ついに30話です。休んだりしながらようやくここまでこれました。皆様これからも宜しくです。
「はっはっは!遅いぜぇアビスちゃん!」
リミッターを解除せずに刀も抜かずただ回避だけを続ける。迫る攻撃を蹴り飛ばし、殴り飛ばす。ユグドラシルはその程度では怯みはしないが瞬きする瞬間ほどの隙ができる。そしてそれはウィルフリッドにとっては長すぎる。
「うらぁ!」
速度にものを言わす勢いで接近、本体にとりつくと2刀の刀で切り裂いていく。再生能力と斬撃の嵐が衝突する。
ちっ、と舌打ちしながらウィルフリッドが距離を取るとルクスがやってくる。
「再生能力が再現無さすぎるね。一撃で葬らないと無理っぽいよ。」
「確かにな。しかもあいつちょっとずつ強くなってやがる。自分を相手の力量に合わせれるんじゃねぇか。」
ヘイズを見ると得意気な顔で此方を見下している。やることは変わらねぇ。そう言いながらウィルフリッドとルクスが接近する。
セリスティアが雷撃を穿ち、クルルシファーが凍らし、リーズシャルテが重力で潰す。もう何回も同じ攻撃を繰り返しているためかユグドラシルにダメージが通らなくなっている。
「うっ!・・・、うわぁ!」
リーズシャルテが《ティアマト》の障壁ごと吹き飛ばされ壁に激突する。その反動で《ティアマト》の接続が解除される。
ユグドラシルはそれを見のがさなかった。その太い幹がリーズシャルテへと向かい叩きつけられる。
「大丈夫ですか?リーシャ様!」
その太い幹は何もない地面を叩いていた。ルクスが《バハムート》の神装《暴食》で助けていたのだ。ルクスの腕のなかでお姫様抱っこの状態になっているリーズシャルテが顔を真っ赤にしながらうつむいた。
「おい、ルクス。ラブラブしてんのは構わねぇけど此方を手伝ってくれないかなぁ!」
ウィルフリッドがわざわざ全員に聞こえるように大声を出す。いつの間にか目覚めていたフィルフィがジト目を向けている。
後が怖いなぁと思いながらウィルフリッドに腹パンを叩き込むことを心に誓いながらリーズシャルテを下ろす。
「リーシャ様、これから僕とウィルが一発逆転の賭けに出ます。かなり無茶しますけど目をつぶってくださいね。」
「承諾しかねるがな。」
あきれ笑いを浮かべているリーズシャルテに笑みを向けてから飛び上がりユグドラシルの攻撃をまるで踊るかの如く回避し続けているウィルフリッドへと近づいていく。
「よう、ルクス。皇女殿下とはもういいのか?」
「コレが終われば僕はウィルをぶん殴ることを心に決めてるからね。」
「怖いねぇ。で、お兄さんに何してほしいんだい?」
「リミッターを解放してくれ。僕も《限界突破》を使うから。」
ウィルフリッドがルクスの目を見つめた。その曇りのない目を見てウィルフリッドはあきれ笑いを浮かべる。そして頷いた。
「よし、分かった。その代わり完全に乗っ取られたら俺を殺せよ。」
「そのときはフィルフィの為に死んでもらうよ。」
言ってくれるなぁと言いながらウィルフリッドが目を閉じた。
そして淡く発光した。
『俺に委ねな。すべてを葬りさってやるぞ。』
黙れ、俺はお前なんかには頼りはしない。心のなかでそう念じるだけでウィルフリッドと《クリカラ》は言葉を交わす。
『それでも俺をまた少し解放するんだろ?どっちにしたってこの忌々しいリミッターが無くなればお前の体は俺のモンだ。』
《クリカラ》を無視し、集中する。7割のリミッターをすべて解放する。
「ぐっ!ああああああああ!」
ウィルフリッドが絶叫する。《クリカラ》の騎士のようなフォルムがアビスに近い形に変化する。背中に交差するように指していた刀が翼に変わる。灰色の機竜は完全に姿を変えていた。
