次の更新は流石に遅れると思います。
前に廚二病注意しましたが、ありゃ嘘だ。だって今回ひどいくらい廚二病なんだもん。
今回に比べればアレも可愛いよ。
というわけで、廚二病注意です!
誤字修正しました。空さん毎度ありがとうございます!
「腕立て二千回、始め!」
塀で囲まれ、松の木がそこかしこに生えている、日本を彷彿させる庭は、走り込みのためトラックが描かれ隅には鉄棒等の訓練器具も設置され、海兵達の訓練場になっている。
訓練場には何百人もの兵士が、上官の監視のもと厳しい訓練を行っている。
「1110、1111、1112……」
「遅い! もっと速くやらんか!」
地面にふせ、両の掌でなく、他の指を握り込み親指と曲げた人差し指だけで、腕を何度も屈伸させる。周りからは苦痛を訴えるうめき声が漏れる。
上官に怒鳴られ、更に屈伸させる速度を上げると、それに比例して周りから聞こえてくる、屈伸を数える声も辛そうになる。
「1998、1999、2000!」
「よし! 次は走り込み二百週! 一時間でできない者はペナルティで百週追加!」
腕立てを終えると、直ぐさま次の訓練になる。大汗をかいて、疲れ果てた兵士達だが、皆、体に鞭打ちトラックに向かって行く。
兵士達は走る前から息が荒れ、走り出せば吐いた息と共に呻き声を漏らしながらも、庭の真ん中に描かれた巨大なトラックを懸命に走る。
ただでさえ過酷な訓練の上に更に、追加のペナルティなんて貰ってはたまらないと必死である。
私もそんな兵士達と一緒に走っている。
しかし、私と周りの兵士達とには見た目でかなりの違いがある。もちろん女である事や羽が生えてる事ではない。
大汗をかいて必死に呼吸を繰り返している周りと違い、私は汗一つかかず呼吸も全く乱れていない。
本部で訓練を始めて半月近く。こうやって周りの兵士達と一緒に毎日、訓練しているが……全く訓練をしている気にならない。
なぜなら、訓練中に一度も疲れた事が無いからだ。
海賊と戦った時も疲れは感じなかったが、肉体面は既に人間の限界を大きく超えているみたいだ。
いや、全力でどれだけ動いても体に疲れを感じないのは生物としておかしい。もしかしたら、普段から無意識に核融合する事によってエネルギーを供給されているのかもしれない。体に主を置かない妖怪だからこそできることだが、真相はわからない。
どのみちわかっているのは、私が疲れないという事実だけだ。
そんなわけで、どれだけ肉体面の訓練をしようと成果を感じられないのだ。
意味の無い事を延々とやらされている感じで、逆に精神的に疲れてくる。周りが息も絶え絶えなのに、自分だけ疲れてないというのも精神的に来るものがある。
ほら、そんな事を考えている内に、また先頭を走っている。更に何週か走っていれば、最後尾を追い抜かし周回遅れにしてしまう。
追い抜かした兵士の顔を見れば、非常に悔しそうな顔をしている。見た目、少女の私に余裕で追い抜かされるのはかなり悔しいのはあたりまえだ。
そう言う顔をされるのは、キツイな~。
私の力はこの人達みたいに、努力して手に入れた物ではない。なにかズルをしているみたいで非常に心苦しい。
これでも私は一定の速度で走っている。周りに合わせて走ればこういった事も無いが、これ以上遅く走るのはそれ以上にキツイ。
そうして、私はまた一人と追い抜いていった。
「試合稽古始め! 気絶するまでやめるなー!」
走り込みに続いて綱渡り百往復など、その他諸々の訓練が終われば、最後に道場に集まり、各々、手に竹刀を持って戦い合う。
「ウリャー!」
「ゼァー!」
上官が開始の合図を告げれば、バシン、バシンと竹刀が打ち合う音と、兵士達の雄叫びがそこら中から聞こえ始める。
私も右手に竹刀を持ち、半身で相手を見る。右手はブラリと下げ、構えはしない。
普段、制御棒を付けているのと同じ様にして、訓練でもなるべく実戦を想定するようにしている。
