黒き英雄と竜殺し   作:souやがみん

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おぉう、過去編は難しいわ。
やっとキーキャラの女の子が出てきたしな


21話

「わーい、ウィルと出掛けられてめっちゃ嬉しい!」

 

「俺は不安しか感じねぇわ。」

 

あはは、とあきれ笑いのルクス。ウィルフリッド、ルクス、ミーナの三人は国王命令により近くにある遺跡近くへと足を運んでいた。

ミーナは機竜の整備士である。ウィルフリッドの《ワイアーム》やルクスの《ワイバーン》も彼女の手によって整備されている。

 

「今日こそはウィルのための神装機竜を発掘するからね。」

 

ウインクと一緒に言葉が送られてくる。それを片手をヒラヒラと振ることで返事をするとミーナが怒ったように頬を膨らませる。

 

「分かった、分かった。期待してるよ。頼んだ。」

 

表情が一変し笑顔になると一人で走り出した。それを見て疲れたように息をはくウィルフリッド。

 

「慕われてるのは良いことだと思うけどなぁ。」

 

「あぁ、慕われているのはな。でもあいつは俺に依存しすぎなんだ。あんなんじゃあ将来困るだろ。」

 

「うーん、ミーナさんウィル以外目にないと思うけどなぁ。」

 

それが困るんだよ。そう言いながらルクスは空を見上げる。雲一つない青空だ。こんなときは機竜で飛ぶととても気持ちいい。

が、今は仕事で来ているためぐっ、と堪える。にしてもとウィルフリッドが口を開く。

 

「国王命令出たのは俺だけなのになんでルクスは着いてきたんだ?」

 

「どうせ暇だろうから訓練してもらいたくてさ。」

 

仕方ねぇなぁ、と嬉しそうに言いながらルクスとウィルフリッドは近接格闘戦を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

「「ねぇ、ウィル~!ちょっとこっち来てー!」

 

ウィルフリッドとルクスの訓練が一息ついたときミーナに呼ばれウィルフリッドとルクスがミーナの方へと歩み寄る。

こっちこっちと呼ばれミーナが指差すところを見ると一機の土まみれの機竜が埋まっていた。今まで見たことのない形の機竜だった。

 

「なんだ?この機竜。《ワイアーム》とも《ワイバーン》とも違うぞ?」

 

「ついでに言うと《ドレイク》とも違うね。」

 

ウィルフリッドとルクスが不思議そうに首をかしげる。それを見てミーナは胸を張りつつ得意気に笑うとどや顔で言う。

 

「私はついに、ついに見つけたんです!これこそがこの地に眠ると言われている機竜。《クリカラ》です。」

 

そう言われても分からないウィルフリッドとルクスはさらに怪訝な顔になる。しかしミーナはそんな二人に気づかず話続ける。

 

「この機竜は昔、世界の危機を救った伝説の機竜なんです!でも古代の人たちはこの強すぎる力に恐怖を覚えて何処かに埋めたと言う記録があるんです。

そしてそれを見つけたとき国王様にお願いしてここの調査の許可をもらったんです。」

 

「だから得意げに俺の機竜を見つけるって言ってたのか。」

 

少しげんなりしながらウィルフリッドが呟くとミーナがサムズアップを浮かべる。

とりあえず機竜を掘り起こすためウィルフリッドは《ワイアーム》にルクスが《ワイバーン》と接続し砂堀を始める。二時間かけて掘り起こした機竜《クリカラ》は砂を払えば灰色の機竜だった。背中に二本、両腰に一本ずつ、極東の島国の武器である刀を下げている。

 

「こいつは極東の島国の機竜なのか?」

 

「うーん、そこまでは分からないなぁ。でもこの機竜は接続した人にとんでもない力を与えるものだって言うのとここに埋めたって言う記述しか残ってないから。」

 

