黒き英雄と竜殺し   作:souやがみん

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36話

「おい、アイリ。」

 

「なんでしょう。」

 

リーズシャルテ達一行はものの見事に勝ち進んでいた。神装機竜でゴリ押しという作戦で確実に突き進んでいた。相手にしてみればウザいことこの上ないがそんなものは敗者の言い訳だと切り捨てている。

 

「ルクスとヤクザはどこに言った?」

 

アイリが、目を伏せるとリーズシャルテは理解したようにため息を吐いた。

 

「いつものことね。何だかんだで無事に戻ってくるでしょうし心配するだけ無駄ね。」

 

「ルーちゃんとウィル君なら、大丈夫。」

 

「えぇ、私たちが信じる最強の二人ですから。」

 

クルルシファー、フィルフィ、セリスティアがうんうん頷きながら言った。それを見てリーズシャルテはやれやれと首を振りながら口を開く。

 

「全くもってその通りだ。それにルクスには死なれては困るからな。奴には私の騎士になってもらわねばならん。」

 

リーズシャルテの言葉にフィルフィ、ノクト、ティルファー、アイリの四人が固まる。クルルシファー、セリスティア、シャリスは知っていたのか特に反応することはなかった。

 

「い、何時決まったんですか?」

 

アイリが少し震えた声を出しながら呟いていた。それを見てリーズシャルテはない胸をはりながら答えた。

 

「先日のデートの時にな。ルクスのやつ二つ返事で答えてくれたぞ。」

 

ニンマリと嬉しそうに笑いながらリーズシャルテが言った。しかしそれを聞いてアイリは目を伏せていた。

多分ルクスはほとんど何も聞かずに答えたのだろう。帰ってきたら目潰しからの腹パンを叩き込むことを心に誓う。

 

「まぁ、それはそれです。私たちはウィルフリッドさんとルクスが帰ってくるときに優勝の話をしてあげればいいんですよ。」

 

セリスティアのその言葉に全員が頷いた。アイリは顔を伏せ、嬉しそうに頬を緩ませながら呟いていた。

 

「にいさん、ウィルフリッドさん。皆二人を待ってますよ。早く帰ってきて下さいね。・・・今頃アビスと戦っているころでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、見ろよルクス!コーラルちゃんめっちゃかわいいぜ。あっはっはっ!」

 

「だからって僕をルノにしたことを決して許しはしない。」

 

黒髪ロングのかつらにワンピースを着たルクス(ルノ)がウィルフリッドの胸ぐらを掴みガンを飛ばしている。見た目は可憐なのだが残念な感じになっていた。

 

「僕は無視ですか。。。」

 

コーラル(コーラルちゃん)は金髪のショートカットのかつらに白いブラウスに茶色のスカートを合わせた秋にあった服装をしていた。

ウィルフリッドとルクスは一瞬コーラルの方を見て顔を見合わせて首をかしげるとまたケンカを再開していた。

 

「僕はグライファーに代わって謝りたいだけなんですけど。」

 

「実害になってないから謝る必要はないなぁ。そんなことより俺たちの着せ替え人形として今から頑張って!」

 

コーラルの額に青筋が浮かぶのを確認しつつ煽るのをやめない。だって面白いから。

 

「それにしてもコーラル君綺麗だね。そのままミスヴァンハイムに出場してみたら?きっと優勝出来るよ。」

 

「それでしたら貴方もじゃないですか?」

 

「僕にはもうミスワールドって称号をリーシャ様から貰っちまったんだよ。どう落とし前つければいいんだよぉ!」

 

自爆してルクスが地面へと崩れ落ちる。その姿が少し色っぽかったのはルクスが意図したことだろう。それに目を奪われているコーラルを見て笑う。

散々コーラルで遊び尽くしたところでルクスがウィルフリッドへと声をかけていた。

 

「そう言えばさウィル。コーラル君とグライファー君にはそろそろお帰り頂かないとね。」

 

「確かにそうだなぁ。ってことで日が暮れる前に早く帰れよ。」

 

コーラルの額に青筋が今度は鮮明に現れる。それを無視しながらウィルフリッドとルクスはまっすぐと歩き始めた。グライファーを引き釣りながら帰ろうとするコーラルが口を開いた。

 

「あなたがたは帰らないのですか?自分の国の試合があるのに。」

 

「ちょっと女の子に招待もらってるしね。」

 

「おめかしもしないといけねぇしな。」

 

意味が分からずコーラルが首を捻るとウィルフリッドを苦笑を浮かべながらコーラルに振り返った。

 

「簡単に言うとちょっくら女の子と大人の遊びをしてくるってんだよ。」

 

ウィルフリッドとルクスはコーラルに手を振り歩き始めた。もうすぐそこには戦場が、地獄が待っている。ヒリヒリとした風が頬を叩いた。

 

「僕実は2回目なんだよね戦場。」

 

「そう言えばそうだったなぁ。」

 

そんなことを話ながらウィルフリッドとルクスは歩いていた。まだ攻殻機剣は抜いていない。

そして指定された場所にいくと新王国軍が全滅していた。刀で斬られたような跡が多く残っている。

 

「あら、ウィルフリッドさんではありませんか。御機嫌麗しゅう。」

 

「帝国の凶刃がこんなところで何してんだ?」

 

振り替えるとそこには黒い髪の少女が立っていた。東方の島国特有の服装をしているが肩が丸出しになっており少し胸が見えている。

 

「ふふっ、覚えていてくださったんですね。嬉しいですわ。しかし今日の目的は貴方ではなく主様のほうですわ。」

 