そしてそれはリーズシャルテや、クルルシファー、セリスティア、三和音たちといった初めて見る者にとってはとてもじゃないが想像できないことが起きていた。
「『ふ、ふ、あはははははは!そうだ!ウィルフリッド!それで良い!この俺に体を差しだせぇ!』」
「うるせぇ、てめぇなんかに体をやるぐらいなら死んでやる。」
一人で2つの別々の声を出していたのだ。ウィルフリッドの特徴だった、赤い髪は灰色をおび、目は完全に碧へと変色していた。顔には何本もの筋が見え一本一本がドクンと波打つように動いていた。
「うあああああああ!」
ルクスも絶叫していた。しかし、ルクスの方には大きな変化はない。ただ、ウィルフリッドと同じく何本もの筋が波打っており何時もの優しげな目は今はなくつり上がりただ、ユグドラシルとヘイズを睨み付けていた。
「ちっ、そんなこけおどしに踊らされるかよ。やれユグドラシル!」
ヘイズの命を受けてユグドラシルがウィルフリッドとルクスへと幹を叩きつける。
しかしルクスに当たろうとしていた幹は存在しなく、ウィルフリッドに至っては直撃したはずなのにまるでダメージが通っていなかった。かなりの数のアビスと機竜を食べていたユグドラシルのちからは1体の例え神装機竜であろうとも勝てるようなものではなかった。
しかし二人はそれを嘲笑うかのように口の端を持ち上げる。
「なんだぁ?その温い攻撃は?」
『本当にユグドラシルか?こんな雑魚が?』
「殺す。」
ルクスの殺意の高さにリーズシャルテ達が呆然とする。ウィルフリッド、いや《クリカラ》はそれを見て笑い声をあげる。
『ははは、この少年はあれからまた腕をあげているか。また殺しあいたいものだな。』
ルクスの意味不明なほどの殺意を受けて笑う《クリカラ》。
「しかし、なぁ?」
シャリスが呟いた。隣にいるティルファーやノクト、アイリまでもが二人に、いや、3人にジト目を向ける。何せ今は最終決戦とも言える場面だ。そんな場面でこの世界最強とも言える奴等はシリアスを無視してネタに走っている。
「最後だからこそ俺達らしく、だ。」
「僕は単純に許せないからぶっ殺したいだけなんだけど。」
『ふはははは!俺もコイツらと同じキチガイ扱いか。間違えではないからツッコミずらいな!』
3人がアホなことを言う。が、それが頼もしかった。
「じゃあ、任せて良いのだな?」
「「『任せておけ!』」」
3人が同時に呟き一足で接近する。ルクスが見えない斬撃を放ちユグドラシルの武器である幹をすべて斬り飛ばす。
ウィルフリッドがその瞬間を駆けてユグドラシルの心臓とも言える部分。赤い宝石を殴り飛ばし粉々に吹き飛ばす。さらにそれを《クリカラ》が斬撃と共に吹き飛ばす。
「は!それでは無駄だ!ユグドラシルはその程度じゃ殺せない!」
ヘイズの言葉通りユグドラシルは再生を開始した。凄まじい速度で回復していくユグドラシルを眺めながらウィルフリッドが呟いた。
「はぁ、こいつの能力を上回る一撃、ね。《クリカラ》今だけは共闘してると思ってんだがその辺どうだ?」
『俺はお前だ。お前の考えていることは分かっている。すさまじくめんどくさいがそれしか手はなかろう。俺よりも問題はそっちの少年だと思うが?』
ウィルフリッドがルクスへと視線を向けるとルクスはウィルフリッドが口を開く前にサムズアップを浮かべながら口を開いた。
「ウィルの考えならそれで良いよ。多分僕も同じ事を考えてるしね。」
流石俺の弟子。ウィルフリッドがボソッと呟くとルクスがにかっ、と笑った。隣に立つルクスに拳を向け互いの拳を合わせる。
「行くぞ親友!」
「もちろん、親友!」
