黒き英雄と竜殺し   作:souやがみん

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2話

「それで?作戦ってのは?」

 

赤毛の少年、ウィルフリッド・スタンジフォールがフードを深く被った男と白髪の少年、ルクス・アーカディアに向かって訊ねている。

彼らは城の中庭にて声を小さくして話していた。まるでクーデターを今まさに仕掛けようとしているように。

 

「そもそもこんなことをしようと言い出したのはルクスだ。計画は基本的にはルクスが考える。

ウィルフリッド、お前はこの帝国じゃ暴れたりないだろう?だから呼んだんだよ。そしてお前は来ると分かっていたよ。俺の友人でルクスの師であるお前ならな。」

 

「ご託はいらん。」

 

切り捨てるように言うとフードの男は両手を挙げる。3人が庭にあるベンチに腰かけると赤毛の男、ウィルフリッドが口を開く。

 

「それで?俺の可愛い弟子のルクスちゃんは何がやりたいんだい?」

 

ちゃん付けされて怒ったのかルクスがむっ、とした顔でウィルフリッドを睨む。が、へらへらしているウィルフリッドを見て毒気が抜かれたように溜め息をつくと二人の顔を見ながら話す。

 

「僕はこの国を滅ぼして新しい国を作りたい。」

 

「弟子の意見がはるかに斜め上に行っててビックリだわ。」

 

ウィルフリッドの驚愕の顔になぜだか呆れ顔のルクス。フードの男は本当に愉快そうに笑っている。

ルクスが立ち上がりベンチに座る二人に向き直る。その目は決意の目だった。必ずやり遂げるという信念を感じさせる目だった。ウィルフリッドは嬉しそうに笑い、フードの男は維持悪く笑っていた。

 

「僕の作戦には二人が、ウィルフリッドとフギルの協力が不可欠なんだ。」

 

そう言ったルクスを見て意識が飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますとまず、寒さを感じた。ベッドらしき石畳には敷布団はなく掛け布団だけをかけて眠っていたようだ。いつもなら藁の中で寝ているのに何故だろうか。とウィルフリッドが悩んでいると壁から声が聞こえてきた。

 

「ウィル?起きた?」

 

その声はルクスのものだった。そして少しぼんやりしていた頭がはっきりとすると昨日のことを思い出す。

 

 

「ここにいるのルクスのせいだわ。」

 

ウィルフリッドがぼやく。筋肉が隆々としたその体に何故かアロハシャツを着ており今いる場所とはとても釣り合いの取れない服装をしている。

 

「まぁ、僕が捕まってウィルが捕まってなかったら確実に全てを暴露する自信はあるけどね。」

 

壁を挟んだ隣の部屋にいるルクスが少し愉快そうに話す。

取り合えずウィルフリッドはルクスの部屋へと振動が伝わるように拳を壁に撃ち込む。外壁に傷がつかないように、振動だけを伝える。イタッ!というルクスの声にガッツポーズをとりながらルクスへと話しかける。

 

「なぁ、俺たち戦犯の次は覗きの罪でまた罰金が上がるんじゃない?」

 

それはやだなぁ。と呟くルクスを無視し窓の外を眺める。部屋についてはいつもよりも良かったので少し得した気分になる。しかしそんな自分に落胆する。はぁ、というため息をルクスとほぼ同時に行う。

にしてもとウィルフリッドは考えた。まさかこんなところで一晩過ごすとは思ってみなかった。こんな時間があるなら仕事して早く自由の身になりたいからである。

 

「覗き魔にぴったりの部屋だな。」

 

声がする方へと振り替えるとそこにいたのは昨日風呂場で下敷きにした慎ましい胸の金髪の少女だった。

 

「何時も寝てるとこより豪華な部屋だったわ。」

 

あっはっはと笑うと金髪の少女は此方を哀れむような目をしていた。

 

「やめて!そんな目でみないで!」

 

「貴様ら学園長がお呼びだ。良かったな、ここよりも良い場所、豚小屋に行けるぞ。」

 

ははは、とルクスの乾いた笑い声が牢屋に響き少女が鉄格子を開けてくれる。ルクスがふと横を見るとウィルフリッドが轟沈していた。多分ネタを無視されたことが悲しかったのだろう。

ルクスは少しウィルフリッドに同情しながら彼を牢屋から引き釣り出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ、ルクス君はいいわ。」

 

「何でだよ!」

 

豪華な一部屋にウィルフリッドとルクスは連れてこられていた。そこにいたのは彼ら二人の知り合いのレリィ・アイングラムだった。

ウィルフリッドは驚愕の表情を浮かべていたがルクスは少し驚いているものの動揺するほどではなかったようだ。

学園長の座る席の前にあるソファには先ほどの金髪の少女、リーズシャルテ・アティスマータが座っている。彼女はどうやら新王国の第一王女のようでかなりめんどくさい、もとい失礼なことを彼ら二人はやらかしたようだった。

 

「めんどくさいのよねぇ。ウィルフリッドさんもルクス君も知り合いだから助けてあげたいけど学園長としての立場もあるし相手はリーズシャルテさんだしねー。」

 

物凄く軽い調子で話す。こんな時のレリィは頼りにならない上に運が悪ければ彼女はネタのために全力を注ぐ女になってしまう。

突然コンコンとドアをノックする音がした。レリィが入るように進めるとそこにいたのは一人の少女だった。しかも先頭は昨日ウィルフリッドが倒してしまった女の子である。

 