主様?と呟きながらルクスと揃って後ろを振り返る。誰もいないことを確認するといかがしぶような目を向ける。

しかし帝国の凶刃、切姫夜架は動揺も怒りも見せずにニッコリと笑うと1歩でルクスの胸の中へと接近していた。

 

「もちろん貴方のことですわ、帝国第7皇子ルクス・アーカディア様。私は貴方のもとで帝国を再建するためにやって来たのです。」

 

「えっ。」

 

ルクスはその夜架の接近を回避しようと思えば出来たが敢えてスルーしていた。とここまではよかった。しかし夜架の言葉で完全にルクスの思考が停止する。

 

「再建?僕が?切姫さんは帝国を甦らせたいの?」

 

「ええ、もちろんでございますわ。私は帝国に忠誠を誓っております。先代皇帝がおなくなりになり今や皇子はあなた様のみ。つまり、貴方が皇帝です。ならばそれに仕えるのが私の為すべきことです。」

 

ウィルフリッドがゲラゲラと笑う。絶対に笑うところではないだろうが楽しそうに笑っていた。

そんなウィルフリッドに後で腹パンを叩き込むことを心に誓いつつ彼女夜架を見る。腰に吊るされている攻殻機剣はルクス達のように両刃の剣ではなくウィルフリッドの刀とほとんど同等のものだった。

 

「うーん、僕は再建なんてする気ないんだけどなぁ。というか帝国ぶっ潰した一人だし。」

 

何気なく確信を突いた。夜架は見た目では分からないが焦っている。手から軽く汗が出ていることからそれが分かる。

 

「では主様はこの偽りの王国を支持すると?」

 

「支持するしないじゃなくて僕たちが国のためにどうするかを考えるべきだよ。まぁ宰相閣下はロリコンだからどうすることも出来ないけどね。」

 

「面白いから何でも良いだろ。」

 

イエーイとハイタッチを決めるウィルフリッドとルクス。それを夜架は変わらない目で見つめていた。

 

「そうですか。では仕方ありません。私が直々に殺します。・・・と言いたいところですがあの方にそれは譲りましょう。」

 

「はっ、帝国の凶刃。お前は主人公の引き立て役が分かっているようだな。」

 

現れたのはきらびやかな服を着た青年だった。

 

「久しぶりだな。ルクス・アーカディア。ウィルフリッド・スタンジフォール。」

 

ラグリード・フォルス。第6皇子アベル・アーカディアの親友だった男だ。アベルとイタズラするたびに誰かのせいにする糞やろうだ。

 

「で?お坊っちゃまのラグリード君は俺たちになんのようだい?お兄さんたちこの後予定はいっぱいよ。用があるなら出直しな。」

 

おどけた顔をしながらウィルフリッドが軽く言う。その事にラグリードが怒りを覚えている。これだから最近の若いもんはと文句を垂れる。

 

「ウィルもまだ20代前半だけどね。」

 

ルクスのツッコミにジト目を返すがルクスは気づいていないかのようにこちらを見ていない。

チラッとラグリードの方を見ると青筋を額に浮かべている。その横では夜架が笑っている。仲良くなれそうだなぁと思う。

 

「貴様ら、俺をこけにしやがって!ぶっ殺す。」

 

「ぶっ殺すとか言ってるぞ。殺意高すぎない?あいつ。」

 

「それは同感だね。ああいうのって相手するだけで疲れるって言うかさ。」

 

完全に理性を失うレベルでキレたラグリードが《エクス・ワイバーン》を装着しながら突っ込んできていた。

反応したのはルクスだった。

ラグリードが上段から叩きつけるようにブレードを振るう。そのブレードを攻殻機剣を抜き様に剣の腹で滑らし受け流す。しかしそれだけではラグリードは止まらない。流石というべきかラグリードは貴族の間では有名な剣術を使っていた。

 

「なんて剣術だっけあれ?まぁいいや。ウィル!ここは引き受けるから先行ってていいよ。」

 

「了解。」

 

ウィルフリッドは片手をヒラヒラと振ってから戦場から踏み出す。

それを確認したルクスはすぐに周囲確認をする。帝国の凶刃、切姫夜架はまだ先ほどまで立っていた場所で座り込みこちらを見ている。それ以外の気配はない。

 

「何をよそ見をしている!余裕のつもりか!」

 

ラグリードの剣さばきが早くなる。怒りで強くなることに少し驚きつつ剣を返す。ラグリードの機竜、《エクス・ワイバーン》に一筋の傷が入る。

ルクスは大きく跳躍して距離をとるとラグリードに剣先を向けて言った。

 

「残念だけど余裕なんだ。だから機竜が絶対じゃないことを今ここで証明してやる。」

 

そう言ってルクス・アーカディアは地面蹴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リーシャ様!」

 

アイリが次の試合へと向かうリーズシャルテに向かって声をかけていた。

 

「うん?どうしたアイリ。私に何かついているのか?」

 

そう言って脇の下等を見るリーズシャルテ。その姿を見てルクスとウィルフリッドの影響だろうなぁと思いつつ口を開く。

 

「今、後ろに黒いローブをきた誰かが立っていたのですがご存知ないですか?」

 

「黒いローブ、か。そんなものを着ている知り合いはおらんぞ。見間違いじゃないのか?」

 

はぁ、と言いながらリーズシャルテが試合へと向かって足を進めていた。

 

「本当に誰もいなかった?何故か嫌な予感がしますね。」

 

アイリの呟きは誰にも届くことはなかった。




心配するヒロインズ。しかし現実はこうですよ。って話ww

切姫って漢字あってたっけ?斬姫だっけ?
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