竹刀で特訓するように、海軍では剣も支給されるが、剣を使うより制御棒を使った方が戦いやすい。というか剣なんて全然使えないので、制御棒のリーチが伸びたかの様に腕全体で振るう様にしている。
因みに私は今、竹刀を持っている様に、もちろん制御棒を付けていない。訓練する時の格好は、背に穴をあけて羽を出せるようにした海軍の制服に、靴以外の飾りを外してマントだけを羽織り、海軍のキャップを頭に被っている。
一等兵以下はキャップと制服の着用が義務付けられ、伍長になれば私服が認められる。私は三等兵であるため、マントは外せと言われると思ったが、特に何も言われなかった。
羽が隠せない事を告げた事と関係してるのかも知れない。どちらにしろマントを外せと言われなくてよかった。制御棒が入っているため、緊急時にいちいち部屋に取りに行くとか困る。
「うぉぉぉ!」
私が動かないでいると、相手の兵士が竹刀を振り上げ襲いかかってくるが
「ぐはぁっ!」
頭を下げて姿勢を低くし、相手が近づいてくる前にこちらから飛び込み、腕を上げて無防備な腹を一線する。
ちょっと力を入れすぎたようで、相手の兵士がくの字に折れ軽く吹き飛ぶ。
吹き飛んだ兵士は数メートル転がると、気絶したのかそのまま動かない。
その兵士を道場の端へ持って行き戻ってくれば、他の勝ち残った兵士が私を待っている。
先ほどと同じ様にして向かいあえば、直ぐさま同じ様に突っ込んでくる。
そして、同じ様にぶっ飛ばせば、また次の相手と向かい合い、ぶっ飛ばす。
数度も繰り返せば道場に立っているのは私だけになる。
これがここ数日の訓練の終わりに見る光景だ。
はぁ~。
試合稽古でもこれだ。ただの作業。訓練になんてなりもしない。
身体能力の差がありすぎるうえ、命の危険も無いので度胸も着かない。実戦を勝ち抜き、懸賞金も三千万近いバーダインとの戦いと比べても仕方ないが、実戦もした事の無い、訓練兵との戦いなんて意味の無い事この上ない。
止まってる的をはたいているような物だ。
今はまだ基礎訓練期間なのか、戦い方や海の知識には全く触れられていない。夜に自主訓練をしようと思ったが、結局、肉体面の訓練は意味が無いし、戦い方の訓練は一人では不可能。能力の訓練も大げさな事は基地内ではできないから、原作にあった接近戦でも使えそうな技をいくつか練習する以外は島にいた頃と変わらない。しかたなく夜は本を読んで、海の事をわずかに知る事ぐらいになってしまっている。
もしや三等兵では基礎訓しかしないとかないよね? 実戦で勝手に学ぶとか。
いくらこちらの常識が通用しない世界と行っても、流石にそれは無いはずだよね。
ふと道場を見渡せば、私に打ち倒された兵士達が呻き声を上げてうずくまっている。
本当にこんなんで私、強くなれるのかな?
深夜。昼は数多くの訓練兵で埋め尽くされている訓練場には誰一人おらず、夜空に浮かんだ月の光で美しく飾られている。
私はその美しい風景にしばし見入った後、地面に描かれたトラックの真ん中に立ち、訓練中には外していた、右手の制御棒に意識を傾ける。
イメージするのは原作のウツホの姿とこれから使おうとしている力。
私は左手を目の前に上げ、人差し指を立て、その先に頭の大きさほどの光弾を生み出す。生み出された光弾は白く眩しいほどに輝き、月明かりしか無かった訓練場と私を照らす。
左手を前に突き出し、力を込めれば、光弾から、前方方向に指向性を持った小さな光の槍が幾つも弾け飛ぶ。
その中の幾つかは空に消えて行き、幾つかは地面に着弾する。着弾した光の槍は地面をその異常な高温で焼く。
それを確認した後、もう一度、制御棒に力を込める。今度は先ほどと違い、かなり強く力を集め、イメージを固める。
すると、シュゴォォオ、とまるでバーナーを噴かしているように制御棒から二メートル近いブレード状の熱線が、激しい音と光と共に溢れ出す。