「あー!貴方は昨日の!もう一度勝負しなさい!機攻殻剣を使わずに機竜に勝つなんて不可能よ!」

 

なんだか恨みをかってしまったようだ。自業自得とはいえめんどくさい。隣でにやっ、としているルクスにあとで腹パンを入れることを心に誓いつつその少女を見る。機竜使いとしてとても良い体つきをしている。決してエロい目では見ていない。いまのところは。

 

「ウィルフリッドさん、彼女に勝ったの?『三和音』の一人のシャリスさんに?」

 

「その『三和音』ってのはよくわからんが勝った負けたで言えば勝ったのかも知らんが決着はついてないと思うぞ。」

 

目がぎらぎらしている青髪の少女、シャリスが少し恐い。

 

「しかし、今回この場所に読んだ理由はウィルが女の子に宣戦布告されることじゃないですよね。」

 

最近師匠に敬意を払わなくなりつつあるルクスをウィルフリッドが胸ぐらを掴み睨む。ルクスも負けじと睨んでくる。周りに緊張が走るなかウィルフリッドとルクスはフッ、と自重するように笑い肩を組んでレリィへとしてやったり顔を浮かべる。

 

「お前たちはボケを挟まんと話せんのか。」

 

リーズシャルテの厳しいツッコミに黙るウィルフリッドとルクス。

ネタを挟んだというのに涼しい顔をしているレリィは少し考えてから口を開く。

 

「もう、私が罰を考えるのめんどくさいしルクス君の処罰はリーズシャルテさんに。ウィルフリッドさんの処罰はシャリスさんに一任しても宜しいですか?」

 

「「えっ?!」」

 

ウィルフリッドとルクスの声が重なる。そしてドッ、と冷や汗が流れる。かなりめんどくさいことになっている。

 

「良いだろう。」

 

「慎んでお受けします。」

 

そしてリーズシャルテもシャリスもかなり乗り気である。こうなれば最後あとは勢いに身を任せるしかない。そう判断したウィルフリッドは両手を挙げ降参の意を示す。

しかし、ルクスは最後の最後までグズっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に何やってるんですか?兄さん、ウィルフリッドさんも。」

 

あははは、という二人の笑い声の先には二人の少女がいた。一人はルクスと同じ髪の色をした少女、アイリ・アーカディア。ルクスの実妹であり、同じ黒いチョーカーをする仲間である。ついでに言うと胸がそこそこ大きい。あの新王国の王女、リーズシャルテ・アティスマータよりは大きい。

 

「ウィルフリッドさん、今何か余計なこと考えませんでした?」

 

「ごめんなさい。」

 

勘だけでこちらの考えていることが読めるようになったのかアイリが此方をジト目で睨む。

この子も怖くなったなぁと思うウィルフリッドは隣の少女へと目を向ける。そこにいたのは昨日《ドレイク》でルクスを追いかけていた少女だった。

 

「紹介がまだでしたね。私のルームメイトです。」

 

「Yes、ノクト・リーフレットと言います。」

 

聞いた話によるとよると彼女もシャリスと同じく、『三和音』の一人のようだ。昨日ルクスを追う姿をちらっ、と目にした限りでは良い動きをしていたので納得できる。

 

「それで兄さんとウィルフリッドさんは処罰が何か聞きました?」

 

頭の上にはてなマークを浮かべる二人に代わりノクトが答える。

 

「No、これは聞いてないと断言できます。」

 

はぁ、と溜め息をつくアイリ。しかしこっちの言い分も聞いてほしい。そもそも依頼に猫の捜索を頼んだ奴と勝手に引き受けた奴が悪い。つまり俺は悪くない。という自己中心的な考えをしているウィルフリッドにアイリがジト目で話しかけてくる。

 

「ウィルフリッドさん、自分は何も悪くないって顔してますけど無理がありますからね。」

 

「Yes、女子風呂への侵入、王女への失礼。その他もろもろの容疑がかかっています。」

 

血を吐き出し倒れる。それをルクスが抱き抱える。そしてその手を握る。

 

「俺はもうだめだルクス。俺のことは良い。お前は先に進むんだ。」

 

「嫌だよ!ウィル!ウィルー!」

 

「もういいですか?」

 

アイリがうんざりした顔で此方を見ている。そしてノクトは驚愕のあまりか放心状態である。まぁ、いきなりあんなネタを挟まれればこうなっても仕方ない。

はぁ、と溜め息をつくアイリが此方に背を向けて扉の方へと歩きながら言う。

 

「取り合えず行きましょうか。」

 

「?どこにいくんだ?」

 

アイリがクスッ、とウィルフリッドを、笑みを向けながら言う。

 

「機竜の格納庫ですよ。万全の状態にして戦っていただかないと私が困りますしね。」

 

「自分のためなんだ・・・。」

 

そのルクスの言葉に笑顔の圧力を向けるアイリ。そして二人は思ったこの少女にはいつまで経っても勝てないだろうなぁと。






ここまで読んでいただいてわかる通りルクスの性格はかなり変化しています。こんなのルクスじゃない!って言う人は見ない方が良いと思いますよ。

次回!お姫さま、防御特化の《ワイバーン》にまける!
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