ふーん、と返事をしつつ《クリカラ》を持ち上げミーナを《ワイアーム》の肩に乗せて帰っていった。

 

 

 

それから数日後、ミーナは機嫌悪そうに頬を膨らませながらウィルフリッドのベッドへと潜り込んでいた。

 

「・・・・はぁ、ウィルの臭いだぁ。落ち着くなぁ。」

 

「何しとんじゃ、己は!」

 

ウィルフリッドが布団をひっぺがしミーナの頭を軽く叩きベッドから投げれる。

むー、と唸りながらこちらを見ているミーナに溜め息をつきながらウィルフリッドが話しかける。

 

「んで?何かあったのか?」

 

「聞いてよウィル!あの機竜、《クリカラ》は誰でも乗れるって証明できたの。」

 

へぇ、と相づちをうちながら話を促す。

 

「でもね、解明できてないんだけど接続して5分は安定可動するんだけど5分たつと機竜使いたちが頭を押さえながら呻くの。」

 

なにそれ、やだ怖い。とちょっと女の子声で言うがミーナからのツッコミが返ってこなくて少しげっそりするウィルフリッド。

 

「それでね、その機竜は何かあるから調べさせてっていったら何て言ったと思う?ウィルで試せって言うのよ。思わず国王様の顔面を殴りそうになっちゃった。」

 

「最後の言い方はちょっと可愛かったがそれまでがとてつもなく残念だったからそこまで可愛く感じねぇわ。」

 

またも頬を膨らませるミーナ。はは、と笑いつつ頭を撫でる。きっとこんなことをしているからミーナは俺、ウィルフリッド・スタンジフォールという人間に依存してしまうんだろう。

彼女の本名はミーナ・アントン。親の代から機竜の整備士でこの帝国内ではそこそこの有名人の娘だった。彼女の父は忙しい人で中々家に帰らなかった。そして彼女の母は彼女が幼い頃に亡くなっている。一人ぼっちのところを同じく一人ぼっちで戦うことしか脳のなかったウィルフリッドと出会った。

機竜の勉強をさせられていたミーナは学校に行っていなかったため、友達が居なくウィルフリッドははじめて友だった。毎日毎日ウィルフリッドはミーナの家に訪れては機竜の勉強を隣で見ながら筋トレをしていた。他愛もないこの時間がミーナにとっては至福だった。しかしある日。

 

「おい!ミーナ大変だ!お前の親父さんが倒れた!城に行くぞ!」

 

ミーナはウィルフリッドに手を引かれ城へと走った。自分の唯一の肉親の元へ。しかし間に合わなかった。

 

ウィルフリッドとミーナが城へと着く頃にはミーナの父は大勢の人たちに囲まれて息をひきとっていた。

 

「お父さん?ねえ、ウィル。お父さん動かないの。どうしてかな?」

 

今にも泣きそうな笑顔を浮かべながらミーナはウィルフリッドへと向き直っていた。しかしウィルフリッドには目を背けるしか出来なかった。数々の戦場で戦ってきたウィルフリッドも何も言えなかった。

 

「ウィル、何か言ってよ。・・・、あ、そっか、コレどっきりなんでしょ?明日はちょうど私の誕生日だからそうでしょ。ね、ウィル。」

 

もうミーナの我慢は限界だった。そしてウィルフリッドは意を決して言った。

 

「ミーナ、お前の親父さんはもう居ないんだ。」

 

言葉を言い終わる前にミーナはウィルフリッドの胸へと飛び込んでいた。そして大声で泣いた。周りに人がいることも忘れ泣いた。

そしてウィルフリッドも泣いた。ミーナとは違い声に出して泣いてはいないがそれでも泣いていた。

その日からミーナのウィルフリッドを見る目が変わっていた。まるで世界にはウィルフリッドと自分しかいないかのようにウィルフリッドにベッタリになっていた。幼かったウィルフリッドはこれで良い、自分がミーナと居てやれば良いと思ってしまった。