それを昼間、竹刀でやったのと同じ様に右手全体を使って振り回すと、振り回した後にできる光の残像と、吹き出ている熱線から溢れた赤い火の粉が飛び散ってとても綺麗だった。
何度か振り回した後、制御棒から火を消しておしまい。
これが、ここ毎晩、繰り返している能力の特訓。やはりこれも達成感は無い。
元々、イメージさえできれば使えていた能力だしね。
できる事と言えば威力の調整ぐらいだが、こちらはいくらやってもうまくできない。光弾くらいならば威力の調整は多少できたが、原作でウツホが使っていた技等は私自身が威力の高いイメージしかできないせいか、弱くするというのが難しい。
強くするのはイメージしやすいので簡単なんだけどね。
ただ、ここに着てから一つだけ変わった事がある。
バーダインと戦う時にはわからなかったが、能力を使う際に私を取り巻く、何かの動きが感じられる様になった。
それは世界中の何所にでもある。地面も、大気も、この海軍の基地も、私自身もそれでできている。
つまりそれとは――原子。
ウツホが使う能力「核融合を操る程度の能力」の大本でもある。
能力を使おうとすると、それが私の中でクルクルと回るのがわかる。私はそれの形を変え、分解し、融合し、ありとあらゆる物にしている。
何故、急にそれが感じられる様になったかはわからない。
ここに着て、始めて能力の訓練をした時には既に感じられる様になっていたので、能力の練習をしたからという訳ではない。
バーダインとの戦いで、死にそうな目にあったからとか? それなんてサ○ヤ人?
でもそれぐらいしか思いつかない。他に、何かあったけ?
たしか……忘れちゃいけない事があった気がする。
……考えても特に思いつかないし、そろそろ夜も深けて来たので寮に戻る事にしよう。
能力で焦げてしまった地面を、電子が絡み付いている様な輪っかが着いた左の分解の足で踏む。
足を上げれば焦げた地面は分解されて元に戻っている。
原子の動きがわかってから、自然とこういった事もできるとわかった。詳しい事はわからないが、できるという事がふと頭に浮かんだのだ。
焦がした所を全部、元に戻すと、私は月明かりに照らされた訓練場を後にする。
……どこからか猫の鳴き声が聞こえてきた気がした。
「試合稽古始め!」
次の日もこれまでと特に何も変わらずに進み、いつもどおりに最後の特訓となる。
さて、今日も後はぶっ飛ばすだけか~。
本日もいつもと同じ。そう考えていたが
「ウツホ三等兵! お前の相手は私がしてやる。こっちに来い!」
「へ? はっ、はい!」
いつも通りだと思って準備していた私に、上官がそんな事を言い出した。
どうやら、今日はいつもとは違うようだ。
意味を見いだせない訓練から抜け出せるかもしれない。私の心はそんな期待に満ちていた。
上官――確か、階級は大尉だったっけ? あれ、中尉だったかも? コートを付けているので将校なのは間違いないんだけど……そう言えば名前知らないな――と竹刀を持って向かい合う。
私はいつも通りに半身になり、竹刀を右手の直線上になる様にする。上官も竹刀を持っているだけで、同じ様に構えはしない。
私のは構えが無いだけだが、上官が構えないのは余裕からだろう。
お互い竹刀を持ったまま動かない。
基本的に特訓中は待ちの体勢で、相手が掛かって来るまで動かなかったんだけど、この場合は私から動いた方が良いのかな?
「どうした、掛かってこないのか? ならば、こちらから行くぞ!」
どうしようか迷っていたら、上官から動いてくれた。
上官は元々そこまで離れていなかった距離を直ぐさまに詰め、竹刀を振るう。
速い!
私は急な動きに着いていけず、避けれないので一歩だけ下がり竹刀で受け止めるが、竹刀を腕に直線上に構えているせいで、受け止めきれずに弾かれる。
制御棒ならこうはならないのに!
