黒き英雄と竜殺し   作:souやがみん

27 / 46

皆様お久しぶりです。忙しかったのもありましたが色々あり休載していましたが投稿し始めます。




27話

ルクスが暴走し始めたフィルフィーと戦闘になろうとしている頃ウィルフリッドの意見によりリーズシャルテの所にアイリ、ノクト、シャリスの5人が集合していた。

ウィルフリッド以外全員に疲労の色が見えているのは戦闘があった証拠だろう。

 

「にしても、ルクスはフィルフィーと二人きりだな。」

 

ぴくっ、と肩を動かすリーズシャルテを見て小さく笑う。ニヤニヤ笑いつつ周囲を確認しながら刀を暗闇へと投合する。

 

「ふむ、とりあえず先には何も無し。っと。まずはレリィ達と合流するぞ。ルクスとフィルフィーがどういう状況か分からん今、集団で動いた方が良いだろうしな。」

 

ウィルフリッドの言葉に全員が頷いたのを確認するとウィルフリッドを先頭に遺跡の中を歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拳を受け止めるのではなく受け流す。体格があり受けに徹する場合は受け止めてカウンターを叩き込むのがセオリーだと師匠であるウィルフリッド・スタンジフォールは言っていた。

 

「まぁ、お前の場合は完全にタンク型つまり受けをなりあいにするような体格じゃないからな。先ずは全力で逃げるようになろう!」

 

そう言って彼、ウィルフリッドはルクスに対して容赦なく攻撃を加えていった。そして完成されたのが今の自分。

 

「攻撃に当たらずに此方の手数だけを増やしていくスタイル。本当にウィルって修羅と言うかなんと言うかって感じだよね。」

 

独り言のように呟きながらルクスはフィルフィーの拳、《テュポーン》の拳を避けていた。体にかすらせもせず相手の体力だけを奪っていく。そのなかには特殊な技法も存在している。

まず、《ミスディレクション》。これはウィルフリッドも使っていた人の習性を利用し、姿を消す技法。

そして《カリキュレイト》。相手の呼吸に割り込む技法。自分と全く同じ呼吸をするものを人間は自分を見ているようになってしまうため敵と認識できない。

 

「まぁ、始めはどっちも出来る気がしてなかったけどなぁ。何とかなって良かった。って感じかな。」

 

両方の技法を惜しみ無く使い攻撃を、拳を回避していく。

 

「じゃあ、フィーちゃん意識無さそうだしそろそろ止めようかな。」

 

フィルフィーの意識を奪うようルクスは攻撃を続けているのだがまるで体が脳とは違う何かに動かされているようにフィルフィーは戦い続けている。」

 

それを何処かおかしいと感じながらも動きを止めず対処に入る。拳を合気道の要領で受け止め地面に叩きつける。身体に大きなダメージがあるはずなのに動こうとするフィルフィーの体に思いっきり震脚を叩き込む。

 

「フィーちゃんには後で謝ろう。」

 

真顔でそんなことを言ってのけつつさらに拳を震脚を叩き込み続ける。徐々にフィルフィーの体が地面へと埋まっていきやがて動かなくなる。

ルクスは何も言わずに周囲の警戒に入りその警戒を解く。

 

「少し警戒を解くのが早すぎねぇか?没落王子様よぉ。」

 

声を聞くと同時に振り向き様に《バハムート》の攻殻機剣を引き抜き横に凪ぎ払う。驚いたように飛び退く影にルクスは憎しみをもって睨み付ける。

ケラケラと笑うその顔を忘れることはない。ウィルフリッドが暴走させかけた張本人、

 

「ヘイズ。何故ここにいる。殺されに来たのか?」

 

「物騒なことをいうなよ没落王子様よぉ。俺はお前にとって益になる情報を持ってきてやったんだぜ。」

 

ヘイズへの睨みを止めずにルクスはヘイズに話を促す。それを受け取ったヘイズは肩を分かりやすくガッカリさせつつ話を始める。

 

「まぁ、まず簡単に言えばそこの女はあと数日で死ぬぜ。」

 

驚きも怒りもなくただただ話を進めさせる。それにヘイズは心底ガッカリしたような顔をしつつ話を続ける。

 

「そこの女には俺のラグナレク、ユグドラシルの種子を仕込んである。体の半分はもうアビスと同化しているからな。あぁ、もう心臓もアビスの核と同化していて無理矢理はずそうとすれば死ぬ。

普段はその女の中に眠っているだけの種子だが生命の危機や精神の異常に高ぶりによって、度々現れる。基本は今までお前に見せてやった能力と同じさ。」

 

異常な超回復と、身体機能の向上。

 

「そしてその女はもう何度も本体、つまりユグドラシルからの命令を無視しているからな。つまりこの意味が分かるだろ?ウィルフリッド・スタンジフォールにこの話は聞いているだろう?」

 

「フィーちゃんの命はもう・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー、なんだこいつは。」

 

レリィ達と合流してすぐウィルフリッドが何かを、いや誰かを見つけていた。

その場に全員が駆け寄ると全員が微妙な顔をしている。それぐらいに何とも言えないのだろう。

 

「こんなとこに女の子がいるなんて普通はないよな。罠だな。」

 

「罠だな。」

 

「罠ね。」

 

ウィルフリッド、リーズシャルテ、セリスティアが呟く。クルルシファーだけが興味深そうに見ているのをウィルフリッドは分かっていたが何も言わなかった。

全員が納得してくれるような内容ではないからだ。それにしてもとウィルフリッドが口を開く。

 

「さっきのアビスを倒してから生き物の気配が一切しないんだよな。この先にも何かがあるだろうな。」

 

