウロだった。なんと、サウロは数日前にオハラに漂着しており、そこでたまたまあったロビンとここ数日交流を持っており、バスターコールが始まり、ロビンが心配になったサウロは混乱に乗じて全知の樹までやってきたのだ。

 

 

 そして、オルビアはサウロに嫌がるロビンを預けその場に残り、サウロはロビンを抱え自分が海に出るために作っていたイカダのある海岸へと逃げ出した。

 しかし、その途中。元同僚であり、親友であった海軍中将青雉、クザンによって、ロビンを守るためにサウロは凍りづけにされてしまう。サウロは凍りづけにされながらも、一人で海に出ることを嫌がるロビンに「いつか必ず”仲間”に合える」と、説得し逃がした。凍りつく最後の瞬間までロビンを安心させるために笑いながら。

 

 

 

 

 ロビンがサウロのイカダのある北西の海岸に辿り着いた時、そこには先回りしたクザンが小舟を用意して待っていた。

 かつての親友サウロが命がけで守った”種”がどう育つのかを見守る為に。

 いざロビンを逃がそうとした時、真っ赤に燃えるオハラの灯りが霞んでしまう程のまばゆい光が頭上より降り注ぎ、あまりの光量に辺りを白く照らす。

 

「……まさか……あの嬢ちゃんか!?」

 

 クザンは焦る様に空を見つめたかと思うと、その顔を驚愕に染める。

 ロビンもつられて空を見上げると、そこには

 

 

 

「……太陽?」

 

 もう一つの太陽がゴォウゴォウと唸り声を上げて浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 ――全知の樹。

 

 世界最大の図書館は軍艦からの砲撃によって今や火の海だった。

 その図書館の中を沢山の学者達が逃げもせずにせわしなく本を持ち走り回っていた。彼らが逃げない理由はただ一つ、世界の遺産である本を一冊でも残す為だ。その中には、ロビンの母オルビアの姿も有った。

 しかし、学者達の懸命な働きもむなしく、火の勢いは衰える事なくそれどころか本を燃やし更に勢いを増していく。

 

「この島はもうダメだ! 全て燃やされてしまう!!」

「本を残すんだ! 伝えるんだ歴史を!!」

「窓から湖へ落とせ! 燃えてなくなるよりマシだ!! 急げ!」

 

 学者達はもはや本を無傷で残すのは無理と判断し、窓を割り本を下の湖に投げ込んでいく。

 

「文献を図書館の外へ!!」

「一冊でも多くの本を! 一冊でも多くの文章を残せ!!」

 

 本が次々と湖に投げ込まれ、湖に本が積み重なっていく。

 

「数千年もの先人達の言葉が……」

 

 

「「「未来へ届く様に」」」

 

 

 学者達は自分たちの体が炎で焼けるのもかまわず、火のついた本ですら素手で掴み湖に投げ込んで行く。

 その最中だった。赤く燃え盛る全知の樹が、よりまばゆい光で白く照らされたのは。

 懸命に本を投げ込んでいた学者達も流石にその異様な光景に目を奪われる。

 割れた窓から見えたのは

 

「アレは……

 

 

 

 

 

……太陽だ」

 

 

 

 

 

 ――島周辺の軍艦

 

 軍艦からは未だ絶えず島への砲撃が続いている。

 しかし、長い間砲撃を受けているはず島はまだそこまで燃え広がっていない。なぜなら当初、十隻も有った軍艦の六隻は怒り狂ったサウロによって沈められてしまったからだ。

 沈められた船の兵士達は既に救出済みだが、一つの船に乗せてある大砲に限りがあるので砲撃が増える事はなかった。

 

 船の上を兵士達が慌ただしく駆け巡っていると、急に甲板が輝いた。もちろん、甲板自体が輝いている訳ではない。あまりに膨大な光量が頭上から降り注いだせいで、甲板が光を反射して輝いていたのだった。

 せわしなく動いていた兵士達は皆一同に立ち止まり、呆然と空を見上げていた。

 

 

 

「太陽が……」

「……二つある」

 

 その視線の先のあまりの光景に、全ての船の兵士達は驚いていた……ただ一隻、やけに島から離れた所から砲撃していた船の兵士達を除いて。

 

 

 

 

 

ウツホSIDE

 

 グツグツと混ざる。

 

「ふふっ、あははははははは!!」

 

 私が頭上に掲げている左腕の先の光弾は、周りのあらゆる物を吸い込んで巨大化して行き、今やその直径はオハラとそう変わらない大きさまで成長した。

 膨大なエネルギーを制御し続けているせいで、制御棒が溶け出しそう。

 これぞ太陽! 究極の核融合!

 今までも能力を使った時に感情が抑えられない程、気分が良かったけど。あんなもの今の気分に比べれば小火(ボヤ)にも劣る!