「はぁ!」
「くぅっ!」
勢いよく竹刀を弾かれ、体勢を崩した私。
もちろん上官がその隙をつかない訳は無く、振り抜いた竹刀を再度、振るってくる。
私は崩れた体制を慌てて戻し、今度は弾かれない様に力を入れてそれを受け止めと、バシンッ、と竹刀同士が打ち合う音が響く。
一瞬の鍔迫り合いの内に、私は更に力を込め今度は逆に上官を弾き飛ばす。
弾かれ軽く空中に浮いた上官は問題なく足から着地する。
ここ最近感じられなかった身の危険に、冷や汗をかきそうになる。
速いかと思ったけど、そうじゃない。
崩れた体制を直しちゃんと受け止め、なおかつ弾き飛ばすほどの余裕もあった。
私が訓練兵達の速度に馴れてしまってたから、急な速度の変化に着いて行けなかっただけ。集中してみれば、対処できる。
バシン。
バシッ、バシッ、バシッ、バシッ、バシッ、バシッ!
何とか受け止めれるだけで、避ける事は難しいけどね。
一方的な展開が続く。
私は受け止めるのに精一杯で、反撃に出れない。
何度か竹刀を避け、攻撃を入れようとするが、避けさせたこと自体がフェイントだったらしく、避けた所に蹴りや拳が飛んでくる。
それを避けるために距離を取ると、上官に再度、竹刀を振るう余裕を与えてしまう。
バーダインの時もそうだったけど、技術を着けないと私の速度に対処でき、私が追いつける速度の相手との接近戦は千日手になりそう。
その場合は体力面に置いて、長期戦は私の方が有利なのだけど、命がかかっていると精神的に私が先に参ってしまう。
それに長く接近戦が続くと相手が私の動きに慣れて、攻撃を避けるのが難しくなってくる。
今もそうだ。
上官は余裕いっぱいで私を攻撃してくる。私の動きに既に馴れたからだ。
こちらはもう避ける余裕は無いうえ、受け止めるのも大変になってきている。反撃などもうできない。
そんな状況がいくらか続くと、今度は私が上官に弾き飛ばされる。
私もちゃんと足から着地し、上官の追撃に備えるが、上官はその場に立ち止まりこちらを攻撃する気配がない。
「これ以上は竹刀では無駄だな」
上官は竹刀を投げ捨て、壁に立て掛けていた、普段上官が持っている槍を構える。
えぇ!? 光り物、持ち出すの!?
「お前もさっさとそんな物捨てて、自分の武器を構えろ。竹刀の構え方からもして、夜中に訓練場で右手に付けているのがお前の武器なのだろ?」
「えっ、夜に訓練してた事、知っていらしたのですか?」
「当然だ。教官が教え子の事を知らん分けないだろ?」
だから、何で私の周りにいる男性は、こうもナチュラルにかっこいいんだか。
上官は二十代ぐらいの方で、おじさんという歳ではないけどね。
「それからな、先ほどから能力を全く使っていないようだが、今からは使え。でないと無意味だからな」
「私の能力は室内で使うのは……」
「知るか。そういった状況も含めての訓練だろうが、なんとかしろ」
まぁ、使えと言ったんだから、燃えても上官の監督不届きだよね?
竹刀で押されてたのに、武器を構えた上官に能力使わないのは無理だし。
そういえば、訓練中は背中の羽すら使わない様にしていたけど、上官と戦う時ぐらい動かせば、もう少し楽に動けたかも……忘れてた。
私も竹刀を捨てて、マントに右手を突っ込み制御棒を装着する。
私の中を蠢く原子をクルクルと回し、加速させ、体中に熱を行き渡らせると、ボォウ、と一瞬だけ私を包む様に炎が走る。
普段やらないほど、クルクルとドンドン加速させて行く。
槍を構えている上官と向かい合い、一度、体の熱を外に溢れ出させるかの様に深く呼吸をし
「来い!」
羽を力一杯、羽ばたかせ上官に向かって突っ込む。
先ほどより何倍も速い私にも上官は対応し、槍を突き出してくる。
あの~、上官? 刃がこっち向いているんですけど? もしや殺す気満々じゃないですか?
