黒き英雄と竜殺し   作:souやがみん

40 / 46


皆様のおかげで何と!お気に入りが!400件を!突破いたしました!
これからも宜しくお願いいたします!


38話

拮抗する刀と剣から火花が散る。しかし刀と剣が触れあったのは一瞬だった。ウィルフリッドとフギルが互いを蹴り距離をとると息を吐く。

 

「はは、このくそやろうてめぇ腕をあげてやがるじゃねぇか。」

 

「そういうウィルフリッドも真っ直ぐに向かってくれるとは思ってもいなかったぞ。」

 

答えずに震脚を叩き込みフギルの動きを阻害し踏み出す。体勢を低く前進しフギルの喉元に刀を突き刺すように放つ。

フギルはそれを最短の動き、首の動きだけで回避するとその勢いを利用して回転しながら横に凪ぎ払う。ウィルフリッドはそれをバク転で距離をとりつつ回避していた。

 

「ちっ。」

 

ウィルフリッドの舌打ちが響いた。フギルは元々参謀のような立場でそこまで実戦は強くなかった。何せあの頃のルクスに負けていたのだ。

本格的にまずいと感じる。単純は技術ではウィルフリッドは越えていなくともフギルには口で活路が切り開けるほど口達者なのだ。

 

「どうした?ウィルフリッド。まさか俺が策を用意していると思っているのか?残念だったな。今回は俺は何も考えていない。」

 

言葉を無視しながら前へと跳躍する。一撃で真っ二つにする勢いで振り抜かれた刀はフギルに当たることはなかった。横へのステップでその振り下ろしを回避していたフギルはウィルフリッドへと笑みを向けつつ距離をとる。

 

「そうあせるな。お前の相手をしてやりたいところだが生憎軍師は俺ではなくてな。お前の相手はあの方がしてくださるようだ。」

 

フギルが目を向けた方を見てみるとそこにはフードを被った人間がいた。腰には攻殻機剣があることから機竜使いであることは分かる。

そしてフギルは軍師と言った。ならばあのフードの中は容易に分かる。

 

「よう、ウィルフリッド。殺しにきたぜ。お前とあの没落皇子は俺が殺す。お前達のおかげで俺は!」

 

恨むような目を此方に向けていた。それは今まで邪魔していたことに怒りを注いでいるようには見えなかった。しかしとウィルフリッドは構える。

自分が知らないことを知っても仕方がないと判断して構える。

 

「さぁ!殺しあおう。まぁ、勝つのは俺だがなぁ!」

 

ヘイズが攻殻機剣を抜く。全く同じタイミングで装着し殺しあいが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

ルクスは夜架と共にウィルフリッドを追うため走っていた。何故走っているのかというと《バハムート》の限界時間を残しておくためだ。

ついでにいうと《ワイバーン》はもうほとんど動かない。ルクスの全力に近い動きは汎用機ではついていけないのだ。

 

「夜架、君だけでも先にウィルフリッドのところに行けない?」

 

「それは可能でしょうが主様を置いていくことは承諾できませんわ。」

 

一気にデレたなぁと思いつつチラッと胸元に目を送りエロ成分を収集する。

まだ走れると自分に言い聞かせながら走る。そして異変が起きた。

 

地面が大きく揺れた。それは地震のような揺れではなく人工的に起こしたもののようだった。

 

「まさかあれを起動した?」

 

夜架が憎々しげに口に出していた。何時も余裕のある話し方をしていた夜架には珍しかった。

 

「そんなに面倒なものなの?」

 

「面倒なんてものではありませんわ。機竜の出力で破壊できるか怪しいものです。」

 

ルクスと夜架は動きを止めずに話す。ルクスはこの話を聞いた瞬間にウィルフリッドが向かった方向とは違う方向に走り出していた。

 

「主様、どちらに?」

 

「みんなを救う。ウィルフリッドなら自分で何とかしてくれるよ。それよりも夜架がさっき言ってたのを破壊するのが先だよ。」

 