 

「さぁ! 地上全てを溶かし尽くす核の炎よ! 究極の核融合で身も心も大地も海もフュージョンし尽くすがいい!」

 

 私は十分に育ちきった光弾をオハラに向けて落とす。

 

 

 

 

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 CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CA

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                「地獄の人工太陽」

 

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 CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CAUTION!!   CA

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SIDEOUT

 

『退避だ! 全艦退避しろ!』

 

 島を取り囲んでいた軍艦は直ぐさま島から離れて行く。

 

 

 

 

「くっそぉっ! 無茶しやがる!!」

「きゃあ!」

 

 クザンはロビンを担ぎ小舟に乗せると、小舟を壊さない様に遥か遠くに吹き飛ばし

 

「氷河時代(アイスエイジ)」

 

 島と小舟の間に、海を凍らせ何枚もの分厚い氷の壁を作り自分も島から直ぐさま離れる。

 

 

 

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

 

 人工太陽はその質量で何もかもを押しつぶすかの様にゆっくりと落ちて行く。

 ウツホの制御を離れた今でも、太陽の引力で周りの物を一切合切吸い込みながら。

 

 ある程度、島に近づくと破壊された島の一部をも吸い込み、更に巨大なその身を成長させ、成長した人工太陽の熱で島の表面が焼かれていく。

 

 そして、今まさに島の中央にある巨大な木を全部飲み込み、島に着弾したと思った瞬間

 

 

 

 

 ズォオオオオオオオオオン!!

 

 

 

 凄まじい爆風と光が走った。

 

 

 

 

「総員、何かにしがみつけ!」

「うわぁぁぁ!!」

 

 島から離れていく軍艦が吹っ飛ばされるかのような爆風。大型軍艦が横転しそうになるなど、誰も予想だにしなかった。

 

 

 

 

「きゃあああ!!」

 

 氷の壁なぞまるで無意味、と熱風が氷の壁を瞬間的に蒸発させ打ち破る。

 大型軍艦が吹っ飛ばされそうになる爆風に小舟が耐えられる筈もなかったが、ロビンの乗った小舟はかなりの距離を吹っ飛ばされたものの横転する事はなかった。

 

「ハァ、ハァ……」

 

 しばらくすると、爆風による波も落ち着いたのでロビンは小舟から振り落とされないように潜めていた身を起こす。

 そして、オハラの方向を見たロビンの目に映った物は

 

「あ……あぁ……」

 

 空まで届くほどの巨大なキノコ雲と、島が有った筈であろう所に空いた島と同じ大きさの深い、深い穴だった。その穴は不思議な事に大量の海水が流れ込んでいるにもかかわらず、まるで滝の様にいつまでたっても埋まりはしない。

 

「あ……あぁ……」

 

 あそこには、皆がいた筈だ。本を守る為にお母さんも自分と別れて残った筈だ。とロビンの頭にその時の光景が浮かび上がる。

 

 

『ロビン、「オハラ」の学者なら知っている筈よ。”歴史”は人の財産。あなた達がこれから生きる未来をきっと照らしてくれる。だけど過去から受け取った歴史は、次の時代へ引き渡さなきゃ消えていくの。「オハラ」は歴史を暴きたいんじゃない。過去の声を受け止めて守りたかっただけ。

 

私達の研究はここで終わりになるけど、たとえこの「オハラ」が滅びても

――貴方達の生きる未来を!! 私たちが諦める訳にはいかないっ!!

生きて!! ロビン!!』

 

 

「あ……あぁ……」

 

 しかし、ロビンの母が、学者達が命をかけて守った筈の文献も全て……。

 

 

「あぁあああああああああああ!!」

 

 

 ロビンはキノコ雲に映る巨大な三本足の鳥の影を目にしながら、声がかれるまで泣き叫んだ。

 

 

 

 

 

「あははははははは、究極のエネルギーに誰もかなうまい! あははははははははははは!!」

 

 

 音も死んだこの地で、どこから聞こえてくる高笑いがいつまでも響き渡り、そこにいた全ての者の心に深く残った。

 

 

 

 




オハラのシーン書くのが異常にだるかった~。原作まんまですしね、書いてても面白くない。
主人公いないから変えようがないし、だからといって全部省くと分けわからないしで、なるべく省略して書いたけど無駄に長い。
この小説読んでる人どうせワンピース読んでるしな~と何度頭に浮かんだことやらw
でもオハラ視点もあった方が盛り上がるから頑張った。

はい、バスターコールあらずお空コールです。自重しませんでした。多分たたかれるw

ロビンのトラウマがバスターコール=ウツホになりましたw

最初からぶっ放した方が早かったけど、ロビンを生存させるために色々時間引き延ばしたりしないといけないから、結局原作とほとんど変わっていませんね~。多分これっきりなので許して。

地獄の人工太陽かサブタレイニアンサンかぺタフレアか迷いましたが、やはり最大出力の技はウツホの代名詞ともいえるスペルにしました。

島消えそうって感想でも言われてましたが、島消えるどころか穴あけましたw エニエスロビーと同じです。

神の名を持つ古代兵器
プルトン=プルート。ポセイドン。が島一つを消し飛ばす威力があるらしいので、ヤタガラスという神の炎を持つウツホも!
とやっちゃいましたw
正直やりすぎた。

二つ名は、原作どおりにしました。センゴクから別のを貰ったのですが、「私なら二つ名はこれしかない!」と押し切りました。オハラの後はまさに地獄でしたので、一応あってるからと許可貰ってます。

東方知らない人への設定

地獄の人工太陽:吸引能力の有るエネルギー体を
        前方へ射出し、空が断続的に
        エネルギーを注入し続け大きくする
        ウツホの代名詞でもある大規模攻撃

CAUTION!!:ウツホがスペルを使う時にでる警告。
      

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