加速した視界を生かし、槍を寸での所で避け、羽を動かし滑る様に上官の後ろに回り込む。
そのまま、制御棒を叩き付けるが、上官はクルンと槍を手の中で回し、石突でそれを捌く。
「ぬぉ!」
が、私はそれを押し切って上官を吹き飛ばす。そのまま、吹き飛んだ上官に向かって、ここ毎日、練習している様に光弾を弾けさせる。
上官はそれをいくつか空中で器用に体を反らして避け、残りを槍で防ぐ。
威力を下げていたため、避けた光弾は道場の壁を焦がす程度で、槍で防いだ光弾は掻き消えてしまう。
上官は何とか足から着地しようとするが、既に追いついていた私はその前に空中でサマーソルトの様に像の足である右足で蹴り着ける。
「ぐはっ!」
今度は、上官はうまく防げずに綺麗に入る。
しかし、ただで蹴られるだけではすまさず、蹴り付けられながら私に槍を突きつけて来たので、私は一度と距離を取る。
着地に失敗し、軽く転がった後、蹴られた部分を庇いながらも、上官は直ぐに立ち上がった。
私はそのまま、上官が槍を構える前にまた突っ込んで行った。
一方的な展開が続く。
今度は逆に、私が一方的に攻撃を続け、上官がそれをかろうじて受け止めている。いや、何度かは直撃しているので、私の時よりもキツイ状況だ。
能力によって道場はあちこちと焦げていて。上官も軽い火傷を負っている。
もはや訓練ではなくなっていた。途中で止める声が聞こえたが、私は止まらなかった。
クルクルと回す
上官の動きが全然遅い。
ほら、そんなのじゃあ当たらない。
上官が横薙ぎした槍を飛び上がり避け、空中で羽を使って一気に上官の目の前に移動し、殴りつける。
横薙ぎした槍を戻し、盾にして塞がれたが、私は制御棒を押し付けながら、力を込めると、制御棒の先端が爆発する。
ドンッ、と音を立てて上官が吹き飛ぶ。
クルクルと回す
なんだろう体の調子がいい。何所までも力がわき上がるみたい。
鼻を刺激する血の独特な臭いと生き物が焦げた香ばしい臭い。それに、肉を撃った生々しい感触。
この感覚はバーダインと戦った時にもあった。
そうあの時も
すごく……
すごく……
……楽しかった。
「あはっ」
つい、笑みが漏れる。
狂々(クルクル)と回る
楽しいと自覚したら、たまらなくなった。
楽しくてしょうがない。沸き上がる気持ちが押さえきれない。
「あははははははははははは!」
楽しい! もっと、もっと! 楽しみたい!
その衝動を解消するために、吹き飛ばした上官に真っ直ぐ向かう。
その速度はこれまでで一番速かっただろう。
それなのに全然、追いついてなくても槍を私に向かって突き出した上官は流石ともいえる。
衝動に突き動かされた私にそれを避ける事はできない。私はただ真っ直ぐに
でも、避ける必要も無い。
私の鎖骨辺りに突き刺さった槍は、バキンッ、と音を立てて折れる。
――地獄の鳥は鉄の体と燃え盛る嘴を持ち、地獄の中の一切の罪人の身・皮・脂肉・骨髄を皆喰らい、亡者に大苦悩を与えると言う。
この身の硬度は即ち鉄。
そんな槍、避ける必要もないよ!
私は右手の燃え盛る嘴を叩き込もうと振り上げ
「やめんか! 馬鹿もん!」
頭を横からすごい衝撃で打ち抜かれ、意識を失った。
…………きゅぅ~。
やっちゃった感がハンパ無いけど、きっと大丈夫。
この作品を読んでくれてる人は、覚悟ができている人のはずだからw
前の話と繋がってたので実質これが6話でやりたかったことです。
やりたかったことは
能力関係の変化
精神の変化
暴走
ウツホの体が硬いわけ
と以上です。
地獄の鳥の文は、実際に地獄にいるといわれている鳥の文らしいです。
体が鉄でできていると知って、ワンピースお決まりの「硬度は鉄」をやりたかっただけですねw
因みにこれを知ったのは、書き始めてからなので偶然ですw
当初の予定ではウツホの体は人と同じだったんですけどね。
東方知らない人への設定
地底:昔は地獄だった場所。地獄のスリム化で切り離され
今は忌み嫌われた能力を持つ妖怪が集まって暮らしている。
妖怪:人間を襲い食うもの。
身体能力が高いが存在の比重が精神に置かれている
ウツホの足:右足は「融合の足」像の足
・左足は「分解の足」。電子が絡みついている。
・右腕は「第三の足」。多角柱の制御棒。