ルクスと夜架はそこから何も話さず自らの出せる最高速度で走っていた。そしてそれを見た。

それは最早、山が動いていると言っても過言ではないほどに大きかった。

 

「あれが《巨兵》ですわ。主様。ヘイブルグの、いえヘイズの切り札一つですわ。」

 

睨むようにそれを見る。《巨兵》はすでに町を半壊させていた。破壊するために何機かの機竜が攻撃を加えているのが見えていた。

その中には氷や雷と言った攻撃が見えている。クルルシファーやセリスティア等も一緒に戦っているのだろう。しかし

 

「あれでは破壊できませんわね。それをわかっていて攻撃しているならすごい執念ですわ。」

 

本当に感心している夜架を横目にルクスは《バハムート》を抜く。

しかしそれは夜架の手に止められていた。それを少し驚きながら見るとニコリと笑うと夜架が《夜刀ノ神》を装着する。

 

「主様、私の方が余裕がありますので私にお乗りください。もちろんベッドの上では私が股がりますけども。

とりあえずそれは置いておきましてあそこまで飛んでいきますわよ。」

 

「僕はいまのこの状況よりもこれからの夜架との生活が楽しみで仕方がないです。」

 

手を脇に通されて少しこそばゆく思いながらルクスは自分の欲望を口にしていた。こんな状況でもルクスは変わらないのだった。

 

 

 

 

 

 

「何故だろう。今ルクスを無性に殴りたいぞ。」

 

「私も、悪寒、がする。」

 

《巨兵》が出て来て戦い始めてから数十分がたっていた。そんな最中リーズシャルテとフィルフィが怒りからかオーラを吹き出していた。クルルシファーやセリスティアと言った神装機竜使い以外の機竜使いたち以外は少し萎縮していた。

 

「どうせ、ルクス君のことだからまた女の子と仲良くなってるんじゃないかしら?」

 

「それを聞いたらウィルフリッドさんも怪しくなってくるな。」

 

セリスティアの一言でクルルシファーとセリスティアも怒りからかオーラを吹き出していた。

神装機竜使い達が戦場を混沌とさせていた。それを見てアイリは頭を押さえながら唸っていた。

 

「これきっと兄さんとウィルフリッドさんの影響ですよね。何でこんなにキャラがぶれてきてるんでしょうか。一国の皇女様に留学生の貴族の娘、大金持ちの娘に四代貴族のご子息。あぁ、この先怖いなぁ。」

 

レイプ目のアイリの隣でノクトがアイリの肩に手をかけていた。慰めるようなそんな動きだが今のアイリには通じなかった。

 

「これはもうダメじゃない?アイリは?」

 

シャリスがため息を吐きながらそれを見ていた。

 

「まぁ、ルクっちとウィルフリッドさん来てから学院が変わったのは事実だよね。」

 

「Yes、しかし確実に悪い方へと変わっていますね。」

 

アイリが崩れ落ちる。シャリスとティルファーが疲れたような笑みをこぼす。しかしどこか嬉しそうな顔をしている。

 

「その代わりと言っては何だがルクス君とウィルフリッドさんのおかげで今生きているとも言えるな。」

 

崩れ落ちていたアイリが顔をあげる。シャリス、ティルファー、ノクトの3人が笑みを向けていた。

 

「確かに馬鹿ばっかりやってるから分かりにくいけどみんなのことを第一に考えてくれて助けてくれて。それがルクっちとウィルフリッドさん何だよね。」

 

「Yes、彼らがいなければ我々はここにはいないと思います。こんなにも笑顔で毎日が楽しくは感じていないです。」

 

アイリの目に涙が貯まる。アホで馬鹿でエロか煽ることしか考えていないような狂人たちはちゃんと人のことを考えていたのだと。

 

「アイリ、それは失礼すぎませんか?」

 