「1度戻った方が良いかしら?」

 

レリィの言葉に肯定し戻ることが決まる。クルルシファーが先ほど倒れていた少女を回収しているのを横目で確認しつつ先頭を歩くために前に出る。

 

「さて、フィルフィーと二人きりになって楽しんでるのかなぁルクスは。」

 

この言葉で眉間の血管が切れたような音が辺りに響く。わかっての通りその主はリーズシャルテだ。《ティアマト》を引き抜くと同時に装備し、一人で飛んでいってしまった。

それを大声を出しながら笑うウィルフリッドにアイリが物理的ツッコミをかましウィルフリッドが落ち着いたところで外へ出るために歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

「そう、その女は数日で死ぬぜ。そこでだルクス・アーカディア取引をしようぜ。」

 

怪訝な目でヘイズを睨む。それを嬉しそうに笑いながら受け取りながらヘイズが話を続ける。

 

「そう、この遺跡、アークの最深部の扉を開きな。そうしたらこの女が死ぬことがないように計らってやるよ。もちろんその間は俺はお前たちに手出しはしない。

期限は、そうだな2日後だ。2日後扉を開けて待ってな。」

 

ヘイズは《ワイバーン》を装備しながら飛びだとうとした。

 

「待て!」

 

「嫌だね。そうしている間にウィルフリッドを呼ぼうってんだろ?見えすいてんだよ。」

 

まだ、ウィルフリッドからの応答はない。つまり彼はまだ遺跡の中だ。自分だけで戦闘を行うのも浅はかだ。本当にフィルフィーを殺せるかもしれない。

フィルフィーの話は罠で回りに敵を忍ばせているのかもしれない。そんな風にいろいろな場面を想定した結果動けなかった。

 

「そうそう、それで良い。じゃあな没落王子。2日後は頼んだぜ。」

 

そう言いながら声を高らかにあげながら笑うヘイズの背中を睨むことしかルクスは出来なかった。

 

その後ウィルフリッドたちが現れたことにルクスは少し安堵しつつフィルフィーの状態が良くないとだけ言って宿舎に帰ることとなった。

 

 

「で、何を隠してんだ?ルクス君。」

 

夜、ベッドで眠るフィルフィーをみているとウィルフリッドが扉の前に立っていた。乾いた笑みを見せ心底困ったふりをする。いや、本当に困っていた。

 

「僕は弱いよ。ウィル。」

 

「知ってたよ。でも知ってたか?俺も弱いんだぜ?」

 

二人で互いに傷を広げあう。しかしルクスにとっては今がとても心が安らぐ時間だった。

隣に椅子を持ってきて座り足を組み、腕を組むウィルフリッドはそれっきり物音もたてずただじっと虚空を見つめていた。それがウィルフリッドなりの優しさなのだということをルクスは痛感し声を絞り出すように言った。

 

「僕は、何も守れなかった。国も、民も、何もかも。だからこそ僕はもう誰も失いたくない。ヘイズなんかの言うとおりにはしたくない。」

 

「そうだな。」

 

ウィルフリッドはそれだけ言うと不敵に笑った。そして言った。

 

「じゃあ、見せてやろうぜ。俺たちがこの世界最強の戦士であることをさ。」

 

「ああ!」

 

そう言って手を合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

その後ルクスはフィルフィーの部屋へと来ていた。まだ眠ったままの彼女の顔は苦痛ではなく安堵の表情が浮かんでいる。そう思えた。

ルクスはぐっと込み上げてくる感情を飲み込むように目を閉じた。

 

「ルーちゃん?」

 

目を開くとそこには少し困ったようなそれでいて嬉しそうな顔をしているフィルフィーの顔があった。その事に少し頬を緩めながら口を開いた。

 

「フィーちゃん、具合はどう?」

 

「んー?お腹、減ったかな?」

 

はは、と笑いフィーちゃんらしいなぁと呟く。胸に溢れた感情を感じてルクスは知らず知らずにフィルフィーへを抱き締めていた。

驚いた様子も見せずフィルフィーはそんなルクスの背中に手を回していた。

 

「ねぇ、フィーちゃん。」

 

「なに?」

 

「僕を信じて待っていてほしいんだ。きっと君は僕が守るからフィルフィー。」

 

フィルフィーはそんな言葉に1度目を見開き目を閉じ抱き締めている腕に力を込め頷いた。

 

「うん、待ってる。でも私のことはフィーちゃん、でしょ?」

 

そうだね。そんなことを言って笑うルクスの胸の奥には強い光が輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルクスとフィルフィーの一件があったときウィルフリッドは外に出てとある男を睨み付けていた。

 

「まさか、お前から出てきてくれるとはなぁ!フギル!」

 

ルクスをさらに大人っぽくした青年フギル・アーカディアが不敵に笑いながらウィルフリッドを見つめていた。

 

「久しぶりだな親友。いや今のお前は復讐に燃える鬼と表現するのが正しいか。」

 

「そんなもんどうでも良い。お前をぶっ殺せるならなぁ!」

 

腰に下げている《クリカラ》の攻殻機剣を抜き放つ。殺気を今までの何よりも放ちながらフギルへと一歩一歩近づいていく。

 

「捕らえることも考えず俺を殺すときたか流石だなウィルフリッド。だが、お前は一つ見謝っているぞ。今の俺は敵ではない。利害の一致している味方だ。」

 

「あぁ?お前と利害が一致している?ふざけんじゃねぇぞ。」

 

お前じゃないさと呟くフギルは不敵に笑いながらウィルフリッドを見据えていた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。