そして、色々とあってミーナは機竜の整備士になったがウィルフリッドと唯一心を開いたルクスの機竜しか面倒は見なかった。

 

「で、ミーナは《クリカラ》をどうしたいんだよ。」

 

「私はあの機竜をウィルにあげたくて掘り起こした。でもあんなに危険な物ならウィルに使ってほしくない。」

 

つまり、

 

「国王命令だとしても絶対にウィルは乗らないで。お願い。」

 

それにとミーナが、付け加える。

 

「《クリカラ》には私が付けた兵器が積んであるの。それのおかげで誰でも乗れてるんだけど多分それのせいで沢山の機竜使いたちが脳をやられてるんだと思う。」

 

ミーナの必死な顔にウィルフリッドは何も言えなかった。

 

 

 

そうして数日後、例のクーデターの日になった。ルクスはフギルから譲り受けていた《バハムート》を腰に下げている。それを見て今からやろうとしていることが本当に命がけだと言うことを改めて感じていた。

 

「ねぇ、ウィル。ミーナさんは?」

 

「あぁ、城にはいない。と言うか俺の《ワイアーム》に追加武装をガンガンに注文してきたからな。今日一日は工房から出てこないだろうさ。」

 

その言葉にルクスが安堵の息をはく。それを苦笑しながら見つめる。そしてフギルが姿を表した。

 

「賢弟、ウィルフリッド来たな。アティスマータ卿はもう動き出しているぞ。父を殺すなら今がチャンスだ。」

 

フギルが自分の父を殺すと言ったことにウィルフリッドもルクスも何も言わない。

 

「その前にだ。ミーナの発掘した《クリカラ》を俺は回収する。あれは5分しかもたないらしいが5分間はルクスでも勝てない可能性がある。」

 

ほぅ、と興味深げなフギル。しばらくの間沈黙が生まれフギルが笑いながら言う。

 

「ウィルフリッド、貴様が使えば良い。お前なら問題なく使えるだろ?」

 

もとよりそのつもりだったウィルフリッドは何も言わずに首だけを動かし肯定する。

それだけでフギルは納得したように笑う。それを横目に見ながらウィルフリッドはルクスへと向き直る。

 

「良いなルクス。一対複数の戦闘の時は被弾はするなよ。視界から消えて攻撃する。《バハムート》の神装があれば多少ミスってもなんとかなるからぜんりょくで行け。」

 

うん、とルクスは《バハムート》の機攻殻剣を強く握りしめながら呟くように言うとウィルフリッドへと笑いかけて走り去った。

それをウィルフリッドは見つめる。

 

「では、俺たちもそろそろ行くとするか。機竜でも1、2機程度ならウィルフリッドの敵ではなかろう?」

 

「当たり前だ、俺を誰だと思ってんだ?」

 

少しフギルを脅すように言うとフギルは頼もしいな、と呟きながら歩き始めた。

城の中はとても広いが衛兵の姿は見えなかった。全員ではないだろうが街でクーデターを起こしているアティスマータ卿辺りの鎮圧作戦でも行っているのだろう。道のりは分かっているため迷うことなく進む。

そして一つの部屋の前で立ち止まるとフギルに目で合図し中へと入る。そこにあったのはミーナの発掘した《クリカラ》だ。そして、

 

「研究者ごときが俺に勝てるかっての。」

 

白衣を着た数人の科学者の一人に近づき拳を叩き込み気絶させると近くにいた別の科学者へと投げつける。まとめて数人を凪ぎ払いながらウィルフリッドは《クリカラ》の鍵である機攻殻剣を握り、叫ぶ。

 

「竜を殺し、幻を斬る我が僕よ。その力で全てを圧倒せしめん。来たれ!《クリカラ》!」

 

コレがウィルフリッドが初めて《クリカラ》と接続した時だった。




あ、誰か来季のオススメアニメを教えていただきたい。
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