ノクトに思考を読まれた。多分顔に出ていたのだろう。しかしこんなことをいっている間にも《巨兵》は町を破壊し続けている。

威力が足りていないのだ。神装機竜を持つリーズシャルテ、クルルシファー、フィルフィ、セリスティアといったトップクラスの機竜使いでも足りない。

 

「こんなときこそルクスかヤクザが必要だな。」

 

リーズシャルテが忌々しく呟く。そして限界が訪れる。まず始めに倒れたのは各国の学生たちだった。いくら彼、彼女達が優秀とはいえスタミナや経験などは軍の人間と比較すれば圧倒的に足りていない。

学生達が離脱していくとさらに戦線が押し込まれる。大半を占めていたのはこの学生達だ。

 

「まだだ、ルクスとウィルフリッドさんが来るまでは粘らなければ!」

 

セリスティアの叫びで残る機竜使い達がさらに出力をあげる。だが《巨兵》はそれを嘲笑うかの如く前進を続ける。町の半ばまで進んだところで《巨兵》が右手を振り上げた。

 

「まずい!全員障壁を最大で張りながらあの腕をとめろ!」

 

リーズシャルテの叫びで軍の機竜使い達が障壁を最大で張りながらと突貫した。

激突する。それは空間を揺らすほどの一撃だった。そしてその拳と機竜使い達の障壁が拮抗した。激しく火花を散らしている。しかしそれは長くは続かない。

軍の機竜使い達も人間だ。限界はある。出力が出ずにフラフラと落ちていくもの。挙げ句には強制的に機竜との接続が解除され空に投げ出されるものまでいた。それでも彼らは止まらない。

 

「ちくしょう!ロリ皇女殿下の命令だ。ここで命を貼らないでどうしろってんだ!」

 

「ロリータ万歳!」

 

変態しかいなかった。リーズシャルテのことをロリータ、ロリータの連呼する彼らは《巨兵》の拳を受け止め弾くと墜落していった。

 

「我らロリータのためならば命を投げ出さん。ロリータ万歳。」

 

変態が墜落していくのを横目で見てジト目をプレゼントしておく。

 

「あとは、私たちが、やるしかない、ね。」

 

少し疲労の見えるフィルフィが呟く。残っているのはリーズシャルテ、クルルシファー、フィルフィ、セリスティア、シャリス、ティルファー、ノクト、そしてグライファーだけだった。

 

「あら?貴方戦ってたの。」

 

「戦ってたに決まってんだろ!これでもヴァンハイム公国のエースなんだよ!」

 

顔を真っ赤にしながら怒るグライファーの機竜もボロボロであった。というよりももう全員がボロボロだった。

 

「どうするかしら?もう私たちではあの拳は止められないわよ。」

 

クルルシファーがたんたんと語る。そしてそれは穿たれる。拳を振り上げ《巨兵》はリーズシャルテ達へと振り下ろしていた。

 

「全員障壁を最大出力だ!」

 

リーズシャルテの叫びで全員が障壁を張る。しかしやはり出力が足りない。徐々に押し込まれ障壁に亀裂がはしる。そして誰もが諦めた時だった。

《巨兵》の体が大きく揺れる。地面に倒れるとはいかなかったがそれでも体勢を崩していた。その隙をつきリーズシャルテ達が押し返すことに成功する。そして彼女たちは安堵した。

 

「皆さん、大丈夫ですか?」

 

その英雄は女の子に抱かれていた。黒い長い髪に東方の伝統的な服装をした少女だ。しかし胸元は大きく開かれておりルクスの目はしきりにそっちへと向いている。そして極めつけはこの言葉だった。

 

「主様、ルクス・アーカディア様のメイドにて性奴隷の切姫夜架です。皆様、宜しくお願いいたしますわ。」

 

この時リーズシャルテとフィルフィは思った。《巨兵》

よりも先にルクスを殺すと。







なんだかんだでウィルフリッドとルクスは慕われていますなぁ


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。