同時に地面を蹴る。二人は音速とも言える速度を叩きだしながらユグドラシルへと接近すると思いっきり蹴り飛ばした。そしてルクスが叫ぶ。
「《暴食》!」
限界突破によってさらに凶悪な神装になっているそれを使う。通常の《暴食》とは比べ物にならないほどの勢いで背後をとり高速で斬撃を放つ。
一度は粉々になったユグドラシルが再生を始める。しかしルクスがさらに斬撃を放つ。
「『天に返すその魂は我が剣で打ち砕かん。我願う汝永久にまで消え果てよと。』」
呪文のような言葉をウィルフリッドが綴る。ウィルフリッドだけでなく《クリカラ》までもがその言葉を綴る。そして天が割れるように光る。その光から現れたのは一振りの刀だった。
ウィルフリッドと《クリカラ》の言葉は止まらない。
「『抉れ!散れ!斬り飛ばせ!《永久舞踏『刀』》!』
光から現れた一振りの刀は何本にも分裂する。そしてそれは止まるところを知らない。空が刀で多い尽くされる。それは圧巻の光景だった。そしてウィルフリッドと《クリカラ》は最後の言葉を綴る。
「『眠れ』」
言葉と共に空をおおっていた刀がユグドラシルの体を突き刺し斬り飛ばし抉るように削る。
ユグドラシルの体が完全に消え去った。それを確認してかウィルフリッドとルクスが地面へと降り立つ。ウィルフリッドは刀を、ルクスはブレードを杖がわりにしてたっている。
リーズシャルテやクルルシファー、セリスティア、フィルフィ、三和音の三人、アイリ、レリィがホッと胸を撫で下ろした瞬間だった。
「ばぁかかお前ら!ユグドラシルはその程度じゃあ死なねぇつってんだろうが!」
ヘイズが叫んだ。そしてその通りだった。ユグドラシルが再生を始める。そして全員が思い出す。ユグドラシルは殺られれば殺られるほど強くなることを。
今、ルクスとウィルフリッドの全力を打ち込んだユグドラシルはこの世界最強とも言える強さになっている。
「死ねぇ!」
ヘイズの言葉と共にユグドラシルの幹がウィルフリッドとルクスを襲った。
「ルーちゃん!」
フィルフィが叫ぶがその声は轟音と立ち上る砂ぼこりでかき消された。誰もが二人の生存を諦めた。リーズシャルテとクルルシファーはまるで体の力でも入らなくなったかのように床に座り込み、セリスティアはただ呆然と立ち尽くしていた。
シャリス、ティルファー、ノクト、アイリも同じように床に座り込んでいる。レリィはフィルフィを抱き締めておりそのフィルフィは虚空へとウィルフリッドとルクスが立っていると思われる所へと手を伸ばしていた。
「ルー、ちゃん。」
目から涙が溢れ滴り落ちた。自分を救おうとして死んでしまった二人に手を伸ばしながら。
砂ぼこりが消えるとそこにはウィルフリッドとルクスが立っていた。二ルクスは機竜との接続が解除されている。ウィルフリッドもルクスも満身創痍と言った感じだ。
唯一ウィルフリッドはまだ《クリカラ》との同機も接続されたままのようで灰色の髪が揺れている。
「な、な、何をした?」
ヘイズが地面へとしりもちをついた形で震えていた。ルクスはどうやら立ち上がる元気がなくなったようでその場に崩れ落ちる。しかしウィルフリッドはヘイズの元へと足を進める。殺すために。
1歩進むごとにヘイズが後ろへと逃げていく。延々と続くかと思われたそのおいかけっこはヘイズが壁に到達して終わる。刀を首に押し付ける。
ヘイズの目から涙が溢れそうになった瞬間ウィルフリッドが後ろに大きく跳躍した。そして一点を見つめ口を開く。
「何しに来やがった、フギル。」
そこにいたのはルクスをより大人っぽくした青年、フギル・アーカディアだった。
あ、艦これアーケード始めました。